BIMをご存知ですか、もしくはすでに利用していますか。
BIMは、公共工事を中心に原則適用が進められている設計方法の一つですが、日本では普及が進んでいないのが現状です。
BIMとはどのようなものなのか、従来の3D CADとの違いや導入のメリットをご紹介してきます。
目次
BIMとは
BIMは、Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)の略称で、コンピューター上に現実と同じ建物の3Dモデルを再現し、より現実に即した設計で、建物の完成形を立体的にイメージし、提案や施工などに活かしていこうという手法です。
公共工事におけるBIMの原則適用
国土交通省では、2023年までに小規模工事を除くすべての公共事業にBIM/CIMを原則適用するとしました。
実際には達成が難しい状態にはありますが、将来的にはBIMの普及を実現させる見通しです。
国土交通省がBIMの適用を目指している理由は、調査・計画・設計段階から施工、維持管理の建設生産・管理システムの各段階において、3次元モデルを連携・発展させる必要があると考えるためです。
これにより、事業全体に携わる関係者間で情報を共有しやすくなり、生産性向上と品質確保・向上が目指せるとしています。
建設工事は大規模かつ多くの工事関係者が携わるため、立体モデルによるわかりやすさや見える化は重要な意義を持ちます。
日本におけるBIMの導入状況
国土交通省が実施した令和4年度 BIMの活用状況・普及拡大に関するアンケート調査によると、BIMを導入している企業が48.4%に対し、 導入していない企業が50.4%と過半数にのぼります。
内訳としては、大手企業や公共事業などを担う企業は導入が進んでいる一方、中小企業や小規模な設計事務所などは導入が進んでいません。
導入が進まない理由として、導入コストが高いから、人材育成や教育の手間がかかるから、顧客から求められていないから、従来のCADで十分だからといった理由が挙げられています。
公共工事、BIM/CIM原則適用に関連する記事はこちら
BIMと3D CADの違い
BIMの導入は、日本ではまだまだ進んでいませんが、導入していない企業での設計は3D CADが使われています。
CADも3Dモデルが作成でき、顧客などにはわかりやすいと好評です。
BIMとの大きな違いは、BIMは最初から3Dモデルを自動作成できるのに対し、CADの場合は最初に2Dの平面図を作成してから3Dモデルを組み立てる点に稚貝があります。
BIMの特徴
BIMは入力項目は多いものの、意匠図、構造図、設備図のすべてを3Dモデルで自動作成でき、それぞれが連携、一体化しているのが便利です。
修正を入れたい場合、3Dモデルを変更するだけで、意匠図、構造図、設備図なども自動で変更されます。
3D CADの特徴
3D CADは2D図面から3D図面を起こした後、意匠図などもそれぞれ書き起こさないといけません。
修正が必要な場合は、まず2D図面を修正するところから始め、3D図面を起こし直すことや意匠図もそれぞれ変更を加える必要があるので、時間もかかり、不一致などが起こりやすいのが課題です。
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BIMのメリット
では、BIMを利用するとどういったメリットがあるのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
生産性向上
BIMは、最初から3Dモデルを作成でき、それに紐づけて意匠図、構造図、設備図などもスピーディーに作成できます。
修正が必要になった際も、3Dモデルだけに修正を入れれば、ほかの図面もすべて自動で変更されるのでスムーズです。
BIMはインターネット上で各プロジェクトや3Dモデルの管理ができるので、速やかな情報共有が可能です。
また、3Dでの設計可視化ができるので、工事関係者や顧客との理解が深まりやすく、説明などに時間をかけることや後にトラブルや不一致が起きて修正などに追われる負担も減らせます。
設計からプレゼン、施工に至るまで、生産性の向上が期待できます。
設計初期段階からシミュレーション可能
BIMは、設計の初期段階からさまざまなシミュレーションを気軽に行うことができます。
たとえば、建物の環境を整えるうえで大切な空気の流れや明るさなどのシミュレーションは、従来は各専門業者に依頼をするケースがほとんどでした。
ですが、BIMでは建物構築に必要となるさまざまなシミュレーションを簡単に実施することが可能です。
作業時間の把握が可能
高層建築などでは鉄筋の背筋が設計図通りになされていることが不可欠です。
そのため、鉄筋が配置されているかを確認するために、配筋チェックシートを作成してチェックを行っています。
従来の方法では、設計図から配筋情報を転記してチェックシートを作成していました。
転記ミスがないかを、背筋の検査前にダブルチェックやトリプルチェックを実施しなくてはならず、手間がかかっていました。
BIMを導入することで、構造BIMモデルの配筋情報から、図面上でワンクリックで、正確に設計図を反映した配筋チェックシートを自動作成することもできます。
これを活用すれば、従来より約90%の作業時間削減が可能です。
また、実際に工事が始まってからも、工事現場に定点カメラを導入するなどして、工事状況のモニタリングデータを、BIMを連携させれば、作業時間を把握しやすくなります。
進捗管理がスムーズになり、建材のジャストインタイムでの納入などにも役立ちます。
完成イメージを確認しやすい
3Dモデルがすぐに作成でき、修正もすぐに反映できるので、完成イメージを確認しやすいです。
提案時の顧客との理解も深めやすく、施工時の工事関係者との間でもイメージを共有しやすいので、スムーズな提案や施工が可能となります。
テレワーク促進
BIMは、インターネット上で3Dモデルや各プロジェクトの管理ができるので、場所を問わず、どこからでも担当スタッフがアクセスすることが可能です。
そのため、テレワークもしやすくなります。
子育てをしながら、介護をしながら仕事を続けることや地方に在住している有能な人材を雇用するなど、人材の活用がしやすくなり、人手不足の改善にも役立ちます。
BIMでの作業の手順
BIMでの作業の手順の基本的な流れを見ていきましょう。
3Dモデルを構築
まず、建築オブジェクトを組み合わせて3Dモデルを構築します。
立体画像だけでなく、各パーツの品番や素材、寸法、単価などの属性情報も登録することが可能です。
ビューを作成
構築した3Dモデルを用いて、平面図・立体図・配置図など基本的な図面のビューを作成します。
修正が必要な際は、3Dモデルに修正を加えるだけで、ほかの図面も自動的に変更が反映されるので手間がかかりません。
図面ごとの不一致も生じないのが安心です。
集計表を作成
面積表・数量表といった集計表も、3Dモデルをもとに自動作成できます。
3Dモデルを修正すれば、集計表も瞬時に自動修正されるので、不一致が生じず安心です。
設計図面を作成
ビューや集計表をもとに、設計図面を作成します。
BIMによる設計図面を用いることで、施工段階で利用する施工図の作成も簡単に作成できます。
3Dで完成イメージが持ちやすい図面は、施主にも工事関係者にもわかりやすく、トラブルなどの回避にもつながりやすいです。
建築業向け管理システム アイピア
アイピアは建築業に特化した一元管理システムであり、顧客情報、見積情報、原価情報、発注情報など工事に関する情報を一括で管理できるため、情報集約の手間が削減されます。 さらに、アイピアはクラウドシステム。外出先からでも作成・変更・確認ができます。
アイピアはここが便利!6つのポイント
まとめ
BIMとは、パソコン上で3D立体モデルを作成できるツールです。
公共工事におけるBIMの原則適用が目指されていますが、導入コストが高いことから、日本におけるBIMの導入状況はまだ低いのが現状です。
3D CADは、最初に2Dモデルを作成する点で、最初から3Dモデルが作れるBIMとは異なります。
BIMのメリットは生産性向上、設計初期段階からシミュレーションが可能、作業時間の把握が可能であること、完成イメージを確認しやすいこと、テレワーク促進ができることです。
BIMでの作業の手順は、まず3Dモデルを構築し、ビューを作成してから集計表を作成して、設計図面を作成する流れです。
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