外壁工事は建物の工事の中でも代表的なものと言えます。
その工事内容について、目的や費用、工事のタイミングなど詳しく見ていきましょう。
一言に外壁工事と言えども、種類はさまざまです。
各工事の種類ごとに費用や工期についても紹介します。
外壁トラブルに悩んでいる人や初めて工事を考える人は参考にしてください。
目次
外壁工事とは
建物の外壁は、住人の生活空間を雨風や暑さ寒さから守る役割があります。
そして、そんな外壁をなんらかの修繕やメンテナンスするための工事が外壁工事です。
ちょっとした小さなリフォームから壁全体に施す大がかりな工事まで、総称して外壁工事と呼びます。
外壁は建物の外部にあたる部分であるため、常に自然のダメージを受けています。
老朽化に伴い外壁の機能性が落ちてきます。
また、外観も時間とともに古くなり新築当時のようなきれいな見た目とは変わってきます。
だからこそ、工事をして機能性や外観を良い状態に保つことが大切です。
そうすることで住人も気持ち良く住み続けることができますし、建物も守ることができます。
外壁工事の目的
外壁工事は当然のことながら、費用も時間もかかります。
だからといって、一度も工事をしないまま放置すると、建物の劣化は進むばかりです。
最終的には住むことも難しい状態になってしまいます。
少しくらい外壁が傷んでも問題ないのではないかと考える人もいるかもしれません。
しかし実際は、外壁のひびなどから建物内に雨水が浸入します。
そして、柱や土台に溜まって、家が腐っていくわけです。
また、塗料には遮熱や断熱の効能もあります。
そうした効果が切れてしまうと、建物の中で住人は快適に過ごせません。
こうした点から考えても、外壁工事は必要な工事だと言えます。
ここではより詳しく、外壁工事の目的について考えてみましょう。
美観の維持
外壁は建物の外部にあるため、屋根があるとはいえ、雨や紫外線は容赦なく外壁に降りかかるでしょう。
風によって埃や花粉が舞ってきて壁に付着しますし、春夏秋冬を通じて外壁はいろいろなダメージを受けてしまうことは否めません。
その結果、築年数が経つと、色も褪せてきてひびや剥がれなどのトラブルも生じます。
汚れもだんだんと目立ってきて、新築当時とは違う変貌になってしまいます。
最近ではホワイト系のナチュラルな外壁も人気です。
しかし、薄い色の壁はなおのこと、傷や汚れが目に付きます。
立地によってはコケやカビが生えてしまうこともあるので要注意です。
外壁は家をぐるりと囲っているため、通りすがりの人や近所の人の目にも留まりやすいです。
外壁が汚れていると、家全体が古びてみすぼらしく見えてしまうでしょう。
これは住人にとっても、気になるところです。
塗装ではなくサイディングを張り巡らしている家も見られます。
サイディングの建物が劣化すると、目地部分のシーリング材が汚れてきます。
塗装された外壁でもサイディング壁でも、外壁工事をすることで外観の美しさを維持することが可能です。
防水性能の向上
外壁工事の必要性として、防水効果を維持することも重要です。
常に雨風に晒されている部分であるために、外壁は防水効果が必要になってきます。
塗料には防水や撥水機能が備わっています。
しかし、築年数が経つと、塗料の防水機能もだんだんと切れてくるわけです。
外壁の見た目がそこまで汚れていないとしても、だいたい塗装は10年経つと防水機能もなくなっている状態であることが多いです。
そうすると、外壁は雨水を受けるばかりで抵抗できません。
ちょっとした繊細なひびからも雨水は建物内に浸透して、雨漏りが生じる事例も見られます。
サイディング壁の場合も、目地部分の劣化から雨水が入りやすくなります。
きちんと外壁工事をして手を打つことは、外壁の防水機能を保つためにも必要です。
防水機能のほかにも、抗菌や撥水などさまざまな機能が塗料には備わっています。
外壁工事の種類
外壁工事は大きく分けると4種類あります。
外壁に塗料を塗る「塗装工事」は、外壁工事の代表でもありよく知られているでしょう。
次に、既存の壁の上から新しい外壁を張る「重ね張り工事」があります。
そして、既存の古い壁を取り壊して、新しい壁に張り替える「張り替え工事」を行うケースもあるでしょう。
これは外壁工事の中でも大がかりな施工が必要です。
そして、ちょっとしたひび割れをコーキングするような「補修工事」があります。
それぞれの工事の種類別に、各工事費用と工期について解説します。
塗装工事
既存の外壁の上から塗料を塗る方法が塗装工事です。
防水や撥水などの機能性も回復させることができます。
ただ塗料を塗るだけでなく、下地をチェックして必要に応じて補修しなければなりません。
また、高圧洗浄で汚れを落とすなどの作業も必要です。
これらも含めて、塗装工事の費用となります。
工期は約1~2週間です。
費用に関しては使用する塗料の種類によっても異なりますが、目安は約80万~120万円です。
塗料の種類別に、アクリルで1,400円~1,600円、ウレタンで1,700円~2,200円となります。
シリコンは2,200円~3,000円、フッ素で3,800円~4,800円ほどでしょう。
張り替え工事
外壁全体の老朽化が激しかったり雨漏りがひどかったりすると、外壁自体を交換する必要が出てきます。
既存の古い壁を取り壊して、さらに新しい外壁へと張り替える工事をすることになります。
防水シートなど下地部分の補修からすべて行わなければなりません。
そのため、工期は長くかかります。
だいたい約2~3週間で完了するでしょう。
費用は約150万~200万円で、外壁工事の中では最も高価です。
モルタルやサイディングの外壁をイメージチェンジできるので、気分転換にもなります。
重ね張り工事
古い既存の壁はそのままにして、その上から新しい外壁を張り付ける工事が重ね張り工事です。
カバー工法と呼ばれることもある工法です。
既存の壁は撤去しないので、処分費もかからず張り替え工事よりも安く済みます。
下地部分や基礎はそのままで、外観を美しくできるのがメリットです。
外壁が二重になるので、遮音性や断熱効果も高まるでしょう。
重ね張り工事の工期は、だいたい1~2週間です。
費用は約120万~180万円が相場です。
補修工事
コーキングなどの補修工事は、業者に頼まずに家主自身で行える場合もあります。
塗料の剥がれやシーリング材の劣化などは、外壁全体を工事しなくとも部分的な補修で回復するでしょう。
補修工事は費用が安く済みます。
そして、早くに行うことで、それ以上トラブルが広がる予防にもつながります。
もちろん補修の状態にもよりますが、かかる工期は1日~1週間です。
費用は、コーキングの打ち替えで約500円~1,000円/㎡、ひび割れ補修で2,000円/㎡ほどになります。
塗膜剥がれの補修は2,000円~5,000円/㎡くらいです。
外壁工事が必要なタイミング
上記のように外壁工事の必要性はわかったものの、一体どのようなタイミングで工事すれば良いのか悩む人もいるでしょう。
以下、色褪せや剥がれ、チョーキングなど主な症状に関してそれぞれの工事のタイミングをお伝えします。
色褪せや脱色
外壁の色が褪せてきたり抜けてきたりすると、見た目が良くないです。
さらに、目地にコケが生えることもあり、余計に古く見えてしまいます。
だいたいこのような症状が出てくるのは、塗装をしてから10年経った頃になります。
10年を目安に、塗装はやり直したほうが良いと言えるでしょう。
しかし、中には10年経たないうちから、色褪せや脱色が出てくることもあります。
その場合は、建物に大きなひびなどのトラブルが生じる前の事前対策として、外壁工事をするべきです。
10年はあくまでも目安であり、早いうちに手を打つことが工事費用も工期もかからなくて済みます。
チョーキング
外壁を手で触った時に、白い粉が付くのがチョーキング現象です。
別名白亜化(はくあか)とも言い、雨風紫外線の影響で塗料の色の成分がチョークの粉のようになってしまいます。
サイディングボードの場合でも、外壁の表面塗装の劣化により生じるケースも見られます。
いずれにせよ、放置しておくと外壁がボコボコ膨れたり剥がれたりするでしょう。
チョーキングが起きているなら、塗装をするべきタイミングです。
塗装の剥がれ
外壁の剥がれは、初期の段階は小さくポロポロと壁が剥がれています。
しかし、ひどくなると、壁が剥がれ落ちていることもあります。
これは地震の被害を受けた家などによく見られる症状です。
剥がれがあると、そこから雨水が建物内に入って腐食が進みます。
黒カビが室内に発生して、住人の健康をおびやかす可能性もあるので危険です。
剥がれはサイディングや土壁にも見られます。
剥がれは小さなものも大きなものも、どちらにしても外壁工事をすべき状態です。
一つの工事のタイミングとして、油断せずにチェックしたいものです。
施工管理の効率化なら『建築業向け管理システム アイピア』
アイピアは建築業に特化した一元管理システムであり、顧客情報、見積情報、原価情報、発注情報など工事に関する情報を一括で管理できるため、情報集約の手間が削減されます。 さらに、アイピアはクラウドシステム。外出先からでも作成・変更・確認ができます。
アイピアはここが便利!6つのポイント
まとめ
外壁工事は家を守るために非常に重要であることがわかりました。
外壁トラブルは甘く見ずに、適切なタイミングで必要な工事を行いたいものです。
きちんとメンテナンスをすることで、建物は美観性も機能性も保てます。
早い段階で工事すれば、工期も費用も安く済みます。
せっかく入手した愛の巣ですから、できるだけ長持ちさせましょう。
施工管理に関する記事
施工管理ソフト(システム)に関する記事
- 現場管理(施工管理)ソフト 選び方のポイントとおすすめフリーソフト6選
- 施工管理DXの課題 現場のDX化は「見える化」から
- 施工管理ソフト・アプリオススメ11選と選択のポイントとは?
- 施工管理システムを比較!導入するメリットや機能、選び方まで解説