マイホームを建てたくても、近年は建築資材の高騰もあって住宅価格が上がっており、以前と比べて手に入れにくいものとなっています。
今回は、建築資材の高騰は今後どのくらい続くか、原因や対応策についても紹介していきましょう。
目次
建築資材の高騰によって起こり得る現象
建築資材が近年高騰しているのですが、どのようなことが起こっているのでしょうか。
建築資材が高騰することによって、当然のことながら水回りのキッチンやバスルーム、トイレ、サッシ、洗面台などの住宅設備なども高騰していることもあるため、新築住宅やリフォーム工事の費用が高くなっています。
基本的に国内の建築物に使われている資材は外国からの輸入にほぼ頼り切ってしまっていることがあるので、やむを得ない状況です。
施主側としては、住宅価格が上がっていることから購入に踏み切れない世帯も増えています。
また、そういった状況もあることでメーカーや工務店なども、できる限り販売価格を抑えようとして思ったほどの利益を取ることができず、赤字になってしまうリスクも多くあります。
建築資材が高騰してしまった理由
ここ数年レベルで建築資材が急激に高騰しています。
建築資材がこれほどまでに高騰してしまっているのは、特に2021年以降だと言えるでしょう。
その原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
ウッドショック
ウッドショックは、2020年以降世界で猛威を振るったあの新型コロナウイルスの流行によって起こった現象です。
世界のあらゆる企業が積極的にリモートワークを推進されました。
特にアメリカ、中国のなどでは感染が拡大してしまったために、感染を恐れて郊外へ移住しようとする方が増えたため、住宅建築需要が急速に高まっていきました。
これにより世界で建築資材が不足し、日本に輸入される木材までも減少してしまったことが考えられています。
つまり、これまで大量に輸入されてきた木材が希少になってしまったため、木材の価格が上昇してしまったのです。
アイアンショック
木材のみならず、鉄の資材も同様に新型コロナウイルスの拡大によって高騰してしまいました。
新型コロナウイルスの影響でアメリカ、中国にて郊外への移住のたまの住宅建築需要が高まったことから、マンションやビルなどに使われる鉄の資材が減少してしまいました。
鉄も日本は海外からの輸入に頼っていることから価格が高騰しています。
給湯器の不足
こちらも新型コロナウイルスによる影響であり、2021年の秋から日本は深刻なほど給湯器が不足する状況となりました。
新築はもちろんのことですが、給湯器が壊れた際の入れ替えに使える給湯器すらないような状況が続きました。
これは、給湯器メーカーがハーネスという部品をベトナムの工場での生産に頼っている状態だったのですが、新型コロナウイルスが拡大してしまったことでベトナムの工場が閉鎖され、ロックダウンされたことで給湯器を生産できなくなるという状況に陥ったためです。
円安による影響
日本では2022年10月に1ドル=150円台まで大幅に値下がりして、1990年8月以来役32年ぶりに円安水準となりました。
円安の状況が続くことで、物の価格はどうしても高くなってしまいます。
つまり、輸入している資材の価格はやむを得ず高騰してしまうこととなるのです。
記述の通り、日本は木材、鉄それぞれの資材を海外に頼っているため円安になると仕入価格が上がってしまうため、大きな影響を受けてしまいます。
また、日本は低金利政策が行われているのも大きな要因です。
世界主要国は、インフレに伴って物価上昇を抑制するため中央銀行が金利を上げて対策を講じているのですが、日本は低金利政策がそのまま継続していることから、アメリカなどと金利差が広がることも要因の一つです。
ロシアとウクライナ情勢
2022年からロシアとウクライナの間で戦争が起こっています。
その影響により日本を含めた多くの国がロシアへ経済制裁を行っていることも大きな要因です。
ロシアに頼っている資材も多く、あらゆる国がロシア以外の世界各国から輸入をすることで資材の価格が高騰してしまいます。
特に日本は単板の8割をロシアからの輸入に頼っていたので、打撃は非常に大きいです。
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建築資材の高騰はいつ頃まで続く?
では、高騰はいつ頃まで続くのでしょうか。
新型コロナウイルスもだいぶ落ち着いてきましたが、だからといって資材価格が下がるといったことはありません。
ロシアとウクライナの戦争はまだ収束が見えない状況で、今後日本の経済制裁が続くことが予測できます。
ロシアからは多くの建築資材などに頼ってきたため高騰が収まるのはまだまだ先と言えそうです。
建築資材の高騰に向けての対応策とは?
ではここで、建築資材の高騰における日本でできる対応策について説明していきましょう。
ロシアやウクライナ情勢はなかなか糸口が見つからない状況なので、対応策は難しいと考えられがちですが今日本政府や業者ができる対策は残されています。
対策1
低金利政策を転換する
日本の低金利政策を転換することで円安の状況を回復していこうというものです。
低金利ではなく、金利を上げることによって現状の円安の状況を打破することができる可能性が残されています。
円安の流れを変えることで、建築資材の輸入の価格を抑えることができるようになるでしょう。
日本政府が、金利を上げることでさらに住宅ローンの金利なども上がるため、住宅需要のニーズも減っていきますので、資材価格も減少していくことが期待できるでしょう。
対策2
資材発注を早めに行う
建築物を建設する際、施主と住宅の使用を早期に決定し、資材の発注を早めに行うことが重要です。
発注が早くなるほど余裕を持って材料を調達することができ、タイミングが合いしだい確実に資材を手に入れることができます。
納期が迫っている状況での発注は、資材の仕入れがうまく行うことができなくなりますので、建築資材の高騰をできるだけ抑えるには仕様の決定とオーダーを速やかに行うことが重要になるのです。
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まとめ
今回は、2023年時点の建築資材の高騰についての動向と原因、対応策について説明してまいりました。
まだまだロシアとウクライナ情勢の状況が変わる傾向は見られませんので、深刻な状況は続くと見られています。
そうならないためにも、日本の低金利政策の転換と早期の手配などを心掛けることで、少しでも良い方向へ進んでいく可能性が期待できるでしょう。