様々な要因からDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が注目されています。
ところがDXという言葉は、それを使う人によって様々な意味や主張があり結局のところどうすればいいのか分かりません。
そこで今回は、DXが注目される発端ともなった米国シリコンバレーのスタートアップ企業の事例を紹介します。
開発・デザイナーの内製化
建設会社でも、例えばホームページを作ったりブログやSNSを運営したり、チラシを作成する場面がありますよね。
その際に外部のホームページ制作会社やデザイナーに発注するのではなく、社内にデザイナーやシステム担当者を雇い入れ対応することを「内製化」と言います。
工事を外部発注せずに社内職人に対応してもらうことも一瞬の内製化ですよね。
内製化することで、これから紹介する様々な取組がやりやすくなります。
DevOps体制
DevOps(デブオプス)は、開発チームを指す「Development(デベロップメント)」と運用チームを指す「Operations(オペレーション)」をかけ合わせた造語です。
製品やサービスを開発するチームと、それらを購入したお客様が滞りなく利用し続けられるように利便性を維持する運営チームが協力する体制のことを指します。
建設業で言えば、「開発」は施工のみを指すのではなく拡販施策などのマーケティングなども含めた「新たな取組みすべて」を指せますね。
また、「運営」は実際にお客様に提案したり、リピート顧客のフォローや問合せ対応などのカスタマーサクセスを担う業務全般を指すことができます。
常に新しい取り組みやサービスを考える開発チームと、その新しいものをお客様に浸透させ、お客様自身が受け入れやすい状況を維持し続ける運営チームは、目的の違いから対立しやすい傾向にあります。
両者が協働しやすい環境を作ることがDevOpsです。
アジャイル
DevOpsが体制の話だったのに対し、アジャイルはシステム開発に用いられる具体的な開発手法のことです。
従来のシステム開発では、要件定義、設計、開発、テスト、納品という手順が明確に定められており、基本的に何があっても手前の手順に戻ることはありません。完成したものがお客様の理想でなかったとしても、再設計や再開発を行う柔軟性はなしです。
一方、アジャイル開発は最初に決めた定義や設計にこだわりません。適宜打合せをはさんで、お客様の要望やビジネス的価値に応じて仕様を変更します。仕様を変更するぶん開発完了までは長くなりますが、お客様にとってより高品質なサービスを提供することができます。
デザイン思考
デザイン思考とは、問題解決を行うための思考法のひとつです。ここでいう「デザイン」とは、「新しい可能性を発見するための考え方」という意味合いで、以下5つのステップで思考することで問題解決に試みます。
アンケートや取材を通じてお客様の行動を理解する「共感」、お客様の潜在的なニーズ、実現したいことを読み取る「定義」、
定義づけたニーズへの解決策を探りアイデアを出し合う「概念化」、アイデアをもとに製品やサービスの試作品をつくる「試作」、
試作品を実際にお客様に提供するなど市場に出して検証する「テスト」の5段階です。
これら5段階を、テスト結果に応じて何度も繰り返して精度を高めていくのがデザイン思考です。
ブレインストーミング
ブレインストーミングは、チームなどグループでアイデアを出し合う際に発想がしやすい会議手法です。
- 「ホワイトボード」「付箋」「筆記用具」の3点を用意します。
- ブレインストーミングを行う目的を参加者全員に提示します。
- 制限時間を設け、質より量を意識して1つのアイデアにつき1つ付箋を使いとにかくたくさん書き込みます。
- 参加者が出した付箋を全員で確認します。このとき、アイデアの批判や現実的に実現できないなどのネガティブな判断を下すのはNGです。
- 付箋同士を組み合わせるなどして目的に合う答えを作りましょう。
通常の会議で各自が頭をひねって考えているより、無意識的に飛び出した意見を組み合わせて思いもしなかった答えが生まれるかもしれません。
リーンスタートアップ
リーンスタートアップとは、製品やサービスを開発・改善していくためのマネジメント手法です。
最初から高品質なものを作ろうとせず、コストをかけずに最低限のものを短期間でつくり、お客様の反応を収集して改善しながらよりよい製品・サービスを作るのがリーンスタートアップです。
新しいものを作る最も初期の段階では「きっとお客様にはこういうものが必要だ」という想像・想定のもと着手しますが、その際の想定が外れていた場合、初期段階から作りこみすぎていると方向転換に大幅なコストを取ることになります。
つまりリーンスタートアップは最初から計画の修正・方向転換ありきで、お客様の声を収集することを重視したマネジメントです。
まとめ
今回は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の話題でも取り上げられることの多いシリコンバレーのスタートアップ企業で取り入れられている手法を紹介しました。
多くの手法が、いかにスピード感を持って考え、実行し、修正するかという「PDCAの高速化」にも似た考え方を持っているところが特徴的ですね。
シリコンバレー企業はシステム会社ばかりだから自分には関係ない・・・と思う前に、出来ることを探してみると意外と共通した「これからの企業として求められる在り方」が見つかるかもしれません。
<参考記事>