経営理念の作り方と浸透させる方法!経営者の想いを形にする。

近頃、様々な企業のホームページなどを見ていると必ずあるのが「経営理念」です。
おしゃれな企業だと「クレド」とか言ったりもしますね。
クレドはラテン語で「信条」とか「約束」という意味で、企業の約束=経営理念とほぼ同じ意味で使われています。
その企業を一言で表現できる「企業の看板」とも言える経営理念ですが、実は様々な効果があります。

お客様や取引先へのイメージ向上はもちろんのこと、社員の意識向上に繋げることができます
松下幸之助氏は著書「実践経営哲学」のなかで、経営をするにあたってまず初めに取り組むべきことは経営理念を作り上げることだとしていました。
経営理念を明確にし、企業全体を巻き込んで理念に向かって進んでいくことが重要ということでしょう。

ご覧になっている方も、起業して間もない創業時や社員が増えたタイミングで作成を検討された方は多いのではないでしょうか?

前述したような効果を理解していつつも、いざ自分で作るとなるとどうやって作るのか分からなかったり、作ったものをどう活用すればいいのか分からず結局社内で浸透しない、といった困りごとを抱える経営者は大変に多いようです。

今回は、経営理念の本質や作り方と経営理念が浸透する方法と伝え方についてご紹介いたします。全社員が同じ方向を向いて走れている素晴らしい企業の状態にしていきましょう。

経営理念とは

経営理念とは、会社の軸を明文化すること

経営理念の作り方と浸透させる方法!経営者の想いを形にする。

「経営理念」を辞書で調べてみると、このような説明がされています。

企業の個々の活動方針のもととなる基本的な考え方。創業者や経営者によって示されたものが多い。企業内部に向けては社員の行動指針となり,企業の一員としての自尊心を高めようとする。また社会に対して企業のイメージをアピールするねらいもある。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

存在意義(会社や組織は何のために存在するのか)や、経営目的(どんな目的で、どのような形で会社を経営するのか)を明文化したもの、と言い換えられそうです。

社員一人一人がそれぞれの考えで判断・行動をしていては、力が分散して本来目指しているところへ辿り着けなかったり、遠回りしてしまう原因になります。
「社員の行動指針となる」とあるように、経営理念とは会社の軸を作るということにもなるでしょう。

経営理念と企業理念の違い
経営理念と似た言葉に、企業理念という言葉があります。
かつては少しだけ意味が異なる言葉として扱われていましたが、現在は同義語と考えてよいでしょう。
ちなみに、かつては下記のように意味づけられるケースがありました。

経営理念 経営者自身の価値観が強く反映される「経営の在り方」。

 経営者自身が考えることが多く、経営者自身の指針になるため

 社員向けではないこともある。

企業理念 会社全体の指針。経営者を含めた社員全体がこれに従って動く行動の基準。

この記事では、経営理念を会社の軸として紹介します。
経営理念は経営者のみならず社員が指針とし、取引先業者や社会全体にも伝えていくべきものなので経営理念と企業理念は同じものとして扱います。

また、ほかにも似た単語として経営方針やビジョンという言葉がありますがこれらは経営理念をつくる要素のうちの1つです。

経営理念を作り方① 経営者の想いを見つめ直す

 経営者の想いを明らかにする

まずは、経営者が会社を通して何を行いたいか?を明確にしましょう。
会社のことを誰よりも考え、一番の責任を負い、自分の人生を会社にかけているのはまさに経営者です。
その経営者の理念が共鳴を呼び、従業員やお客様、取引先などの利害関係者と心が響き合う関係を作り上げれば、何よりも心強い会社の財産となるでしょう。

経営者の想いは経営理念を作る上で欠かすことのできないものです。
経営者としての想いを見つめなおすために、こんなキーワードで振り返ってみましょう。

「私はだれか?」
「自分自身が生まれてきた目的、自分の命を賭けるべき使命とは何か?」
「なんのために、どんな経営したいのか?」
「この会社は、誰のためにあるのか?」
「商品の品質や社員の行動がどういう状態にあれば、良い状態だと言えるのか?」

どんな組織にしたいか明らかにする

会社に所属する人数が増えていけば、自然と組織らしさが出て会社の文化や風土が生まれます。

どういった文化や風土にしたいか?を考えるべきでしょう。

例えば、どんな意見や考えも尊重される安心安全な場を作りや、明文化されていない、声に出されていない組織の想いや関係性を明らかにすることも経営理念を作る上で参考になります。

行動と学習で、より完璧な経営理念に磨き上げる

経営理念の作り方と浸透させる方法!経営者の想いを形にする。

経営理念は一度決めたら変えられないと思っていませんか?

幾度となく変わってしまうと社員が混乱しますが、会社の状況や経済の状況によって経営理念は変わっていって然るべきです。
会社が大きくなり、より大きな目的を持つこともあるでしょうし、一度作ってみたもののしっくりこなかった。ということは当然ありうるでしょう。
一度決めたら絶対に変えられないと思うのではなく、一度決めてみてから振り返って見直し・変更をしていく方が、より自社に適し、個性的・特徴的で、心に響き、役に立つ経営理念になります。

経営理念の作り方② 経営理念の4つの要素

経営理念は以下の4要素から構成されています。
根本的な考え方や具体的な行動のほか、将来のビジョンも含んでいます。

経営理念の作り方と浸透させる方法!経営者の想いを形にする。

使命・存在意義(Misson/ミッション)

自社が何者か、何を成し遂げるのか、何のために存在するのかを表します。
会社は誰のためのものか?という問いを耳にすることがあります。
お客様のため、従業員のため、株主のため、経営者のため、社会のためなど、人によって答えは様々でしょう。
どれが正しくてどれが間違っているということはありませんし、どれか一つに絞らなければいけないというものでもありません。
経営者が正しいと思う相手に対して、どのような貢献をしたいのかを表します。

「私たちは何者か?何を成し遂げるために存在するのか?」という質問をもとに考えましょう。

 信念・価値観(Value/バリュー)

自社の使命・存在意義を体現していくにあたって、大切なこと、固く信じて疑わないこと、判断や行動の基礎となるものです。

「使命を成し遂げるためにどんな信念や価値観を持っているのか?」という質問から考えます。

行動指針・行動規範(Way/ウェイ)

自社の使命・存在意義を体現していくにあたって、信念・価値観に基づいてどのような行動をとるのかを表したものです。
信念・価値観のように抽象的なものではなく、外面に現れる具体的な行動を表しているので社内外の人にとって目に見えやすく、実感しやすいものでしょう。

「信念・価値観を体現するためにどんな行動を心がけるのか?」という質問から考えます。

 目指す姿・目標(Vision/ビジョン)

自社が事業を続けていくことで実現を目指す、将来の自社や社会の姿を表したものです。
事業を通じてどのような社会や世界、未来を創り出すことに貢献したいのか?
その10年後や20年後といった長期的な期間で目指す姿を言語化することで、
従業員やお客様、取引先などの利害関係者に対して、自社がどこに向かっているのかを示すことができます。

測定可能な目指す成果や数値目標を含むと更にわかりやすいでしょう。

「使命を成し遂げればどんな社会が実現されるのか?」という質問をもとに考えましょう。

参考にしたい経営理念

冒頭でお伝えした松下幸之助氏のように、明確な経営理念を掲げて事業を成功させた企業は数多くあります。
以下のページに様々な企業の経営理念をまとめていますので、ぜひご覧いただき参考にしてください。

 参考:
初めての経営理念づくりに役立つ事例5選|AIPPEAR.NET(アイピアネット)

経営理念が社員に浸透しない理由とは?

経営理念についての重要性や作り方についてはお分かりいただけたと思います。では、次に社員に経営理念を浸透させる方法についてみていきましょう。
経営理念を作ってみたものの社員に浸透せず、「額縁の中に入っているだけの状態」という事で悩まれている経営者も少なくありません。
経営理念を上手に浸透させて、同じ方向を向いて走っている企業の方法をご紹介いたします。

理由1:経営理念を作っただけで伝えきれない

経営理念を作ることが目的になっていて、作った時点で満足している経営者の方がいます。
部長に「経営理念を作ったので、これに沿って活動するように」と伝えるだけでは、経営理念は社員に伝わりません。

 

理由2:模範者がいない

経営者が優先して経営理念に沿った行動や発言をしなければ部下はついてきません。
経営者自ら模範者にならなけばなりません。

経営理念を社員に浸透させる方法

経営理念を浸透させるということは、単に言葉を覚えてもらうということではなく、社員に経営理念に沿った行動をとってもらうということです。
多くの企業では、経営理念を覚えるための施策をしており、行動してもらうための施策をしている企業は多くはありません。
経営理念を社員に落とし込むという言葉を使うことがありますが、「落とし込む」とは何に落とし込むことを指していますでしょうか?
それは・・・
日々の業務です。

普段の業務の仕方や、社員としての在り方、問題が起きた時、迷った時、様々なシチュエーションで落とし込む必要があります。
では、実際に経営理念を浸透させる方法や伝え方を見ていきましょう。

経営理念の背景を伝える

経営理念を浸透させていくには、その言葉が経営理念になった経緯を社員に伝える必要があります。より具体的にイメージしてもらうために、ストーリーにして伝えるとよいでしょう。

そして、実体験のストーリーであれば、より社員の心に響かせることができます。

なぜ、それが大事だと実感したのか?
いつ、それが大事だと実感したのか?
どうして、それが大事だと実感したのか?

中身のない経営理念では、社員に見透かされてしまい、誰も実行したいとは思いません。

経営理念に沿った行動を優先して行う

組織において経営者の影響力と絶大です。行動・発言を多くの人が見ています。

経営理念に限ったことではないですが、誰かに想いを伝える、行動してもらうためには、伝える側の熱意や本気度が必要になってきます。

経営者が経営理念に掲げているような価値観や行動規範を率先することで、経営者の誠実さ、本気度を示すものとなります。それは、周囲の人の経営理念への理解を深め、信頼を高めることになります。

例えば、「お客様に満足してもらう」と経営理念で謳っている場合は、誰よりもお客様に満足してもらうための行動、奉仕をしなければ社員には伝わりません。

逆に、社長は口だけで言っていることを本人がやっている行動が違った場合、どうなるでしょうか?

社員も経営理念を軽視するようになる、言葉としてあるだけの飾りになります。

昔の言葉で、「背中で語る」というのがありますが、行動で示さなければ、部下はついてきません。

経営理念について話し合う機会を増やす

経営理念を発表・伝えるだけでは、社員は自分自身のこととしてとらえません。経営理念の浸透は受動的なプロセスではなく、能動的なプロセスです。

能動的でないと行動には移りません。

経営理念について

「私が今やっていることに置き換えると〇〇といったことができる」

「経営理念の言葉を〇〇ととらえていた」

「私ならこれができる」

といった社員からのアウトプットの機会を増やす必要です。

評価制度に反映させる

経営理念に沿って行動をして頑張ったにも関わらず、評価されなかった場合どうでしょうか?

例えば、「お客様に満足してもらう」という経営理念で、表彰基準が売上だけだった場合などです。次第に、誰も経営理念に沿った行動はしなくなり、評価される方法や行動をするようになります。
また、経営理念の内容で評価されることで、経営理念の内容が自身の実体験となり、言われてやっていることから自分自身でやったことになります。
そして、自分の行動や体験のどれが「経営理念」に沿ったものなのかも気づくことができ、経営理念をより深く理解し同じようなことがあれば、また経営理念に沿った行動をするようになります。

施策例

■経営理念に接する機会を増やす

・社内で掲示する
・朝礼や夕礼などで唱和する
・クレドや社員手帳など身につけれれるモノにしてすぐに見れるような状態にする

■理解を深める

・経営理念についての勉強会をする
・経営理念の作成を社員全員で行う
・定期的に見直す

まとめ

経営理念を創るのは大変ではありますが会社がもう一歩進むためには、必ず必要になってきます。
重要なことは、経営者の嘘偽りのない想いです。
想いの無い経営理念では経営者は経営理念を遵守することがなくなり、経理思念を見ていない社員も経営理念を蔑ろにしていくでしょう。
だからこそ、経営者の噓偽りのない思いを共有できるように明文化したものが経営理念が企業にとって重要なものとなります。
あなたの想いを社員の皆さんに伝えましょう。

AIPPEAR NET 編集部

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