企業や組織の大小に限らず、新人のうちから誰もが業務日報の作成を経験します。
ところが多くの社員にとって業務日報は、「面倒なルーチンワーク(定期業務)」です。
初歩的なビジネススキル本などを見れば日報が成長を早めるとか、上司や先輩に安心感を与えるとか
様々な効果があるように書いてあるはずなのに、どうして上手くいかないのでしょうか?
今回は、管理者的目線で業務日報のあるべき姿について考えてみます。
目次
業務日報とは
業務日報とは、日々の仕事を上司や先輩、場合によっては部署内等で共有するための業務報告記録です。
その日にどんな業務をしたか、また業務を通じてどんな気付きがあったのかを
「業務内容」「所感」という2項目に分けて報告するのが代表的なやり方です。
多くの社員にとって業務日報は「ただのルーチンワーク」
企業によっては毎日提出を求められることで社員の負担が大きくなることがあります。
新人からすれば、たまに書き間違いを指摘される程度でそれ以外は特にコメントがもらえないこともあり、「何のために書いてるか分からない」と感じることもあります。
一方新人の日報を確認する上司や先輩としても、自身の仕事の合間に日報を確認するので
数日期間をまとめて確認したり、毎日確認していても不明点がなければ一旦よしとしたりして
本来取りたいほどの時間を業務日報に裂けていない場合もあります。
ルーチンワーク化してしまっているケースでは、「提出されていればいい」状態になっているかもしれません。
業務日報は報告資料ではなく「自分自身の振り返り」とするべし
社員の立場上、手間があるうえに目的が曖昧だと優先度は下がります。
日々のノルマとして指示すれば提出させること自体はできますが、価値を理解できずルーチンワークになります。
そもそも、「誰かから評価してもらうこと」を第1目的にあげるのが難しいのかもしれません。
業務日報は「自分自身の振り返り」のための資料として、上司や先輩からのアドバイスは
「何か声をかけることが必要な時に行うもの」という在り方にすることで様々な効果が得られます。
新人は上司や先輩から直接教えてもらわないと成長できない、と思っていませんか?
もちろん完全放置はいけませんが、新人が自発的に成長する環境を作ることはできます。
業務日報に書くべき内容を振り返ろう
一般的な業務日報は「業務内容」と「所感」の2項目で構成されています。
おおまかな項目はこれで構いませんが、これをもっと良いものにしていきましょう。
1.業務内容
従来、その日の終わりに「今日はこんなことをしました」という形で報告する部分です。
実はここには意外な改善ポイントがあります。
まず、業務内容報告をどう活かすのかがあまり考えられていないという点です。
業務内容の報告を受けたときに「そういう仕事をしたんだなぁ」以外の感想を出すことが出来ますか?
業務内容の報告が、「ちゃんと働いているかどうかの監視」になるのなら意味がありません。
業務内容は「予定と実績」を記入するようにする
業務内容の報告は、1日あたり生産性を測るためのものにしましょう。
予定スケジュールと実績スケジュールどちらも報告できれば理想です。
予定スケジュールは、「今日はこの業務を行います」という報告です。
毎朝始業直後か、前日の日報を書くタイミングで「明日の予定」として記録しておきましょう。
予定スケジュールを用意したうえで、実績スケジュールを記録するようにすれば
「予定通りに仕事をこなすことができたか」
「こなせなかった場合、“1日で出来る仕事量”よりも多い仕事を用意してしまっていないか」
「こなせた場合、“1日で出来る仕事量”よりも少なく用意して時間を余らせていないか」
「“1日で出来る仕事量”を増やせているかも」
といった分析を行うことができます。ひいては1日あたりの生産性を高めるための議論が可能です。
2.所感
所感は、業務の中で気づいたことや疑問点、課題などを書き出すものです。
「感想文にならないように」と注意はするものの結局「うれしかったです」「素晴らしいと思いました」
「私も参考にしたいと思います」という書き方を容認しているケースは多いようです。
所感において重要なのは、次のアクションが明確になることです。
感じたことを具体的なアクションに置き換えるのが苦手な方にも使いやすいKPTの考え方を取り入れましょう。
所感には「KPT」の考え方を取り入れる
KPTとは、仕事やプロジェクトの改善を加速させる「ふりかえり」のフレームワークです。
KPTはそれぞれ、Keep(続けていくこと)、Problem(抱えている問題・課題)、Try(次に挑戦したいこと)
の頭文字からとられています。
Keep(継続)は今日の仕事の中で上手くいったことや、まだ今日は結果が出ていないものの
引き続き実行していく必要があるものを列挙します。
次にProblem(問題)では、今日の仕事の中でうまく対応できなかったことなど自分の課題について書き出します。
この時重要なのは、課題を「日報に書きっぱなし」にさせないことです。
あらかじめ課題については上司や先輩に相談をさせたうえで、「課題」と「上司・先輩の回答」を
記入させればこのあとのTry(挑戦すること)に活用できます。
最後に、Try(挑戦)です。
今日のKeepやProblemを念頭に、「明日から新たに挑戦すること」を書きます。
新たな業務など大きなものでなくても構いません。お客様へのお声がけを一言だけ変えてみるなど
小さなことでも構わないので、とにかく具体的に上げさせることが重要です。
小さなことでも具体的であれば、毎日の積み重ねができます。
1年後には大きなスキルアップにつながっている可能性大!です。
作業日報アプリの記事はこちら
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まとめ
日報を活用するポイントは、小さな経験を積み重ねさせることです。
そのためにはKPTやスケジュールの予定・実績などをもとに、具体的なアクションをどう起こさせるか、
またそのアクションを社員一人一人がどう気付けるようになるかが重要です。
ぜひ、業務日報を「ただの習慣」から「社員教育ツール」に磨き上げてください。