リフォーム工事は、受注してから思わぬトラブルによる補修工事や
想定していなかった追加工事によって「当初の想定よりも粗利が低下してしまう」ということが
良く起こってしまうものでもあります。
今回は、この「粗利低下」を防ぐために
どんなタイミングで粗利低下が起こるのか?どういった対処をすればいいのか?を紹介します。
目次
粗利低下に気づくタイミング
まず粗利とは、売上高総利益を指します。
これを割合で示したものを、売上総利益率(粗利率)といいます。
売上総利益率とは、売上高に対して、どれだけの総(粗)利益を上げたか(工事採算性の良否)を表している。期間損益の源泉を表す比率。
売上総利益/売上高×100(%)
引用:東日本建設業保証株式会社
この粗利の低下は、主に以下のようなタイミングをきっかけにして発生します。
- 見積書の作成、提出のタイミング
- 受注後、業者への発注のタイミング
- 工事中
- 業者からの請求書が届いたタイミング
では、それぞれのタイミングでなぜ粗利低下が起きてしまうのか?
原因と対策について考えていきましょう。
見積作成・受注段階の粗利
見積作成段階で粗利が落ちるきっかけとして考えられる理由はいくつかあるのですが
御社の場合、以下のようなことは起きていないでしょうか?
- 営業マンが根拠のない値引きをしている
- 原価を意識して見積を作成できていない
- 工事ごとに、「最低でも確保しておかなければならない粗利率」が分からない
これらを解決するためには、見積作成の段階で「希望粗利」を設定する必要があります。
希望粗利は「この現場で確保したい粗利率」のことを指しますが、
例えばこの希望粗利率が30%だった時、見積提出時に希望粗利率を守れているかどうかは
粗利を把握しながら見積作成をしないと分かりません。
上図のように、各項目作成時に見積価格と原価を一緒に作成していきます。
これを行うには工事内容や扱う商品にかかる原価を把握しておく必要があるので標準単価表が必要になるかもしれません。
ここまで入力できていれば、見積価格から原価を差し引いた粗利と粗利率が把握できます。
標準単価表に関する詳しい記事はこちら
業者発注の金額を正しく把握する
見積を終え、見事受注にたどり着けば次は発注作業を行うことになります。
ここでは、受注時に設定した原価通りに発注が行えているか?誤差はどれくらいあるのか?という点が重要です。
それらを把握するためには、多少手間でも発注書や発注請書を書面で記録する必要があります。
発注先の職人さんによってはいまだに電話発注などの仕組みが残っていることもありますが、
その状態だと以下のような問題を抱える可能性があります。
- 発注すべきものが正しく発注されたかどうか後から確認できない
- 受注原価に対して、発注金額が合っているか/誤差が無いかを担当者以外把握できない
- 発注漏れがあった場合に担当者以外に気付ける人がいない
1番の理想は、見積作成と発注管理がリンクしたシステムを用意することです。
見積書で作った原価をもとに発注書を作っていれば漏れが生まれにくく、
厳格に誤差があった際に修正をすれば、修正後にどれくらい粗利が残っているかを把握できます。
発注時の粗利低下防止に関する記事はこちら
工事中の追加工事によって変動する粗利を把握する
リフォームは新築などに比べて、「現場で何が起こるか想定しにくい」工事種類の1つです。
はがした畳が予想よりも傷んでいてすべて交換の為追加発注しなければならなくなったり、
職人の不注意で工事個所とは関係ない部分に破損をさせてしまい、補修しなければならなくなる等
どんな現場にでも起こり得るトラブルです。
こういったトラブルはどうしてもゼロには出来ないものですが、
万が一トラブルが発生した際に「粗利はどれくらい残っているか」が把握できていれば
別の現場の予算を使うなど様々な対処を行うことが出来ます。
着工後の追加工事や補修工事を、その場で対応してしまわずに「いくら原価が増えるのか」を逐一入力できる原価管理の仕組みがあれば最高です。
また、こういった想定外のトラブルに備えるために予備原価を
見積作成段階で用意しておくのも有効です。
予備原価には2種類の運用方法がありますが、例えば見積作成の段階で「諸経費」等で
想定外の対応などのための原価を予めいただいておけば、何かトラブルが発生しても
予備原価の予算を使って対処することが可能になります。
原価管理のポイント・追加工事時の粗利低下防止に関する記事はこちら
業者から戻ってくる請求書の金額を正しく把握する
発注段階で正しく原価を確認できていれば、あとは業者からの正式な請求を待つのみです。
ここで注意しなければならないのは、請求書がどの現場のものかを把握できるかどうかです。
施工業者が請求書を作成する場合、そのリフォーム会社で請けた複数の工事を
まとめて1枚の請求書で提出してくるケースがありますが
この時の金額が発注時と相違ないかどうか、変更があったとしても「承認した追加工事」のことか
どうかを正しく把握できないと万が一金額に差異があっても気づくことが難しくなります。
原価管理システムの中には、発注と請求の情報をまとめて管理できるものがあります。
そういったシステムを通じて管理すれば問題を回避することができやすいでしょう。
業者請求時の粗利低下防止に関する記事はこちら
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まとめ
今回は、見積・発注・工事中・請求の4段階で粗利が下がりやすいポイントについて紹介しました。
おそらく、これらを正しく管理しようと思うと管理システムの導入は必要不可欠です。
ぜひ一度、以下から見積システムをご確認いただき
まずは見積の段階をどう改善していくのかを検討していっていただければ幸いです。