リフォーム会社では、「言った言わない」の論争がいまだに後を絶ちません。
工事が終わって請求する段階になって、お客様から「〇〇もしてもらえると思っていた」とか逆に「〇〇は依頼していないから支払うつもりはない」とか…
悪質な事態になることは減っていますが、それでも口頭でのやり取りによるトラブルは後を絶ちません。
トラブルを防ぎ、さらにお客様の安心感を高めるために「工事請負契約書」の取り交わしを必須化しましょう。
工事請負契約書とは
工事請負契約書とは、リフォームする内容について施主(お客様)と工事請負者(リフォーム会社)の双方が工事内容や金額、期間などの詳細について合意したことを示す契約書類です。
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が標準書式を用意しているので、現時点で作っていないならこれを使いましょう。
目次
工事請負契約書で意識すべき情報やポイント
- 工事名称
- 工事内訳
- 工期
- 注文者と請負者
- 請負金額
- 工事内訳
- 請負条件・添付書類
- 支払い方法
「いつ」「誰が」「何を」「どのように」といった基本項目は抑えながら、後から”食い違い”が起きないようにする仕組みが工事請負契約書には含まれています。
工事名称・工事場所・工事期間・請負金額
工事の基本情報ともいえる、工事名称、場所、期間、金額です。
「何を、どこで、いつまで、いくらで」という根本的な情報なので工事請負契約書を交わしていなくても何かしら書面などで残しているケースはありますが、これを補うために様々な情報が記載されています。
支払い方法
上述した請負金額を、「いつ、どのように支払うか」を明記するのがこの項目です。
リフォーム工事の規模によっては、契約締結時、着工時、引き渡し時と区切って支払ってもらったり、逆に小規模なら一括で支払ってもらうなど詳細を決めることが可能です。
添付書類
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が用意してくれている工事請負契約書だけだと、詳細な工事内容が事細かに記すことができません。
具体的な工事内容を見積書や仕様書、設計書を添付して契約書類の一部とすることで、あとから食い違いがないようにします。
注文者と請負者
リフォーム工事を依頼するお客様と請け負うリフォーム会社とのサインを書く部分です。
お客様の状況によっては「工事する人と入金する人が異なる」というケースがあり、親の家をリフォームするために息子さんが支払うということもありますよね。
親御様は工事内容に納得しているのに、入金する息子さんとトラブルになって・・・しかも注文者は親の名前、なんてことにならないように「誰が注文者なのか」は明確にしておきましょう。
その他
その他、契約書を成立させるための印紙やクーリングオフの文章が記載されます。
契約書に修正されないように割り印を押して完成です。
工事請負契約書の手書きはコストの無駄
お客様との食い違いが発生しないために、工事請負契約書は必須書類です。
ですが、これを毎回手書きで作成するとなると大量の案件をさばくリフォーム会社にとって時間のロスは大きいものになります。
たいていの場合、業務時間が短くなるというよりは「残業して完成させる」ことになるでしょうから、会社としては必要な対応だとしても担当者たちは疲弊する一方です。
また、現時点で工事請負契約書を用意しない工事を続けているリフォーム会社の多くはその他の管理も「紙」「Excel」など非常にアナログな対応を取っているケースが多いものです。
工事請負契約書に必要な情報のほとんどが、業務が進むなかで必ず記録されているはずなのに契約書を作るタイミングで改めて手書きするのは手間以外の何物でもありません。
契約書などの書類が出力できる業務管理システムを導入しよう
顧客管理、見積、原価管理などさまざまな業務をまとめて管理するシステムの「一元管理システム」と呼びます。
一元管理システムはさまざまな部署や職種の担当者が利用することもあり、「情報がひとつの場所にまとめられる」のが大きなメリットです。
特筆すべきはこの一元管理システム、ほとんどの場合業務書類が出力できるようになっています。
お客様の契約日や工事内容、金額など様々な情報はシステムに入力できるようになっているので、それらの情報をもとに帳票が出力可能です。
一元管理システムが使えれば、工事請負契約書の作成は最低限の手間で完結します。
これを機に、会社全体の仕組み再構築を検討するのも手段のひとつです。
まとめ
今回は、工事請負契約書をまとめました。
工事請負契約書はもはや「出すのが当たり前」で、口頭でのやり取りで済ませているなら急いで用意するのが無難です。
また、逆に言うと当たり前になりすぎて各項目のチェックがあいまいになってしまわないような注意も必要です。