リフォーム工事は様々な場面で粗利が下がってしまう、きわめて複雑な業務です。
見積作成時、発注時、工事中と様々な場面で粗利管理のスキルが求められます。
今回はそんな中でもリフォームの最終段階、完工後の「業者請求」のときに
粗利を下げないための3つのポイントを紹介します。
目次
業者請求額が明らかになるタイミングで起きる「粗利低下」のきっかけ
「業者請求」とは、完工したあとに下請け業者から「工事請求書」が送られてくるタイミングのことです。
多くのリフォーム工事の場合、ここで初めて「実際の工事原価」が明らかになります。
そんな時に粗利低下が起きるというのは、つまり想定していた原価よりも高い請求だったということです。
- 発注した時より高い金額の請求が届いた
- 半日の作業だったはずなのに1日分の請求が届いた
- 発注していないはずの内容まで含まれた請求が届いた
上記のきっかけなどで、想定していた原価よりも高い請求が届いてしまうことは十分にありえます。
そして、最も問題なのはそのことにリフォーム会社側が気付けないかもしれないというリスクもありますよね。
「どうすれば想定以上の請求が来ないのか」「どうすれば想定以上の請求を支払う前に気付けるか」この2点が重要です。
この2点に注意しながら、粗利低下を防ぐポイントを考えてみましょう。
▼建設業の財務統計指標はこちらから確認できます。
東日本建設業保証株式会社:建設業の財務統計指標【令和2年度決算分析】
どうすれば想定以上の請求が来ないのか?
想定していた原価よりも高い請求が来たうえで、その情報が正しいということなら様々な理由が考えられます。
- 「工事の見積りが甘かった」
- 「想定外の追加工事があった」
- 「職人が勝手に補修をしてそれを請求してきた」
これらは、請求書が届くよりもっと以前の段階で対策を打つ必要があります。
業者協力のもと原価計算書を作成したり、指値発注の仕組みを構築したり、
「承認した追加工事以外は支払わない」という取り決めを交わしたり・・・。
これらは以下の記事に詳しく書いていますので、まずはこちらからご確認ください。
どうすれば想定以上の請求を支払う前に気付けるか
では、どのようにすれば想定以上の請求を支払い前に気づくことができるのでしょうか。
3つのポイントからご紹介します。
請求明細書の作成を下請け業者に依頼する
「半日作業だったのに1日分の請求が届いた」などのトラブルは、
合計金額しか書かれていない請求書では気付けません。
担当者もわざわざ当初の見積書や発注書を引っ張り出してまで、
すべての請求書が正しいかチェックすることも少ないでしょう。
このままだと気付かないまま支払ってしまうかもしれません。
まずは下請け業者に「請求明細書」の作成依頼ができるか検討してみましょう。
請求明細書を請求書に添付してもらうことで、
それぞれの請求書がどの現場のなんの工事費用に係るものなのかが明らかになるので
発注金額との誤差が確認しやすくなります。
もし請求書をデータ管理できれば業者ごとの年間発注数や金額まで分かるようになるので
社内の取引状況が明確になったり、前年実績や他社情報を活用した値交渉ができるかもしれません。
発注するリフォーム会社側で請求書を代理作成する
請求書明細書の作成を下請け業者に依頼できない場合や、
できても様々な業者が様々な書式で請求書を送ってくるために、結局確認の手間はさほど減らないことがあります。
それに、発注書は現場単位なのに請求書は当月分まとめて・・・だと相当な労力です。
そうなれば、発注側で請求書を代理作成することを検討しましょう。
発注するリフォーム会社側で請求書を作ることができれば確認の手間はかなり削減できます。
しかも、発注段階で請求書が完成していることになるので
追加工事等で新たな請求が発生する場合にはリフォーム会社側で再作成する必要があります。
一見手間のようですが、これは「承認の無い追加工事は支払わない」ことへの意思表示にもなります。
確認の効率が一気に上がる施策ですが、
気になるのは「発注段階で請求金額が明らかになっていなければならない」という点です。
これを実施するためには、承認した追加工事以外は支払わない仕組みや指値発注の仕組みをあらかじめ用意することがある点には注意が必要です。
追加工事・指値発注で粗利低下を防ぐならこちら
請求書を確認フローを明らかにする
ここまで紹介した方法を採用できたとしても、最後にチェックをするのは人の目です。
チェック体制についても改善を試みる必要があります。
請求書のチェックは、経理担当者を中心に回すことを試みてみましょう。
本来なら、請求書の内容について一番把握しているのは営業・現場担当者です。
ですが、営業や現場担当者が主業務と併用して請求書をチェックするには時間がかかります。
外出の合間にやっと時間を取って確認をしても、間違いが見つかって再度職人に連絡する・・・などは
あまりにも非効率です。
経理担当者が最初にすべての請求書を確認して、金額に相違があるものだけを営業や現場担当者に差し戻すフローにしてみましょう。
ただし、現場の状況を把握しにくい経理担当者は金額を見るだけで
正しいかどうかを判断するのが困難かもしれません。
発注金額と請求金額をつきあわせて確認できる管理システムの導入は必要不可欠です。
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まとめ
今回は請求段階での粗利低下を防ぐポイントを紹介しました。
冒頭でも紹介したように、リフォーム工事には様々な場面で粗利低下の危険性があり
請求段階だけを改善しても大きな効果は得られません。
見積作成、契約、実行予算作成、発注、工事中、請求すべての段階で
一元して粗利管理を徹底することこそが、利益最大化の大きなポイントです。