企業にとって重要なことは、「安定して利益を得る事」「再現性」です。
そのために様々なスキームを検討するわけですが、とりわけ難しいのが「営業活動」です。
営業活動のノウハウは一人一人異なり、話し方や性格によって方法にも適・不適があります。
そんな営業活動を「標準化」できれば誰もが一定の品質で成果を出すことができるので
各社アプローチブック(詳しくはこちら)等に励んでいます。
今回は、営業マンの商談フローの一例を紹介します。
初回訪問時の営業フローを標準化する
販売している商品・サービスの規模や対象のお客様(BtoB、BtoCなど)によって多少異なりますが
多くの場合初回訪問時の営業フローは標準化できます。
手順としては以下の通りです。
- アイスブレイク
- 訪問の理由、きっかけの確認
- 自社紹介
- 課題の確認
- BANTCの確認
アイスブレイク
アイスブレイクとは、初対面の緊張をときほぐすためのコミュニケーション手法です。
商談の雰囲気を和ませて、話のやり取りがしやすい空気間を作って商談を円滑に進められます。
とはいえ、難しい技術ではありません。
色々なアプローチ方法はあるものの、まずは「褒める」ことを試してみましょう。
お伺いした事務所の雰囲気や町の様子、商談室に入るまでに見えた従業員やその仕事の様子など
少しでも素敵な様子を感じたものを話題としてまず挙げてみましょう。
訪問の理由を確認する
いきなり商品やサービスの説明をする前に、
まずは「今日は〇〇をご紹介する為にお伺いしましたが、相違ありませんか?」等と
訪問の理由を共有しあいましょう。
もしお客様側からお問合せがあってのご訪問なら
「今日は□□というきっかけで〇〇をご紹介する為にお伺いしましたが相違ありませんか?」
「今回お声がけいただいたきっかけを改めてお伺いできますか?」
等の形で再確認するのもいいでしょう。
これをすることで、お客様がどういうことを聞きたいのか「方向性」が明らかになります。
自社紹介
商談の方向性が明らかになったところで、まずは「自社紹介」です。
- 自社のルーツやビジョン
- 他社と比べての強み
- サービス導入の効果事例
こういった情報を最初に紹介しておくことで、
お客様がもともと欲しいと思っていた商品やサービス以外のものを連想するかもしれません。
「もともとこっちが欲しかったけど、アレもいけそうだな・・・」と思わせられれば最高です。
可能なら、自社紹介は資料としてまとめてアプローチブックの1ページ目にしましょう。
そうすることで営業マン全体が情報を共有でき、ブラッシュアップが可能になります。
<参考記事>
営業マンが成約率を高めるための「アプローチブック」を作ろう
課題の確認
次は課題の確認です。冒頭でお客様と商談に至ったきっかけを確認しましたが、
そのきっかけを「つまりどういう課題を解決したいのか」という視点で整理していきます。
例えば水回り(トイレ・お風呂・洗面など)のリフォームを検討しているお客様なら、
「もっと大きな湯舟でゆったり過ごしてみたい」というお客様と
「高齢の祖父母が浴室の寒さで苦しんでいる。段差に躓いて怪我をしかけたこともあったので広くしたい」というお客様では
提案の方向性も変わり、お客様の「契約意欲」も違います。
後者には明確に「解決したい課題」があるので契約時期や内容が具体的になりやすいうえに
提案した内容によって判断する方向にいきやすいものですが、
前者はきっかけ自体があいまいなこともあり、「別に今すぐやらなくてもいい」かもしれません。
具体的な商談に発展しても他社との価格勝負になりやすいものです。
お客様のきっかけを「解決すべき課題」なのか「要望」なのかを整理し
出来る限り「解決すべき課題」を見つけていくことが商談をスムーズに進めるうえで必要不可欠です。
BANTCを確認する
課題まで確認して、手持ちの商品やサービスでそれが解決できることが分かったら
商品やサービスのプレゼンをはじめましょう。
プレゼンの際に重要なのは、仮クロージングを通じてBANTCを確認することです。
仮クロージングとは、「もし購入するとしたらどのあたりに置きますか?」など
仮の質問を通じて契約後のイメージを具体的にしていく手法です。
「もし契約するとしたらいつ頃をイメージされていますか?」
「もし契約するするなら使うのは何人くらい?担当者は?」
「もし契約するなら何個必要?」
など、これらの質問を通じて具体的な返答が来るならお客様が乗り気なのが分かります。
一方、言葉を濁されたりあまりイメージできないような事が続くようなら
あまりお客様にとって乗り気になれない理由があるのかもしれません。
この仮クロージングの手法を使って確認する「BANTC」は、
以下の5つの言葉からとられた略語で、お客様が契約するにあたって必要な情報です。
- B=Budget(予算)
- A=Authority(決裁権)
- N=Needs(必要性)
- T=Timeframe(導入・購入時期)
- C=Competitor(競合)
<参考記事>
営業マンの成約率を高める「仮クロージング」とは
法人営業が身につけておきたいBANTCを使ったヒアリング方法とは?
まとめ
今回は、営業マンが初回訪問時に行う5つのポイントを紹介しました。
その中でも最も重要なのは「課題の確認」です。
企業の販売スタイル=お客様が御社から買う理由には、実は大きく分けて2種類あります。
- 他社に比べて御社のほうが「安いから」買う
- 他社に比べて御社のほうが「課題を解決してくれるから」買う
厳密にいえば他にも「他社よりも早く納品してくれるから」等もありますが
課題が解決できないのに買う理由というのは、予算以外にはなかなか理由になり得ません。
「自分たちなら課題が解決できるからお客様と契約する」というスタンスであることが
自社の強みを十分に活かせ、長期的な経営・営業活動ができる唯一無二のポイントです。