スキャナ保存制度とは?電子帳簿保存法での要件や改正の内容を解説!

スキャナ保存制度とは?電子帳簿保存法での要件や改正の内容を解説!

電子帳簿保存法が2022年に改正されたことに伴い、書類の電子データによる保存の手順が簡略化しました。
この記事ではそのなかでも、スキャナ保存に注目してご説明していきます。
スキャナ保存制度の概要や、詳しい適用要件、法改正による変更点などを解説していきますので、ぜひ、スキャナ保存を始める際の参考にしてみてください。

スキャナ保存制度とは

スキャナ保存制度とは、取引先から紙で受け取った見積書や請求書などの国税関係書類(およびその写し)を、スキャナーで読み取り、保存することを認めた制度です。

電子帳簿保存法が改正される前では、タイムスタンプの付与期間が短かったり適正事務処理が必要だったりと、スキャナ保存するための条件が多くありました。

2022年1月の法改正により、これに含まれるスキャナ保存制度の要件も大きく緩和されました。

対象となる書類

スキャナ保存制度 対象書類

スキャナ保存制度の対象となる書類は、国税関係書類の1部である、取引関係書類です。
具体的には、請求書や見積書、納品書、領収書、注文書などが含まれています。
これらの書類の写しも、スキャナ保存の対象です。

さらに、取引関係書類は、その重要度に応じて重要書類と一般書類の2種類に分けらています。
書類の種類に応じて、スキャナ保存の適用要件も異なるため、保存の前にきちんと種類を確認しておくようにしましょう。

CHECK!

スキャナ保存対象外の書類

仕訳帳や経費帳といった帳簿や、賃借対象表などの決算関係書類は、スキャナ保存制度の対象ではありません

そのため、これらの書類はスキャナ保存できないので、電子データ保存か紙媒体で保存する必要があります。

スキャナ保存の適用要件

国税関係書類をスキャナ保存するためには、真実性や可視性確保の観点から、適用要件を満たしている必要があります。
ここでは、スキャナ保存の適用要件を詳しく解説していきます。

スキャナ画像に関する要件

書類の読み取りや、読み取った画像データに関する要件です。
重要書類か一般書類かによって、要件が異なる場合があるため、注意しましょう。

要件重要書類一般書類
200dpi相当以上の画像の解像度による読み取り
カラー画像の読み取り赤・緑・青の各階調が256階調以上グレースケール(白黒)でも可
大きさの情報の保存受領者が読み取る場合、書類の大きさがA4以下であれば不要不要

システムに関連する要件

入力期間やデータを保存する際についての要件です。
こちらも、重要書類と一般書類で異なる場合が多いので、確認しておきましょう。

要件重要書類一般書類
入力期間の制限適時入力
タイムスタンプの付与入力期間内に付与入力期間内に付与
電子データと帳簿の記録事項の相互関連性の確保
記録事項の入力者とその者の直接監督者の情報の確認
ヴァージョン管理による、電子データの訂正・削除を行った場合の内容確認
見読可能措置(14インチ以上のカラーディスプレイとカラープリンター、操作説明書)の備え付け等グレースケールでも可
検索機能の確保
参照元:国税庁「はじめませんか、書類のスキャナ保存!」

  • 施工管理システム

電子帳簿保存法改正による変更点

2022年度の電子帳簿保存法の改正にともない、スキャナ保存制度も大幅に改正されました。
主な変更点は、以下の3点です。

  • タイムスタンプ付与期限の延長
  • 適正事務処理要件の廃止
  • 検索要件の緩和

実は今回の改正によって、書類のスキャナ保存はかなり簡単になりました。

具体的にどのように変更されたのか、みていきましょう。

タイムスタンプ付与期限の延長

書類をスキャナ保存する際のタイムスタンプの付与期間が、最長2か月と7営業日に延長されました

タイムスタンプとは、ある時刻にその電子データが存在していたことの証明と、それ以降データが改ざんされていないことの証明のために付与されるものです。

改正前のタイムスタンプの付与期間は、3営業日以内とされていました。
そのため、以前は短い期間で処理する必要がありましたが、改正によりタイムスタンプの付与期間が大幅に長くなったため、余裕をもって作業をすることができます。

また、改正前は必要だった従業員の自署も、今回の改正により不要とされました。

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適正事務処理要件の廃止

適正事務処理要件も、今回の改正により廃止されました。

これまでは、電子データへの不正防止のために相互けん制、原本と電子データの定期的なチェック、再発防止体制の確立という適正事務処理要件を満たす必要がありました。

しかしこれらの要件を満たすには、社内の規定を整備したり、原本を所持していおく必要があったため、企業がスキャナ保存に踏み切れない大きな要因となっていました。

今回の改正により、それらの適正事務処理要件がすべて廃止されたため、書類のスキャナ保存へのハードルがグッと下げられました。

検索要件の緩和

検索要件が緩和され、記録項目が少なくなったことも、大きな変更点です。

改正前の法のもとでは、取引年月日、勘定科目、取引金額に加え、各書類に応じた主要な記録項目が必要とされていました。

しかし、今回の改正での検索要件の緩和により、

  • 取引年月日
  • 取引金額
  • 取引先

この3つの項目が設定されていれば、検索要件を満たすことができるようになりました。

スキャナ保存のメリット

法改正により、スキャナ保存がより簡単に行えるようになったことを確認してきました。

では、実際にスキャナ保存することによって、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、そのメリットをご紹介していきます。

生産性の向上

ひとつ目に挙げられるのは、生産性が向上するという点です。

電子データで保存することにより、ファイリングなどの手間を省くことができ、検索機能によって必要なデータを見つけ出すことも簡単になります。
会社内での共有も、わざわざコピーする必要もなくなるので、スムーズに行えます。

このように細かな作業が簡略化されることにより、他の業務に時間を割くことができるため、生産性の向上につながります。

コスト削減

スキャナ保存を導入することで、コストの削減も見込めます。

例えば、保管コストの削減です。
国税関係書類は、法令で7年間の保存が義務付けられているため、紙で保管すると膨大な量になってしまい、スペース確保のための費用がかかってしまいます。

そこで書類をスキャナ保存することにより、情報はすべて電子データ化されるため、保管スペースも必要なくなりコストを削減できます。

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テレワークの推進

スキャナ保存によって、テレワークへの移行もしやすくなります

働き方改革やコロナ禍の影響を受け、テレワークは近年広く普及しています。
しかし経理業務に関しては、書類に押印が必要な場合など、実際にオフィスに出向かなければできない業務もあり、テレワークへの移行が難しいとされていました。

こうした問題も、スキャナ保存による書類の電子化により紙書類をなくすことで、経理部門のスタッフもテレワークがしやすくなり、働きやすい環境づくりができます。

  • 施工管理システム

スキャナ保存の際の注意点

書類をスキャナ保存することにより、今までの業務をスムーズに行うことが可能になります。
ただし、スキャナーを使っての保存には、いくつか注意する点があるので、ここで確認していきましょう。

ここでは、スマホでの読み取り、セキュリティ対策、画像の削除・修正履歴の保存の3点を取り上げていきます。

スマホでの読み取りはできる?

スキャナ保存と聞くと、スキャナーによる読み取りを想定される方も多いと思います。
実は、要件を満たしていれば、スマートフォンやデジタルカメラでの書類の読み取りも可能なんです。

スマホ、デジカメによる読み取りの要件

  • 解像度が25.4ミリメートルあたり200ドット以上であること
  • 24ビットカラー(256階調)以上で撮影されていること
  • タイムスタンプが付与されていること

スキャンする機器の性能が要件を満たすものであるか、きちんと確認してから使用するようにしましょう。

セキュリティ対策は必須!

書類を電子化するうえで、必要不可欠なのがセキュリティ対策です

情報をパソコンやシステム上で管理する場合は、情報漏えいやデータ改ざんなどのリスクの対策をする必要があります。
例えば、セキュリティソフトを導入したり、社内規定の整備をきちんとしておく、といったことが必要とされます。

不正があった場合は、加重措置の対象となるので、セキュリティの対策は万全にしておきましょう。

不備のある画像は削除

不備のあるスキャンした画像は削除し、削除の履歴もシステム上に完全に保存しておく必要があります。

スキャナ画像に求められる解像度は、200dpi相当以上です。
それ以下の解像度であったり、ピントが合っていない、画像の一部が切れてしまっている、という画像はすべて不備とみなされます。

画像の不備をそのままにしておくと、罰則の対象にもなってしまいますので、きちんと削除・修正し、その記録も保存しておくようにしましょう。

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まとめ

2022年の電子帳簿保存法の改正により、スキャナ保存制度も緩和され、書類のスキャナ保存へのハードルがかなり下がりました。

スキャナ保存制度の対象となる書類は、国税関係書類のなかの取引関係書類に限定されるため、それ以外の書類は保存方法が異なっています。
また、スキャナ保存の要件を満たしている必要もあるため、きちんと要件を把握しておくようにしましょう。

スキャナ保存による書類の電子化によって、業務の効率化やコストの削減も望めます。
働きやすい環境づくりのためにも、スキャナ保存制度を積極的に利用していきましょう。

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