近年、テレビやネットなどメディアに盛んに登場するのがSDGsです。
持続可能な地球環境にしていくために社会や企業、各個人が取り組みを行っていこうという動きが高まっています。
では、建築業界がSDGsのために取り組めることとはどんなことでしょうか。
この記事では、取り組みやすい事例をはじめ、SDGsに取り組むことのメリットや実際の事例を解説していきます。
SDGsとは
SDGsは、Sustainable Development Goalsの頭文字を取った略語で、持続可能な開発目標を意味します。
と言われても、非常にわかりにくいですが、私たちが暮らす地球環境がいつまでも持続していくようにしていく取り組みをしようという活動です。
自然環境の保護をはじめ、安心して暮らせる環境を整え、貧困や差別をなくすなどの取り組みを世界的に行っていくことが求められています。
人間をはじめ、自然も動物もすべてが生きやすくなり、人々が幸せな暮らしを持続していけることを目標に掲げる世界的な活動です。
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建築業界が取り組むべき目標
人間がかけがえのない地球で、これからも末永く暮らしていけるよう、2030年までに世界的に取り組むべき目標として、17の目標が掲げられています。
その中から、建築業界が取り組むべき目標として5つの目標をご紹介します。
6. 安全な水とトイレを世界中に
日本では水道をひねれば当たり前のように水が流れて、生活に使うことやそのまま飲むことが可能です。
トイレも多くの地域で水洗トイレが使え、何より、洗浄機能付き温水便座など、先進国から見ても衛生的で優れた製品の開発、普及が進んでいます。
これに対して、世界には水道がない地域、水洗トイレがない地域がまだまだたくさんあります。
不衛生であることから、感染症などが流行して命を落とす人も少なくありません。
日本の建築業界が世界へと出て水道や水洗トイレを整備することや現地の方に技術を伝授し、資材を提供するなどの取り組みが可能です。
7. エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
日本では、スイッチを入れた場合やコンセントに接続すれば、当たり前のように電気が使えます。
ですが、世界では電気が通っていない地域も少なくありません。
一方、現在の電力は二酸化炭素の排出量が多く、地球温暖化防止の観点から問題があります。
いかにして再生可能エネルギーを増やしていくかが課題です。
建築業では世界の電気が通っていない地域に、メガソーラーの建設をはじめ、地域の環境や実情に合った再生可能エネルギー設備の開発などが可能です。
9. 産業と技術革新の基盤を作ろう
日本では子どもからシニアまでスマホを持ち、インターネットや電話に当然のようにつながることができます。
ですが、世界ではインターネットや携帯電話につながらない生活をしている人も多いです。
誰もが平等に情報を得て安心の暮らしができるよう、インフラ整備への貢献も求められます。
また貧困地域では、農業や漁業などの一次産業が主要な収入源である地域がほとんどです。
インフラや産業が整っていない地域へ、技術を伝え、職人を育てるなど、建築業界にできることはたくさんあります。
11. 住み続けられるまちづくりを
現在の地球では、地球温暖化を原因とした異常気象による災害の被害、貧困や格差、障害を持つ方やシニアが住みにくいなど、誰もが安心して暮らせる環境が整っていません。
これは世界のどこかで起きている現象ではなく、日本にも当てはまります。
建築業界では災害に強いまちづくり、再生可能エネルギーを活用したまちづくり、誰もが安心して暮らせるバリアフリーのまちづくりなどを通じて貢献することが可能です。
12. 作る責任 使う責任
大量の売れ残りが廃棄される食品ロスの問題や、プラスチックの廃棄や処理問題など、製造する側にも使用する消費者にも意識改革が求められています。
建築業では建物の建設というプロセスにおいて、木材の伐採の段階から建設、運用、廃棄という建物のライフサイクルの中で、いかに資源の無駄をなくし、リサイクルやリユースなどに貢献できるかが課題です。
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建築業がSDGsに取り組むメリット
建築業がSDGsに取り組むメリットは、単に持続可能な社会づくりに貢献することだけでなく、自社にとってもメリットが生まれます。
どのようなメリットがあるのか、確認しておきましょう。
企業のイメージアップ
SDGsは、メディアでも盛んに取り上げられ、CMなどでも毎日のように流れています。
SDGsについて詳しく知らない方さえ、なんとなく良いこと、大切なことという意識が働くようになりました。
SDGsに積極的に取り組むことは、企業の社会的責任を果たすことにつながります。
近年は環境に優しい企業や社会的な貢献をしている企業への投資や、その企業の商品やサービスを利用したいと考える方も増えています。
SDGsに取り組むことで企業イメージがアップし、集客アップや売上アップにつながるのもメリットです。
持続可能なコスト削減
これまで廃棄していたものをリサイクルやリユースしたり、廃棄物が出ないように必要最小限の仕入れや製造をしたり、事務用品の無駄をなくすことで、コスト削減につながります。
社会貢献をしているつもりが、自社のランニングコストの削減にもつながり、企業の収益アップにつながるのもメリットです。
若者の採用
SDGsの取り組み目標にはジェンダー平等や働き方改革など、安心で快適な職場づくりや、働きがいを持てる環境づくりも掲げられています。
SDGsに取り組む企業として、イメージアップが図られて、新卒の応募が増えるだけでなく、実際に職場改革を図ることで、若い世代が集まってきます。
少子化で人材の確保が難しくなる中、人の力が必須の建築業では、これからの担い手を採用することが欠かせません。
SDGsに取り組んで働きやすい環境を整え、若者の採用につなげることが可能です。
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SDGsへの建築業の取り組み事例
SDGsに取り組んでいる建築業の事例を、大手有名企業の取り組みから見ていきましょう。
大手の建築会社では環境問題から職場改革など、さまざまな取り組みを実施しています。
その中から代表的なものをご紹介します。
竹中工務店
竹中工務店では建物のライフサイクルにおいて、二酸化炭素の排出量を抑え、資源保護や地球温暖化防止への取り組みを推進しています。
資材の製造・建設時には、木材の使用量を増やすことや二酸化炭素の排出量が少ない資材を仕入れる、グリーン調達にシフトを進めてきました。
資材の中でも製造時の二酸化炭素の排出量が多いセメントについては、他社と共同開発に取り組んだ低炭素型のECMセメント・コンクリートの積極利用に取り組んでいます。
建物の建築、運用においては、自然採光や自然通風を活用する設計をはじめ、省エネと創エネによる、ZEB(ネット・ゼロエネルギー・ビル)の建設拡大を図っています。
建物の解体、廃棄においても、可能な限り廃棄物が減らせるよう、設計段階から建物のライフサイクルを考えているのも特徴です。
大成建設株式会社
大成建設株式会社では、水資源・水環境を大切にするため、水資源を効果的かつ効率的に利用することで、使用量削減に取り組んでいます。
安全が確保される社会を目指し、汚染された途上や地下水を浄化する技術を開発し、実際に工事を行っています。
循環型社会を目指し、水資源の有効活用をはじめ、リサイクル水の利用も欠かしません。
さらには、自然共生社会を目指し、水辺の生態系の保全とともに、生物が棲みやすい環境を回復するための再生技術の開発と工事を行っています。
大和ハウス工業株式会社
大和ハウス工業株式会社では、「儲かるからではなく、世の中の役に立つからやる」という創業者の想いを合言葉に、持続可能な世界を目指す取り組みを推進しています。
地域の子供たちとの共育活動や、地域の方など幅広いメンバーとの共創活動、新たな事業価値を生み出す社員教育のための拠点として、みらい価値共創センターを開設し、誰もが分け隔てなく学べる工夫を行っています。
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アイピアは建築業に特化した一元管理システムであり、顧客情報、見積情報、原価情報、発注情報など工事に関する情報を一括で管理できるため、情報集約の手間が削減されます。
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まとめ
SDGsは持続可能な社会を世界的に継続していくための取り組みです。
17ある目標の中でも、建築業界が取り組むべき目標として、安全な水とトイレを世界中に届けること、エネルギーをみんなに届けてクリーンな社会を作っていくこと、産業と技術革新の基盤づくり、住み続けられるまちづくり、作る責任と使う責任を自覚した取り組みがあります。
建築業がSDGsに取り組むメリットとして、企業のイメージアップにつながること、持続可能なコスト削減ができること、若者の採用につながることが挙げられます。
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