木材価格を高騰させ、住宅業界を惑わせている「ウッドショック」について、ご存知ですか?
NEWSで多数取り上げられており、耳にしている人も多いと思います。
建設業をされていたら、「なぜ木材がこんなに高くなっているんだ」と感じた方も多いのではないでしょうか。
ウッドショックの背景には、新型コロナウイルスによる巣ごもりが関係しているのです。
本記事では、「ウッドショック」の知られざる背景と今後の動向について詳しく解説します。
目次
ウッドショックとは?
ウッドショックとは、輸入木材が供給不足に陥ったことで、国内産を含む建築用の木材価格が高騰していることを指します。
1970年代に発生した、「オイルショック」になぞらえてウッドショックと呼ばれています。
日本では、2021年3月頃から木材の価格が急騰し、6割弱を輸入に頼っているため、住宅業界に深刻な影響が出ています。
なぜウッドショックは起きたのか
では、いったいなぜ「ウッドショック」が起きてしまったのでしょうか。
それは、日本の住宅業界における木材の仕入れ事情が関係しているからです。
まずは、日本の木材がどこから仕入れられているのか説明します。
日本の住宅業界における木材のルート
日本の住宅業界で使用される木材の約7割は、カナダやロシア、スウェーデンから輸入しています。
日本が木材を輸入に頼るようになった原因は、戦時中における森林伐採、戦後の住宅需要の高騰です。そうして、国内の木材がひっ迫し、輸入が自由になったこともあり、輸入木材に頼るようになったのです。
しかし、2020年の木材の国内自給率は、41.8%と10年間上昇し続けています。1996年をピークに減少し続けていたが、4割程度国内で木材を自給できるようになっています。
ウッドショックが起きた要因
では、なぜウッドショックが起きてしまったのでしょうか。
いくつかに分けてウッドショックが起きた要因をご説明します。
新型コロナウイルスによる影響
2020年、世界的に流行した新型コロナウイルスの影響で、一時期、住宅業界の売上は落ち込みました。
しかし、アメリカでのロックダウン解除以降、リモートワーク等により自宅で過ごす時間が増え、アメリカ政府が低金利政策を打ち出したことが引き金となり、住宅建築需要やリフォーム需要が急激に増加しました。
よって、アメリカで建築用木材の重要が増えたことにより、供給が追い付かず、木材価格が急騰しているのです。
また、建築用木材の需要が増加しているにも関わらず、新型コロナウイルスの影響によって、製木所が休業し、供給が追い付かなくなっているのです。
木材の減少
近年、カナダで害虫被害が発生しており、そもそも木材が減少していました。
さらに、新型コロナウイルスの影響で労働者が減少し、製木工場の稼働率も下がったため、木材が世界的に供給できなくなっているのです。
コンテナ不足
木材を輸入するために使用されているコンテナですが、新型コロナウイルスの影響で、ネットショッピングにおける利用者数が増加し、コンテナ不足に陥っているのです。
また、2021年3月に起きた、スエズ運河での大型コンテナ船座礁事故によって、コンテナが大幅に不足しているのです。
このことによって、木材を運搬するためのコンテナが不足し、日本への輸入が遅れ、木材が不足し価格が高騰しているのです。
こういったことが要因となり、輸入木材が高騰し、国産の木材が使われるようになりましたが、限りがある為、国産の木材も価格が高騰しているのです。
ウッドショックによる住宅業界への影響
では、実際に工務店やハウスメーカーはどのような影響を受けているのでしょうか。
木材価格高騰による住宅価格の上昇
日本の住宅業界で使用される木材の6割弱を輸入に頼っている為、「ウッドショック」の影響により木材が不足し、住宅価格も高騰しています。
例えば、新築住宅価格だと、一棟当たり数十万円から百万円程度上昇しています。
その高騰した価格分をハウスメーカーの6割が、一部または全額負担しているのです。
工期の遅れ
ウッドショックの影響により、建設業は木材を十分に確保できていない状況です。
木材が不足している為、受注しても実際に建設を始める目途がつかなかったり、工期が大幅に遅れてしまう、というハウスメーカーが増えています。
ウッドショック前では、9割が見積もりから3か月以内に受注していましたが、ウッドショック後は4割減少しており、5割以上が新築工事における工期が遅れているのです。
ウッドショックの今後
工務店やハウスメーカーなどの住宅業界に、大きな影響を与えているウッドショックですが、今度緩和されていくのでしょうか。
いつまで続くか現時点では未定
ウッドショックがいつ緩和されるのか、いつまで続くのかに関しては、現段階では未定です。ウッドショックは、新型コロナウイルスの影響やコンテナ不足、カナダの害虫被害など、いくつもの要因が重なって発生したものです。
よって、すぐにウッドショックを解決することは難しく、長期化または常態化してしまうのではないか、という住宅業界からの懸念の声も上がっています。
工務店が行うべき2つの対応策
住宅を建設する上で、柱と柱を繋ぐために使用される梁材は、日本の木材では条件をクリアできるものが少ないため、ほとんどを輸入に頼っています。
ウッドショックによって、木材が不足し、価格が高騰している現在、工務店が出来る対策は何なのでしょうか。
工務店が行うべき対応策を2つご紹介します。
施主様への状況説明と合意書の作成
ウッドショックにより、木材が不足しており、工期が延長されることや着工が遅れる可能性があることを、施主様に事前に説明し、合意書を作成しましょう。
また、木材価格高騰により予算がオーバーしてしまう可能性や、樹種が変更になる可能性があります。
こういった可能性があることを、事前に施主様に説明し合意書を作成することで、工事着工後のトラブルを未然に防ぐことができます。
施主様の合意なしで工事を着工してしまうと、施主様から追加代金を支払われない、といったトラブルになり、工務店の負担が大きくなる可能性があります。
日本政策金融公庫に事業資金に関する相談をする
ウッドショックにより木材価格が高騰している為、資金繰りに苦戦している工務店が増加しています。
※68回答
ウッドショックにより約33%の工務店が、資金繰りが厳しくなっており、これからさらに増加していくでしょう。
資金繰りにお困りの際は、日本政策金融公庫に相談しましょう。
現在、日本政策金融公庫では、これまで金融機関等で借り入れを行ったことのない工務店でも相談することができます。
そのため、これまで日本政策金融公庫を利用したことのなかった工務店でも、事業資金の相談のため利用するケースは増えてきています。
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まとめ
木材価格を高騰させているウッドショックにより、住宅を購入する施主もハウスメーカーや工務店に大きな影響を与えています。
ウッドショックは、様々な要因により引き起こされたものであるため、回復する目途は未定です。
ウッドショックの中、工務店が生き残るために、今回ご紹介した対応策を取り入れてみてはいかがでしょうか。