認定低炭素住宅をご存じでしょうか?
環境問題の意識の高まりから認定低炭素住宅や認定長期優良住宅が注目を浴びています。補助金やローンの優遇など様々なメリットがあります。
認定低炭素住宅のメリット・デメリットや認定長期優良住宅の違いについてみていきましょう。
認定低炭素住宅とは
認定低炭素住宅の制度は、2012年に施行された「都市の低炭素化の促進に関する法律(エコまち法)」が背景にあります。この法律は、CO2排出量の多い都市部において、公共交通機関の利用促進や建築物の低炭素化などの施策を進め、低炭素なまちづくりを目指して制定されました。
認定低炭素住宅の認定取得手順と認定基準とは
認定低炭素住宅の認定を取得するためには、以下の手順と条件を満たす必要があります。具体的には、住宅の設計や建設においてエネルギー効率や環境配慮の基準を満たし、所管行政庁に申請して認定を受けるプロセスが含まれます。
認定取得の手順
- 設計段階での準備
認定基準を満たす住宅の設計を行います。設計図面や仕様書などを準備し、必要な性能を確認します。 - 申請書類の作成
– 認定申請に必要な書類を作成します。これには、以下の書類が含まれます。
– 低炭素建築物の認定申請書
– 建築計画の概要書
– エネルギー消費性能計算書(一次エネルギー消費量の計算結果など)
– その他、所管行政庁が求める書類(例えば、図面や仕様書のコピーなど) - 所管行政庁への申請
完成した申請書類を所管行政庁に提出します。申請先は、建物が所在する地域の市区町村役場です。 - 審査
所管行政庁による書類審査と現地確認が行われます。審査では、提出された設計図書や計算書類が認定基準を満たしているかどうかが確認されます。 - 認定の取得
審査に合格すると、認定低炭素住宅の認定証が発行されます。この認定証は、住宅ローンの優遇措置や税制優遇措置を受ける際に必要となります。
認定基準
認定低炭素住宅として認められるためには、以下の基準を満たす必要があります。
- エネルギー消費性能
一次エネルギー消費量が基準値を下回ることが求められます。具体的には、建物の断熱性能や空調設備の効率性などが評価されます。 - 再生可能エネルギーの利用
太陽光発電や太陽熱温水器など、再生可能エネルギー設備の導入が推奨されます。 - 環境配慮型建材の使用
低ホルムアルデヒド建材やリサイクル材の使用が求められます。 - その他の環境配慮
雨水の利用や高効率な給水設備の導入など、水資源の有効活用に関する取り組みも評価されます。
注意点
- 地方自治体ごとの基準
一次エネルギー消費量が基準値を下回ることが求められます。具体的には、建物の断熱性能や空調設備の効率性などが評価されます。 - 再生可能エネルギーの利用
認定基準は地方自治体によって若干異なる場合があります。事前に所管行政庁の基準や要件を確認することが重要です。 - 専門家の活用
認定申請には専門的な知識が必要なため、建築士やエネルギー計算の専門家の協力を得るとスムーズに進行します。 - 計画段階からの考慮
認定基準を満たすための設計や設備導入は計画段階から考慮することが必要です。後からの変更はコストや手間がかかるため、初期段階での検討が重要です。
これらの手順と基準を満たすことで、認定低炭素住宅の認定を受けることが可能となります。認定を取得することで、環境への貢献とともに経済的なメリットも享受できます。
認定低炭素住宅と認定長期優良住宅の違いとは
認定低炭素住宅と認定長期優良住宅は、どちらも日本における環境配慮型および品質保証型の住宅ですが、それぞれ異なる目的と基準を持っています。
以下に両者の違いについて詳しく説明します。
認定低炭素住宅
目的
– CO2排出量の削減を目的とし、環境への負荷を低減するための住宅。
主な基準
- エネルギー効率の向上:高い断熱性能や高効率の空調設備の導入。
- 再生可能エネルギーの利用:太陽光発電システムや太陽熱温水器の導入。
- 環境配慮型建材の使用:低ホルムアルデヒド建材やリサイクル材の使用。
- 水資源の有効活用:雨水の利用や高効率な給水設備の導入。
- エネルギー管理:HEMS(Home Energy Management System)などの導入。
認定のメリット
- 税制優遇(例えば、住宅ローン減税の優遇措置)。
- 補助金の適用。
認定長期優良住宅
目的
– 住宅の長寿命化と品質向上を目的とし、長く住み続けられる住宅を普及させること。
主な基準
- 耐久性:長期にわたり住宅の構造や設備が良好な状態を維持できるように設計されていること。
- 維持管理の容易性:点検や修繕が容易に行えるように設計されていること。
- 可変性:ライフスタイルの変化に対応できるよう、間取り変更が容易であること。
- バリアフリー性:高齢者や障害者に配慮したバリアフリー設計がなされていること。
- 省エネルギー性:エネルギー効率が高いこと。
- 居住環境の良さ:周辺環境との調和や、快適な住環境が提供されていること。
認定のメリット
- 税制優遇(例えば、固定資産税の減額)。
- 住宅ローン減税の優遇措置。
- 補助金の適用。
認定低炭素住宅は主にエネルギー効率、再生可能エネルギー利用、環境配慮に関する基準が中心に対して、認定長期優良住宅は耐久性、維持管理の容易性、可変性、バリアフリー性、省エネルギー性、居住環境の良さなど、多岐にわたる基準を含むことが分かります。
認定低炭素住宅と認定長期優良住宅は、それぞれ異なる側面から住宅の品質と環境性能を高めることを目的としており、住宅を新築またはリフォームする際には、自分のニーズや環境配慮の意識、長期的な住みやすさの観点から、どちらの認定を目指すかを検討すると良いでしょう。
認定低炭素住宅のメリット
認定低炭素住宅のメリットは、環境への貢献だけでなく、経済的な利点や居住者の快適性向上など、多岐にわたります。以下に、具体的なメリットを詳しく説明します。
環境への貢献
エネルギー効率が高い設備や再生可能エネルギーの利用により、住宅からのCO2排出量を大幅に削減します。これにより、地球温暖化対策に貢献します。
経済的メリット
断熱性能の向上や高効率の空調設備の導入により、エネルギー消費が抑えられるため、長期的に光熱費が削減されます。
認定低炭素住宅には、住宅ローン減税や固定資産税の減額など、各種税制優遇措置が適用される場合があります。これにより、建設コストや維持費が軽減されます。国や地方自治体からの補助金や助成金を受けられる場合があり、これにより初期投資の負担が軽減されます。
快適な居住環境
高断熱材の使用により、冬は暖かく、夏は涼しい快適な住環境を提供します。また、外気温の変動を抑えられるため、室内の温度を安定して保つことができます。
低ホルムアルデヒド建材の使用や換気システムの導入により、室内の空気質が向上し、健康的な生活環境を提供します。
災害時のレジリエンス
太陽光発電システムや蓄電池の導入により、災害時や停電時にも電力を確保できるため、エネルギーの自給自足が可能です。
長期的な価値向上
環境性能が高い住宅は市場価値が高く評価される傾向があります。将来的に売却や賃貸を考える際にも、有利な条件で取引できる可能性が高まります。
社会的評価の向上
認定低炭素住宅に住むことは、環境意識が高いことを示す一つの指標となり、個人や企業の社会的評価の向上につながります。
認定低炭素住宅は、環境保護に貢献しながら、経済的なメリットや快適な住環境を提供する住宅です。初期投資は必要ですが、長期的な光熱費の削減や税制優遇措置、補助金の活用により、総合的なコストパフォーマンスが高い点が魅力です。
さらに、災害時のレジリエンスや資産価値の向上といった付加価値も考慮すると、持続可能な生活を実現するための有力な選択肢と言えます。
認定低炭素住宅のデメリット
認定低炭素住宅には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。以下に、認定低炭素住宅の主なデメリットを挙げ、その詳細を説明します。
初期コストの増加
認定低炭素住宅の基準を満たすためには、高性能な断熱材、再生可能エネルギー設備、効率的な空調設備など、通常の住宅よりも高価な材料や設備が必要となります。これにより、初期の建設費用が増加します。
認定手続きの煩雑さ
認定を取得するためには、所管行政庁に対する詳細な書類提出や審査が必要です。これには時間と労力がかかるため、手続きの煩雑さがデメリットとなります。
エネルギー効率や環境性能の計算には専門知識が必要であり、建築士やエネルギー計算の専門家を依頼する必要があります。これも追加のコストと時間がかかります。
メンテナンスの必要性
高性能な設備や素材を使用しているため、これらの設備が適切に機能するように定期的なメンテナンスが必要です。これにより、維持管理費用が増加する可能性があります。
技術の進化と陳腐化
再生可能エネルギー設備や高性能断熱材などの技術は日々進化しています。そのため、数年後には現在の設備が陳腐化する可能性があり、最新技術に対応するためのアップグレードが必要になることがあります。
地域や環境の制約
太陽光発電などの再生可能エネルギー設備は、設置場所や環境条件に大きく依存します。例えば、日照時間が短い地域では、太陽光発電の効果が十分に発揮されない可能性があります。
一部の地域では、自然環境や景観を損なう恐れがあるため、規制が厳しくなっていることがあります。このため、認定基準を満たすための設計に制約が生じることがあります。
制度の変更
認定低炭素住宅に対する税制優遇措置や補助金制度は、政府の政策変更によって影響を受けることがあります。将来的に制度が変更されると、期待していた優遇措置が受けられなくなる可能性があります。
認定低炭素住宅は多くのメリットを提供する一方で、初期コストの増加や認定手続きの煩雑さ、定期的なメンテナンスの必要性など、いくつかのデメリットも存在します。これらのデメリットを考慮しつつ、長期的なメリットや環境への貢献を踏まえた上で、認定低炭素住宅の導入を検討することが重要です。
まとめ
認定低炭素住宅についてみてきました。認定低炭素住宅は断熱性に優れており、1年中快適な環境で生活できるのが特徴です。税制優遇や住宅ローン金利の引き下げ、光熱費の削減など金銭面のメリットも期待できます。
ただし、設備導入に費用がかかる点は注意が必要です。メリットとデメリットを比較したうえで、低炭素住宅の取得を検討してみましょう。
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