BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)について、その言葉は見たことがあるような気がしても、詳しい意味について知らない方も多いのではないでしょうか。
新しい言葉のため、聞き慣れない方もいるでしょう。
こちらでは、BELSについてご説明するとともに、ZEHにも触れていきます。
BELSとは
どの程度の省エネ性能があるのかをわかりやすく表示したものをBELSと言います。
新しい住宅に限らず、昔からある建物も含めて評価されます。
住宅メーカーなどが独自に調査を行って性能を表示するのではなく、第三者評価機関が行う制度です。
近年、地球温暖化をはじめとする、さまざまな異常気象が起きています。
そのため、無駄なエネルギーを使わない、環境に優しい建築物を作ろうという動きが出ています。
誰が見てもわかりやすい表示方法なだけでなく、国からのお墨付きである点もポイントです。
不動産業者は省エネ性能がどの程度あるのか表示するようにと義務付けられていますが、さまざまな表示方法の中でもBELSは信頼性が高いです。
BELSで評価される性能
BELSは1つの項目ではなく、複数の建物の省エネ性能について評価したものをわかりやすく表示しています。
どの程度削減されているのか素人が見てもわかりやすいように、星マークを用いているのも特徴です。
星マークが5つあれば複数の性能が良くエネルギーが削減されていることを表しています。
3つや1つと少なくなっていくごとに、評価は低いことを表しています。
主に評価されている内容は、一次エネルギー消費量に対する削減率、外皮性能などです。
外皮性能
快適に過ごせる室内温度差になっているのかを測るために、外皮性能をチェックします。
外皮と呼ばれる部分は、住宅の内部と外部を仕切っている境界部分です。
住宅部分でいう床や天井、窓などです。
外皮性能が低い住宅の場合、季節の変動に応じて気温も大きく変動すると、快適な室内温度差にするためにエネルギーを多く消費してしまいます。
そのため、気密性や耐久性などの能力がどの程度あるのかが、評価において重要です。
つまり、室内温度差が少ない住宅が外皮性能が優れていると判断されます。
一次エネルギー消費量
一次エネルギーは、自然を利用できる火力や太陽光を言います。
普段住宅でよく利用しているガスや電気は、二次エネルギーといって別のエネルギーを指します。
BELSでは、一次エネルギー消費量を見て、その消費率を算出します。
暖房設備や冷房設備、給湯設備などを総合的に計算していきますが、住宅の中で使用する家電などのエネルギーは含まれません。
BELSの評価基準
誰が見てもわかりやすいように、星マークを利用されているためシンプルです。
建築業界の方だけでなく、知識がない人が見てもどの程度省エネ性能があるのかわかるような表示です。
建物がどの程度省エネ性能に優れているのか、5段階で表示されます。
星マークも表示の中でも大きくつけられ、一目でわかる工夫がされています。
最高ランクは、星マークが5つ並んでいる状態です。
BEI値の区分
星マークの値は、数値をもとにして5つに分けられています。
数値が小さい程省エネを考えている住宅と評価され、星マーク5つに近づきます。
逆に数値が大きくなってしまうと、星マーク1つしか得られません。
星マークが1つの場合は省エネの基準を満たしているとは言えないため、最低でも星マークは2つないと適合とみなされません。
計算の方法は、設計一次エネルギー/基準一次エネルギー消費量からBEIが出てきます。
1.00 < BEIになると星マークは1つですが、0.90 < BEI ≦ 1.00で星マークは2つとなります。
0.85 < BEI ≦ 0.90で星マークが3つ、0.80 < BEI ≦ 0.85で星マークが4つです。
省エネ基準がBEI ≦ 0.80となった時、最高ランクの5つとなります。
BELSの評価方法
評価の仕方も3つあり、どの方法を選ぶかで精度も変わってきます。
しっかりと精度が高いもので計算したい時には、標準入力法を使います。
専門性や手間が多くなってしまいますが、精度高い結果を知ることが可能です。
ある程度の精度を求めるのであれば、主要室入力法が良いでしょう。
専門性や手間、精度は中くらいで、指標は一次エネルギー消費量とBEIです。
簡単に数値を出したい場合は、モデル建物法を使います。
他の2つの方法に比べて手間はないのですが、専門性が少なく精度が低くなってしまいます。
指標も一次エネルギー消費量とBEIではなくBEImです。
3つの詳しい計算の仕方は国立研究開発法人建築研究所のホームページに記載があり、それにもとづいて値を出していきます。
▼国立研究開発法人建築研究所によるエネルギー消費性能の算定に関する詳しい情報はこちらから
建築物のエネルギー消費性能に関する技術情報
BELSのメリット
BELSで表示することで、さまざまなメリットがあります。
特にBELSに詳しくない人でも、表示を見ればどの程度省エネが期待できる建物かがわかります。
星マークでの評価は、一般の人にとっても見慣れている表示の仕方です。
5つ揃っていれば一番評価が高く、1つしかないと省エネの基準を満たしていないとわかります。
ほかにも、信頼性が高い、ZEHの補助金を利用したい場合に申請できるなどメリットは多々あります。
第三者評価のため信頼性が高い
住宅のパンフレットを見ていると、実験をして数値を検証した結果がよく載っています。
良い数値を見ると魅力的ではありますが、住宅会社独自の実験になっている場合がほとんどです。
もちろん数値を取っており、虚偽の記載しているわけではありませんが、自社によって有利になるような載せ方をしている可能性も考えられます。
BELSの場合自社での検証ではなく第三者評価となります。
自社とは別の機関が評価しているため、より信頼できます。
ZEHの補助金に申請できる
環境のために省エネできる住宅を造るとなると、それに伴い費用もかかります。
特に、環境破壊の原因になるエネルギーを使わずに、一次エネルギーを使い環境に優しい住宅にしようと思うと費用もアップします。
少しでも費用を抑えたいと考えた時、ZEHの補助金を利用することができます。
BELSなど第三者認証を受けた省エネ表示があれば、補助金交付の申請ができます。
ZEH(ゼッチ)住宅
ZEHとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスのことを指します。
以下ではZEH住宅に関して、その利点や、利用できる補助金についてご説明していきます。
ZEH住宅とは
家では快適に生活するために、冷暖房や給湯、換気などをしてエネルギーを利用しています。
そのエネルギーを自分たちで造り出し、エネルギー収支ゼロを目指した家がZEH住宅です。
自然の中でも太陽光や水力などは、上手に活用するとエネルギーになります。
家で使われるエネルギーの多くは、環境温暖化などの環境破壊に加担している背景があり、省エネの住宅を増やしていこうと国をあげて取り組んでいます。
環境を考えると理想的な住宅ではありますが、一次エネルギー消費量を活用した環境に優しい住宅を建てるには費用も安くはありません。
そこで、ZEH住宅をもっと増やしていくために、補助金制度が出てきました。
ZEH住宅では、省エネだけでなく断熱機能の高い住宅、利用するエネルギーよりも生み出すエネルギーが多くなることを求められています。
最初は投資しなければならない費用も多く感じてしまいますが、住み心地の良い住宅になります。
一次エネルギーを活用するため、これまでの電気代やガス代がほとんどかからないこと、自然エネルギーであれば災害の際でも電気を使えることなどがメリットとして挙げられます。
また、BELSも活用することで評価もさらに高くなり、住んでいる家を売る際にも高く見積もってもらえる可能性が十分にあります。
さらに、一年中快適に過ごせる環境が整っているため、ヒートショックも起こしにくいです。
部屋によって極端に寒いこともなく、急激な温度変化のストレスも軽減されます。
補助金の申請
少しでも費用を安くしたい場合、補助金を活用できます。
環境省、国土交通省、経済産業省が一体となり、国をあげて少しでも環境に優しい住宅を増やそうと補助金制度を実施しています。
誰でも申請すれば通るというわけではなく、いくつか条件があるため把握しておきましょう。
補助金申請では、ZEH、ZEH+、次世代ZEHがあります。
通常の外皮性能の向上や省エネを取り入れ一次エネルギーの収支のゼロを目指したZEHのほかに、より高い性能を求めたZEH+、再生エネルギーの自家消費をさらに目指す次世代ZEHも対象です。
補助金の申請を行う際には、まずZEH認定のビルダー・プランナーに相談し、金融機関でローンが通せそうか審査契約をします。
その後、ZEH補助金の申請を行い、審査を行います。
ここで条件をクリアして問題なければ、交付決定です。
今度は着工し住宅が完成したところで実績の報告書を提出し、ZEH補助金の入金となります。
補助金の申請をしてすぐにもらえるわけではなく、ある程度時間がかかります。
ZEHビルダー・ZEHプランナー登録の建築会社に相談をし、申請をすることも重要です。
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まとめ
省エネ性能がどの程度あるのかわかりやすく表示されたBELSには、さまざまなメリットがあります。
まず、星マークを利用して5段階で表示することで、知識がない素人でも省エネ性能がどの程度あるのかわかるようになっています。
第三者評価なため、独自評価よりも信頼性もあり安心です。
さらに、住宅などの用途に関係なく評価ができ、精度と手間の違う3つの計算方法があります。
ZEH住宅の補助金制度でもBELSなどの第三者認証を受けているものが交付要件に入るなど、省エネ住宅を建てる際に重要な役割を果たしています。
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