積算業務は、工事の利益を左右する重要な業務です。しかし、Excelや手作業による積算では、数量拾いに時間がかかったり、入力ミスや計算ミスが発生したりと、多くの課題を抱える企業も少なくありません。
こうした課題を解決する手段として、多くの建設会社・工務店で導入が進んでいるのが積算ソフトです。積算業務の効率化だけでなく、見積精度の向上や利益管理、他システムとの連携など、さまざまなメリットが期待できます。
この記事では、積算ソフトの基本機能や導入メリット、自社に合ったソフトの選び方について分かりやすく解説します。導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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積算ソフトとは
積算ソフトは、建設プロジェクトの見積もりや予算管理、数量拾い出し、原価計算を効率化するための不可欠なツールです。
専門的な歩掛(ぶがかり)データや最新の資材単価を活用し、工法に応じた正確な算出を自動化することで、人的ミスを防ぎ業務スピードを飛躍的に向上させます。
2024年4月から建設業に適用された「時間外労働の上限規制」により、業界全体で労働時間の短縮が急務となりました。
2026年現在、この「2024年問題」を乗り越えるための切り札として、積算ソフトの役割は単なる「計算ツール」から、「建設DXの中核をなす効率化ソリューション」へと進化しています。
建設業の上限規制に関する厚生労働省のサイトはこちら
積算ソフトはなぜ必要?建設業の積算業務で多くの企業が抱える課題
アイピアでは、工務店やリフォーム会社への導入相談・サポートを通じて、積算業務に関するさまざまなお悩みを伺っています。打ち合わせ履歴や導入相談の内容を分析したところ、多くの企業で共通する課題が見えてきました。
※本調査は、アイピアが工務店・リフォーム会社への導入相談や打ち合わせ、サポート対応を通じて得たヒアリング内容をもとに、共通して見られた課題を整理したものです。各割合は、打ち合わせ内で該当する悩みや要望に言及があった件数の割合(言及率)を示しています。
現場で特に多かった課題と導入時の悩み

積算業務は、Excelや手作業でも対応できますが、案件数の増加や工事内容の複雑化に伴い、作業時間や精度の面で限界を迎えるケースが少なくありません。
積算ソフト導入に関する打ち合わせ履歴177件を分析したところ、積算業務の運用やシステム導入に関して、以下のような課題や悩みが多く挙げられました。
① Excel・手作業による積算に時間がかかる(31.1%)
最も多かったのは、Excelや手作業による積算業務の負担です。図面を見ながら数量を拾い出し、Excelへ入力する作業を繰り返している企業が多く、案件数が増えるにつれて積算にかかる時間も増加します。その結果、見積提出までに時間を要し、他の業務を圧迫してしまうという声が多く寄せられました。
② 図面からの拾い出しが手作業でミスが発生しやすい(26.0%)
CADやPDF図面から数量を手作業で拾い出しているため、数量の拾い漏れや入力ミスが発生しやすいという課題です。担当者によって積算結果に差が生じることもあり、自動拾い出し機能を導入条件として挙げる企業も多く見受けられました。
③ 積算データを他業務へ活用できず二重入力が発生する(18.6%)
積算ソフトやExcelで作成したデータを、実行予算や発注、会計システムへ改めて入力している企業も多く見られました。同じ情報を何度も入力することで作業負担が増えるだけでなく、転記ミスや入力漏れの原因にもなっています。
④ 単価管理や資材価格の更新が追いつかない(17.5%)
資材価格や労務単価の変動に対し、Excelや手作業では最新単価への更新が負担となっています。古い単価のまま見積を作成してしまい、利益率の低下や見積金額のズレにつながることを懸念する声も多く聞かれました。また、歩掛計算など専門的な積算への対応に苦労している企業も見られます。
⑤ 積算業務が特定の担当者に依存している(11.9%)
積算方法や単価設定が担当者の経験や知識に依存しており、担当者が不在になると業務が進まないという課題も多く挙げられました。また、人によって積算精度に差が生じ、見積金額の根拠が分かりにくくなるケースも見受けられます。
積算ソフト導入時によくある悩み
積算業務の課題だけでなく、ソフト選定の段階で悩む企業も少なくありません。打ち合わせ履歴では、導入コストや費用対効果に関する相談も多く見られました。
導入コストや費用対効果に不安がある(27.1%)
「積算ソフトを導入したいが、導入費用に見合う効果が得られるか分からない」という声は、全体の27.1%を占めました。積算専用ソフトは高機能である一方、価格が高額になりやすく、工事管理システムは価格を抑えられるものの積算機能が不足しているケースもあります。そのため、多くの企業が機能・価格・運用のしやすさのバランスを重視して製品を比較・検討していました。
積算ソフトで解決できる課題
今回の調査から、多くの課題の原因は「積算作業が手作業中心で、データを十分に活用できていないこと」にあることが分かりました。
積算ソフトを導入することで、図面からの数量拾い出しや積算業務の効率化を図れるほか、単価マスタの一元管理や積算データの共有も容易になります。
また、積算結果を見積や実行予算へスムーズに活用できるため、入力ミスや作業時間の削減だけでなく、積算精度の向上や業務の標準化にもつながります。
積算ソフトの機能と種類
建築見積ソフトとも類似していますが、具体的に、積算ソフトは次のような積算業務をスムーズに行うサポートをします。
| 拾い出し機能 | 設計図や仕様書から、工事に必要な材料の数量を拾い出す |
| 工事費用算出機能 | 材料の価格を記録し、数量と価格を掛けて費用を算出する |
| 見積作成機能 | 積算に利益を乗せて見積もりを作成する |
工事の規模が大きくなるほど計算が複雑になるため、簡単に計算できるように、現在では積算ソフトが広く使われています。
また、積算ソフトには多くの種類があり、他のシステムと連携できるものや、工事積算、躯体積算、足場積算が可能なものなど、さまざまな機能で積算業務をサポートしてくれます。
一方で、自社の工事に適していないソフトを導入すると、かえって業務効率が下がり、新たに別のソフトを購入し直す必要が生じることもあります。
自社に必要な機能が備わっているかを確認して、自社に合った積算ソフトを導入することが大切です。
次の章で、積算ソフトの選び方のポイントを見ていきましょう。
積算ソフトを導入するメリット7選

積算ソフトを導入することで、積算業務の効率化や精度向上につながります。
ここでは、導入によって得られる代表的なメリットを7つ紹介します。
- 入力作業の簡略化
- 人為的なミスの削減
- 原価や利益・見積額の正確な把握
- 過去のデータの呼び出しや管理や分析が可能
- どこからでもアクセス可能
- サポートを受けられる
- 積算ソフトと他のシステムを連携できる
一つずつ解説していきますので、効率的かつ正確な積算業務を実現するために、ぜひ参考にしてください。
入力作業の簡略化
積算ソフトを導入すると、入力作業を大幅に効率化できます。
よく使う部材や単価を登録しておけば、同じ内容を何度も入力する必要がありません。
躯体工事の柱サイズや構造部材、内装工事の壁紙・床材なども、設定した内容を呼び出して入力できます。
さらに、図面から数量を取得できる機能があるソフトなら、積算作業をよりスピーディーに進められます。
人為的なミスの削減
積算ソフトは、入力ミスや計算ミスを減らせるのが大きなメリットです。
積算ミスは利益の減少につながるため、正確な計算が欠かせません。
記入漏れや計算漏れをチェックできる機能を備えたソフトもあり、手作業によるミスの防止に役立ちます。
原価や利益・見積額の正確な把握
利益率を事前に設定しておけば、原価を入力するだけで見積額を算出することができます。
さらに、現場ごとの利益率や工事項目ごとの利益率も正確に把握できます。
また、担当者が複数いる場合でも、単価情報を一元管理できるため、会社全体の原価管理と収益管理を統合することが可能です。
過去のデータの呼び出しや管理や分析が可能
過去の積算データを有効活用できるようになります。
蓄積した積算データを簡単に呼び出せるため、類似案件への流用や比較がスムーズです。
担当者別・年間集計などの分析も行いやすく、発注・請求システムと連携できる製品なら業務全体の効率化も図れます。
どこからでもアクセス可能
クラウド対応の積算ソフトなら、場所を選ばず利用できます。
インターネット環境があれば、会社だけでなく現場や外出先からでも積算データを確認・入力できます。
移動や紙資料の持ち運びを減らし、スムーズな業務につながります。
サポートを受けられる
充実したサポートにより、安心して導入・運用できます。
電話やメール、遠隔操作などで操作方法をサポートしてくれるメーカーも多く、困ったときもすぐに相談できます。
パソコン操作に不慣れな社員がいる場合は、導入前にサポート内容を確認しておくと安心です。
積算ソフトと他のシステムを連携できる
積算ソフトによっては、他システムと連携することで、業務全体を効率化できます。
工事原価管理や発注・請求システムなどと連携すれば、積算データをそのまま活用でき、二重入力を防げます。
製品によっては、標準機能だけでなくカスタマイズで連携できる場合もあります。
積算ソフトの選び方とポイント

積算ソフトを導入することで、大きなメリットが得られます。
では、どのようなソフトを導入すれば、これらのメリットを受けられるのでしょうか。
ここでは、積算ソフトを選ぶ際のポイントを4つご紹介します。
階層に対応している

小工事の場合は「1式」として簡単に算出できますが、複合工事では工事場所や業種別に階層で算出する必要があります。
そのため、建築業向けの積算ソフトは階層ごとに算出できるものが便利です。
階層対応がオプション(追加費用が必要)となっている積算ソフトもありますが、最初から階層対応しているソフトを選ぶことをおすすめします。
入力がしやすい
積算ソフトを導入しても、入力が難しかったり使いにくかったりすると、作業効率が下がってしまいます。
分かりやすいレイアウトで、入力しているうちに作業が終わってしまうようなソフトが理想です。
最初に情報を登録しておけば、ワンクリックで作成できたり、過去のデータから入力できるソフトもあります。
機能面よりも、入力のしやすさに重点を置いてソフトを選ぶのも一つの方法です。
サポート体制が充実している
サポート体制が充実しているかどうかも、重要なポイントです。
どんなに使いやすい積算ソフトでも、積算業務には専門的な知識が必要なので、導入直後にすぐ操作を覚えるのは難しいことが多いです。
操作方法がわからなければ、積算ソフトを導入しても意味がありません。
サポートが充実しているメーカーのソフトなら、慣れない作業でも安心して進められます。
導入予定のソフトに対応窓口があるか、遠隔操作や迅速な対応が可能かどうかを確認して選びましょう。
他のシステムと連携できる
ソフトによっては、工事原価システムや仕上積算ソフトなど、さまざまなソフトと連携できるものもあります。
例えば、発注や請求のシステムと連携できれば、一元管理が可能になり、作業効率がさらに向上するでしょう。
自社に合ったシステムを利用する

上述した4つのポイントも重要ですが、最も注意すべき点は、自社に合ったソフトであるかという点です。
例えば、自社の業務のフローで必要な機能がない場合は、導入してもソフトの効果が発揮できない為意味がありません。反対に、必要以上の機能が備わっていると混乱を招く可能性があります。
また、機能に限らず、会社規模や業務量、使用したい場面によって、導入すべきソフトは異なります。
自社の課題や利用場面、規模感を明確にしてからシステムの精査を行いましょう。
以下は、積算ソフトのYes/Noチャートです。システム導入の際にご活用ください。
自社に合う原価管理ソフトは?【30秒診断】
建設業・建築業における積算ソフト選びで失敗しないために、まずは自社の積算業務をチェックしてみましょう。
積算にかかる時間や数量拾いの方法、単価管理、見積作成の流れなど、10個の項目に当てはまるものを選ぶだけで、自社に適した積算ソフトのタイプが分かります。
比較表を見る前に、自社の課題や必要な機能を整理できる30秒診断です。
※この診断は、工務店・リフォーム会社への導入相談内容をもとに作成しています。
積算ソフト 選び方診断
積算ソフトに関するよくある質問
積算ソフトの導入を検討している場合、機能やメリットについてもっと知りたい方も多いでしょう。
そこで、建築業向け積算ソフトの特徴や必要性、おすすめのソフト、無料で使えるかどうかなどのよくある質問を紹介します。
積算ソフトを導入しようと考えている方や、より良いソフトを探している方はぜひ参考にしてください。
初心者の方はこちらの動画がおすすめです!
積算とは何ですか?
そもそも積算とは、工事を着工する際に作成する設計図や仕様書から材料費などの合計金額を算出し、工事にかかる総工費を算出することを言います。
工事や企業によってフローは異なりますが、主に以下のように行います。
- 設計図や仕様書などの工事に関する書類から、材料の数量を算出します。
例えば、図面から部屋の広さ(㎡)や壁・床の面積、配管の長さなどを拾い出し、必要な材料の単価や数量を掛け合わせて工事費を算出します。 - この結果は、建築物などの価格となり工事費の算出・予測に活用します。
また、精度の高い積算を行うためには、高い専門知識が必要で、建築資材の種類、工事の工法、業界の専門用語などを理解しておく必要があります。
積算についての記事はこちら
積算ソフトとCADの違いは何ですか?
CADは建物や設備の図面を作成・編集するためのソフトです。
一方、積算ソフトは図面や仕様書をもとに、材料の数量や工事費を算出するためのソフトです。
製品によってはCADと連携し、図面データから数量を取得できるものもありますが、目的や役割は異なります。
積算ソフトはExcelでも代用できますか?
Excelでも積算業務を行うことは可能ですが、案件数が増えると入力ミスや計算ミスが発生しやすくなります。
積算ソフトなら、単価や積算データを一元管理できるほか、自動計算や過去データの活用により、業務の効率化と積算精度の向上が期待できます。
クラウド型とインストール型はどちらがおすすめですか?
外出先や現場から利用したい場合や、複数拠点でデータを共有したい場合はクラウド型がおすすめです。
一方、社内ネットワークのみで運用したい場合や、自社環境でデータを管理したい場合はインストール型が適しています。自社の運用方法や業務環境に合わせて選びましょう。
積算ソフトの費用はどのくらいですか?無料でも使えますか?
積算ソフトの費用は、製品や提供形態によって異なります。クラウド型では月額数千円~数万円、インストール型では数十万円以上かかる製品もあります。
また、無料で利用できる積算ソフトや無料プランを提供している製品もありますが、利用できる機能や登録件数に制限がある場合が多く、本格的な積算業務には十分でないケースもあります。
初期費用や保守費用、オプション料金の有無も含めてトータルコストを確認し、自社の業務規模や必要な機能に合った製品を選ぶことが大切です。
まとめ
積算ソフトは、数量拾いや原価計算、見積作成を効率化し、積算業務の負担軽減や見積精度の向上につながるシステムです。入力ミスの削減やデータの一元管理、他システムとの連携など、建設業の業務改善にも大きく役立ちます。
ただし、積算ソフトごとに対応工種や機能、操作性、サポート体制は異なります。そのため、自社の課題や業務フローを整理し、必要な機能を備えた製品を選ぶことが大切です。
本記事で紹介した選び方のポイントや30秒診断を参考に、自社に最適な積算ソフトを見つけ、積算業務の効率化や利益率の向上につなげましょう。
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