ボーリング調査(boring survey)は、地質や土質の詳細な情報を得るために地面に垂直な穴を掘り、地下の地層構造や地下水の状態を直接確認する最も基本的で重要な調査方法です。
地盤の強度、安定性、透水性といった特性を正確に把握することは、建設工事、環境保護、防災・減災対策など多岐にわたる分野で、プロジェクトの安全性と経済性を担保するために不可欠な役割を果たします。
この記事では、ボーリング調査の基本概念を紹介するとともに、地盤調査の具体的な目的や、最新の調査技術を含む種類について詳しく解説します。
ボーリング調査とは?

ボーリング調査(boring survey)は、地中に垂直な孔を掘り、地質や土質に関する詳細な情報を取得する調査方法です。建設工事や土木工事だけでなく、環境調査や鉱山探査などでも広く利用されています。
調査では、専用の機械で地中に孔を掘り進め、各深度で土や岩の試料を採取します。その後、採取した試料を分析して地層の構成や物性、地下水の状態などを確認します。
調査結果は、建物の基礎設計や地盤対策の計画、環境保全計画、災害対策などに用いられます。
ボーリング調査の手順
ボーリング調査の手順は以下の通りです。
- 準備作業
- 掘削作業
- 試料採取
- 試験・分析
- 報告書作成
順に詳しく確認しましょう。
準備作業
ボーリング調査を行う前に、調査地点の選定と調査計画の立案を行います。
この段階では、地表の状況や周辺環境、調査の目的を踏まえて調査地点を決定します。
あわせて、使用する機材や資材の準備、現場への搬入経路の確認、作業スペースの確保を行います。
掘削作業
調査地点では、ボーリングマシンを使用して地面に垂直方向の孔を掘削します。
ボーリングマシンには複数の種類があり、地盤条件や調査内容に応じて適切な方式が選ばれます。
一般的なボーリングマシンでは、回転運動や振動を利用して掘削を進めます。
掘削深度は調査目的によって異なり、浅い場合は数メートル程度、深い場合には数百メートルに及ぶこともあります。
試料採取
掘削の過程で、地層や岩盤から試料を採取します。
これらの試料は「コア」と呼ばれ、円筒状の形をしています。
コアは、地質や土質の状態を把握するための基礎資料となります。
採取後、その場で簡易的な確認を行う場合もありますが、通常は試験室へ搬送し、詳細な分析を実施します。
試験・分析
採取した試料を用いて、物理的および化学的性質に関する各種試験を行います。
試験内容には、粒径分布、含水比、密度、圧縮強度、せん断強度、透水性などが含まれます。
これらの結果は、地盤の安定性や支持力を評価するための資料として用いられます。
報告書作成
調査の最終段階として、得られた結果を整理し、報告書を作成します。
報告書には、地層断面図、各種試験結果、地盤特性の評価などがまとめられます。
これらの情報は、建設計画や環境対策を検討する際の基礎資料として活用されます。
地盤関連情報はこちら
ボーリング調査の種類
ボーリング調査には、調査目的や地質条件に応じて様々な方法があります。以下は主なボーリング調査の種類です。
ロータリーボーリング
ロータリーボーリングは、回転運動を利用して掘削を行う方法です。
比較的硬い地層や岩盤にも対応できるため、一般的に用いられています。
掘削ビットを回転させながら地盤を削ることで、一定の掘削精度を確保しやすい特徴があります。
オーガーボーリング
オーガーボーリングは、螺旋状の掘削機を用いて地面を掘削する方法です。
主に柔らかい地層や砂質土を対象とした、浅い深度の調査に適しています。
比較的短時間で掘削できるため、浅層地盤の調査で使用されることがあります。
ダイヤモンドボーリング
ダイヤモンドボーリングは、ダイヤモンドを用いた切削工具を使用する方法で、硬質な岩石の掘削に適しています。
鉱物資源の探査や深部の地質調査などで用いられます。
ボーリング調査の利用例
ボーリング調査は、様々な分野で幅広く利用されています。以下はその具体例です。
建設工事
建物やインフラの基礎設計では、地盤の安定性や支持力の評価が求められます。
ボーリング調査によって地質特性や地下水の状況を把握し、基礎設計に必要な情報を得ます。
環境調査
土壌や地下水の汚染状況を確認する目的でボーリング調査が行われます。
工場跡地の再開発などでは、地下に存在する物質の状況を把握するための資料として利用されます。
防災・減災対策
地震時の液状化の可能性評価や、地すべり・斜面安定の検討において、地下構造や地下水の状況を把握するために用いられます。
鉱山・資源探査
鉱物資源や石油などの探査においてもボーリング調査が利用されます。
地下に存在する資源の位置や分布を把握し、採掘計画を検討するための資料となります。
ボーリング調査は、地質や土質の状態を把握するための調査方法の一つです。
建設工事、環境調査、資源探査など、用途に応じて結果が活用されます。
調査の手順や方法、利用例を把握することで、ボーリング調査の役割を理解しやすくなります。
地盤に関する記事はこちら
地盤調査の目的や種類とは
地盤調査は、建設や土木工事、環境対策などの分野で実施されます。
地盤の特性を把握することは、構造物の設計や施工、環境管理の判断材料となります。以下に、地盤調査の主な目的と種類を示します。
地盤調査の目的
地盤調査の目的は主に以下の4点です。
- 構造物の安全性確保
- 設計の最適化
- 環境保護
- 災害対策
構造物の安全性確保
建築物やインフラの計画にあたり、地盤の強度や安定性を評価します。
これにより、基礎設計や施工条件の検討が行われ、沈下や傾斜などのリスク低減につながります。
設計の最適化
地盤条件に応じた設計を行うため、調査結果が活用されます。
基礎形式や施工方法の検討により、工期やコストの調整が可能となります。
環境保護
土壌や地下水の状況を把握し、必要に応じた環境対策を検討します。
工業地帯や再開発区域などでは、調査結果が計画立案の参考資料となります。
災害対策
地震、洪水、地すべりなどの自然災害に備え、地盤特性を評価します。
これにより、災害リスクの把握や対策検討が行われます。
地盤調査の種類
地盤調査には、目的や条件に応じて複数の方法があります。以下は代表的な調査方法です。
ボーリング調査
地中に孔を掘り、地層や土質の試料を採取する方法です。
地層構成や地下水の状況を把握するために用いられます。
ロータリーボーリング
硬い岩盤でも掘削できる回転式の掘削方法。
オーガーボーリング
螺旋状の掘削機を用いた、比較的柔らかい地層に適した方法。
ダイヤモンドボーリング
ダイヤモンドを用いた切削工具で非常に硬い岩石を掘削する方法。
標準貫入試験(SPT: Standard Penetration Test)
標準貫入試験は、一定の重量を持つハンマーを一定の高さから落として、地中にサンプラーを打ち込む方法です。サンプラーが一定深度に達するために必要な打撃数を記録し、地盤の硬さや密度を評価します。この試験は、比較的簡便で広範囲に適用できるため、建築現場などで広く使用されています。
コーン貫入試験(CPT: Cone Penetration Test)
コーン貫入試験は、円錐形のコーンを地中に押し込むことで地盤の抵抗を測定する方法です。この試験は、地層の連続的なデータを得ることができ、地盤の強度や圧縮性を評価するのに有効です。
地中レーダー探査(GPR: Ground Penetrating Radar)
地中レーダー探査は、電磁波を地中に送信し、その反射波を測定することで地中の構造や異物を探査する方法です。非破壊で迅速に調査が行えるため、広範囲の地盤調査に適しています。
弾性波探査
弾性波探査は、地震波を発生させ、その伝播速度や反射を測定することで地層の構造や物性を評価する方法です。これには、屈折法や反射法などが含まれます。
地盤透水試験
地盤透水試験は、地中に水を注入し、その透水性を測定する方法です。地下水の流動特性や地盤の水理特性を評価するために使用されます。
プレート荷重試験
プレート荷重試験は、地表に設置したプレートに荷重をかけ、その沈下量を測定することで地盤の支持力を評価する方法です。地盤の即時沈下や長期沈下の特性を把握するために利用されます。
地盤調査は、建設プロジェクトの安全性や経済性、環境保護を確保するために不可欠な工程です。調査の目的や地盤の特性に応じて、様々な調査方法が選ばれ、適切な情報が収集されます。これにより、構造物の設計や施工が最適化され、災害リスクの低減や環境保護が実現されます。
ボーリング調査に関するよくある質問
- なぜボーリング調査が必要なのですか?
-
地盤の状態は目視では判断できません。不同沈下や液状化などのリスクを把握し、適切な基礎設計を行うために必要です。建築基準法や設計実務上も重要な調査です。
- どのような建物で実施されますか?
-
主に中高層建築物、公共施設、工場、倉庫、病院、学校などで実施されます。木造住宅ではスウェーデン式サウンディング試験が多いですが、条件によってはボーリング調査が選択されます。
- 調査では何が分かりますか?
-
以下の情報が得られます。
- 土の強度・圧密特性(試験内容による)
- 地層構成(粘土・砂・礫など)
- N値(地盤の硬さの指標)
- 支持層の深さ
- 地下水位
- 調査にはどれくらいの期間がかかりますか?
-
現地調査は1地点あたり半日〜1日程度が一般的です。調査後、室内試験や解析を経て、報告書提出まで1〜3週間程度かかることが多いです。
- 調査費用の目安はいくらですか?
-
調査深度や地点数、試験内容により異なりますが、1地点あたり30万〜80万円程度が目安です。深い調査や試験項目が多い場合は高くなります。
まとめ
地盤調査、特にボーリング調査は、地層構造と地盤の特性を詳細に理解するための最も基本的かつ不可欠な手法です。
ボーリング調査で得られるコア情報と工学的データは、構造物の安全性を確保し、プロジェクトを経済的に遂行するための確固たる基盤となります。
最新の技術動向としては、ボーリング調査に加え、非破壊の物理探査(GPR、弾性波探査など)や、CPTのような連続測定が可能な原位置試験を組み合わせることで、より早く、より正確に、地盤の全体像を把握することが求められています。
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