建設現場で行われる非常に重要な作業の一つである鉄筋工事。
鉄筋工事とは、コンクリートの内部に鉄筋を組み込む作業を指します。
建物や構造物の安全性と耐久性を確保するために欠かせません。
本記事では、鉄筋工事の基礎知識、種類、作業の流れ、さらには施工管理技士ついてまで詳しく解説します。
鉄筋工事とは?
鉄筋工事は建築物の構造を支える重要な工事です。
この工事では、鉄筋を加工し、組み立てて建物の骨組みを形成します。
建設の基盤となる重要な工程であり、建物の耐久性と安全性を支える大切な役割を担っています。
鉄筋の重要性
鉄筋は、建物や構造物の強度と安全性を確保するために欠かせない材料です。
重要性が高い理由として、以下の点が挙げられます。
- 構造物の強度を向上させる
鉄筋はコンクリートと一緒に使われることで、構造物の引っ張り強度を大幅に向上させる - 耐久性の向上
鉄筋を適切に配置することで、構造物は長期間にわたって安定した性能を維持できる - 地震や風などの外力に対する耐性
鉄筋は構造物の柔軟性を高め、地震や強風などの外力に対しても強い耐性を持つ
鉄筋工事の主な種類
鉄筋工事は大きく分けて2種類あり、それぞれの方法が特定の建設ニーズに応じて使用されます。
ここでは、以下の鉄筋工事について簡単にご紹介します。
- 鉄筋加工組立て工事
- 鉄筋継手工事
① 鉄筋加工組立て工事
鉄筋加工組立て工事は、鉄筋を適切な形状に加工し、構造物に組み立てる作業を指します。
鉄筋加工は、まず鉄筋を設計図に基づいて必要な長さや形状に切断し、曲げる作業から始まります。
加工には特定の機械が使用され、精密な作業が求められます。
加工が完了した鉄筋は、構造物の設計に従って組み立てられます。
② 鉄筋継手工事
鉄筋継手工事は、鉄筋同士を強固に結びつけ、構造物全体の耐久性を確保する役割を果たします。
以下3種類の工法があります。
鉄筋継手工法 | 特徴 |
---|---|
ガス圧接継手 | ガス圧接機を用いて鉄筋を加熱し、圧力をかけて接合する方法。加熱された鉄筋が融合し、強力な継手が形成される。 |
機械式継手 | 特殊な機械や金具を使用して鉄筋を接合する方法。主にねじ込み式や圧着式の金具が用いられる。 |
溶接継手 | 電気アークを利用して鉄筋を加熱し、溶かして接合する方法。鉄筋の端部が溶け合い、強い継手を形成する。 |
鉄筋工事の作業工程
ここでは鉄筋工事の一般的な作業の流れをご紹介します。
(1)加工帳や施工図の作成
加工帳や施工図は、工事の品質と効率を確保するための基本的なツールです。
加工帳には、使用する鉄筋の種類、サイズ、数量などが詳細に記載されており、施工図は実際の工事現場での鉄筋の配置や施工方法を示します。
さらに、これらの書類は工事関係者全員が共有し、共通の理解を持つことが求められます。
(2)鉄筋の加工
土木工事や建築工事において、鉄筋は正確に加工され、適切に運搬される必要があります。
まず、鉄筋の加工では、設計図に基づいて正確な寸法に切断し、必要な形状に曲げます。
この際、効率的で正確な加工が可能な電気工具を使用することが多いです。
(3)現場への運搬
加工された鉄筋は現場に運搬されます。
運搬時には、鉄筋が曲がったり傷ついたりしないように注意が必要です。
(4)配筋・段取り
配筋とは、鉄筋をコンクリートの内部に適切に配置する作業を指します。
まず、構造物の設計図を確認し、必要な鉄筋の種類、直径、配置、間隔などを把握します。
その後、設計図に基づいて、鉄筋を所定の位置に配置します。
段取りは、配筋作業を効率的に進めるための準備作業です。
材料の準備、作業環境の整備、作業手順の確認などを行います。
(5)篏合
嵌合(かんごう)は、鉄筋同士をしっかりと結びつけるための技術であり、正確な位置合わせと密接な接合が求められます。
(6)結束
結束は鉄筋を固定するために行われる作業で、専用の結束線や結束工具を使用します。
結束の際には、結束線の適切な締め加減と均等な配置が求められます。
過度な締め付けは鉄筋を損傷させる可能性があるため、細心の注意が必要です。
(7)自主検査
自主検査を行うことで、設計図や施工基準に適合しているかを確認し、問題が発生する前に早期に対処することが可能となります。
鉄筋工事の施工管理について
鉄筋工事において、施工管理は不可欠です。
施工管理では、工程、品質、安全、コスト、スケジュールなどを監督し、プロジェクトの成功を確保します。
ここでは鉄筋工事における施工管理の重要性や計画の立て方についてご紹介します。
鉄筋工事における施工管理の重要性
鉄筋工事における施工管理は、構造物の安全性と品質を確保するために不可欠なプロセスです。
具体的には、次のような点が挙げられます。
- 安全性の確保: 適切な施工管理により、鉄筋の配置や結束が正確に行われ、構造物の耐久性と安全性が保証される
- 品質の維持: 施工管理は、鉄筋の加工から配置、検査までの全過程を監視し、設計図に基づく高品質な施工を実現
- コストとスケジュールの管理: 施工管理によって工事の進捗が効率的に進むよう調整し、予算内での施工を可能にする
- リスクの軽減: 施工中のリスクや問題を早期に発見し、適切に対処することで、プロジェクト全体の成功を支援する
施工管理計画の立て方
施工管理の計画は、鉄筋工事をスムーズに進めるための重要な指針です。
以下のステップで計画を立てることが求められます。
施工管理計画を立てる際は、工程、品質、コスト、安全などの要素を詳細に計画するだけでなく、天候や周囲環境、他の工事との連携を考慮して柔軟に対応できるようにすることが重要です。
施工管理に関する記事はこちら
施工管理技士について
施工管理技士は、建設現場での施工を円滑に進めるための専門家であり、鉄筋工事を含むさまざまな建設プロジェクトで重要な役割を果たします。
施工管理技士とは
施工管理技士とは、建設プロジェクトの現場で施工を管理し、工事が計画通りに進むようにする専門家です。
工程、品質、安全、コストなどの側面を監督し、建設作業がスムーズかつ安全に行われるように管理します。
施工管理技士は、プロジェクトの成功に向けて全体を見渡し、計画に従って工事を進めるためのキーパーソンです。
設計図の読み取り、工程の調整、品質の維持、安全対策の実施などの高い技術力、管理能力、問題解決能力が求められます。
施工管理技士の資格の種類
施工管理技士には、工事対象ごとに7種類の資格があります。
- 建築施工管理技士
- 土木施工管理技士
- 電気工事施工管理技士
- 管工事施工管理技士
- 造園施工管理技士
- 建設機械施工技士
- 電気通信工事施工管理技士
それぞれ工事の対象は異なりますが、鉄筋工事の際には、建築施工管理技士の資格が役に立つでしょう。
建設施工管理技士の試験は、一般財団法人建設業振興基金が行っています。
まとめ
鉄筋工事は、建物や構造物の安全性と耐久性を確保するために不可欠な作業です。
本記事では、鉄筋工事の基礎知識から種類、作業工程、施工管理までを詳しく解説しました。
鉄筋は構造物の強度を向上させ、耐久性や地震対策にも重要な役割を果たします。
施工管理技士の資格を持つことで、工事の品質と安全性が保証され、プロジェクトの成功に繋がります。
鉄筋工事の理解を深め、適切な管理でより良い施工を実現しましょう。
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