建設業では、数千万~億単位の金額が動く為、積算業務は非常に重要な役割を担います。
そのプロジェクトを利益の出るものにできるかどうかは、積算にかかっているとも言われています。
ここでは、積算業務やその役割、積算システムについて詳しく解説します。
積算について、一緒に理解を深めましょう。
積算業務とは?
積算業務とは、計画図や設計図、仕様書をもとに、建物に必要な材料や数量を計算して明確にし、建設工事にかかる費用を事前に算出する仕事です。
建設業では、数千万~億単位の大きな金額が動く為、積算業務はとても重要な役割です。
積算と見積の違い
内容が似ていることから、積算と見積を混同してしまっている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、積算と見積の違いについて説明します。
- 積算:直接工事にかかる全ての費用を予測して算出
- 見積:「積算」に利益を上乗せしたもの
上記の通り、「積算」に利益を上乗せしたものが「見積」となります。
建設工事の「見積」は発注者にとってその業者に発注するかの判断材料となります。
したがって、精度の高い公平な見積金額を提示するためには正確な「積算」が必要です。
積算をすべき理由
設計図を実際の設備や建物に反映するには、どの材料が必要で、誰がどの様な工法を使って行うのが適切か、工事着手前に分からなければ、人も材料も集めることが出来ません。
また、その場合、費用がいくらかかり、利益をいくら出せるのか、見込みが立たなければ、事業として成り立ちません。
さらに、施工方法や施工場所、材料費の相場などによって、積算の結果は全く異なります。
工事の内容が同じでもそれぞれの段階で、精度の高い積算を行うことが利益の確保につながります。
つまり、そのプロジェクトがどれだけの利益を生み出すのかは、積算にかかっているといっても過言ではないのです。
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積算業務の流れ(仕事内容)
大きく分けると次の3種類の業務があります。
① 人材や材料費、工事費の算出=拾い出し(数量算出)
工事をするにあたって、どれくらいの材料・人材が必要かを計測し、総合的な工事費を算出する業務です。
材料費を求める際は設計図書や仕様書を確認し、必要な材料の数量を算出します。
同時に、施工条件なども把握します。
人件費は、工事に必要な人員数を求め、人員数と賃金相場から算出します。
また、設計図書や仕様書を読み解いたうえで、仮設工事費や電気代など、すべての諸経費を求めることも積算業務の1つです。
② 金額の設定
ここでの金額とは、建設工事で得る利益を指します。
積算業務の担当者が、お金の管理を一括しておこなうことで、より正確な金額を設定できます。
③ 価格交渉
材料を扱う業者や設備工事を請け負う業者と価格交渉し、より多くの利益を残すことも重要な業務の一つです。
工事に関わる大きなお金を動かすため、お互いが利益を得られるように交渉をおこなう必要があります。
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積算業務のやりがい
積算業務を行う上で感じるやりがいは以下の通りです。
コスト削減・利益率の向上に貢献できる
積算は工事原価を算出する業務であり、いかに原価を抑え、利益率を上げることを考える必要があります。
その為、積算した予算内で工事を行うことができたときは大きな喜びを感じることができます。
自身の成長を感じやすい
積算は、図面や建築、施工に関する知識がなければ業務を遂行できません。
業務をこなすうちにこうした知識が蓄積され、スムーズに行うことが出来るようになります。
建設業に関する様々な知識が身に付くことで、自身の成長を大きく感じることができるでしょう。
歴史的建造物や人気建築物に携わることが出来る
積算に関わらず、建設業に従事することで、様々な建造物や建築物に携わることができます。
後世に残る建物に携われることは、積算業務の大きな魅力の一つです。
積算業務に必要な資格はある?
積算業務を行う上で必須の資格はありません。
ただし、先述の通り、積算業務は非常に複雑で多くの知識が必要です。
故に、資格を取得し必要な知識を身に着けることで、スムーズに業務を行うことができます。
積算業務で使用できる主な資格は以下の通りです。
- 建築積算士
- 建築コスト管理士
- 建築積算士補
積算の資格に関する記事はこちら
積算業務を効率化するには
積算は、複雑かつ正確な計算を求められる業務です。
手作業だと、どうしても時間・手間がかかり、ミスが発生するといった問題があります。
ここでは、積算業務の課題と、その解決方法をみていきましょう。
積算業務の課題
積算業務は気を抜けば、どんぶり勘定になりがちで、正確かつ精緻に行おうとすれば、莫大な労力と時間がかかります。
積算や実行予算作成ミスによる過少見積もりはコスト増加に繋がってしまい、利益が出ないといった問題点もあります。
間違った数値入力、二重入力等のミスも発生しやすくなります。
また、慣れるまでに時間がかかり、属人化しやすいという課題もあるでしょう。
積算業務を効率化する方法
積算業務を効率化するには、どのような方法があるのでしょうか。
エクセルを活用
エクセルを活用して、積算を行うのも効率化する方法の一つです。
エクセルでは、関数などを利用して専用のブック・シートをつくり、積算に対応したファイルを作成することができます。
また、エクセルは多くの企業が既に導入しているものだと考えられます。
追加費用がほとんどかからないのは、大きなメリットでしょう。
一方、初期設定が大変だったり慣れるまでに時間がかかったりすることはデメリットです。
積算システムの導入
もう一つの方法は、積算システムの導入です。
積算システムは、積算に特化したシステムであり、積算に関わる多くの機能を備えています。
圧倒的に積算業務を効率化できることでしょう。
ただし、システムによっては、初期費用や月額利用料がかかることもあるため、要チェックです。
積算システムとは
積算システムとは、建設積算に特化したシステムのことを指します。
外注業者見積の積算への反映や、近接敷地複合工事の積算等、柔軟な積算を実現します。
設計書の取り込みから完成した設計書の印刷まで、建築工事の様式に合わせた幅広い業務のサポートを行うことが可能です。
積算システム導入のメリット
利益を確実に生み出すためには、正確で詳細な積算・見積をスピーディーに算出することが大切になります。
表計算ソフトで、積算・見積業務を行っている企業も多いですが、表計算ソフトで複雑な積算をするにはかなりの時間がかかり、現場の従業員にもある程度のスキルが求められます。
こうした問題を解決するのが建設業向けの積算システムです。
積算システムを導入すれば、これまで手作業で行っていた業務を自動化し、効率化できます。
また、複数のシステムの導入で、システム間でデータを連動させながらスムーズに業務を処理することも可能になります。
コスト管理を徹底し、競争力を向上させることは、建設業を取り巻く市場環境が厳しくなっていく中で、経営における重要なテーマです。
積算業務はITによるコスト管理が可能であるため、積算システムを導入して、市場に対応していくことが求められます。
積算システムの導入に関する記事はこちら
効率的な積算・見積作成が叶うシステムやソフトは?
積算業務はもちろん、見積の作成業務や積算・見積データの保管・整理に特化したシステムもあります。
例えば、見積管理システムや積算見積ソフト、業務フローを管理するワークフローシステムなどが例です。
見積管理システム・積算見積ソフト
積算・見積書の作成・発行・管理を、一元管理するシステムです。
統一フォーマットや入力フォームで、入力ミスや、形式のばらつきを防ぎ、素早く正確に積算・見積書の作成が可能になります。
システム上で一元管理することで、検索や共有、分析も簡単に行えるようになります。
これには、「オンプレミス型」と「クラウド型」があります。
オンプレミス型
オンプレミス型は、専用のパッケージを自社サーバーへインストールすることで利用できるシステムです。
それでは、オンプレミス型のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
- 自社サーバーを使うのでセキュリティの安全性が高い。
- ニーズに合わせたカスタマイズが可能。
- 既存システムとの連携がしやすい。
デメリット
- 導入コストが高い。(一度導入してしまえばランニングコストは抑えられる傾向にある。)
クラウド型
クラウド型は、インターネット上のサーバーを利用してシステムを利用することができるシステムを指します。
次にクラウド型のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
- 自社でサーバーを用意せずに利用できる為、初期導入費用が抑えられる。
- スマホやタブレットを使用し、外出先から見積書を作成・確認が可能。
- 自動でアップデートされる為、メンテナンスの手間がなく、いつでも最新機能を使うことができる。
デメリット
- インターネット上のサーバーを利用する為、情報漏えい等、セキュリティリスクに注意が必要。
- すでに社内で使っている既存システムとの連携ができないことがほとんど。
見積書は業界・業種ごとに必要な項目や見やすい形式が違います。
電気業、建築業、設備業など、業界ごとに特化した専用システムの利用もおすすめです。
また、販売管理や案件管理などあらゆる情報の一元化が可能であったり、書類ごとに商談情報の記録が出来るソフトなど、様々な特徴のソフトがあります。
さらに違いを詳しく見るならこちら
ワークフローシステム
ワークフローシステムは、業務の一連の流れや手続きを電子化して管理するシステムのことです。
例をあげると、積算・見積作成の場合、作成・申請・承認・保管といった流れがあり、それをシステムによってスムーズに実行し、一元管理します。
- 作成
形式や項目の統一化、入力チェック機能など - 申請
申請ルートや承認者の設定、自動判断機能など - 承認
申請者・承認者への通知機能、進捗状況の可視化など - 管理
保存、検索、分析機能など
一元管理をすれば、どの形式でつくるのか、誰にどのようなルートで申請するのかといったことに迷う必要がなくなります。
また、在庫管理や販売管理、会計システムなど、関連する業務のシステムと連携させられる製品も多数あります。
※積算システム – 企業29社の製品一覧とランキングはこちら
見積・積算ソフト導入に関連する記事はこちら
まとめ
建設業界における積算業務は、非常に重要な役割です。
正確かつ精緻に行う必要がありますが、それには莫大な労力と時間がかかります。
表計算ソフトで、見積・積算業務を行っている企業も多いですが、間違った数値入力、二重入力等のミスも発生しやすく、効率的とは言い難いでしょう。
積算について理解を深め、自社に合ったシステム・ソフト等の導入も検討してみてはいかがですか?
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