舗装施工管理技術者という資格をご存知でしょうか。
土木工事や舗装工事に携わっている方なら知っている資格だと思います。
この記事では、舗装施工管理技術者とはどんな資格であるのか、資格の内容や難易度、将来性などをご紹介します。
舗装施工管理技術者とは
舗装施工管理技術者とは、一般社団法人日本道路建設業協会が試験を実施し、認定を行っている民間資格です。
舗装工事に携わる技術者の技術や能力を適正に評価することを目的としています。
舗装工事を行ううえでは、一般的な土木工事とは異なる、舗装特有の専門知識や技術が求められます。
また、交通規制といった法令も知っておかなくてはなりません。
通行や車両の運行を止めての工事となるため、作業空間が制約されたり、スケジュールがタイトであったり、夜間の作業となるなど、作業環境にも制約があります。
制約の多い施工環境の中では、迅速かつ的確に対処できるノウハウと豊富な施工経験が欠かせません。
舗装施工管理技術者の資格があれば、こうした施工能力があることを示すことができ、より高い品質で安定した舗装工事の施工を提供することができます。
舗装施工管理技術者の仕事内容
舗装施工管理技術者の仕事内容は、勤務先や役職、職種によってさまざまです。
- 現場で自ら舗装施工に従事する
- 施工管理者や現場監督として現場の施工管理を行う
- 後進の指導を行う
などがあります。
舗装施工管理技術者になるメリット
舗装施行管理技術者になるメリットは、土木工事会社や舗装専門会社などへの転職に有利になることです。
また、勤務先でのキャリアアップにつながり、昇進や資格手当の付与など、昇給や待遇アップにつながるメリットもあります。
近年、国土交通省、地方自治体、公団が発注する公共工事の入札要件として、舗装施工管理技術者の在籍が要件となる場合も増えてきました。
資格を取得しておくと転職などに有利になり、自分が会社経営を行う際にも、公共工事の落札につながりやすく有利と言えます。
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舗装施工管理技術者の試験概要
舗装施工管理技術者には1級と2級があり、学歴や修了した学科によって求められる実務経験年数が異なります。
受験資格
受験資格として求められる実務経験年数は、級ごとに学歴や卒業した学科によって異なります。
各自の学歴等に合わせて、よく確認することが必要です。
1級の場合
- 指定学科(土木工学科・農業土木学科など土木系の学科)を専攻した大卒:実務経験3年以上
- 指定学科以外の大卒:4年6ヶ月以上
- 指定学科を専攻した短期大学卒:5年以上
- 指定学科以外の短期大学卒:6年6ヶ月以上
- 指定学科を専攻した高卒:8年以上
- 指定学科以外の高卒:11年6ヶ月以上
- 上記以外の場合:15年以上
- 技術士(建設部門)二次試験合格者:実務経験問わず
- 1級土木施工管理技術検定合格者:実務経験問わず
- 1級建設機械施工管理技術検定合格者:実務経験問わず
- 2級舗装施工管理技術者試験合格者:実務経験短縮
- 2級土木施工管理技術検定合格者:実務経験短縮
- 2級建設機械施工管理技術検定合格者:実務経験短縮
2級の場合
- 指定学科(土木工学科・農業土木学科など土木系の学科)を専攻した大卒:実務経験1年以上
- 指定学科以外の大卒:1年6ヶ月以上
- 指定学科を専攻した短期大学卒:2年以上
- 指定学科以外の短期大学卒:3年以上
- 指定学科を専攻した高卒:3年以上
- 指定学科以外の高卒:4年6ヶ月以上
- 上記以外の場合:8年以上
- 技術士(建設部門)二次試験合格者:実務経験問わず
- 1級土木施工管理技術検定合格者:実務経験問わず
- 1級建設機械施工管理技術検定合格者:実務経験問わず
- 2級土木施工管理技術検定合格者:実務経験問わず
- 2級建設機械施工管理技術検定合格者:実務経験問わず
試験形式
試験は、一般試験と応用試験があります。
一般試験は択一式で、試験内容は法規・舗装全般です。
応用試験は記述式で、試験内容は舗装全般です。
1級の試験時間は3時間、2級は2時間です。
試験科目
次に、試験科目について詳しく確認しましょう。
一般試験と応用試験に分けてご紹介します。
一般試験
一般試験の試験科目は、難易度は異なりますが、1級、2級ともに同じ科目です。
- 舗装工事に必要な法令
- 施工に必要な土木技術および設計図書に関する知識
- 設計・材料に関する知識
- 施工および補修に関する知識
- 施工計画の作成方法に関すること
- 工程管理、品質管理、出来形管理、安全管理といった施工管理
をはじめ、舗装全般から出題されます。
応用試験
応用試験の試験科目は、1級の場合、
- 舗装の設計、材料、施工、補修に関する問題への回答
- 施工現場における経験に基づく技術的な課題、実施した対策、結果
を記述する試験となっています。
2級の場合、
- 施工現場において経験したこと
- 設計、材料、施工方法、補修等について問われる課題
について、記述で回答することが必要です。
例年のスケジュール
試験の例年のスケジュールは、長期にわたっているので注意が必要です。
試験の実施は6月の第4日曜日ですが、願書の配布は例年1月中旬~2月中旬と半年ほど前になるので、機会を逃さないように注意しなくてはなりません。
願書の申請期間は2月上旬~中旬です。
試験は6月の第4日曜日の午前中に一般試験、午後に応用試験と1日で終わります。
合格発表は10月下旬と、少し後になります。
合格基準
合格基準は明確にされていませんが、学校の試験のように定員が決められているわけではありません。
そのため、点数が高い順ではなく、試験実施機関側で定められた合格点に達すれば合格できます。
受験手数料・試験会場
受験手数料は、一般試験と応用試験の両方を受験する場合、1級が15,000円、2級が8,000円です。
一般試験の免除を申請した場合、応用試験のみの受験手数料は1級が7,500円、2級が4,000円と半額になります。
試験会場は全国10都市で、札幌、仙台、東京、新潟、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、那覇と北から南まで網羅されています。
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舗装施工管理技術者の難易度や注意点
舗装施工管理技術者の難易度や注意点について確認しておきましょう。
合格の難易度
舗装施工管理技術者の試験を受験するにあたっては、基本的に独学となるので、施工経験を通じて豊富な知識や技術がないと難易度は高いかもしれません。
なぜかというと、試験主催団体からはテキストの販売がなく、団体主催のセミナーなどもありません。
正解や解がない、前年度の過去問だけが公開されるのみだからです。
特に指定学科の授業内容を履修されていない場合、現場で施工できる知識や技術が豊かでも、いざ試験問題として出題されると回答に悩むことがあるので注意が必要です。
資格の注意点
合格するだけでは資格は得られないので注意しましょう。
資格認定を受けるには、試験に合格した後、登録手数料の支払いなどの手続きが必要です。
登録手数料は1級・2級とも6,000円です。
また、一度資格を取得しても、更新しないと資格が失われてしまいます。
5年ごとに更新が必要となりますので、仕事で忙しい方も忘れずに更新を行っていきましょう。
舗装施工管理技術者の将来性
舗装施工管理技術者は、公共工事の入札時に国や自治体などの発注者から求められる場合が増えています。
公共工事を入札したい会社は多いので、資格保持者が求められており、将来性は高いです。
また、全国的に道路の老朽化による社会インフラ更新ニーズが増えているほか、災害復旧などのニーズも相次いでいます。
そのため、高品質な施工ができる舗装施工管理技術者の需要も高まっており、将来性は高いと言えます。
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まとめ
舗装施工管理技術者とは、舗装工事に携わる技術者の技術、能力を適正に評価することを目的とした民間資格です。
仕事内容は、舗装工事の現場で直接施工に従事することをはじめ、現場の施工管理や後進の指導などさまざまです。
近年、公共工事の入札要件として舗装施工管理技術者の在籍が要件となる場合もあり、資格を取得しておくと転職などに有利になります。
舗装施工管理技術者の試験には1級と2級があり、学歴によって求められる実務経験年数が異なります。
テキストの販売や団体主催のセミナーなどもないので、独学での学習が必要です。
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