建築業において、転職やキャリアアップに非常に有利になるのが、1級建築施工管理技士の資格を有していることです。
1級建築施工管理技士は、1級建築士と名前が似ていますが、1級建築施工管理技士の方が活躍できる幅が広く、1級建築士に比べると取得しやすい資格です。
この記事では、資格を取得したい人の為に、1級建築施工管理技士についてや、試験の内容や合格率、難易度まで解説します。
1級建築施工管理技士とは
建築施工管理技士とは、毎年行われている「施工管理技術検定」に合格した者のことを意味します。
建築施工管理技士には、1級と2級があり、施工管理職へのスキルアップや転職を考えている場合には取得がマストな資格といえます。
その中でも、1級建築施工管理技士は、管理できる工事の規模に上限がなく、大規模な工事に関わることができます。
2級建築施工管理技士は、主に中小規模の工事を担当することが多いので、1級建築施工管理技士になるとあらゆる分野で活躍できます。
人手不足が課題となっている建築業界では施工管理者も減少しており、この資格を有している人は貴重な存在で、需要も非常に高いです。
施工管理技士2級についての記事はこちら
1級建築施工管理技士の合格率・難易度
1級建築施工管理技士の合格率は、以下の通りです。
一次試験
| 年度 | 合格率 | 受験者数 | 合格者数 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 48.5% | 41,812 | 20,294 |
| 令和6年度 | 36.2% | 37,651 | 13,624 |
| 令和5年度 | 41.6% | 24,078 | 10,017 |
| 令和4年度 | 46.8% | 27,253 | 12,755 |
二次試験
| 年度 | 合格率 | 受験者数 | 合格者数 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 39.0% | 18,160 | 7,091 |
| 令和6年度 | 40.8% | 14,816 | 6,042 |
| 令和5年度 | 45.5% | 14,391 | 6,544 |
| 令和4年度 | 45.2% | 13,010 | 5,878 |
1次試験の合格率は、基本的に40~50%程度であり、比較的合格しやすい試験であると言えます。
但し、平成29年:39.7%、平成30年:36.6%、令和3年:36.0%、令和6年:36.2% と合格率が40%を切る年が稀にあります。
これらの年は、問題の難易度が高くなっている為、次年度で合格できる可能性もありますので、あきらめず挑戦しましょう。
また、近年、施工管理技士試験は全体的に難化傾向にあります。
特に「新しい受検資格」による若手受検者の増加と、それに伴う合格率の変動が変動しているため十分な学習が必要です。
1級施工管理技士の受験資格と区分
1級建築施工管理技士の資格を取得したいと考えている方にとって、試験の内容や難易度は気になるものです。
ここでは、試験の内容や合格率・難易度を解説していきます。
1級建築施工管理技術試験は、毎年6月に行われる第一次検定と、10月に行われる第二次検定に分かれています。
1級の試験は2級よりも出題範囲が広く、時間配分も異なります。
受検資格
1級建築施工管理技術検定の受検資格は、第一次検定(一次試験)と第二次検定(二次試験)で異なります。
新受検資格
- 第一次検定
令和6年度の制度改正により、学歴や実務経験の要件は撤廃されました。
そのため、「試験実施年度の年度末時点で19歳以上であること」の条件を満たせば誰でも受検できます。
(例:令和8年度に受検する場合
平成20年4月1日以前に生まれた方が対象となります。) - 第二次検定
第二次検定を受検するには、第一次検定に合格したうえで、一定の実務経験(特定実務経験)が必要です。
必要な実務経験年数は、最短1年~となっており、担当した工事の内容や立場によって要件が異なります。
経過措置(旧受検資格)
制度改正に伴い、令和10年度までの間は経過措置として旧受検資格による受検も可能です。
また、旧受検資格にもとづいて受検申請をした場合、令和6年度から令和10年度までの間に第二次検定を受検していれば、令和11年度以降も再受検者として第二次検定を受検できます(欠席者を含み、辞退者は除く)。
旧受検資格
旧制度では、最終学歴と実務経験年数によって受検資格が定められていました。

大学卒業者もしくは専門学校を卒業し、「高度専門士」の方の場合、3年もしくは4年6カ月以上の実務経験を有する方が受験可能です。
この場合指定学科卒業者の場合、3年以上の実務経験で受験が可能ですが、指定学科以外の卒業者は4年6カ月以上の実務経験が必要です。
また、短期大学卒業者や高等専門学校卒業専門者、または専門学校を卒業し「専門士」の方は、5年もしくは7年6カ月以上の実務経験が必要です。
この場合も指定学科卒業者なら5年以上の実務経験で受験可能であっり、それ以外の方は7年6カ月以上の実務経験を有することで受験可能です。
高校卒業者や専門学校卒業者の場合は10~15年以上の実務経験が必要です。
詳細は、「施工管理技術試験(一般財団法人 建設業振興基金)」のHPをご覧ください。
【令和3年度改正分】1級建築施工管理技士の受験資格が緩和
令和3年度の試験より、1級施工管理技士の受験資格が緩和されました。
これまでは、学科試験と実地試験という2種類の試験で構成されていましたが、学科試験が「第一次検定」、実地試験が「第二次試験」へと名称が変更になりました。
さらに、これまでは二級施工管理技士の合格者は資格取得後5年間の実務経験がないと1級の試験を受けることはできませんでしたが、これが不要となり、次の年から1級を受験することが認められました。
ただし、これは第一次検定を受験する場合のみなので、第二次検定を受験する場合は合格後5年以上の実務経験が必要になります。
また、第一次検定を合格した者に、新資格である「技士補」が与えられます。
技士補に関してはこのあと詳しく解説します。
第一次検定
第一次検定は、午前の部2時間30分、午後の部2時間で構成されています。
第一次検定は基本四肢択一ですが、令和3年度の改正で五肢択二の問題も登場しました。
この部分は、従来の実地試験で出題されていた能力問題で、記述式だったものが五肢択二の解答形式になり第一次検定(学科試験)追加されています。
形式はマークシート方式で、合格基準は「全体の得点60%以上」かつ、「施工管理法(能力問題)の得点60%以上」です。
配点は1問1点です。
全体で60問・施工管理法(能力問題)6問の中、全体で36問以上の正解かつ施工管理法(能力問題)で4問以上の正解があれば合格となります。
第一次検定の試験内容は以下の通りです。

第二次検定
第一次検定は、**午前の部(2時間30分)と午後の部(2時間)**の2部構成です。
解答形式はマークシート方式で、現在は次の2つの形式で出題されています。
- 四肢択一(4つの選択肢から1つを選ぶ)
- 五肢択二(5つの選択肢から2つを選ぶ)
五肢択二の問題は、従来の実地試験で出題されていた能力問題を整理し、施工管理法(能力問題)として第一次検定に組み込まれたものです。
合格基準
第一次検定の合格基準は以下の通りです。
- 全体の得点:60%以上
- 施工管理法(能力問題):60%以上
配点は1問1点で、問題数は以下の通りです。
- 全体:60問
- 施工管理法(能力問題):6問
そのため、目安としては
- 全体:36問以上正解
- 施工管理法(能力問題):4問以上正解
で合格となります。
なお、合格基準は原則60%ですが、年度によっては問題の難易度に応じて補正(調整)が行われる場合があります。
第二次検定の試験内容のまとめは以下の通りです。

【新資格】1級建築施工管理技士補とは

令和3年の制度改正により、第一次検定に合格した人に「1級建築施工管理技士補」の資格が与えられるようになりました。
技士補は、監理技術者を補佐する「監理技術者補佐」として現場に配置することができます。
技士補を配置することで、監理技術者は一定の条件のもと複数の現場を兼任できる場合があります。
また、第一次検定に合格するだけで資格として活用できるため、
- 現場で施工管理の実務を担当できる
- 第二次検定のみ受験すれば1級施工管理技士を取得できる
といったメリットがあります。
このように、人手不足が深刻な建設業界に対応するために創設された新しい資格制度が、1級建築施工管理技士補です。
施工管理についての記事はこちら
1級建築施工管理技術検定の試験概要
1級建築施工管理技術検定の試験概要について説明します。
試験日程
| 願書販売開始 | 令和8年1月30日(金) | |
| 申請受付期間 | 令和8年2月13日(金)~ 令和8年2月27日(金)まで ※第一次検定のみの受検申請に限り 4月7日(火)まで (※1) | |
| 試験日 | 一次 | 令和8年7月19日(日) |
| 二次 | 令和8年10月18日(日) | |
| 合格発表 | 一次 | 令和8年8月25日(火) |
| 二次 | 令和9年1月8日(金) | |
試験地
札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・沖縄
※会場確保の都合上、やむを得ず近郊の府県等で実施する場合があります。
受験料
| 第一次検定 | 12,300円(非課税) |
| 第二次検定 | 12,300円(非課税) |
詳しくは、施工管理技術検定のHPをご覧ください。
その他の施工管理技士に関する詳しい記事はこちら
1級建築施工管理技士を取得するメリット
1級建築施工管理技士を取得することで、どのようなメリットを受けることができるのでしょうか。
ここでは、資格取得による主なメリットを2つ紹介します。
監理技術者になれる
一件の請負金額が3,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上の工事では、現場に専任の監理技術者を配置する必要があります。
1級建築施工管理技士の資格を保有していると、この監理技術者になることが可能です。
監理技術者の仕事内容は、
- 施工計画の作成
- 工程管理
- 品質管理
- 安全管理
- 技術的な管理
- 現場の職人の指導
など、現場全体を統括する重要な役割を担います。
また、近年は建設業界の残業時間上限規制(いわゆる2024年問題)への対応も求められており、現場の管理体制を効率化することが重要になっています。
そのため、施工管理の知識を持つ有資格者は、DXの導入や働き方改革を進める中心的な存在としても期待されています。
1級建築施工管理技士を取得することで、監理技術者としてキャリアアップできるだけでなく、会社にとっても重要な人材として評価される可能性が高くなります。
転職に有利
1級建築施工管理技士の資格は、転職に有利です。
建設業全体で人手不足の中、特に監理技術者は高齢化もあいまって深刻な人手不足に悩まされています。
特に若手の1級建築施工管理技士は高いニーズがありますが、50代後半や60代でも実務経験を積んでいれば十分転職に有利に働きます。
会社にとっても、施工管理技士が会社に多いほど入札に有利になるなどメリットがあるので、常に求められている存在です。
リフォーム業で役立つ資格はこちら
1級建築施工管理技士に関するよくある質問
- 合格するための勉強時間はどれくらい必要ですか?
-
個人差はありますが、一般的には以下が目安です:
- 実地試験: 200~300時間(経験記述の対策が重要)
- 学科試験: 300~400時間
- どんな教材や勉強方法がおすすめですか?
-
- 過去問を繰り返し解く(10年分以上)
- 市販のテキスト・問題集を活用
- 通信講座やオンライン講座の受講
- 実地試験では、経験記述の添削サービスを利用するのも有効
- 1級と2級の違いは何ですか?
-
- 1級: 大規模工事や公共工事に対応可能。監理技術者になれる。
- 2級: 主に中小規模の工事対象。主任技術者になれるが制限あり。
まとめ
1級建築施工管理技士は、建築業界でキャリアアップや転職を目指すうえで非常に価値の高い国家資格です。
取得することで、大規模工事の現場を統括する監理技術者として活躍でき、企業からの需要も高まります。試験は第一次検定と第二次検定の2段階で実施され、合格率はおおよそ40%前後となっています。
制度改正により、第一次検定に合格すると1級建築施工管理技士補の資格が与えられ、監理技術者補佐として現場で経験を積むことも可能になりました。
人手不足や働き方改革が進む建設業界では、施工管理の知識を持つ有資格者の重要性が高まっています。
将来のキャリアアップや転職を考えている方は、ぜひ取得を目指してみてください。
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