営業活動に心理学の知識を取り入れて、高い成果を得たい!と考えておられる方はたくさんいらっしゃいますよね。
今回は、日常生活やビジネス現場で役に立つ「初頭効果」を紹介します。
初頭効果とは
初頭効果(しょとうこうか)は、最初に提示されたイメージや情報がインパクトとして記憶に残る効果のことです。
例えば、誰かが「私は熱心な読書家で、ミステリー小説が大好きです」と最初に言った場合、その人は「知的で文学好き」という印象を強く残します。
「第一印象がその後の印象を左右する」という言葉をよく耳にしますが、これも初頭効果の一つです。
初頭効果とアンカリングの違い
アンカリングとは、最初に与えられた基準(アンカー)がその後の判断に強く影響を与える現象です。
人は初めに見た情報や数値を基準として、それをもとに後続の情報を判断する傾向があります。
最初の提示が基準点として働くため、後の判断がその基準に引き寄せられます。
初頭効果に対してアンカリングは、数値的な情報に基づいて、被験者の”基準”に影響を与えるものです。
初頭効果 | 順番に関するバイアスであり、最初に受け取った情報や印象がその後の判断に大きな影響を与えるものです。 |
アンカリング効果 | 特に数値的な情報に基づき、最初に提示された基準がその後の判断に強く影響を与えるものです。 |
初頭効果と親近効果の違い
親近効果とは、最後に提示された情報がその後の評価に強く影響を与える現象です。最新の情報や出来事が最も記憶に残り、その後の判断や評価に大きな影響を与えることがあります。
初頭効果に対して親近効果は、影響を与えるのが最後の出来事や情報であり、タイミングが異なります。
初頭効果 | 最初に得た情報がその後の評価や判断に強く影響を与える |
親近効果 | 最も最近得た情報や印象がその後の評価に大きな影響を与える |
ソロモン・アッシュによる初頭効果の実験
初頭効果は、ポーランド出身のゲシュタルト心理学者ソロモン・アッシュが行った印象形成に関する研究実験で提唱されました。
ゲシュタルト心理学とは
数ある心理学派のひとつで、のちに「社会心理学」「認知心理学」等に派生していく全体主義学派。
初頭効果の実験方法
1946年に印象形成の研究実験を行ったアッシュは、「まったく同じ特性」を持った二人のキャラクター(AさんとBさん)を用意して、被験者に提示して受ける印象を調べました。
印象形成とは、他者に対する情報(見た目、言動、行動、態度など)を基にして、その人に対する印象や評価を作り上げる心理的なプロセスを指します。
知的・勤勉・衝動的・批判的・頑固・嫉妬深い
これら6つの特性を持った二人のキャラクターです。
それ以外の特性で印象が判断されてしまっては困るので、写真や声、出身などほかの情報は一切提示していません。
唯一違ったのは、この二人のキャラクターの印象を紹介する順番が全く逆であるということです。
一人目(Aさん)
- 知的
- 勤勉
- 衝動的
- 批判的
- 頑固
- 嫉妬深い
二人目(Bさん)
- 嫉妬深い
- 頑固
- 批判的
- 衝動的
- 勤勉
- 知的
その結果、提示する順番を変えただけなのに、被験者はAさんに対しては良い印象、Bさんに対しては悪い印象を抱きました。
このことから、「人は、最初に与えられた情報が最も残りやすい」ということが分かります。
初頭効果をビジネスに応用する方法
初頭効果はビジネスにおいても応用可能です。
今回は「営業」「マーケティング」においての初頭効果の応用方法をご紹介します。
営業における初頭効果
初頭効果は、要するに「第一印象のつき方」です。
第一印象を良いものにすることができれば、お客様にとって良い気持ちで営業と接してくれることが期待できます。
逆に、第一印象で嫌われてしまった場合には、それを挽回するのは難しい・・・ということもできるでしょう。
はじめてお客様と接触するタイミングでいかに良い印象を最初に与えられるかが重要です。
それは対面だけでなく、メール、電話など「一番最初の接触」を大切にしましょう。
「一番最初の接触」という意味でいうと営業だけで対応しきれるものではないかもしれません。
お問合せくださったWebページや、最初に対応した窓口担当者の印象も営業へ抱く印象の材料になるかもしれない点には注意が必要です。
マーケティングにおける初頭効果
マーケティングにおける初頭効果の事例として、商品の広告で最初に「業界初」や「革新的技術」といったインパクトのあるフレーズを使用することがあります。
このような言葉で始めることで、消費者はその製品に強い印象を持ち、その後の特徴や利点がより魅力的に感じられる傾向があります。
初頭効果の注意点
この章では初頭効果の注意点について解説します。
最初の印象に過度に依存しない
初頭効果は最初に提示された情報が強く記憶に残りやすいですが、その後の情報が反映されにくくなる可能性もあります。
最初の印象が必ずしも正しいとは限らないため、他の情報をしっかり考慮することが重要です。
特に、誤った初印象に基づいて判断を下さないよう注意しましょう。
最初の情報の質を慎重に選ぶ
最初に提示する情報は、その後の判断に大きな影響を与えるため、質が高く、相手にポジティブな印象を与える内容を選ぶことが大切です。情報が不完全または誤解を招く内容だと、その後の印象形成にも悪影響を及ぼすことがあります。
一貫性を持たせる
初頭効果を活用する場合、最初に提示した内容がその後の情報と矛盾しないようにすることが重要です。
最初に強調したポイントや印象が後に反映されない場合、信頼性が低く見られる可能性があります。
情報の過剰提供を避ける
最初に提示する情報が多すぎると、焦点がぼやけてしまい、逆に注意を引けなくなることがあります。
重要なポイントを絞り、相手が記憶しやすいように伝えることが重要です。
ターゲットに合わせたアプローチ
初頭効果はすべての状況において有効とは限りません。
ターゲットの性格や状況に応じて、最初に伝えるべき情報を選び、初印象を良くするための戦略を練る必要があります。
特に慎重な判断が求められる場面では、過度に初印象に頼らないほうが良い場合もあります。
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まとめ
今回は、「初頭効果」について紹介しました。
初頭効果はあくまで第一印象を司る提唱です。
ご存知の通り第一印象は「偏見」にもなり得ます。
(上記で紹介した実験でも、順番が異なるだけでAさんBさんは同じ特性を持っていたはずです)
つまり、初頭効果だけを意識して活動すればいい訳ではない
ということを忘れてはいけません。
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