「見積を作るならそれ専用のソフトを使う方がいい」
「見積作成のソフトなら○○」
今ではこのような記事が数多く存在しています。
では逆に、見積をエクセルで作ることの何が良いのか、何が悪いのか。
今回はそれについてご案内していこうと思います。
エクセルで見積を作る際に気を付ける事
今現在、社内外問わず、建築見積ソフトや見積管理システムを入れていないリフォーム企業の方々の多くは、エクセルで見積書を作っているかと思います。
その際に気を付けていることは何でしょうか。
変動する工事原価や工事金額
「工事業者によって変わる原価」「作業内容によって変わる工事金額」など金額面には特に注意が必要です。
もしそれをエクセルで分かりやすく作ろうと思うと、VLOOKUP関数やIF関数、もしくはマクロなどの専門知識が必要になります。
上記のような関数やプログラムを使用せず、アナログで対応する場合は、業者別の単価表を見ながら打つという方法ですが、非常に非効率で属人化する原因にもなります。
見積の見やすさとわかりやすさ
あとあとになって、お客様から「見積書のここのことなんだけど何のことか分からない・・・」というような問い合わせが来てしまっては、お客様からの信頼も得られず、説明のために時間のコストを使ってしまう事になってしまいます。
「お客様が分かりやすい見積」「お客様との約束がしっかりと書かれている見積」を作成するようにしなくてはいけません。
見積書の作成方法はこちら
エクセル見積で出来る事とデメリット
エクセルで見積を作っていく際に一番起こりやすいのは「人的ミス」です。
エクセルの熟練度別にどのようなことが起こりうるのかを挙げていきます。
エクセル レベル1
まずはエクセルで出来る初歩的な機能をご紹介します。
出来る事:誰でも見積書を簡単に作れる
先ほど書いたように一番アナログな手段としての「単価表を持ちながら見積書を作っていく」というやり方での作成方法であれば、誰でも簡単に見積書を作成することができます。
工事内容を書いて㎡数や工数、単価を入れ、金額部分に「=㎡数×単価」を入れたら完成です。
また上記のような簡易的な見積であれば、様々な企業が見積書テンプレートを提供しています。
デメリット:見積の紛失やデータを上書きしてしまう恐れがある
このやり方をされている会社の多くは、見積書に関してもシートを分けて保存していたり、印刷して紙媒体で保管していたり、というような管理の仕方が一番多いと思います。
この際に問題になってくるのは、見積の紛失やデータの上書きをしてしまう事でしょう。
紙媒体で保管していた場合、営業パーソンが持ち出ししていて紛失してしまった、顧客が紛失してしまった際に、もし保存が出来ていなかったり間違った金額で保存してしまっていたら、トラブルになりかねません。
工事に関する書類をエクセルで作成するならこちら
エクセル レベル2
次も初歩的な操作でできますが、見積作成がより便利になる方法をご紹介します。
出来る事:工事業者ごとの単価を反映させて見積を作る
次は、単価表をエクセル自体に保管し、その表から見積書へデータを引き込む方法です。
「工事単価表」のシートに工事業者ごとの単価を入れ、「塗装見積」や「クロス見積」「台所リフォーム」などの工事内容ごとのシートで見積書を作り、業者を選んでVLOOKUP関数やIF関数を使って見積書へ単価を反映させて作っていくやり方です。
こうすることで、「単価表を持ち歩く」ことが必要なくなります。
デメリット:違う業者の単価で見積を渡してしまう恐れがある
この際に、会社にとって大きなトラブルになることは、「安い業者に高い業者の単価で作業依頼書を渡してしまう」ということです。
顧客へ出す見積と同時に、業者へ作業依頼の見積を作られている方が多いと思います。
その際に、正しい金額で正しい業者に見積を出せていれば問題はありませんが、間違えた場合、業者からの信頼が下がり、業者離れに繋がってしまいます。
エクセル レベル3
ここでは、プログラミングを活用した見積作成方法です。エクセルを使いこなすことで次のようなことができます。
出来る事:お客様・工事業者ごとにPDFで保存
これはエクセルのマクロを使って自動的にPDFを保存する方法です。
ここまで使いこなせる人は少ないように思いますが、勉強すればネット上にも例文はあるので一日でもこのマクロは組むことが出来るでしょう。

VBA初心者ならこちらの記事がおすすめ
このようなVBAを組むことでPDFへ出力して保存していくことが出来ます。
デメリット:マクロの変更が出来ない、PDFを探すのが大変
この際に起こりうるのがマクロの変更ができない、またPDFを探すのに時間がかかるという問題です。
マクロの組み方が少しでも違っていたり、見積書の項目などに変更部分が出てきた時に、マクロをその都度直していかないといけないという労力が出てきます。
また、お客様から見積に対しての問合せが来た時に「このお客様の見積はここに保存してあるから」というように瞬時に見積を出すことが出来ればいいのですが、顧客が増えればそれも難しくなってきます。
営業パーソンごとにパソコンでPDFを保存していて、会社への電話では他の人が探しきれない、営業パーソンへの電話でも、社内にいないためすぐに答えられないという事が起こり、顧客満足度の低下につながってしまいます。
エクセルでの見積管理を効率化する方法
Excelを使えば柔軟にカスタマイズできますが、管理方法がバラバラだと入力漏れや集計ミス、ファイル探しに時間を取られることも少なくありません。
ここでは、エクセルでの見積管理を効率化するための具体的な方法を3つの視点からご紹介します。
これらを実践すれば、作業時間の短縮はもちろん、見積精度や情報共有の質も大きく向上します。
テンプレートと入力ルールの統一
見積書の書式や項目が担当者ごとに異なると、後から集計や比較を行う際に手間が増えます。
まずは、会社全体で統一したExcelテンプレートを作成しましょう。
項目名(顧客名、工事名、見積日、金額など)は固定し、必須項目には「入力規則」を設定して入力ミスや漏れを防ぎます。
金額は数値形式、日付はカレンダー入力にすれば作業がスムーズにできます。
さらにテンプレート化により、新人や外注スタッフでも短時間で正確な見積を作成でき、管理業務の負担を大幅に軽減できます。
一覧管理シートで案件を一元化
見積書を個別ファイルで保存すると、探すのに時間がかかり、最新データの確認も面倒です。
これを防ぐために、「一覧管理シート」を用意し、案件番号、顧客名、工事名、見積金額、提出日、ステータス(提出済・受注・失注)をまとめて記録します。
Excelのフィルター機能や並べ替えを使えば、条件に合う案件だけを瞬時に抽出可能です。
さらに条件付き書式を使って期限が近い案件を赤く表示するなど、進捗状況を視覚的に把握できます。
一覧化することで、見積管理が格段にスピーディになります。
自動化と共有で作業時間を短縮
Excelは関数やマクロを活用することで、見積作成や集計を自動化できます。
例えば、消費税計算や小計は数式で自動反映させ、案件一覧からワンクリックで見積書を作成するマクロを組めば、手作業の時間を大幅に削減可能です。
また、ファイルをExcel OnlineやGoogleスプレッドシートに変換してクラウド共有すれば、複数人で同時編集ができ、リアルタイムで最新情報を確認できます。
共有ルールとファイル命名規則を決めることで、社内外の情報共有もスムーズに行えます。
エクセル で作る事のメリット・デメリット
上に様々なエクセルでの見積の作り方を書いていきましたが、簡潔にメリット・デメリットを挙げるとすると、
メリット | デメリット |
---|---|
誰でも見積が作れる。 (出来る人であれば)見積もり作業は軽減できる。 | エクセルの成熟度の高い人に依存しがち。 作業の属人化の可能性が高まる。 |
こういったところが挙げられると思います。
その他、もしエクセルのデータ自体が何かしらの原因で消えてしまった場合に、また1から作り直さないといけない、という点もあり得ます。
つまり、「どうしてエクセルでも出来るのにわざわざ見積管理システムや建築見積ソフトを導入するのだろう?」という問いには「個人の技術に依存してしまわないように、誰でもスピーディに高品質な見積が作れる環境を構築する為にシステムが必要」という答えになります。
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まとめ
エクセルで見積を作ることは、機能的に言えば何の問題もないと思います。
エクセルは今では社会人であればほとんどの人が触ったこともありますし、
使う人数も多い分、ネット上に使い方のレクチャーをしてくれるサイトも多いでしょう。
ただ、社内全ての人が同じレベルで見積を作成できてデータの管理を出来るとは限りません。
誰でも簡単に、見積作成ができるのが建築見積ソフトを始めとするシステム導入のいいところです。
今一度、社内の見積管理や見積作成の仕方を見直していくのも、今後の会社の発展に必要不可欠と言えるでしょう。
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