電話やインターネットなどのインフラは、現代人の生活に欠かせないものとなりました。
それに伴い、電気通信工事の需要が増えています。
電気通信工事への理解を深めたいという方、電気通信工事の仕事に携わりたいと考えている方もいるかもしれません。
そこで、本記事では、電気通信工事の概要や主な種類、電気工事との違いなどの基本情報を解説します。
また、電気通信工事に携わるために必要な資格もいくつかご紹介します。
電気通信工事とは
電気通信工事は、電話、テレビ、インターネットなどの情報通信設備に関する工事のことです。
わかりやすい工事例は、防犯カメラやテレビアンテナなどの設置工事、光ケーブル敷設工事などです。
さらに、データ通信設備工事や電気通信機械設置工事、電気通信線路設備工事、放送機械設置工事、空中線設備工事、情報制御設備工事、TV電波障害防除設備工事などが該当します。
ちなみに、保守は電気通信工事には含まれていません。
国土交通省の建設業許可事務ガイドライン上には、保守について以下のような記載があります。
②既に設置された電気通信設備の改修、修繕又は補修は『電気通信工事』に該当する。
なお、保守(電気通信施設の機能性能及び耐久性の確保を図るために実施する点検、整備及び修理をいう。)に関する役務の提供等の業務は、『電気通信工事』に該当しない。
電気工事との違い
電気通信工事と似たような言葉としては、電気工事があります。
両者の違いがよくわかっていないという方もいるかもしれません。
電気工事は、電気を通す工事のことです。
大まかに分けると、建築電気工事や鉄道電気工事などの分野があります。
建築電気工事は、住宅やビルなどの建物を対象した工事です。配線工事、空調の設備工事などを行います。
鉄道電気工事は、電車を対象とした工事です。
変電設備工事、線路工事、駅の電気設備、点検などを行います。
ちなみに、国土交通省が示している電気工事の例示は、以下の通りです。
- 発電設備工事
- 送配電線工事
- 引込線工事
- 変電設備工事
- 構内電気設備(非常用電気設備を含む)工事
- 照明設備工事
- 電車線工事
- 信号設備工事
- ネオン装置工事
このように、電気工事は範囲が広く、発電、変電、配電、保守などさまざまな工事や作業が含まれます。
一方、電気通信工事では、インターネットや映像などの情報をやりとりする通信設備の工事が中心であり、保守は基本的に行いません。
また、電気通信工事と電気工事では、取り扱う電力の大きさが異なることも大きな違いです。
電気工事に関連する記事はこちら
電気通信工事の種類
電気通信工事には、いろいろな種類があります。
ここでは、代表的な工事を取り上げてご紹介します。
LAN工事
LAN工事は、パソコン、プリンタ-やFAXなどのOA機器、セキュリティ機器などを接続して、ネットワーク環境を構築する工事のことです。
Wi-Fi設置工事、LANケーブル配線工事なども行います。
携帯電話基地局工事
携帯電話基地局工事は、スマートフォンや携帯電話などのモバイル端末を利用できるようにするための工事のことです。
建物の屋上などへ携帯電話基地局設備を設置することや改修工事、現地調査、伝送対向試験などを行います。
放送設備工事
放送設備工事は、非常放送、緊急放送、一般業務放送などといった放送設備の工事のことです。
音響機器、AV機器設備などの工事も行います。
テレビ共聴設備工事
テレビ共聴設備工事は、テレビを視聴できるようにするために執り行う工事のことです。
ケーブルの引き込み、テレビアンテナの設置、地デジ受信設備工事、電波の共同受信施設の構築などを行います。
設備機器の設置工事
設備機器の設置工事は、弱電設備機器を設置する工事のことです。
インターホンや防犯カメラなどの機器が正常に動作するように作業を行います。
電気通信工事の資格
最後に、電気通信工事の仕事をするうえで役に立つ資格をいくつかご紹介します。
工事担任者
工事担任者は、公衆回線やCATVの通信回線などの工事が行える国家資格です。
第二級や第一級などの等級のほかに、アナログ通信、デジタル通信、総合通信などに分かれています。
工事担当者と名前が似ていますので、間違えないように気を付けましょう。
第二級アナログ通信
第二級アナログ通信は、アナログ伝送路設備や総合デジタル通信用設備などに端末設備を接続する工事が行える資格です。
ただし、第二級では、総合デジタル通信回線の数が基本インターフェースで1のものに限る、端末設備に収容される電気通信回線の数が1のものに限るといった制限が設けられています。
第一級アナログ通信
第一級アナログ通信は、アナログ伝送路設備や総合デジタル通信用設備などに端末設備を接続する工事が行える資格です。
試験では、電話機、ボタン電話装置、PBX、ISDNの端末機器に関する問題が出題されますため、幅広く勉強しておかなくてはなりません。
第二級デジタル通信
第二級デジタル通信は、デジタル伝送路設備に端末設備等を接続する工事が行える資格です。
接続点のデジタル信号の入出力速度が毎秒1ギガビット以下、かつインターネット接続回線に係るものに限られるといった制限があります。
第一級デジタル通信
第一級デジタル通信は、デジタル伝送路設備に端末設備を接続する工事が行える資格です。
総合デジタル通信用設備については該当しません。
試験では、IPボタン電話装置やIP-PBXに関する問題が出題されるため、難易度はやや高めです。
総合通信
総合通信は、工事担任者としてすべての工事を請け負える資格です。
この資格を保有していれば、デジタル伝送路設備やアナログ伝送路設備などに端末設備を接続する工事が行えます。
電気通信主任技術者
電気通信主任技術者は、事業用電気通信設備の監督者になれる国家資格です。
伝送交換主任技術者と線路主任技術者の2つの種別があり、監督できる設備の範囲が異なっています。
伝送交換主任技術者は伝送交換設備やそれに付随した設備の工事の監督を担当、線路主任技術者は線路設備やそれに付随した設備の工事の監督を担当します。
ちなみに、事業用電気通信設備工事では、電気通信主任技術者を選任することが法律で定められているのです。
この資格を保有しておけば、電気通信工事の現場で重宝されることでしょう。
電気通信主任技術者の国家試験には受験資格が設けられていないため、どなたでもチャレンジしやすい資格と言えます。
電気通信工事施工管理技士
電気通信工事施工管理技士は、2019年度から始まった比較的新しい国家資格です。
この資格保有者は、電気通信工事で発生する工程管理、品質管理、原価管理、安全管理な度といった業務に、主任技術者や専任技術者などの立場で携わることができます。
電気通信工事施工管理技士には、1級と2級の2種類の等級があります。どちらの等級も、仕事内容はほぼ一緒ですが、従事できる現場が異なります。
2級では一般建設業のみでしか働けませんが、1級の資格保有者は、一般建設業のほかに、総額4,000万円以上の工事を請け負う特定建設業でも仕事ができます。
試験は、1級と2級のどちらも第一次検定と第二次検定があります。
受験する際には、実務経験年数が問われるため、まずは現場で十分な経験を積んでおかなくてはなりません。
受験を検討されている方は、一般財団法人全国建設研修センターの公式サイトで詳細を確認してみてください。
電気通信施工管理技士に関する記事はこちら
まとめ
ここまで、電気通信工事の概要や種類、関連する資格などをお伝えしてきました。
電気通信工事は、電話やインターネットなどの情報通信設備に関する工事のことです。
LAN工事、携帯電話基地局工事、テレビ共聴設備工事などのようにいろいろな種類があります。
電気通信工事の仕事に携わるためには、高度な専門知識や技術が必要です。
この仕事を極めたいと思っている方は、電気通信工事施工管理技士、電気通信主任技術者、工事担任者などの資格取得を目指してみると良いでしょう。
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