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見積書における端数処理とインボイス制度における注意点

見積書における端数処理とインボイス制度における注意点

見積書を作成する際、消費税などの関係で1円に満たない端数が出ることがあります。

そこで今回は、端数はどのように処理をすれば良いのかを解説していきます。
また、新たに導入されたインボイス制度における注意点も見ていきましょう。

目次

財務省による端数処理の決まり


見積書で消費税込みの税込価格にした場合、端数が出たらどのように処理すれば良いのでしょうか。

見積書の総額表示は必要?

財務省では消費税における総額表示方式の導入に伴い、総額表示に関する主な質問に以下のような回答をしています。

まず、総額表示の義務付けは、不特定多数の者に対する値札や広告などにおいて価格を表示する場合を対象としており、見積書や契約書、請求書等は総額表示義務の対象とならないです。
ただし、広告やホームページなどで、見積例として不特定多数にあらかじめ価格を表示する場合は総額表示が義務付けられます。
参照元:財務省「総額表示に関する主な質問」

つまり、見積書では総額表示が義務付けられません。
しかし、見積り例を事前に表示している場合は総額表示の記載義務があります。
また、記載義務がない見積書でも見積額には消費税込みの合計額を記載することは商慣習的に多いため、端数処理が必要な場合が多いといえます。

端数処理の方法

では、実際に端数処理が必要になった場合はどのようにしたらよいのでしょうか。
財務省は次のように回答しています。

「税抜価格」に上乗せする消費税相当額に1円未満の端数が生じる場合がありますが、その端数をどのように処理 (切捨て、切上げ、四捨五入など)して「税込価格」を設定するかは、それぞれの事業者のご判断によることとなります。
引用元:財務省「総額表示に関する主な質問」

つまり、事業者が行いやすい方法で、切り捨て、切り上げ、四捨五入の処理を行えば良いということです。
しかし、決まりがないとかえって困るものです。
見積書ごとに端数処理の方法がバラバラになれば、営業現場では混乱をきたします。
会社内で端数処理のルールを定め、どの担当者が見積書を作成しても、同じ方法で行うようにしましょう。

後ほど解説しますが、インボイス制度においては端数処理の方法が定められているため、注意してください。
一つのインボイス(適格請求書)につき、税率ごとに一回の端数処理と決められています。

取引先と端数処理の方法を揃える


上述した通り、財務省によれば、請求書の端数処理の仕方は各事業者に任せるとのルールです。
そのため、自社は切り上げなのに取引先は切り捨てなど、違うルールで運用されるケースも生じます。
取引先に何の説明もなく、自社のルールで処理を行うと、計算が合わない、消費税額が多すぎるといったクレームにつながる可能性があります。

特に建設・建築業の場合、金額が高額になることが多く、端数の処理方法(切り捨て・切り上げ・四捨五入)によって金額に差が出ることが多々あります。
従って、端数が発生する場合は契約時に取引先と端数の処理方法について相談し、方法を決めておくと良いでしょう。

端数処理を一目で確認できる建築見積ソフトの活用もおすすめです。

インボイス制度における端数処理


事業者にとって非常に重要な制度である「インボイス制度」が近いうちに施行されます。
この章では、インボイス制度とは何か、制度施行後端数処理が発生した場合、どのように対処したらよいのかをご紹介します。

インボイス制度とは

インボイス制度は2023年10月1日から実施が義務付けられる、適格請求書等保存方式と呼ばれるものです。
2019年10月1日から標準税率は10%、酒類・外食を除く飲食料品などについては軽減税率8%が適用されました。
建設業の請求書で軽減税率が適用されるケースはほぼ考えられませんが、取引全般において複数の税率が存在する請求書が存在するケースが生じることになります。

そこで、請求書の表示で税区分を明確にするためにインボイス制度が導入されることになりました。
インボイス制度で売主は、(消費税の納税者となる)買主から求められた場合、インボイス(適格請求書)を発行する義務を負います。
そして、買主は消費税の仕入れ税額控除のために、受け取ったインボイスを一定期間保存しなければなりません。

適格請求書の必要項目

インボイス制度では従来の請求書項目に加えて、「適格請求書発行時業者の登録番号」や「軽減税率の対象品目である旨(※などの記載)」を設ける必要があります。
加えて「税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)および適用税率」、「税率ごとに区分して合計した消費税額等(消費税額および地方消費税額の合計額)」の記載も必要です。

適格請求書で端数処理が必要な場合

国税庁の適格請求書等保存方式の概要によれば、インボイス制度において消費税の端数処理が必要な場合「まとめて1回で行う」とされています。
つまり、消費税が一律である場合は、資材や工賃などの項目ごとに端数処理を行う方法ではなく、合計金額に対して端数処理を行います。
ただし、1回の請求で税率が混在する場合は、税率ごとに1回ずつ端数処理を行ったうえで合算します。

まとめ

見積書を作成する際、消費税などの関係で1円に満たない端数が出た場合、財務省によれば、自社によって処理方法を決めても問題ありません。
端数の処理方法としては、主に切り捨て、切り上げ、四捨五入があります。

ただし、担当者ごとに処理方法にばらつきがないよう自社でルールを決めておきましょう。
インボイス制度が導入された請求書では、一つのインボイスごとに端数処理は1回だけまとめて行います。
取引先と端数処理の仕方について同意しておきましょう。

また端数処理は、Excelや手計算で行うとミスが発生することが多々あります。
このような場合は、「建築見積ソフト」を始めとするシステムを利用すると良いでしょう。
建築見積ソフト」には、システム上で一律で決められているものから顧客情報ごとに設定できる柔軟なものまで様々です。事前によく調べて導入するようにしましょう。

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