窓をはめ込む枠のことを指す「サッシ」は、窓とは違い、断熱効果や耐火性、結露などに関係ないと思っていませんか。
サッシの素材によって、これらの効果が変わることがあります。
また、知られていないサッシにはほかにも様々な役割があります。
そこで今回は、サッシの素材の種類やその特徴、取り扱い業者をご紹介します。
サッシとは?
窓の構造を見てみましょう。窓は2つの部分からなっています。
家の窓枠の部分に、窓の本体(ガラスなど)をはめ込んだ構造になっています。
①に②③④をはめ込んだ構造ですが、②の黄色い部分をサッシと呼びます。
詳しく解説すると、
■家の窓枠
①額縁(ケーシング)
②枠(窓枠、レール部分)
■窓本体の部分
③ガラス
④框
※②枠(窓枠、レール部分)は①額縁(ケーシング)に、はめ殺しになっています。
先程黄色い部分をサッシと呼ぶとお話しましたが、最近ではガラスを含む窓本体もサッシと呼ばれるようになってきました。
つまり
窓 = サッシ + ガラス と覚えておくと良いでしょう。
框・窓リフォームに関する記事はこちら
サッシ選びのポイント
これらのポイントを総合的に検討し、住宅の特性や環境に合ったサッシを選びましょう。
断熱性の高い素材を選ぶ
住宅のエネルギー効率を高めるため、断熱性能が優れたサッシを選ぶことが重要です。
樹脂サッシや複合サッシ(アルミ+樹脂)は、アルミサッシよりも断熱性が高く、寒冷地や省エネ住宅に適しています。
防音性能を確認する
都市部や交通量の多い場所では、防音性能が高いサッシを選ぶと室内の快適さが向上します。
複層ガラス(ペアガラス)や防音ガラスを使用したサッシが有効です。
窓の種類に応じたサッシを選ぶ
開き窓、引き違い窓、縦すべり出し窓など、窓の種類によって適したサッシが異なります。
風通しや使い勝手を考慮し、住宅の設計に合わせたタイプを選びましょう。
デザインと見た目の調和
外観やインテリアとのバランスも重要です。
サッシの色やデザインが家全体の雰囲気に合うように、住宅のスタイルや好みに合わせたサッシを選ぶことも考慮しましょう。
メンテナンス性
サッシは長年使用するため、耐久性やメンテナンスのしやすさも重要な要素です。
アルミサッシは腐食しにくく、メンテナンスが少ない一方で、樹脂サッシは定期的な掃除が必要です。
気密性と防水性
気密性や防水性が高いサッシを選ぶことで、冷暖房効率を上げ、雨風の侵入を防ぐことができます。
特に気密パッキンがしっかりとしたものを選ぶと、結露防止にも役立ちます。
サッシの素材や種類
サッシの素材は、多数存在し、素材によって性能が変わります。
ここでは、サッシの素材とその特徴をご紹介します。
アルミサッシ
サッシの主流で一般住宅のほとんどはアルミサッシを使用しています。耐候性、防火性に優れ軽くて丈夫で開閉が楽です。
アルミサッシは、耐久性が高いのが特徴です。ただし、断熱効果が期待できない点がデメリットといえます。
サビや腐食に強いので、見た目がいつまでも美しく、他の素材より長持ちします。入手しやすく他の素材に比べて、低価格で交換できます。
熱伝導率が高いため断熱性が低くなり、断熱効果があまり期待できません。
特に冬場の部屋が冷えて結露しやすくなり、夏場は部屋の気温が上昇します。そのため、エアコンの電気代や暖房費もかさんでしまします。
スチールサッシ
耐火性に優れていますが、耐候性が悪いため現在ではあまり住宅には使われていません。
耐火性が高いため、特定防火設備という条件が付帯する、大型商業施設の出入り口など、公共施設には全てスチール製のサッシが使用されています。
スチールサッシを使うことで、耐火性の高い窓や扉になります。しかし、スチールサッシには扉が重くなってしまう特徴があります。
耐火性に優れていますので、公共施設の入口やお店の入り口などにも使用されています。
防火地域や準防火地域では、防火扉が義務付けられていますが、そのほとんどがスチールサッシです。
スチールサッシは他の素材に比べて重さがあるため、開閉に力が必要です。
本体よりも先に戸車が傷んできます。また、経年で施錠がスムーズにいかなくなり、サビにも課題が残ります。
樹脂サッシ
塩ビ製であるため、断熱性、気密性に優れています。
まだ課題はありますが、複層ガラスを使用したサッシとの一体構造を取ることで、一般的なアルミサッシの3倍の断熱性を実現することができました。現在北海道では90%の窓が樹脂製サッシです。
樹脂サッシのメリットは「断熱効果が高い」点です。対してデメリットは、「価格が高い」ところです。
アルミに対して熱伝導率が約1000分の1と低く、断熱効果が非常に優れています。
実際に、アルミ製のサッシを採用した家に比べて、樹脂製サッシを採用した家は室内温度が夏場は2℃低く、冬場は4℃高くなるという実験結果も出ています。
結露も少なく、窓のタイプやデザインにも多く対応できます。組み合わせるガラスの構造によっては高い防音効果も期待できます。
まず価格が高いことが挙げられます。次に強度が金属のサッシ程ないため、重くなってしまいます。
最後に、紫外線に弱いことが知られています。ただ非常に頑丈なアルミサッシに比べると弱いということで、まわりの状況やメンテナンスによっては30年程は持ちますので、重大なデメリットととは言えません。
日差しの強いところは、他の素材のサッシにするようおすすめしましょう。
木製サッシ
金属のサッシが主流になるまでは、ほとんどが木製でした。
最近は新たな製品が開発され、重要を伸ばしつつあります。
木製サッシのメリットは、「結露が少ない」ことです。対してデメリットは、メンテナンスに時間を要することです。
断熱性が高く、結露ができにくいことが挙げられます。
また、温かい風合いで和洋を問わず、どんなインテリアにもマッチします。
意外なことに、木製サッシの寿命は長く、メンテナンスすることによって、100年ほど寿命を保った例もあります。
他の素材のと違って、木製サッシは定期的なメンテナンスが必要になります。
価格も高くアルミサッシの2倍ほどになる上、メンテナンスにも費用がかかります。経年で開閉部の金属部分も劣化しやすいのがデメリットです。
複合サッシ
複合サッシとは、2つ以上の素材を組み合わせて作成したサッシのことを指します。
ここでは、アルミと木材を組み合わせたサッシとアルミと樹脂を組み合わせたサッシをご紹介します。
アルミ+木材
家の外側にアルミを使い家側に木材を使った製品です。見た目の暖かさが特長です。
アルミと樹脂を組み合わせた複合サッシでは、結露が少なくなることがメリットとして挙げられます。
紫外線に弱いとされる樹脂が内側になりますから、紫外線にも強くなります。そして断熱性の高い樹脂を内側にすることで結露をかなり防ぐことに成功しました。
また樹脂サッシよりもアルミ樹脂複合サッシは低価格になります。樹脂サッシよりも軽くなります。
湿気の具合にもよりますが、全く結露しないわけではありません。
アルミ+樹脂
家の外側に実績のあるアルミを使い、家側に結露ができにくい樹脂を使った実用的な製品です。
アルミと木材を組み合わせた複合サッシでは、メリットとして高い対候性や頻繁なメンテナンスが不要であることが挙げられます。
対して、価格が高いことがデメリットです。
内側に断熱性が高く、美しい木材を使用することで、高い耐候性とメンテナンスフリーを実現しました。結露も防いでくれます。木材サッシよりも軽くなります。
価格が高くなってしまします。
価格的に安価なものからアルミサッシ<複合サッシ(樹脂+アルミ)<樹脂サッシ=複合サッシ(木+アルミ)<木製サッシとなります。
ガラスの種類(一般ガラス)
窓の大切な要素であるガラスもここで解説していきます。サッシに使われているガラスの働きを分かりやすくご紹介します。
フロート板ガラス
一般的に使われている普通にガラスです。
透明ガラス戸と呼ぶ人もいますが、このガラスは一見透明に見えますが、重ねると緑に見えます。本来の透明ガラスは高透過ガラスです。
網入板ガラス
網入りガラスは防火設備として、建設省告示に定められており、火災時の加熱に20分間耐えられるものを指します。
また、網入りガラスは割れても、ガラスが金網に支えられているため破片が落ちません。よって、火の侵入や、破片による怪我を防ぐ効果があります。
型板ガラス
ロールアウト製法でガラスの片面に型で模様をつけ、視線を遮る事のできるガラスです。
ガラスの種類(機能ガラス)
機能ガラスとは、網状の金属を埋め込んだガラスを指します。
ここでは、機能ガラスの種類を2つご紹介します。
複層ガラス
2枚または板ガラスの間に、乾燥した空気の層を封入することで断熱性を高めたガラスです。
空気層があることで冬は寒い空気を遮断し、ガラスの表面が冷えないので結露を防ぎ、夏は太陽の熱を遮断します。エアコンの効率が高くなるので、省エネ効果もあります。
強化ガラス=合わせガラス
強化ガラスは、フロートガラスに熱処理をし、風で急速冷却することで強度を高めたガラスです。フロートガラスと比較すると、約3.5倍〜4倍の強度になります。
要は焼きを入れて、強度を出したガラスですね。
ガラスの種類(複層ガラス)
複層ガラスとは、2枚以上のガラスの間にガスや空気などを封入したガラスを指します。
ここでは複層ガラスの種類をご紹介します。
高断熱複層ガラス
Low-E金属膜をコーティングして熱を逃しにくい構造を持つガラスです。
遮熱複層ガラス
複層ガラスに断熱効果と遮熱効果を持たせたガラスになります。
お役立ちサイト
この章では、サッシのリフォームでお役立ちのサイトをご紹介します。
ALLABOUT(オールアバウト)
「オールアバウト」は、多くの専門家が「ガイド」として、それぞれの得意分野について実名や顔出しで情報を発信しています。そのため、リフォームを行う際のポイントや、サッシに関する詳細な解説も含まれています。
リフォマ
工務店の比較・検討サービスです!
”お住まいの困った!”を解決する業者を「リフォマ」はご紹介します。
暮らしーの
木製サッシの主要メーカーを紹介しているサイトです
リフォームをお考えの方へおすすめの記事
アルミサッシの取り扱い業者
アルミサッシを取り扱うYKKapをご紹介します。
YKKap
全国にショールームや展示場を展開するアルミサッシの大手!
アルミサッシだけではなく樹脂窓をはじめ、アルミ+樹脂を使った複合窓など、充実した製品が揃っています。10年保証を実現しました。
スチールサッシの取り扱い業者
スチールサッシを取り扱う業者2社をご紹介します。
株式会社ケーワン
様々な分野での金物製作の請け負いや金物工事の施工経験あり!
オフィス、クリニック、ビル、店舗など中心に施工を手がけています。
HUTAMI (二見総建株式会社)
スチールドア・サッシのスペシャリスト集団!
現地調査から設計、製作、施工まで一貫して行います。ドアやサッシを通じて、お客様に快適で安全な生活環境をご提供していきます。
樹脂サッシの取り扱い業者
樹脂サッシを取り扱う業者2社をご紹介します。
OSMO&EDEL(オスモエーデル)
冷暖房に頼らない暮らしを叶えるために生まれたドイツの窓“エーデルフェンスター”
ハンドル操作により内開き、内倒しの2ウェイで開閉できる、住と環境の最先進国ドイツのスタイル“ドレーキップ”を採用しまいした。
株式会社エクセルシャノン
個人から業者まで幅広く対応しています!
換気設備も含めた高断熱高気密の家づくりを、建築業者とともに応援しています。
木製サッシの取り扱い業者
木製サッシを取り扱う業者2社をご紹介します。
TAMIYA(タミヤ)
高気密、高断熱、高性能の木製サッシ専門メーカー!
暮らしーのにも紹介されている主要メーカーの一つです。3層複層ガラスの対応もしています。
UNIWOOD(ユニウッド)
100%内製化を実現、低価格で製品をご提供!
こちらも暮らしーので紹介されていているメーカーです。お客様のニーズに合わせてサイズ・仕様などの特注に対応しています。
複合サッシ(アルミ+樹脂)の取り扱い業者
アルミと樹脂を使った複合サッシを取り扱うLIXILをご紹介します。
LIXIL
住まいと暮らしの総合住生活企業!
ショールームを全国展開している大手です。高性能ハイブリット窓サーモスを取り扱っています。
複合サッシ(アルミ+木材)の取り扱い業者
アルミと樹脂を使った複合サッシを取り扱う業者2社をご紹介します。
森の窓
美しい天然素材の複合サッシを制作!オーダーメイドもOK!
ヨーロッパの部材メーカーの協力得て、最高峰の技術を導入しています。天然素材のサッシの技術を生かして、複合サッシも制作しています。
グリーンビルディング
ナチュラル素材に囲まれて過ごす暮らしを提唱!
環境✕エネルギー✕ライフスタイル 未来につながる省エネと環境改善を意識した家づくりを目指しています。
デザインを重視したサッシの取り扱い業者
同じ素材のサッシでもデザインが違えば、家の雰囲気もがらりと変わります。
ここでは、デザイン性の高いサッシを取り扱う業者をご紹介します。
モンタージュ
アメリカ北部の美しい窓を再現したデザイン性の高い窓!
日本の風土に合せて独自開発された窓は、安全性の高い鉛を含まない樹脂を使用しています。
世界のサッシ事情
最近ではインターネットが発達して、世界中の事情が手に取るように分かってきました。その中で日本の常識が実は世界の非常識であることもたくさんあると分かってきました。その一つがサッシの素材についてです。日本ではアルミサッシがシェアの多くを誇っていますが、世界的にはほとんど使用されていません。アメリカでは50州の内24州で使用が禁止されています。なぜかというと
この表を見ていただければ分かりますが、アルミサッシは断熱効果が低いのです。以下抜粋です。
冬で、58%の熱が外部に流出し、夏では、73%もの熱が外部から入ってくる。とのデータが、日本建材・住宅設備産業協会から発表されています。(中略)世界の国々では、こういったデータを基に基準が定められ、断熱効率の悪い「アルミサッシ」をやめて「樹脂サッシ」の導入が進んでいます。
「アルミサッシ」米国の25州で禁止されているのはなぜ?常識のうそー須田肇税理士事務所
主流であるからといって決めるのではなく、そのお宅のその場所に相応しい素材のサッシを提案してください。
まとめ
どの建材を取り上げても日進月歩で、どんどん新しい素材が開発され、新しい製品が発表されています。極端に言ってしまえば、南北に長い日本は北と南では全く気候が違いますから、同じ建材で家を建てることができません。
サッシはその家の外と中をつなぐ役割りをしています。その重要さを考えれば、慎重に素材を選ぶ必要があります。快適に過ごせるその地域にあった建材を、お客のために選んで差し上げてください。そのためにはやはり情報収集がものを言います。アイピアの記事をお客様の満足のいく家作りに活用していただければ幸いです。