新型コロナウイルスは世界中に深刻な影響を与えました。
感染による健康への影響だけでなく、経済の停滞や半導体ショック、原油高などにもつながっています。
そして実は、建築にはかかせない鉄の値段もまた高騰しています。
今回は、世界を襲っているアイアンショックについて解説していきます。
アイアンショックとは
鉄はさまざまな場面で使われるものです。
丈夫かつ安価であるため、特に建設業界ではなくてはならないものと言えるでしょう。
世界でも鉄の需要は高く、安定して製造できる点も特徴でした。
そのため、これまでは、価格が高騰するようなことはありませんでした。
しかしながら、2021年以来、鉄の価格は急激に上昇を続けています。
この出来事を、アイアンショックといいます。
アイアンショックの現状
具体的に、鉄の値段はどのくらいにまで上がったのでしょうか。
たとえば鉄骨の場合、2020年以前までは、1トンあたり6万円前後が相場でした。
しかしながら、2021年に入るとこの値段が急騰し、なんとおよそ二倍の12万円にまでになってしまいました。
これは、鋼材に関しても同様です。
鋼材は鉄骨に比べると高価であることで知られていますが、それでも1トンあたり8万円前後が相場でした。
しかし、2021年以降は、鉄骨同様12万円を超える相場になってしまっています。
この傾向は2022年になっても続いており、なかなか値段が下がる様子は見られません。
アイアンショックの原因
こうしたアイアンショックは、なぜ起こっているのでしょうか。
まず、2020年にコロナウイルスが蔓延したことによって、一時的に鉄の需要が少なくなったことを押さえておかなくてはいけません。
コロナウイルスはさまざまな業種に影響を与えました。
建設業界においては、感染を広げないために、たくさんの人を動員する工事ができなくなりました。
これによっていくつかの工事がストップし、鉄を使う必要がなくなってしまいました。
しかし、2021年に入ると、こうした状況は一転します。
それまでストップしていた工事が再開された結果、鉄の需要は一気に高まっていきました。
これによって、世界中で鉄を確保する動きが活発になっていきます。
とはいえ、供給できる鉄の数は限られていますので、そのままの値段で売ることはできません。
そのため鉄の価値は高まっていき、現在のアイアンショックを引き起こしてしまいました。
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建築業界への影響
アイアンショックは、建築業界にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
まず、本来必要な量の鉄骨や鋼材が手に入らないために、やりたい工事ができなくなるという影響が挙げられるでしょう。
特に日本の場合は、自分の国で鉄の素材を採集することができません。
そのため、ほかの国から鉄骨や鋼材を輸入しなければいけないのですが、価格が高騰すれば簡単には手を出せなくなってしまいます。
加えて、ほかの国も鉄を欲しがる為、お金があったとしても鉄が手に入らないという事態も起こってしまうでしょう。
これによって、鉄を使った住宅や建物が建てられなくなってしまいます。
また、仮に鉄を確保できたとしても、原材料の値段が高くなっているために、建物の値段はこれまで以上に上がっていくことが予想されます。
建築業がアイアンショックを乗り越えるには
ここまで、アイアンショックの概要について見てきました。
これらを踏まえて、建築業はどのような対処法を講ずれば良いのでしょうか。
まず、鉄がないことにはそもそも工事をすることはできません。
もちろん、建築に使われる建材は、鉄のほかにも木材などがあります。
とはいえ、木材に関しても鉄と同様に値段が上がっているのが現状です。
鉄がないのであればほかの建材を使おう、というわけにもいきません。
そのため、多少の高値には目をつむってでも、鉄骨や鋼材を確保せざるを得ないでしょう。
CHECK!
顧客への対応
では、原材料の値段が高くなるのに伴って、工事の値段や建物の値段が上がっていくことには、どう対処すればいいのでしょうか。
結論を言えば、値段が高くなろうともこの会社にお願いしたい、値段が高くてもこの家を買いたい、と思わせられるような魅力のある仕事をするしかないでしょう。
工事の値段や家の値段を下げるようなことは、現実的ではありません。
材料費が上がっている中でそんなことをしてしまえば、赤字になるのは目に見えています。
安易に値段を下げて顧客を確保しようとするのではなく、価格設定の根拠や、自社のアピールポイントを示すように努めましょう。
そうすれば、十分に原材料の高騰分をカバーできます。
建設業の問題に関する記事はこちら
アイアンショックはいつまで続く?
鉄の値段が高騰したのは、これが最初というわけではありません。
2008年にも一度、鉄骨の値段が1トンあたり10万円を超したことがありました。
その時は、その後リーマンショックが起きたせいで、鉄の値段は下がっていきました。
今回のアイアンショックも、そのように落ち着くことができるのでしょうか。
これに関しては、見通しは暗いと言わざるを得ません。
アイアンショックは長期化
まず、現在は世界的に物価が上昇しています。
日本でも食材の値段があがったり、サービスの値段が上がったりしていますが、これは世界共通の現象です。
アイアンショックは鉄の需要が急激に高まったのが原因ですが、鉄の価格の高騰には、物価上昇も影響していると解釈したほうが良いでしょう。
もちろん、需要が落ち着けば現在の高い値段が落ち着く可能性はありますが、2020年以前の水準に戻るとは限りません。
また、ロシア・ウクライナ戦争が長期化しているのも、鉄の輸入に大きな影響を与えています。
ロシアは世界2位の鉄鋼輸出を誇る国ですが、戦争の影響で鉄の輸出が少なくなってしまいました。
戦争が続くとなると、鉄の値段にも影響が出てくるでしょう。
ウクライナショックに関する記事はこちら
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まとめ
今回は、今起きているアイアンショックについてさまざまな観点から解説してきました。
現在建設業は、鉄に限らず、ウッドショックやオイルショックなど、さまざまな場面で苦しい経営を迫られています。
こういった窮地を乗り越えるためには、顧客に工事価格の根拠を示したり、自社の強みをアピールすることが重要です。
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