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生コン価格が高騰する理由とは?値上げの現状を解説

生コン価格が高騰する理由とは?値上げの現状を解説

近年、生コン価格が高騰し続けています。
生コンは建設工事の現場では欠かせない資材の一つであり、価格が高騰し続けていくと工事価格にも影響を与えます。

仕入コストが高騰するなど、懸念材料も多いため、生コンがなぜ高騰しているのか、値上げの理由を理解しておきましょう。

目次

生コンとは

生コンとは、コンクリートとして固まる前の状態です。
コンクリートとは、セメントに砂や砂利を混ぜ、混和剤という薬品を混合したうえで、水を加えて練り混ぜて施工して固まるのを待ちます。

生コンは、各種建物や構築物の建設に欠かせないもので、ニーズに合わせて自由かつ柔軟に施工できるので、工事現場では欠かせない素材です。
通常、生コン車に入れて、固まらないように攪拌しながら工事現場まで運搬されます。

生コン値上がりの現状

生コン値上がりの現状ですが、2020年の半ば頃から段階的に値上がりを続けています。
生コンの価格は市場取引ではなく、各地域の生コンクリート協同組合が価格を決めているのが現状です。

たとえば、東京都心部に生コンを供給する東京地区生コンクリート協同組合では、2020年の半ば頃から段階的に値上げを行っており、2022年1月にも約2割値上げすると発表しています。
それまでとの価格差は1立方メートルあたり3,000円と過去最大の値上がりとなりました。わずか1年半で約6%上昇となっています。

一般財団法人「建設物価調査会」によると2024年現在は、横ばいとなっています。
生コンとともに使用される「骨材」や輸送コストが増加、また2025年にはセメントの値上げが見込まれる為、先行きも高騰価格のまま横ばいとなる見通しです。

一方、沖縄の石垣島生コンクリート協同組合でも、2023年4月1日から生コンの単価を1立方メートルあたり3,000円値上げしています。
やはり、値上げは2022年6月1日から2回目となり、値上げ幅は1年足らずで6,000円にも達しているのが現状です。

生コンの価格値上げの理由

東京、沖縄など都心と地方を問わず、生コン価格が値上がりを続けています。
生コン価格の値上げの理由として主に上げられるのは「原材料価格の高騰」「輸送費用の高騰」「価格競争が起きにくい」の3つです。

それでは、それぞれの理由を具体的に見ていきましょう。

理由① 原材料価格の高騰

1つ目の理由は原材料価格の高騰です。
以下で詳しく見ていきましょう。

セメント価格の動向

生コンの主要原料となる、セメント価格が高騰していることが一つの要因です。
セメント価格が上昇しているのは、石炭価格の上昇が影響を与えています。

石炭セメントの原料になるほか、製造時の燃料にも利用されます。
ヨーロッパでは環境規制の影響で石炭への依存からの脱却を図るため、石炭の供給量を減少させていました。

そこにきてロシアとウクライナの争いが始まり、エネルギー供給への不安が生じ、再び石炭への需要が高まっています。
供給が減っているところに需要が高まったことで石炭の価格が上昇し、セメントの価格が上昇し、生コンの価格も上昇と連鎖が起こっています。

骨材価格の動向

コロナショックやロシアとウクライナの争いの影響、為替変動などにより、原材料の供給量が減少すること輸送コストが高まり、生コンの骨材となる砂や砂利、混和剤などの価格も値上がりしているのも、生コン値上がりの要因です。

理由② 輸送費用の高騰

生コンは、製造するまでにセメントなどを運び込む輸送費用だけでなく、製造後には現場まで生コン車と呼ばれるミキサー車で攪拌しながら輸送するので、ほかの資材以上にコストがかかります。
そこにきて車両の燃料費やドライバーの人件費なども高騰しているので、影響は大きいです。

燃料費

コロナショックをはじめ、ロシアとウクライナの争いにより石油価格が高騰しています。

さらに、円安の進行もあり、輸入価格も高くなり、生コンの製造をはじめ、運搬時の車両のガソリン代など燃料費が高騰を続けており、生コン価格にも上乗せされているのが現状です。

人件費

生コンを現場に運ぶには、生コン車が欠かせません
現場で施工するには生コン車からポンプ車にシフトするなど、手間もかかります。

生コン車やポンプ車のオペレーターの人件費が高騰しているのも要因です。
少子高齢化で全体的に人手不足で賃金を上げないと人手が集まりません

特に生コン車を運転するには大型免許が必要である場合やミキサーを回すスキルや経験が要求されるので、人件費が高くなりがちです。

理由③ 価格競争が起きにくい

生コン特有の理由として、価格競争が起きにくいのも問題です。

生コン工場の減少

生コン工場は、もともと中小企業が多く数も多かったのですが、2010年にコンクリートの需要が減少してきたことや業界再編などに伴い、国の政策として生コン工場を3割削減される動きが起こりました。
それによって、実際に自主廃業した工場も少なくありません。

その時点では工場が多すぎたから整理されたわけですが、その後は少子高齢化で人手が不足することや後継者がおらずに廃業する業者も増え、生コン工場が減少しています。
大手や一定の工場で供給を担っているので、価格競争が起こりにくく、価格を保つことが可能です。

協同組合による販売体制

生コンは、地域ごとに製造メーカーによって形成された生コンクリート協同組合があり、協同組合が標準価格を管理しています。

一斉に値上げが行われるなどと価格が管理され、仕入れる建築業者もそれに沿わないといけないので、価格競争が起こりにくいです。

生コンのほかに価格が高騰した資材

生コンだけでなく、あらゆる建築資材が高騰傾向にあります。
生コンは、ビルやマンションの建設をはじめ、戸建て住宅の基礎やトンネルや道路などの構造物の建築にも欠かせません。

さらに、戸建て住宅に用いられる木材や鉄骨などの主要建材も高騰しています。
コロナショックで製造や供給が停滞することやアメリカでは感染防止策として地方での一戸建て建築需要が高まり、木材の需要が高まりました。

そこにきて木材を供給するロシアやウクライナからの供給がストップし、木材の高騰が生じています。
そのほか、石油価格の高騰で燃料費、運搬費が高騰したことで、建築資材をはじめ、住宅設備なども高騰しています。

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まとめ

生コンとは、コンクリートとして固まる前の状態で、各種建物や構築物の建設に自由かつ柔軟に対応できる素材です。
生コン値上がりの現状は、2021年頃から段階的に値上がりを続けています。
生コン価格値上げの理由として原材料価格の高騰、セメント価格の動向、骨材価格の動向が影響しているのをはじめ、燃料費や人件費の高騰に伴う輸送費用の高騰も影響しています。
また、 価格競争が起きにくいこと、生コン工場の減少、協同組合による販売体制も値上がりの理由の一つです。

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