ウォークインクローゼットはその広さを活用することで、通常のクローゼットとは違い、衣服だけでなく掃除用具や布団など様々な物の収納に利用することができます。
しかし、大きさや扉、レイアウトなど設置の際は、迷う点も多々あります。
そこで今回は、ウォークインクローゼットとは何か、そしてその特徴や活用法、施工業者などをご紹介します。
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目次
クローゼットの種類
クローゼットと一口に言ってもその種類は様々です。
ここでは、クローゼットの種類を3つご紹介します。
クローゼットとは?
間取り図ではクローゼットは、「CL」と表記されています。衣類を収納するために洋室に設置された場所です。奥行が50cm~60cmと、衣類の幅に合わせた寸法です。ハンガーパイプが取り付けられていて、その他に小物を収納する引き出しがついたものもあります。
ウオークインクローゼットとは?
間取り図で、「WIC」と書かれています。クローゼットに人が入るスペースを設けています。着替えもできる収納空間です。1畳半程度のL字型のタイプから施工できますが、使い勝手を考えると2畳程度の二列型が最低寸法です。人が出入りするため、物が置けないデッドスペースが必ずできます。
ウオークスルークローゼットとは?
ウォークインクローゼットの中でも、出入り口が2ヶ所あって通り抜けできるタイプは、ウォークスルークローゼットと呼ばれています。どちらからでも入ることができて便利ですが、設置は広さに余裕のある場合に限ります。ウオークインクローゼットをより機能的に発展させた形になります。
ウォークインクローゼットの使いやすい広さ
使いやすいウォークインクローゼットの大きさを検証してみましょう。ピンクの部分がスタンダードな収納空間です。一般的には2〜4畳が効率の良いウオークインクローゼットと言われています。
人が歩くスペースに加えて、中で着替えたり、作業することを考えてスペースを確保します。例えばパイプハンガーを設置する場合、奥行きを最低40~45cm確保する必要があります。
引き出しタイプの衣装ケースを置くなら40~60cmの奥行きが必要です。衣装ケースを引き出すためのスペースも必要になるので。さらにプラス40cmとなります。また人が通るためのスペースが60cmは必要となります。
上記を踏まえた上で、家族の人数に合わせた広さを検討していきます。
2畳の広さが向く場合
一般的に、夫婦2人分でしたら、2畳程度のスペースで十分です。壁の左右に、それぞれの所有物を分けて置くと、収納品の管理がスムーズにできます。収納棚・通路・パイプハンガーがそれぞれ60cmずつなら、すっきりと見やすく片付けも楽にできます。
ただし、クローゼットの中で着替えるには少し狭くなってしまいます。中で着替えることが前提でしたら、両側の収納スペースを少し削って、通路を70~80cmほど確保することで解決できます。タンスを置くことも可能です。
3畳の広さが向く場合
夫婦2人に子供2人の4人家族の場合、お子さんの収納品は大人の半分と計算すると3~3.5畳の広さがあれば十分間に合います。夫婦2人分の収納量で3畳のウォークインクローゼットを設置した場合は、かなり余裕があります。
また、タンスを置くか置かないかも含めて検討する必要があります。収納量が少ない場合は鏡を置いてコーディネートするためのスペースにすることもできます。こちらもお手持ちのタンスを置くことが可能です。
4畳以上の広さが向く場合
お子さんが大きくなることを想定して4畳のウォークインクローゼットを作るご家庭もあります。この場合クローゼットとしてはかなりの容量にはなりますが、待ち合わせのタンスを置くなど、レイアウトを工夫しないとデッドスペースができてしまいます。
ウオークインクローゼットとして3畳を超える広さは、管理が難しくなることがあります。使い勝手を考えると子供部屋に、壁面タイプのクローゼットを設置した方が、空間をうまく使えることになります。
またウォークインクローゼットの間口の幅は一間が理想的とされています。実際に、一人分の洋服の量はパイプハンガーにして男性なら90~120cm、女性なら180cmあれば、余裕をもって使えるという計算でいろいろなものが設計されています。
何畳の間取りであっても、180cm幅で設置しておけば、空間の約3分の2を収納スペースとして活用できます。
収納のポイント
ここでは、クローゼットを十分に活用するための収納のポイントをご紹介します。
Ⅰの字型
収納量が少なめでしたら、片側だけに収納スペースを設けてゆったりと空間を使用することができます。鏡を置くのもおすすめです。その分普段使用しないものや、買い置きなどを置くスペースとして使えますので、生活空間もスッキリと管理ができます。ハンガーは薄い物を使えば、思ったより衣類を多くかけられます。
衣類の丈が短い物と長い物をきちんと分けることで、ハンガーの下に収納を置くこともできます。収納の引き出しをスケルトンタイプやカゴタイプにすれば、一目で中に何が入っているかが分かり便利です。
Ⅱの字型
最も一般的で効率の良い収納方法が、壁の両側に物を置く収納するⅡの字収納です。奥に壁面収納を取り付ければさらに無駄なく収納スペースを活用できます。奥に鏡をかけておくとより機能的に活用できます。
コの字型
コ字型に収納できるようにしたウォークインクローゼットは、かなり多くの衣類収納することができます。冬物や夏物もそのまま収納できますので、入れ替える必要もありません。
ご夫婦でたくさんのスーツをお持ちの方には、コの字型が向いています。簡単に収納できる上に、何があるかすぐに分かりますから手間が省けます。カバンや靴が多い場合には、収納しやすいよう細かく仕切られた棚があると便利です。
枕棚(まくらだな)を作らない選択
枕棚とは、天井から30㎝ほどの高さの場所にある奥行きが浅い棚のことです。すべてのウォークインクローゼットに共通することですが、枕棚をあえて置かないという選択もあります。
通常のウォークインクローゼットにはハンガーパイプの上に枕棚を設けますが、棚の位置が高すぎて上手く活用できない場合には枕棚を取り払って、ハンガーパイプを上下2段に設置するスタイルにすることで空間を無駄なく活用できるようになります。
サークル型ハンガーが便利
L字型やコの字型のウォークインクローゼットでは、コーナーの部分がデッドスペースになることがあります。その場合サークル型のハンガーラックを置くことで、上手く空間を活用できます。
ハンガーラックを上手くコーナーで活用して、その他のスペースに棚を取り付けるという選択もあります。
キャビネットを後付けにする
ウォークインクローゼットを作る時に、造り付けの棚やハンガーラックを用意するのではなく、あえて市販のユニットキャビネットを使用するという選択もあります。
持ち物に合わせて棚やパイプの高さを調節できる、同じメーカーの収納ボックスを使うことでサイズがぴったりになるなどのメリットがあります。デットスペースを作らないためにお手持ちのタンスを有効に配置するなど、そのお宅ならではの機能的な活用ができます。
扉は引き戸がおすすめ
ウォークインクローゼットの入り口の戸は引き戸にしてすると、狭いスペースでも効率良く活用ができます。
クローゼットのメリットとデメリット
クローゼットのメリットとデメリットをご紹介します。
メリット
- まず機能的でスタイリッシュなイメージがあります。設置することで生活のモチベーションが上がるということは一番のメリットです。
- ウォークインクローゼットは衣類の他にバッグやアクセサリーなどを集めて一ヶ所で管理ができます。あちこちにしまい込んで必要なときに見つからなかったり、「前に必要で買ったことを忘れ、似たようなものを買ってしまった」などということをなくすためにも役立ちます。
- 中で着替えができることも魅力的です。
- 大きくて普段使わないような荷物を置いておくこともできます。
デメリット
- 人が出入りするスペースが必要であるため、必ずものが置けないデッドスペースができます。
- デッドスペース分、空間のわりに収納量が少なくなります。スペースに余裕がない場合はウォークインクローゼットよりも、普通のクローゼットを効率よく配置した方が収納が効率よく管理できることもあります。
- 電気の配線が必要な分施工費も上がり、明かりの真下には燃えやすいものを収納しないように気をつけなければなりません。
- 人の出入りがあるため、埃が立ち全体的に埃っぽくなりがちです。しばらく使わない衣服や物には埃対策が必要になりますし、クローゼット内の掃除もこまめにすることが必要になります。
生活スペースとクローゼットのバランスや、実際に持っている衣類の量や管理方法などを考えて、作るかどうか決めるようにおすすめください。
リフォームのポイント
この章では、クローゼットをリフォームする際のポイントをご紹介します。
通路について
パイプハンガーの幅は変えられないので、どうしても通路の幅を削ることになってしまいます。通路が50cmでは服にぶつかってしまい、着替えも窮屈で大変使いずらいウォークインクローゼットになってしまいます。通路がきちんと取れない場合は普通のクローゼットの設置をおすすめください。
湿気対策
せっかくウォークインクローゼットを設置しても湿気がひどくては困ります。ウォークインクローゼット内には換気扇があると便利です。湿度が高い地域では、内装材などで湿気対策リフォームを一緒に行うことをおすすめください。
窓の設置
窓よりは換気扇や出入りの戸にガラリをはめ込むなどの措置が有効です。窓を設置した場合は換気ができるメリットがある反面、窓のところには棚が置けない・その分施工費用が高くなるなどのデメリットもあります。そのお宅の湿気の具合にも寄りますから、よく相談の上必要なものをおすすめください。
出入り口の工夫
ウォークインクローゼットは一日に何度も出入りする場所です。着替え、洗濯物の収納や掃除などの度に行き来しますので、廊下やリビングから直接出入りできた方が楽です。毎日のことですから、少しでも動線が短くなるように工夫したいものです。
ウォークインクローゼットのリフォーム費用
ウォークインクローゼットのリフォーム費用の内訳としては次のものが挙げられます。
- 壁の解体、増設
- 柱の解体
- 天井の解体、増設
- 天井、壁、床の内装工事
- 電源の移設や増設
- 扉やふすまの撤去、設置
- 棚の取り付け
- ハンガーパイプの取り付け
解体や撤去より、内装工事が必要になる分施工費用が高くなります。
ウォークインクローゼットへのリフォームを行う場合、ハンガーラックや引き出しを設けるなどの小さなリフォームもあれば、新たにウォークインクローゼットを設ける大きなリフォームもあります。ここでは、3つのパターンで大まかな費用を解説します。
ハンガーラックなど棚の取り付けだけを行う場合
一番手軽なハンガーラックや簡易な棚を取り付けるだけの場合は、費用を安く抑えることができます。事例Bのように備え付けの棚を取り付ける場合はその分高価になります。
状況 | 費用 |
---|---|
簡易的な棚のみ備え付ける場合 | 15万円前後 |
備え付けの棚を作りこむ場合 | 40万円前後 |
押入れ→ウォークインクローゼットへのリフォーム
ほとんどは和室に押し入れの部屋から、洋室とウォークインクローゼットにリフォームするケースが多いのが現状です。押入れの解体や床・クロスの張り替えも必要になります。下図のように、1メートルほど押入れ部分を拡張してウォークインクローゼットにリフォームすることが可能です。
ハンガーパイプと簡易的な棚の取り付けでしたら比較的安くリフォームできます。一方で、棚を作る場合は少し高価になります。
また、和室から洋室へのリフォームは別途16〜31万円前後の費用が必要となります。
状況 | 費用 |
---|---|
簡易的な棚のみ備え付ける場合 | 25万円前後 |
備え付けの棚を作りこむ場合 | 50万円前後 |
使っていない部屋をウオークインクローゼットにリフォーム
子ども部屋など現在使っていない部屋をウォークインクローゼットにリフォームする場合です。
下図のように、押入れ以外でも和室や洋室の一部分を活用してウォークインクローゼットにリフォームすることができます。
和室の場合や押入れと同じように、まずウォークインクローゼットにする部屋を洋室にする必要があるため、洋室をウォークインクローゼットにリフォームするよりも費用がかかります。
また、和室の場合は上記と同じように和室→洋室のリフォームする費用が、別途16〜31万円前後必要となります。
状況 | 費用 |
---|---|
(和室)簡易的な棚のみ備え付ける場合 | 25万円前後 |
(和室)備え付けの棚を作りこむ場合 | 50万円前後 |
(洋室)簡易的な棚のみ備え付ける場合 | 25万円前後 |
(洋室)備え付けの棚を作りこむ場合 | 45万円前後 |
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クローゼットのリフォームに限らず、施工業者や取扱業者は種類が多く、迷うものです。
ここでは、リフォーム業者の紹介サイトをご紹介します。
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まとめ
まず、お手持ちタンスや小物入れをどうするかから始め、家族の衣類や小物がどのくらいあるか把握し、始末を考えてからウォークインクローゼットのリフォームに踏み切ることが必要です。
メリットとデメリットをきちんと伝えて、しっかりと話し合ってください。もちろん本当に必要となれば、全力でフォローしてくださいね。あなたの誠意と情報がお客様の快適な暮らしにつながります。
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