地盤調査とは安全に建物を建てることができるのかを建設前に確認する調査です。
地盤の強さや地下水位などを調べて、規定を満たしていない場合には地盤改良を行う必要があります。
新築だけでなく、建て替え時にも地盤調査は必要になります。
地盤調査とは
地盤調査は建物を建てる前に地盤の状態を確認するためのものです。
地盤調査をしないまま軟弱地盤に建物を建ててしまうと、地震で地盤沈下を引き起こしたり、重さに耐えられず建物が傾く原因になります。
地震に耐えられるように建物を建てる前に構造計算をする必要があります。
構造計算については後ほど詳しく見ていきます。
また、この構造計算をする際にも地盤調査が必要になります。
地盤調査によって軟弱地盤であることが判明した場合には建物の安全性を確保するために地盤改良をしなければなりません。
構造計算とは
建物の安全性を検証するために「建物にかかるすべての重さ」を想定し、どこまで耐えることができるのかを科学的に調べるものです。
建物自体の重さ、家具などの積載荷重、雪が積もった時の屋根に係る重さの積雪荷重、太陽光パネルなどの特に思い物の重さの特殊荷重。
そして、台風が来た時に建物にかかる風圧力、地震が来た時に建物にかかる地震力を調べます。
これらの建物にかかる力を想定して、部材や地盤などにどのように力が伝わり、建物がどこまで耐えられるのかを調べます。
鉄筋コンクリートや鉄骨造のマンションやビル、木造3階建て以上の建物はこの構造計算が義務付けされていますが、木造住宅の2階建て以下は義務付けされていません。
義務付けはされていませんが、構造計算を行うことでより高い安全性を求めることができます。
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地盤調査をしないとどうなる?
地盤調査を行わなかった場合、建物を建てた後にさまざまな弊害が生じる可能性があります。
- 窓やドアが開きにくい
- 外壁にヒビが入る
- 健康被害を引き起こす
- 補修費がかさむ
- 資産価値の低下
軟弱地盤では建物が傾き、窓やドアが開きにくくなったり、外壁にひびが入る恐れがあります。
人によっては傾きやすきま風のせいで健康被害に悩まされることがあります。
平衡感覚が崩れ、めまいや頭痛、自律神経失調症などの症状を引き起こします。
建物の傾きによる窓やドアのズレは何度直しても繰り返し補修が必要になることがあり、補修費はかさむ一方です。
一度建物を建ててしまうと、基礎となる構造材の修復や交換は簡単にはすることができません。
そのため、欠陥住宅として土地、建物の資産価値は大きく低下してしまいます。
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地盤調査に関する法令
平成12年2000年に建築基準法が改正され、地盤調査が義務化されました。
建築基準法施行令 第三十八条
地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力は、国土交通大臣が定める方法によつて、地盤調査を行い、その結果に基づいて定めなければならない。
建設基準法施行令 第九十三条
地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力は、国土交通大臣が定める方法によつて、地盤調査を行い、その結果に基づいて定めなければならない。
国土交通省告示1113号
建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第93条の規定に基づき、 地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力を求めるための地盤調査の方法を第1に、 その結果に基づき地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力を定める方法を第2から第6に定め、 並びに同令第94条の規定に基づき、地盤アンカーの引抜き方向の許容応力度を第7に、 くい体又は地盤アンカー体に用いる材料の許容応力度を第8に定める。
▼国土交通省告示1113号
瑕疵担保保険とは
設計ミスなどの瑕疵(かし)に関して、事業者(建築を行う会社)が10年の庇護担保責任を追うことが義務付けられています。
瑕疵担保保険とは、事業者が加入しなければならない保険であり、引き渡しから10年間の間に欠陥(瑕疵)が見つかった場合に、補修を行うための保険金が支払われる制度です。
この制度があることで、欠陥が見つかった時点で事業者が倒産していたとしても、取得者側(買主、発注者など)はその補修費を保険会社に直接請求することができるようになります。
瑕疵担保保険に入るためには設計施工基準を満たしている必要があります。
地盤の安全性が適切に判断されているかを確認するために地盤調査報告書、またはそれに代わる書類の提出を求められます。
そのため、地盤調査は義務化はされていませんが必須であると言えます。
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地盤調査の種類
地盤調査には目的ごとにいくつか種類が存在します。それぞれの費用や特徴について見ていきます。
スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)
一般住宅で用いられることが多い方式です。
鉄の棒にドリルを取り付け、おもりで荷重をかけ回転させながら地面に貫入させます。
重りの重さ、回転数を基に地盤の強度を調べます。
費用は5万円ほどとお手頃ですが、規模が大きくなると正確な調査結果が得られないためマンションなどの大規模な調査が必要な場合には向いていません。
ボーリング調査
円筒状の穴を地面にあけ、1メートルごとに標準貫入試験を実施してサンプルを採取します。
重りを既定の高さから落とし、30㎝打ち込むのに要した打撃回数を基に調べます。
杭を打つためには支持層を見つけることが必要であり、マンションなどの大規模な建物を建てるときに使われる手法です。
費用が高く、5メートルのやぐらを組むため地盤調査に広いスペースが必要となります。
サンプルを採取するため、各地層の強度や地下水位まで調べることができ、精度の高い調査結果を得ることができます。
スクリュードライバーサウンディング試験(SDS試験)
スクリュー状の棒を地面に差し込み、25メートルまで掘り下げるために必要と下回転数や重りの重さから地盤の強度を調べます。
1メートル四方のスペースで調査可能であり、深度10メートルまで調べることができます。
スウェーデン式より少し費用が高くなりますが、土質までわかるため地盤を詳細に、より正確に知ることができます。
表面波探査法
振動を発する機械を地面に置き、振動波が伝わる速度を調べることで地盤の強度を測定する方法です。
地面を掘らないため比較的短時間で実施できます。しかし、埋設物や空洞によって結果が左右されやすいです。
深度10メートルまで調査でき、地盤改良後の確認検査としても用いることができる調査法です。
まとめ
建物を建てる際に地盤調査はとても重要です。
過去に地盤調査を行わなかったことにより住宅が不動沈下してしまう事例も存在します。
地盤調査は専門性が高く、わかりにくいと感じることも多いはずです。
わからないことがあればハウスメーカーや建設会社に相談してみましょう。
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