見積書は、契約前に発行する書類で、互いに必要な金額や納期など取引の条件を確認するためにあるものです。
契約前に詳細が明らかになり書面として残るため、取引の間に安心感と信頼が生まれます。
正しい見積書を発行しないと、信頼にひびが入り、他社と契約されてしまうことにもなりかねないので、しっかりと書き方をおさえておきましょう。
この記事では見積書の有効期限を設定する目的や注意するべきポイントを紹介していきます。
見積書を提出する目的
まずは、見積書を提出する目的を確認しましょう。
見積書は、正式な契約の前段階として、内容や期限、金額を確認するために顧客に提出する書類です。見積書を作成する目的は下記の2つです。
1.双方の認識の違いを防止する
取引内容や金額、支払条件、納期などを明確にすることで、後々のトラブルを防止する役割があります。
2.契約の決意を促す
見積書で正式な金額を提示することで、発注の決意を促す役割があります。
最近では、見積書を複数の会社に依頼する「相見積もり」が一般的になっていますので、見積書の内容や項目は重要になっています。
見積書は、取引先を決めるにあたって顧客の大きな判断材料になるので、体裁を整えるのはもちろんのこと、取引内容を分かりやすく記載するするようにしましょう。
見積書の有効期限とは
見積書の有効期限とは、提示した金額で契約が出来る期間です。
有効期限が切れた場合には再度見積りを行う必要があります。
また、民法523条において有効期限内の契約の申込は、発行者は撤回ができないと定められていますので、しっかりとした見積書を作成するようにしましょう。
1.承諾の期間を定めてした契約の申込みは、撤回することができない。
2.申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。
引用:民法第523条(WIKIBOOK)
承諾期間について
民法523条の1項に記載されている「承諾の期間」とは、見積書に記載する有効期限のことを指します。
企業間における取引は、見積書の発行が契約の申し込みになるため、発行した業者は取引の申し込みを行ったことになります。
そのため、見積書の有効期限を撤回し、勝手に契約の取消ができないようになっています。
承諾の通知とは
民法523条の2項に記載されている「承諾の通知」とは、発行した見積書の内容で契約する旨を通知することを言います。
見積書は、有効期限内に原材料の価格が変動し、高騰したとしても見積書の内容を勝手に変更できない可能性があります。
そのため、見積書に有効期限を設定し、その期間が過ぎても承諾に関する通知がなければ、見積書は無効となり、発行元であってもその内容の通りに契約を結ぶ必要はなくなります。
有効期限を記載する目的
見積書に有効期限を記載する目的は、主に2つあります。
顧客に早めの発注を促す
見積書に有効期限を記載することで、「見積書に記載した条件で取引できるのはこの期限まで」という意思表示を行い、顧客に早めの発注を促すことができます。
価格変動などに備える
BtoBの商談の場合、会社内で稟議を通す必要があるなど、見積書の発行から受注までに時間がかかるケースがあります。
そのような場合、材料の価格変動や販売の終了などによって、見積書に記載の金額では粗利を大きく下げたり、最悪の場合、赤字受注になる恐れがあります。
有効期限はどのくらいの期間が一般的?
有効期限の期日についての決まりはありません。
業種によって変わってきますが、2週間~長くても半年で見積書を提出することが一般的です。
有効期限の記載がない見積書を見かけることがありますが、期限を設けていないという事は、何年たっても見積書に記載している内容・金額で申込が可能になります。
価格の変更やサービス内容が変わっている場合もありますので、その時に改めて見積書を発行する形になるように有効期限は必ず設けるようにしましょう。
※記入例:『見積提出日から2週間』
見積書に記載する内容
- タイトル
- 発行日
- 発行元の名称(会社名・担当者・住所)
- 宛先
- 通番(見積番号)
- 見積り金額
- 工期など(納入予定日・着工~引渡日)
- 納入場所(現場住所)
- 見積有効期限
- 支払条件
- 見積明細(明細番号、項目名、単価、数量、単位、金額)
- 消費税・合計金額
- 備考
- 提出者の印鑑(角印でOK)
上記の項目に沿って見積書を作成すれば、取引先にとっても親切な見積書となります。
記載項目の中でも特に注意すべきポイントについてお伝えします。
取引先の宛名
見積書を送付する取引先の会社名や住所を記載します。
会社名のみを記載する場合は「御中」、担当者まで記載した場合は「様」など敬称に間違いがないか確認しましょう。
見積書の作成日
見積書の作成日の記載は、請求書の作成や見積金額を後から確認する際に、大変重要になってきます。
また、見積書は2度、3度作成する可能性があるため、作成日がなければどれが最新の見積書なのか分からなくなってしまう可能性があります。
そのため、見積書の作成日は必ず記載するようにしましょう。
商品の詳細、金額の確認
商品名や数量、合計金額などの商品概要を間違いのないように記載しましょう。
消費税は商品ごとに記載するのではなく、割引の場合もまとめて記載するようにしましょう。
見積書の書き方に関する記事はこちら
建設業の見積期間
建設業法では、見積期間が定められています。
見積期間とは、発注者や元請負人から依頼を受け、建設業者が見積書を作成し交付するまでの猶予期間のことです。
下請業者が正確な見積を作成できるように、法律によって検討するための時間が十分に確保されています。
そのため、発注者から無理に急かされることは建設業法に反する可能性があります。
- 工事価格500万円未満:中1日以上
- 工事価格500万円以上、5,000万円未満:中10日以上
(やむを得ない事情がある場合は5日以内に限り短縮可) - 工事価格5,000万円以上:中15日以上
(やむを得ない事情がある場合は5日以内に限り短縮可)
猶予期間が正しく設けられているか確認し、十分な時間をかけて適切な見積を行いましょう。
建設業法に関する記事はこちら
生産性を高める見積作成・管理システム 「アイピア」
中小企業が抱える見積書作成における課題点として、個人単位での相違が考えられます。
- 社員によって使用するフォーマットが違うため、出来上がるデザインやレイアウトが違う
- また、対応する社員によって価格単価が違うせいで正確な粗利管理が出来ない
このような課題は、社内で共有できるシステムを導入する事で解決します。
「建築業向け管理システム アイピア」は、社内のあらゆる情報をクラウド上で一元管理できるシステムです。もちろん見積書も作成・共有することができます。
見積書のレイアウトを共通化
アイピアの見積書作成機能では、自社の要望に合った見積書レイアウトを選択し、社内全員でレイアウトやデザインを共通化できます。
見積単価を共通化
アイピアではマスタ情報に見積単価表を作成することが可能です。これにより、社員ごとの単価を統一することができます。
また、すでに作成した見積書を価格単価表にすることもできますので、同じ内容を何度も入力する必要がなくなります。
予算の見積を同時に入力可能(リアルタイムに粗利の表示)
アイピアの見積機能では、見積価格のみ入力する方法と、予算価格と見積価格を同時に入力することが選択できます。
また、事前に作成していた予算を原価率として見積価格を自動計算する機能もあります。
アイピアで見積書を作成すれば、電卓を使わずに見積書を作成することができます。
アイピアの見積機能はそのほかにもさまざまな機能が充実しています。
実際に画面を見られたい方は無料トライアルも実施していますので下記よりお気軽にお問合せください。
見積書の申告・承認機能
見積書を提出する前に、上司の承認を必要とするフローを設定することが可能です。
設定した金額以上の場合は、申告が必要など、細かい設定もできます。
過去の見積書を簡単検索・再利用可能
システムど登録された見積書は永久的に保存されるため、いつでも検索し、その見積書を変更して提出するなど、再利用が可能。
見積有効期限などの入力をルール化できる
有効期限や、支払い条件など、入力漏れが発生しないように、必須入力にするなど、細かい設定も可能です。
自社の運用ルールに合わせることが可能ため、導入時に、担当者にお申し付けください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
見積書の有効期限は一般的に2週間から半年間で設定されます。
請け負う側は有効期限を設定した契約は撤回できません。
有効期限を設定する際は、漠然と設定するのではなく、原価とのバランスや内容変更の可能性を配慮しながら決めることが大切です。
見積書を簡単に作成できるクラウドシステム「アイピア」の導入も検討してみてください。
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