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施工管理DXの課題 現場のDX化は「見える化」から

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DXとは、Digital Transformationの略です。Transformationは「変身・変化」という意味があり、DXを直訳すると「デジタルによる変化」という意味になります。

今までの生活や仕事が、デジタルで変化することをDXと呼びますが、どのように変化していくのでしょうか?新しい技術が次々と登場してますが、それをどう使いこなすのかが今後の課題になります。
大手ゼネコンなども積極的にDX化に取り組んでいます。中小企業もこれからの世の中を見据えて、できるところから取り組んで行くことをおすすめします。
建築業界ではDXの黎明期とも言えますから、新たな発想から新たな市場が生まれる期待感も高まっています。

目次

建設におけるDXとは?

建設におけるDXとは?
出典:経済産業省
経済産業省では、「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」で、以下のようにDXを定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジ タル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

IT技術を使って、製品やサービスの質の向上や業務の効率化を実現し、顧客や自社の利益につなげることを目的としています。
そのためには、時代に合わせたデータとデジタル技術で、今までとは違う多角的なビジネスを構築をするための、基盤となる IT システムの構築が各企業に求められています。

建築業界の課題

建築業界における今後の課題は一体どこにあるのでしょうか。
この章では、建築業界において2025年の壁といわれる課題についてご紹介します。

2025年の崖

2025年の崖とは、2025年〜2030年にかけて、ITを扱える人材が不足し、古い基幹システムの影響で最大12兆円(年間)の経済損失をもたらす恐れがあります。
こうした問題は、経済産業省の調査報告で明らかになりました。
また、前々から問題とされているIT人材の不足は、2025年までに約43万人を超えると予測されています。
さらに、21年以上稼働している古い基幹システムは、2020年には企業全体の2割ほどでしたが、2025年までに約6割に達すると言われています。

以上の予測から、経済損失は現在の3倍の12兆円にも達すると予測されます。各企業がIT人材を確保し、その上で古い基幹システムを新たなDXに変えることで、こうした経済損失を防ぐことができるでしょう。
つまり、各企業においてDX 化を検討することが建築業界の未来につながります。

建設DXで必要とされる技術

建設DXで必要とされる技術
出典:国土交通省
この章では、建設業界のDX化で必要とされている技術を4つご紹介します。

BIM/CIM

BIM/CIM
出典:国土交通省
BIMとは、Building Information Modeling(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の略称です。
主な機能は以下の通りです。

  • 詳細な精度の高い見積書を作成
  • 各部材の干渉チェックの簡易化
  • 構造フレームとの干渉を回避
  • 耐震基準に適合した吊り金物などのオブジェクトを自動生成
  • 図面と3次元モデルの整合性の調整が簡単
  • 知識がない人にもイメージを共有
  • ワークフローの一元化

CIMとは、Construction Information Modeling / Management(コンストラクション インフォメーション モデリング/マネージメント)の略です。CIMはBIMの一部であるという認識からBIM/CIMという呼び方で広まりました。

長い間建設・土木業界では平面(2次元)の図面を使って仕事を進めて来ましたが、BIM/CIM(ビム・シム)の導入することで、建設物をデータ化できます。
建設物をデータ化することで、関係者の間で共有情報の修正・変更・追加が簡単にでき、全ての作業がスピーディーに運びます。
結果、紙面や二次元のデータの行き違いや勘違いがなくなり、関係者の建築物への理解も深まります。こうして様々な情報を一元化し、共有することができれば、業務が効率的に進み、安全・高品質の確保・環境性の向上、コスト削減につながります。

さらに国土交通省は、今後すべての公共工事でBIM/CIMを活用する方針を示しており、今後はさらなる建設DXの加速が期待できます。

ICT

ICT
出典:国土交通省
ICTとは、情報通信技術(Information and Communication Technology)の略です。
現在では、IT(Information Technology)とICTで使い分けされています。

IT:ハードウェア、ソフトウェア等のコンピュータ関連の技術そのもの
ICT:情報伝達を目的とした技術活用の方法や方法論

施工管理業務は、紙の図面管理や実際の黒板を使った検査記録が一般的でした。
しかし、資料管理に手がかかり、携行品も多く、特に悪天候の場合に資料が濡れる、破けるなどの煩雑さがありました。

ICT化でできる機能

  • 図面管理機能
  • 電子黒板機能
  • 帳票出力機能

その結果得られるメリット

  • 業務効率化
  • 施工・管理品質の向上
  • 人手不足の緩和
  • 社員のストレス軽減・モチベーションの向上

loT・AI

loT・AI
出典:国土交通省
IoTは「Internet of Things」の略称で、日本語では「モノのインターネット」と訳されます。
例を挙げれば、離れて暮らす一人暮らしの家族の安否確認ができる、という新しい付加価値をつけることで、消費者のニーズに応えた電気ポットが有名です。
今後、高齢化社会が益々の加速して行くことを鑑みても、必要不可欠な技術であると考えられます。

「モノ売り」からIoT技術を活用した「コト売り」へと各市場での商品の価値の変換が進んでいます。
総務省の「令和元年版 情報通信白書」では、今後約450億台のIoT機器がインターネットに接続されると予測されています。つまり、あらゆるものがインターネットにつながる社会が来ると言われています。
IoT導入の本質は、「モノにセンサーを組み込み、そこで得られたデータをAIで分析し、コスト削減や効率化などの効果をサービス化することで、ユーザーへ提供して行く」ことです。まずは、データを集めることから始めてみましょう。

ドローン

ドローン
出典:国土交通省
すでに、アメリカでは2015年から竜巻やハリケーンなどの大きな災害があった後、ドローン企業✕保険会社の災害地域の屋根の点検が普及しています。

日本における事例では、近年屋根事業の業界で、高齢化のため屋根職人が減っているのに、リフォーム需要は伸びているのという状況がありました。こうした事態に有効的であったのが「ドローン」の活用です。
屋根点検は滑落が多く、死亡や骨折の危険が高いため、近年ではドローンを使った屋根点検が増えています。
またその他にも、自動飛行で撮影を行うドローンの汎用性は高く、測量・外壁調査・大規模修繕・ダムの点検・ガス管の点検などあらゆる分野での活用が期待されています。
さらに、ドローンで撮影されたデータを、施工管理に様々な方法で活用する事業計画も注目されてます。これらのことから、ドローンは建設DXの推進に大きな役割を果たすといえるでしょう。

DX導入の事例

この章では、DX導入の事例を4つのポイントからご紹介します。

マイクロソフト

マイクロソフトでは、オフィスシリーズのライセンス販売やPCとのセット販売のビジネスモデルを行って来ました。
ところが、使いやすさからスマホやタブレットが普及し、顧客獲得に苦戦を強いられます。そこで、オフィスシリーズをクラウドサービスとして提供するビジネスモデルに切り替えることで、1,200億ドルの収益を上げることに成功しました。

公共インフラ

多くのインフラが高度成長期に建設され、現在は老朽化が進んでいます。
新たにインフラを作る場合、インフラに携わる地方自治体・地域住民・地域建設会社とをつなげ、データを共有し、造成から設計・工事を協力して行います。完成後には地方自治体・地域住民・地域建設会社がそれぞれに得た新たなデータを蓄積しつつ、リアルタイムデータを一括管理することで、維持管理業務の効率化が実現します。
そうすることで、さらに充実した行政サービスの提供が可能になります。

病院

高齢化社会が進み、病床の増加が検討されています。また、非常に煩雑な入院や外来のシステムを最適化し、スムーズな運営が求められています。さらに、入院患者のケアも一人ひとりにカスタマイズされたサービスが求められています。
地域住民が最適な病院に入院できるように、病院施設のデータや位置情報と患者のステータス等のデータのマッチングを提案します。双方のデータに基づく価値を検討し、施設企画も含めた新たな価値を生み出すため、地域と行政と病院がデータを共有することで、期待されるサービスを実現します。

ゼネコンの取り組み

大手ゼネコンはすでにDX化に力を入れており、いろいろな取り組みを始めています。
例を挙げれば、建設生産の過程で作業の半分をロボット化する、管理の半分を遠隔操作にする、プロセスを全てデジタル化するなどに取り組んでいます。
これらが実現すれば限られた人員で、効率的に作業が進めることができます。

関係者の情報共有をスムーズにするスマートBIMやダム建設用の建設機械を全自動にするなど、積極的にDX化を推進するゼネコンもあります。
また、日常業務をデジタル化によって効率化し、遠隔操作やより効率的なビル監視制御システムの開発、異業種とで共同開発したヘルメットに装着するモニタリングシステムなど、自社の得意な方面からDX化を推し進めている企業もあります。
しかし、建設DXを推し進める一方で、専門的なIT人材が不足しており、その状況に拍車がかかっています。

中小企業の取り組み

中小建設業にとってDXは馴染みがない言葉ですが、DXの波はすぐそこまで押し寄せており、生産性の向上を考えれば無視できません。
そして、その延長線上でDXは働き方改革や新たな価値の創造につながります。現状に課題を感じ、デジタル化で課題解決を目指す経営者も増えています。
下請けから脱却し、元請けの仕事を受けて行くためには、会社にブランド力が必要です。

そこで、中小企業のDX導入におすすめなのが、専門分野を宣伝できるHPの運営です。こうすることで、これまでより広い領域に向けて、自動的に営業をかけることができるようになります。
また、求人においても有効的です。近年は、どの世代においても就職先をスマートフォンやパソコン上で探す時代になりました。人材不足の点でもHPに募集を載せるなど、取り組みやすいところから始めてみてはいかがしょう。
ティーチプラス こちらで詳しく解説しています

まとめ

これからは建築業界もDX化の時代だと言われていますが、具体的に何をどうしたらいいのか、とっかかりがないのが現状です。ここで考えてみていただきたいのが、DX化は「こうだったら便利」の現実化だということです。
これを実現するには、まず自社の仕事の流れを「見える化」し、次に顧客にとっての「こうだったら便利」を見出します。小さなことでも行動し続ければ、次の現実が見えて来ます。大事なお客様のために、また、自社の未来のために、今できることを考えてみてください。

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