見積書を作成する際、「御見積書」とするか、「見積書」とするか悩まれたことはありませんか。
企業からの見積書を見ていると、御見積書となっているケースや見積書と書かれているケースがあります。
本記事では、どちらの表記が正しいのかについて解説していきます。
「御見積書」?「見積書」?
近年、「見積書」ではなく、「御」の字が付いた「御見積書」という表記を目にする機会が増えたのではないでしょうか。
大手文房具・事務機器メーカーの見積書でも、御見積書が採用されているケースがあります。
かつては見られなかった御見積書という表記に、違和感に感じる方も少なくないでしょう。
自社から取引先に提示する見積もりに対して、敬語を作る接頭辞でもある「御」を付けるのはおかしいのではないかという考え方もあります。
しかし近年は、御見積書としても、見積書としても、どちらも間違いではないと考えられています。
「御」を付ける理由
ではなぜ近年、「御」を付けるようになったのでしょうか。
これに関しては、「自社側が取引先へ見積もりを提示する」という自社側のアクションをもとに考えて、尊敬語に値する「御」を付けたのではないかと考えられています。
たとえば、取引先に見積もりを作成して提出する際に「お見積もりをさせていただきます。」という表現を使うケースと同様です。
また、請求書にも「御請求書」という言葉が使われる場合があります。
御見積書を提出している企業では、請求書も御請求書として作成しているケースが多いです。
「お」と「ご」の使い分け
御という言葉は、「お」や「ご」と読むことができます。
たとえば、御見積書の場合は「おみつもりしょ」と読み、御請求書の場合は「ごせいきゅうしょ」と読みます。
御〇〇というワードを目にすると、どちらで読めば良いかわからないという方もいるかもしれません。
基本的に訓読みの和語の前に付ける「御」の場合は「お」と読み、音読みの漢語の前に付ける「御」の場合は「ご」と読みます。
具体例は次の通りです。
- 和語の場合:お話(おはなし)、御名前(おなまえ)、お知らせ(おしらせ)など
- 漢語の場合:御連絡(ごれんらく)、御案内(ごあんない)、御注文(ごちゅうもん)など
ただし例外もあります。
たとえば、御の後が漢語となる「御歳暮」は、「おせいぼ」と発音します。
見積書の書き方に関する記事はこちら
「御見積書」「お見積もり」の使い方
取引先にメールなどで見積書を送付する際、「御」を付けるケースとひらがなで「お」を付けてお見積もりと活用するケースがあります。
どちらの表記を使用しても誤りではありません。
ただし文化庁は、送り仮名の付け方について次のように定めています。
複合の語のうち、次のような名詞は、慣用に従って、送り仮名を付けない。
(1) 特定の領域の語で、慣用が固定していると認められるもの。
(2) 一般に、慣用が固定していると認められるもの。
引用元:文化庁「送り仮名の付け方 複合の語 通則7」
見積書は、見積もりと書類が一緒になった複合語であり、「特定の領域の語で、慣用が固定していると認められるもの」に含まれます。
そのため、送り仮名を付けず、見積書、御見積書と表記します。
見積り書、見積もり書といった表記は避けた方が良いでしょう。
ただ、「お見積もり」という言い方は複合語ではないため、お見積もりと表記してまったく問題はありません。
見積書の電子化に関する記事はこちら
見積もりを送付・依頼する場合のメール文例
では次に、見積もりを送付する場合、依頼する場合のメール文例をご紹介します。
見積もりを送付する場合
まず、自社から取引先にメールで見積書を送付する際の件名と本文の例をご紹介します。
件名
見積書をメールで送付する際は、一目見てわかる簡潔な件名を付けます。
会社によっては、一日に何十通、何百通もメールが届くケースがあり、大事なメールであっても埋もれてしまう場合があるからです。
いくつもの文面を処理するために、件名だけを見て、優先して読むメールと後回しにするメールを瞬時に判断する方も多いです。
そのため、次のような件名を付けるようにしましょう。
- 御見積書をお送りします 【株式会社〇〇】
- 見積書送付について【株式会社〇〇】
件名に会社名を含めることで、どこから来た見積書なのかがわかりやすいです。
本文
△△株式会社 □□部
山田 太郎様
いつもお世話になっております。
株式会社〇〇の伊藤です。
この度は、××のお見積もりのご依頼いただきましてありがとうございます。
PDFファイルにて、御見積書ならびに資料を送付いたします。
ご不明な点や、万が一ファイルが開封できないなどといった不都合がございましたら、お手数ですがご連絡ください。
本見積もりの有効期限は、20××年○月末までとなり、ご発注いただいてから、約○週間を予定しております。
ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
見積もりを依頼する場合
ここでは反対に、取引先に見積もりを依頼する場合のメールについてご紹介します。
件名
見積もりを依頼する場合も、件名は完結かつわかりやすくして送付します。
そうすることで、すぐに内容を確認してもらえる可能性が高くなります。
たとえば、次のような件名が良いでしょう。
- 見積もりのお願い 【株式会社〇〇】
- 見積もりの依頼に関しまして【株式会社〇〇】
依頼する場合も、自社の名前も付けることでどこから見積依頼が届いたかが明確になります。
本文
△△株式会社 □□部
山田 太郎様
お世話になっております。
株式会社〇〇の伊藤です。
先日は弊社にお越しいただき、誠にありがとうございました。
その際にご提案いただきました××の件ですが、ぜひとも検討を進めていきたく、ご連絡いたしました。
××の件について、お見積もりをいただけますと幸いです。
お忙しいところ恐縮ですが、○月△日までに見積書をご送付いただくことは可能でしょうか。
何卒よろしくお願いいたします。
見積書を送付する場合も依頼する場合も、メールの文面に期限を示しておくことがポイントです。
期限内に取引先からの返答があれば、社内での検討も進めやすくなります。
見積書の送付に関する記事はこちら
まとめ
「御見積書」と「見積書」はどちらを使っても特に問題ありません。
ただ、送り仮名を付けない表記が一般的です。
「御見積もり書」や「お見積り書」などの表記は避けるようにしましょう。
また、見積書を送付・依頼する際には、わかりやすい件名を付け、本文に期限を明示するのがポイントです。
すぐにメールを確認してもらえる工夫をすることで、スムーズな取引を実現できます。
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