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法定福利費とは?ざっくり出す方法や見積書作成まで解説

法定福利費とは?ざっくり出す方法や見積書作成まで解説

建設業の下請け企業は、法定福利費を含む見積書の提出を求められることがあります。
なぜ法定福利費の記載を義務付けられるのか、疑問に思う人もいるでしょう。

本記事では、法定福利費とはどういうものか、また計算方法や見積書作成の注意点まで分かりやすく解説します。

目次

法定福利費とは何か?

法定福利費とは、企業が従業員のために法律で義務付けられている保険料のことを指します。
法定福利費に含まれる社会保険料は、以下の6つです。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 介護保険
  • 子ども・子育て拠出金
  • 雇用保険
  • 労災保険

これらの費用は、労働者の生活を支え、安心して工事や他の業務に従事できる環境を提供するために重要です。

法定福利費の目的とは

法定福利費の目的は、労働者の健康維持や老後の生活を保障し、万が一の事故や失業時に経済的な支援を行うことです。
特に建設業においては、工事現場での労働者の安全と健康は非常に重要であり、これらの費用の適正な見積書作成と明示は企業の責任となります。

さらに、法定福利費を適切に支払うことで、企業は優秀な人材を確保し、従業員のモチベーションを高めることができます。
結果として、企業の生産性向上や社会的信用の向上にも寄与します。

法定福利費は法律で定められており、企業は必ず支払う義務があります。
適正な法定福利費の支払いは、労使関係の健全化にもつながります。

法定福利費と福利厚生費の違い

福利厚生費は企業の自主的な取り組みによって設定され、従業員の満足度向上や企業の競争力強化を目的としますが、法定福利費は労働者の法的権利の一環として定められています。
以下で詳しく解説していきます。

福利厚生費とは

福利厚生費は従業員の生活環境を向上させるために企業が負担する費用を指します。
具体的な例として、次のようなものが挙げられます。

  • 健康診断
  • 社員旅行
  • 住宅手当
  • 食事補助

これらの費用は、従業員のモチベーションを高め、長期的な雇用関係を築くために重要です。

建設業では、工事現場で働く従業員の健康維持や生活の質を向上させることで、企業の生産性向上にも寄与します。
福利厚生費を適切に管理することで、従業員の満足度を高め、離職率を低減させることが可能です。

法定福利費とは異なり、福利厚生費は企業の裁量で決定されるため、各企業の方針や業界の慣習によって内容や範囲が大きく異なることがあります。

法定福利費との比較

ここでは、福利厚生費と法定福利費の違いについて、詳しく解説します。

法定福利費

法定福利費は法律で支払いが義務付けられている社会保険料や労働保険料を指し、以下の項目を含みます。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 労災保険
  • 雇用保険

福利厚生費

一方、福利厚生費は企業が自主的に提供するもので、法的な義務はありません。
例えば、福利厚生費には以下の費用が含まれます。

  • 社員食堂の運営費
  • 健康診断の費用
  • レクリエーション活動の費用

建設業では、工事費の見積書に法定福利費を明示することが求められます。
これは、企業が従業員の福利厚生を適切に管理し、透明性を確保するためです。

法定福利費は従業員の数や給与額に応じて支払う必要があり、全ての企業に共通の負担です。
一方、福利厚生費は企業の財政状況や方針により異なり、その提供内容や範囲も大きく異なります。

企業が提供する福利厚生の充実度は、従業員の満足度やモチベーションに直接影響します。
そのため、法定福利費と福利厚生費をバランスよく管理し、従業員にとって魅力的な職場環境を整えることが重要です。

法定福利費の計算方法

ここでは、建設業界における法定福利費の基本とその簡単な計算方法について説明します。
建設業において、法定福利費を正確に見積もることは、特に重要な課題です。
工事ごとに異なる労務費を把握し、それに基づいて法定福利費を計算することで、企業の財務運営を最適化できます。
以下の手順に従って、労務費から法定福利費を見積もりましょう。

労務費から法定福利費を計算する方法

以下の手順を踏むことで、企業は正確な見積もりを作成し、適切な財務管理を行うことができます。

  1. 労務費の総額を計算する
  2. 労務費から法定福利費を計算する

以下では、労務費の求め方や、各保険率について詳しく解説します。

ステップ ① 労務費を計算する

法定福利費の計算方法は比較的シンプルです。
まず、労務費を基に計算を行います。
労務費とは、企業が従業員に対して支払う労働に関連する費用のことを指します。

労務費は以下の式で求めることができます。

労務費 = 所要人数 × 労務単価

ステップ ② 労務費をもとに法定福利費を計算する

法定福利費の代表といえる社会保険料は、労働者の賃金に基づいて、各種保険料が計算されます。
社会保険料は「標準報酬月額 × 各種保険料率 × 事業主が負担する割合」で求めます。
事業主負担分の割合は次のようになります。

  • 健康保険:折半
  • 介護保険料:折半
  • 厚生年金保険料:折半
  • 雇用保険料:業種によって割合が変わる
  • こども・子育て拠出金:全額負担

また各種保険の保険料率は以下の割合になります。

法定福利費 保険料

保険率は都道府県ごとに異なり、年度によって改定があるため、確認が必要です。

法定福利費をざっくり出す方法とは?

ざっくりした法定福利費は、一般的に次のような式で求めることができます。

「労務費総額」×「社会保険料率」=「法定福利費」

法定福利費の目安を知りたい方は、この式を使ってざっくり求めてみましょう。

法定福利費の見積書について

建設業では、法定福利費を含めた見積書の提出が義務付けられています
労働環境問題の解決や、働きやすい環境づくりの一環で、見積書の提出が必要となります。

法定福利費を見積書に記載する手順は、建設業において非常に重要なステップです。以下に、具体的な手順を説明します。

手順その① 労務費から法定福利費を計算する

労務費は、従業員の給与や賃金を基に算出され、これに一定の率を掛け合わせて法定福利費を求めます。
労務費は、 所要人数 × 労務単価 で求めることができます。

手順その② 計算した法定福利費を見積書に明示する

法定福利費は消費税の対象であるため、消費税の記載も必要となります。
また各種法定福利費(健康保険、厚生年金保険、労災保険、雇用保険など)を明確に分けて記載することが重要です。

消費税の計算における注意点

法定福利費は消費税の対象であるため、「課税対象取引」となります。
そのため、見積書に法定福利費を明示する際に、必ず消費税も記載しなければなりません。

手順その③ 見積書全体を再確認し、記載内容に誤りがないことを確認する

特に、法定福利費の計算ミスや記載漏れがないように注意が必要です。
これにより、見積もりの正確性が保証され、クライアントからの信頼を得ることができます。

見積書を作成する際の注意点とは?

法定福利費の見積書作成時に注意するべき点がいくつかあります。
ここでは、法定福利費の見積書を作成する際の注意点や、元請け業者や下請け業者が注意すべき点を紹介します。

見積書作成時の注意点

見積書作成時の注意点は以下の通りです。

  • 法定福利費には、事業主負担分のみを記載する
  • 法定福利費も消費税の対象とする

元請け業者が注意すべき点

元請け業者が見積書を作成する際には、以下の点に注意が必要です。

見積書に明確に記載されているか確認する

不正確な計算や記載漏れは、後々のトラブルを引き起こす原因となります。
提出された見積書に、法定福利費が記載されているかきちんと確認しましょう。

下請け業者が適切に社会保険に加入しているかをチェックする

下請け業者が適切に社会保険に加入しているかをチェックすることも元請け業者の責任です。
これにより、労働者の権利を守り、元請け業者自身の信頼性を高めることができます。

下請け業者が注意すべき点

下請け業者が注意すべき点は以下の通りです。

法定福利費の正確な算出

元請け業者と契約を結ぶ際には、見積もりの中で法定福利費が適切に計上されているか確認することが重要です。
見積書には法定福利費が明確に記載されている必要がありますが、もし不明確な点があれば必ず質問し、クリアにしておくべきです。

法定福利費を見積書に必ず記載する

見積書を作成する際は、必ず法定福利費を記載しましょう。
また記載漏れがないか、きちんと確認しましょう。

まとめ

法定福利費とは、企業が労働者の社会保険加入に際して負担する費用のことを指します。
建設業界においては、労働者の安全や健康の保護を目的とし、労災保険や厚生年金、雇用保険などが含まれます。
企業が自主的に提供する福利厚生費とは異なり、法定福利費は法的な義務を満たすために必要な支出です。

計算方法や記載方法に注意しながら、正しく見積書を作成しましょう。
より正確に法定福利費を計算する場合は、建築見積ソフトの導入がおすすめです。
但し、同じ建築見積ソフトでも、一概に法定福利費機能を使用できるとは限りませんので、注意しましょう。

法定福利費機能が利用できる建築見積ソフトは「アイピア」がおすすめです。

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