営業活動をしているなかで、安定した顧客獲得ができず行き詰まることはありませんか?
企業にとっては、契約を増やすことではなく、いかにして安定した収益を獲得するかが最重要課題です。
今回は、そんな企業全体の収益化プランを立てるのに有効な「FFMBモデル」と「セールスファネル」を紹介します。
モデルの細かな意味や、実施する際のポイントをみていきましょう。
FFMBモデルとは
FFMBモデルとは、商品・サービスの提供を、Free-end(フリーエンド)、Front-end(フロントエンド)、Middle-end(ミドルエンド)、Back-end(バックエンド)の4段階から設計・構築するセールスモデルです。
これら4つの段階に様々な商品やサービスを当てはめ、どのようにして自社の認知度を高め、自社利益に繋げていくかを考えるのに役立ちます。

FFMBモデルの目的
FFMBモデル(Free-end, Front-end, Middle-end, Business-end)の目的は、製品やサービスの価値設計や提供方法を整理し、企業が市場で競争優位を確立するためのフレームワークとして活用することです。
具体的にどんな活用方法が考えられるのか、以下でみていきましょう。
①製品・サービスの価値提供の整理
製品やサービスを Free-end(顧客に無料または低価格で提供される部分、 Front-end(安価な商品・サービスの提供)、Middle-end(顧客に直接提供される主要な価値)、Business-end(企業が収益を得るポイント) の視点から分類し、ビジネスモデルの全体像を明確にします。
②収益モデルの最適化
モデルの各段階をどのように設計し、Business-endでどのように収益化するかを整理することで、持続可能なビジネスモデルを構築することができます。
また、顧客がどこで価値を感じるのか、どこで収益化するのかを整理し、適切な価格戦略や市場戦略を立案することにも役立つでしょう。
③顧客満足度・リピート率の向上
Free-endやFront-endを活用して顧客を獲得し、Middle-end以降の顧客への提供価値を最適化することで、顧客満足度やリピート率を向上させることも目的です。
FFMBの各段階の意味
FFMBモデルの概要について説明しましたが、ここからは各段階の詳細をみていきましょう。
Free-end(フリーエンド)とは
Free-end(フリーエンド)は、その名の通り「無料」のサービスを提供する段階です。
フリーエンドでは利益を得るのが目的ではなく、あくまで自社の認知度を高めたり、無料サンプルなどを通じて自社の関連商材に興味がありそうな人を集めたりすることが目的です。
セミナーやメルマガ発信、チラシ、広告なども含まれます。
フリーエンドの役割
フリーエンドで重要なのは、「啓蒙(けいもう)する」ことです。
例えば自社が提供しているソリューション(課題解決の手段)を必要とするお客様に対して「〇〇することは大切ですよね?」「〇〇になったら困ると思いませんか?」という問題提起を行います。
この啓蒙活動を通じて、多くの人に自社のビジョン・ミッション(商品やサービス提供を通じて実現したい未来)に共感してもらうことが、フリーエンド段階の役割です。
フリーエンドのポイント
フリーエンドは、その後の各段階に繋げていくための重要なステップです。
フリーエンドでは、以下のポイントを押さえるようにしましょう。
- 後々に販売したい商品やサービスに関連した要素を持つこと
- 自社のミッションやビジョンに共感してもらえる「啓蒙活動」であること
- 電話番号やメールアドレスなど、後々の活動に必要な個人情報を取得できること
Front-end(フロントエンド)とは
Front-end(フロントエンド)は、Free-end(フリーエンド)で集めた顧客に対して、安価な商品・サービスなどの提供を通じて自社の「取引先」になってもらう段階です。
フロントエンドの役割
フロントエンドにおける「安価な商品やサービスの購入」は、自社が利益を得るためのものではなく、あくまで自社をより深く知ってもらうことが目的です。
たとえ購入したのが安価な商品やサービスであっても、お客様には「取引した」という事実が変わりなく伝わるものです。
「買いたいと思える商品を取り扱う企業である」という信頼を自社とお客様の間で構築することができ、なにかを購入する際のお客様の不安を取り除くことにも繋がります。
また、フロントエンドのもう一つの重要な役割は、商品購入によって、「フリーエンドでの啓蒙活動がお客様にとって理解でき、意味のあるものだった」と判断・解釈できる点です。
フロントエンドのポイント
- お客様が商品やサービスを購入する際の不安を取り除くものであること
- お客様にとって、啓蒙活動に共感した結果であること
- 「利益を出す目的」ではないことが明確なこと
Middle-end(ミドルエンド)とは
ここまで、Free-end(フリーエンド)やFront-end(フロントエンド)で様々な商品やサービスを通じてお客様に啓蒙活動を行ってきました。
お客様にとっては、何が課題か、最終的に到達したいゴールが何か明確になってきた頃です。
Middle-end(ミドルエンド)は、到達したいゴールを完全に実現できるわけではないものの部分的には最適な状態に達成できる、そんな商品やサービスを販売する段階です。
ミドルエンドの役割
多くの企業では、この段階の商品やサービスを中規模の利益を獲得できるものに設定しています。
営業マンにとっては営業活動がしやすい段階ではありますが、フリーエンドやフロントエンドを用意せずにミドルエンド商品だけを販売するのは、よほど商品力に自信がない限りいずれは顧客名簿が枯渇してしまうので、安定した経営とは言えません。
ミドルエンドのポイント
- フリーエンド、フロントエンドでの啓蒙活動の末に到達するものであること
- 到達したいゴールを完全に実現するものではないが、部分的に最適な状態を達成できること
Back-end(バックエンド)とは
Back-end(バックエンド)は、FFMBモデルにおける最終段階です。
一言でいえば、お客様にとって最大限に成果を出すことが出来る自社の最適解である商品やサービスを提供する段階です。
バックエンドの役割
バックエンドでは、最大限の成果を出すことができる商品やサービスを提供します。
あくまで、「お客様にとって最大限に成果を出すことができるもの」であることを意識しましょう。
とはいえ、これまでの段階と比較すれば、高価なものになるので、バックエンド商品を購入するのは顧客全体の中でも少ないでしょう。
それだけ、自社の啓蒙活動に強く共感したお客様だけが到達する段階です。
バックエンドのポイント
- お客様にとって最大限に成果を出す、自社の最適解である商品やサービスであること
- 自社の啓蒙活動を最も強く共感したお客様だけが到達する段階であること
- ただ「高価」な商品やサービスであればいいわけではないことを理解すること
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セールスファネルとは
セールスファネル(Sales Funnel) とは、見込み顧客が商品やサービスを認知し、購入に至るまでのプロセスを 漏斗(ファネル) の形で表現したマーケティングモデルです。
ファネルの上部は多くの見込み顧客が存在し、下部に進むにつれて、購入に至る顧客が絞り込まれていくイメージになっています。
FFMBモデルのセールスファネル
セールスファネルにFFMBモデルを当てはめると以下のような図になります。

FFMBモデルのセールスファネルは、Back-endに近づけば近づくほど「啓蒙活動に強く共感するお客様」になり、全体的な顧客数は減りますが自社で提供しているサービスの品質は高くなっています。
このセールスファネルに沿って、自社の顧客数を鑑みて活動の計画を立てましょう。
FFMBモデルとセールスファネルのよくある質問
最後に、FFMBモデルとセールスファネルに関するよくある質問をご紹介します。
- FFMBモデルとセールスファネルは同じものですか?
-
いいえ、FFMBモデルとセールスファネルは異なります。
FFMBモデル: 主にビジネスモデルや収益構造を分析するためのフレームワークで、Free-end, Front-end, Middle-end, Back-end の4つの段階で顧客との接点や収益ポイントを整理します。
セールスファネル: 見込み顧客が商品やサービスを認知し、購入に至るまでのプロセスを、漏斗型のイメージで整理するマーケティング手法です。
- セールスファネルはBtoBとBtoCで違いますか?
-
はい、セールスファネルの適用方法は異なります。
BtoB: 認知(Awareness)から購入(Conversion)までのプロセスが長く、顧客の意思決定に多くのステークホルダーが関与します。デモやホワイトペーパー、営業との直接的なやりとりが重要です。
BtoC: プロセスが比較的短く、SNS広告や口コミ、簡単な購入プロセスが効果的です。
- FFMBモデルとセールスファネルを連携させることは可能ですか?
-
はい、可能です。FFMBモデルを使って価値提供や収益化のポイントを整理し、その結果をセールスファネルに反映させることで、顧客の購買プロセスをより効果的に最適化できます。
たとえば、以下のように位置づけることができます。
Free-end(FFMB) → 認知(セールスファネル)
Front-end(FFMB) → 興味・検討(セールスファネル)
Middle-end・Back-end(FFMB) → 購入・リピート(セールスファネル)
- FFMBモデルを活用する業界の例はありますか?
-
例えば、以下のような業界例があります。
EC(電子商取引): 無料サンプルや割引クーポン(Free-end)、初回購入(Front-end)、サブスクリプションモデルや追加商品販売(Back-end)。
SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス): 無料トライアル(Free-end)、基本プラン(Front-end)、プレミアムプラン(Back-end)で収益化。
- FFMBモデルやセールスファネルを用いた営業でよくある失敗は?
-
以下のような失敗が考えられます。
認知段階での集客不足: 初期段階で見込み顧客を十分に集められない。
中間段階でのフォロー不足: 検討中の顧客への適切なフォローが欠け、離脱が増える。
購入後のケア不足: 購入後に満足度を向上させる施策がなく、リピート購入に繋がらない。
このような失敗を避けるため、各段階の目的と手段を明確にし、定期的に振り返りを行うようにしましょう。
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まとめ
FFMBモデルに沿ったセールスファネルを作成することで、自社がどのようにお客様にアプローチをしていくかが分かるうえに、最終的にお客様に到達してもらいたいのかという「自社のミッション」も明確になります。
最も重要なのは主語が「自社の利益」ではなく「お客様の利益」であることです。
このモデルプランを立てて、お客様にとって価値あるセールス活動を行い、安定した利益を生み出せる体制を確立させましょう。
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