人々の生活に、電気は必須で一般家庭だけでなくさまざまな施設でも使われています。
バスダクト工事では、この電気を安心して利用できるように工事を行います。
主に工場などの大きな施設で工事を行うことが一般的です。
今回は記事では、バスダクト工事の種類や施工方法、さらにメリットやデメリットなどを中心に解説していきます。
目次
バスダクト工事とは
機械や設備を動かすために、電気を送るための工事をバスダクト工事と言います。
バスダクトの中に板状の導体を通して、工場などで使う機械や設備を動かします。
家庭で使うような電気の量ではなく、4,000Aから6,000Aまで流せるのも特徴です。
一般的な家庭で使うような電気量では、工場の機械などを動かせません。
ある程度のエネルギーが必要になる為、バスダクト工事が行われます。
バスダクト工事の種類
バスダクトには種類があり、用途に合わせて利用されています。
どのような種類のバスダクトがあるのか紹介していきます。
プラグインバスダクト
機器や設備を移動させたい時やもっとエネルギーを出せるように負荷を増設する際に使われる場合にはプラグインバスダクトが用いられます。
プラグを利用して、分岐を得ることが可能です。
フィーダバスダクト
安全に使えると言われていて、触れても感電する機会がほとんどなく安心して利用できるのがフィーダバスダクトです。
大容量のアンペアを流せるため、感電が不安な部分ではありますが、全体が絶縁で覆われているため安全です。
プラグインジョントを持たないバスダクトでもあります。
トロリーバスダクト
機器や設備をその場所に置いておくだけでなく、移動しながら使用したい時に利用するのがトロリーバスダクトです。
バスダクトの下部を開放しているので、簡単に移動させながら電気が使えます。
バスダクト工事の施工方法
バスダクト工事の施工方法について、詳しく紹介していきます。
施工する際には安全に利用できるよう、場所の条件などもさまざま決まりがあります。
バスダクト工事の施工場所
場所はどこでもバスダクトを施工できるわけではなく、細かく制限などがあります。
展開した場所
展開した乾燥した場所であれば、バスダクト工事は可能です。
湿気や水気がある場合は安全に使えるように規制があり、300V以下に限ります。
点検できる隠蔽場所
点検できるものの隠蔽場所になると、さらに制限が出てきます。
乾燥した場所であればバスダクト工事は可能ですが、湿気と水気がある場所はできません。
さらに、点検できない隠蔽場所は、乾燥している場所であってもダメです。
バスダクト工事の支持点間距離
バスダクト工事をする際は、支持点間距離が決まっています。
水平に設置する場合は3m以下、垂直に設置する場合は6m以下です。
この距離は基準として決まっているので、必ず守らなければなりません。
バスダクト工事の接地工事
万が一漏電してしまった場合に、人体に感電しないように対策を行うため接地工事をする場合もあります。
よくさまざまな電気工事では、安全に利用するために接地工事を行うケースも多いです。
電圧の大きさによって何の設置工事を行うか変わります。
電圧が300V以下の時はD種接地工事をし、300Vを超えるような時はC種接地工事をします。
バスダクト工事のメリット
バスダクト工事を行うメリットは多数あります。
ここからは、どんなメリットがあるのか紹介していきます。
大電流を流す場合に適している
大きな電流が必要な場合にも、バスダクトを利用すれば叶います。
200Aから大きいと4,000~6,000Aまで利用できますので、工場などの大きな施設でも安心して利用できます。
分岐変換も簡単で、使いやすいのも特徴です。
開放式変電設備を使う場合でも、バスダクトを利用するだけで安全性がアップします。
電圧降下を抑えられる
本来回路や装置に電圧を加えると、すべてが均一ではなく下に行くほど電圧が低くなってしまいます。
どうしても電気抵抗が起きて、電流が流れ熱が発生してしまうデメリットが発生してしまうのが難点です。
バスダクトを利用すれば、構造が電気の抵抗が起きにくくなっている分電圧降下の幅も少なくなります。
末端に行く度に電圧が下がってしまう現象を抑えられます。
負荷バランスを平準化できる
バスダクトは、大容量な集中幹線のようになっているため多数の分岐を作ることが可能です。
1つから集中してしまうと負荷がかかりやすくなってしまいますが、分岐を増やすことで平準化します。
ほかの分岐幹線と一緒に利用した場合でも、負荷バランスが不均等にならないように保てる点もメリットです。
短絡容量がケーブルより高い
ケーブルに比べてバスダクトは短絡容量があります。
そのため、工場で利用するような大容量の電流を流しても、問題なく使用できます。
耐久性が大変高い造りになっているため、高圧変圧器などの近くにある二次側母線でも使用可能です。
漏洩磁束を低減できる
周りで通信必要な機器を使っても、負担が少ないため安心です。
それは漏洩磁束の低減を、バスダクトが行えるためです。
外部に対して漏れがないため、通信に被害が与えられることなくスムーズに使えます。
温度勾配が発生しない
バスダクトの構造は導体で充填されているため、温度勾配が発生しにくくなっています。
もし垂直敷設や縦向敷設などさまざまな向きで設置を行ったとしても、温度勾配がありません。
電力が必要な機器などに使う場合も、安心して使用できます。
接地の連続性を確保しやすい
わざわざフィーダごとに接着を行わなくても、バスダクト工事をしていれば接地の連続性を確保しやすく便利です。
導体カバーがあり、電気的に接続していて使いやすいです。
中には導体カバーがないバスダクトもあるため確認は必要ですが、付いていれば基本的に設置も連続しています。
延焼のリスクを回避できる
バスダクトは内部の構造も導体で充填されているため、煙道になる心配がありません。
大容量の電流が通ると思うと火災の危険性も心配になってしまいますが、耐火性の高い造りになっているため安全です。
逆に、ケーブルは火災が起きた時に延焼のリスクもあります。
工事期間を短縮できる
バスダクトは、さまざまメリットも多い分工期が長くなりそうなイメージもありますが、逆にケーブルを使用するよりも短くできます。
バスダクトはケーブルのように配線箇所を確保しなくても、工事を進められます。
そのため、ほかの建築を行いつつ、平行してバスダクトの工事も可能です。
仕上がりがきれい
ケーブルのように線が多数出ているようなゴチャゴチャさがなく、スッキリとしています。
バスダクトは見た目の面でも優れています。
バスダクト工事のデメリット
ここまで見てきたように、バスダクトはメリットとなる部分が多いです。
メリットが多いバスダクト工事ですが、多少のデメリットもあります。
ここからは、デメリットについてもいくつか紹介していきます。
コストが高い
さまざまな面に優れているバスダクトなだけあって、ケーブルよりも高いです。
実際利用しようと思うと、ある程度コストを考える必要も出てくるでしょう。
費用を予算内にしなければならない時などは、本当はバスダクトを利用したいと思いながらもケーブルを選ぶケースも多いです。
停電範囲が広い
大容量の電流が使用できて利便性も高いのですが、その分万が一故障してしまった時などは停電の範囲も大きいです。
電気のだいたいの大元を占めている分、いざ何か起きた時にはすべての機器が使えなくなってしまう可能性もあります。
ケーブルに比べて何倍もの回線になる分、万が一の時はダメージも大きいでしょう。
特に事故が起きてしまうと大変なため、取り扱いには注意が必要です。
複雑な施工には向いていない
バスダクトはマルチに活躍しそうに見えますが、複雑になってしまうと難しくなってしまいます。
直線的で単純な施工の場合は、問題なく設置できます。
しかし建物に合わせて曲げたいなど、複雑さが必要な時には大変です。
複雑な施工になりそうな時には、バスダクトよりもケーブルが向いています。
電気工事の管理に関する記事はこちら
バスダクト工事を行う際のポイント
バスダクトを工事する際には、いくつかのポイントがあります。
便利でメリットも多いバスダクトを正しく利用するためにも、工事のポイントを知っておくと良いでしょう。
ここからは、バスダクト工事をする際に気を付けたいポイントをいくつか紹介していきます。
配管の配置を確認する
バスダクトは、どこでも気軽に設置できるわけではありません。
しっかりと計算しながら、何もない場所を選ぶ必要があります。
もしバスダクトを設置したいと思っても、事前にほかの配管も付けるのであれば難しくなります。
ほかの配管が必要になってしまわないかどうかを事前に確認したうえで施工するようにしましょう。
設備もどの程度の高さになっているのか、バスダクトを設置できそうか慎重に確認してから施工を行いましょう。
室内環境に注意する
大容量な電流が使えるため、工場やビルなど大量に電気を使いたい場所で利用されます。
しかし、バスダクトを利用する場所が、あまりにも振動が大きい場所や工場などで湿度が高い部屋などの場合は注意が必要です。
バスダクトは一見強度もあり多少のことではビクともしなさそうに感じますが、実際は大変繊細な部品でできています。
せっかく設置しても、湿度が高い、大きな振動があるなど何かあれば動きが悪くなってしまう可能性があります。
ほかにも、工場で有害なガスが発生しやすい場所でも正常に動きません。
室内環境にも大きく左右されやすいので、大きな振動や湿度が高いなど不安がある場所では使わないようにしましょう。
電気設備技術基準に沿って施工する
安全に使用するためにも、バスダクトを工事する際にはいくつかの決まりがあります。
詳しい内容については、電気設備技術基準の中で定められていますのでチェックをしましょう。
造営部に取り付ける場合は、支持点間隔は必ず3m以下にする、端部は閉塞するなど決まりを守りましょう。
間違ったやり方をしてしまえば、延焼などにもしにくく使いやすいバスダクトにも危険が増えてしまいます。
実際施工する前に、関連法規なども一緒にチェックしましょう。
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まとめ
バスダクト工事では、用途などに合わせてプラグインバスダクト、フィーダバスダクト、トロリーバスダクトの中から選んで行います。
バスダクト工事を行うことで得られるメリットも多いのも特徴です。
大電流を流す場合も安心ですし、負荷バランスを平準化でき、延焼リスクを避けられるなどさまざまです。
ほかにも、ケーブルに比べて短絡容量が高く仕上がりもきれいなど、メリットがあります。
多少コストが高いなどもデメリットもありますが、バスダクトは総合的に見ておすすめです。
バスダクト工事を行う際は、配管の配置や室内環境にも注意しながら行いましょう。