【2022年版】改正建築物省エネ法とは?改正内容を解説します

【2022年版】改正建築物省エネ法とは?改正内容を解説します

建築物省エネ法は、2021年、2022年に改正されているため、どのような基準に変わったのか把握しなければなりません。

これまで大型のオフィスビルなどに建築物省エネ法が適用されていましたが、閣議決定で住宅を含むすべての新築建物に義務付けられ、2025年から本格的な施工が予定されています。

この記事では、具体的に建築物省エネ法のどの点が改正されたのか、建築業界が住宅を造るにあたってできることを紹介していきます。

建築物省エネ法とは

建築物省エネ法とは、建築物のエネルギー消費を抑えて無駄なエネルギーの消費をしない建物造りをしましょうと決められた制度です。

実際、建築物のエネルギー消費が増えていて、環境に影響を与えていると問題視されています。

ここではまず建築物省エネ法の概要や、改正された背景について詳しくご説明していきます。

建築物省エネ法の概要

建築物省エネ法には、規制措置と誘導措置があります。
ここからは、この2点について詳しく見ていきましょう。

規制措置

これまでは省エネ基準に適しているかどうかは、努力義務で説明するようにと言われていました。
しかし、2021年4月からは、説明義務制度が新たに創設されて、省エネ基準に関する説明は義務化されています。
施主の判断で努力するのではなく、義務付けられていることを覚えておきましょう。

特定の建築行為をする場合、建築主はエネルギー消費基準に適合させる義務が発生します。
この基準は、300平方メートル以上の建築物の新築、増改築を行う建築主となります。

一戸建てを新築する場合、住宅トップランナー基準にも適合するように努力しなければなりません。
床面積が300平方メートル以上の新築、増改築するものすべてが対象です。
自転車車庫や自転車駐車場、スポーツの練習場など、壁を造らないものは対象外となります。

誘導措置

誘導措置では、性能向上計画認定制度(容積率特例制度)において新しくさまざまな住宅や建築物と連携するための取り組みが増えています。
建築物エネルギー消費性能基準を超えている優れた建築物の省エネ計画を認定する制度です。

平成28年4月に施行されてから新築された建物と、すでに存在する建物とで基準も変わります。
基準を超えた省エネに優れた建物は、容積率の特例なども受けられます。
省エネ性能向上のための設備とは、太陽熱集熱設備燃料電池設備蓄熱設備などです。

認定は都道府県や市・区といった行政庁などで受けられます。
表示マークには省エネ基準適合認定マーク(eマーク)がありますし、第三者認証による表示制度であるBELS制度もあります。

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改正の背景

今までの建築物省エネ法は努力目標のようなものだったため、基準はあったものの、日本では季節の気温に合わせて住宅も冬には寒く夏には暑いものばかりでした。
さらに、断熱レベルもここ20年以上ほとんど変わっていなかった実態もあります。

先進国ではさまざまな工夫をしていますが、日本は最高等級の4でも比べてしまうと最低レベルと言われています。

努力目標から義務にすることで、現状よりも省エネに力を入れた住宅を増やそうと改正が決まりました。

2021年の改正内容

2021年の4月にも省エネ基準の改正が行われています。
今までは努力義務だったので、特にさまざまな工夫がされていなくても問題ありませんでした。

しかし、新築非住宅建物は省エネ基準への適合が義務化されていますので、外壁の断熱材や発光ダイオード(LED)照明などの導入が必要となります。
省エネ適判をしなければならず、新築住宅を設計する際に組み込まなければなりません。

適合義務制度対象の拡大

これまでよりも適合の義務制度が大きく拡大しました。
今までは2,000平方メートル以上の比較的大きい建築物が対象で、そこまで範囲は広くありませんでした。

2021年からは適合義務制度が300平方メートル以上となり、中規模建築物も対象です。
努力ではなく義務になることにより、これからはこの点に注意しなければいけません。

適合しなければ建築確認済証が発行されないだけでなく、万が一建設中に設備の仕様を変えたいとなった時、完了する前にもう一度計算も必要になります。
もし完了前に何もしないと、完了検査済証が発行されません。

いつまでに建設して仕上げると決めていても、スムーズにいかなくなるため気をつけましょう。

国土交通省による建築物省エネ法の概要

説明義務の追加

今までは説明義務がありませんでしたが、2021年の改正によって新しく説明義務が追加されました。

これまでは努力義務だったため、無理にさまざまな省エネを意識した設備を設置した住宅を造らなくても問題ありませんでした。

今後は建築士から建設主に対して、省エネ基準への適否などを説明が義務付けられます。

2022年の改正内容

2022年には、2025年までに建築物省エネ法を大幅に改正すると決まりました。
2021年の段階でもいくつか改正内容は決まっていましたが、それ以上の大規模での改革となります。
そのため、建築業界内では大きな波紋を呼ぶほどで、一次改正案を見送るとしたほどでした。

しかし、今のままでは政策目標の達成の見通しが立たないことから、改正法案が国会に提出されました。
大きな波紋を呼びながらも推し進める背景には、2030年度温室効果ガス46%排出削減2050年カーボンニュートラルの実現という目標があるためです。
この目標を達成するには、本腰を入れなければならないとされ、建築物省エネ法の大幅な改正が決められました。

地球環境も考えた脱炭素の世界的な流れの中で、日本も変わらなければいけなくなりました。

すべての住宅に対する省エネ基準適合の義務付け

今までは等級4が最高と言われてきましたが、今後は最低基準を満たさない場合は新築できなくなりました。
等級4以上の住宅が努力ではなく義務に位置付けられます。

そして、最高だった等級4の上に、断熱等級5~7が新たにできます。
等級5の基準は、太陽光パネルなどの設備と組み合わせることで光熱費ゼロになるほどのレベルの断熱性です。
このレベルを、ZEH基準と呼んでいます。

さらに、等級6~7レベルになるには、20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会(HEAT20)が決めたG1~G3に当てはまる必要があり、G2が等級6、G3が等級7です。

等級5以上の住宅になれば、実際住んでからは快適で、少しの光熱費で済みます。
これまでの住宅に比べ、夏は涼しく冬は暖かい住宅となります。

住宅トップランナー制度

住宅トップランナー制度とは、今後新築住宅として建設される場合、住宅トップランナー基準に満たすよう国土交通大臣が省エネ機能の向上を勧告できる制度です。

今回の住宅トップランナー制度には、分譲マンションも含まれました。

BEI=0.8強化外皮基準と示し、目標は2026年と決まっています。

省エネ性能表示の推進

今後は、さらにZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能を確保したいと、国では考えられています。

具体的には、2030年度以降に新築される建物からは実現されることが目標として定められています。

すでに適合義務が始まっている大規模非住宅建築物の省エネ基準を、2024年からは用途に応じてBEI=0.75~0.85に引き上げると決まりました。

建築業界ができること

建築物省エネ法が変わるため、建築業界でも工夫が必要となります。
そのために何ができるのか紹介していきます。

高断熱・高気密の住宅づくり

断熱性を高めると、外気が家の中に入ってきにくくなります。
エアコンの消費も防げ、少しのエネルギーで夏は涼しく冬には暖かい住宅ができます。

さらに、高気密にすればわずかな隙間から外気が入ることも防げて快適です。
こちらもエネルギーを効率良く使えるようになります。

高気密・高断熱住宅を建てる前に特徴と注意点を知っておこう

木材利用の促進

木材は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収すると言われています。

建築の際に木材を利用すると、二酸化炭素の排出削減に繋がるため地球環境に貢献できます。

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まとめ

これまで建築物省エネ法は、努力でできるだけ促進してほしいという状態でした。
しかし、2022年からは大幅に建築物省エネ法が改正されてしまい、努力から義務へと変わりました。

特に規制措置と誘導措置に関して大きな変化がありますので、しっかりと確認しておきましょう。
義務となるので、知らなかったでは済まされません。

建築業界では具体的な対策として、高断熱や高気密の住宅づくりや木材利用の促進など工夫が求められます。
改正された内容をしっかりと把握し、理解しておきましょう。

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この記事の編集者

side bnr

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