お客様に提案する際の課題発掘や、
社内の改善を行うための問題発掘を行うのにどんな進め方をしていますか?
それぞれがやりたいことや希望だけを伝えていても
本質的な課題・問題はなかなか見えてきません。
今回は、そんなときに最適な「GROWモデル」というコーチングスキルを紹介します。
GROWモデルとは
GROW(グロー)モデルとはコーチングのメソッドの1つです。
アルファベットのそれぞれは各ステップの頭文字を取ったもので、
ゴールを見据えて現状を分析したり、現状に即した手段を選ぶ議論をするのに適しています。
- G:ゴール(Goal)、会話の終着点
- R:現状(Reality)の明確化、資源(Resource)の発見
- O:選択肢(Options)の選択
- W:本人の意思決定(Will)
GROWモデル①「ゴール(Goal)」
1つ目のG(ゴール)は会話の終着点を意味します。
議論を始める前に、まずは何を議論するのかを全員で共有するタイミングです。
社内で「業務改善」というテーマで会議をしていたとしても
それぞれが別々のアプローチについて考えていてはまとまる結論もまとまりません。
大きなテーマを、範囲を絞って議論することで内容の正確さを高めるのが目的です。
GROWモデル②「現状(Reality)の明確化、資源(Resource)の発見」
2つめのRは、2つの「R」が含まれています。
まずは現状(Reality)。
「どうすればいいか?」を議論する前に、現状の把握をする段階です。
例えば営業マンの営業成績を上げるための議論であるならば
現状の営業マンの成果はどの程度なのか、あるいは
もっと上手くやりたいのに出来ず、結果的にどんな行動に陥っているのか、
現状の成果を上げるためにどんな行動をしているのか、など
現状の行動を整理してみましょう。
現状の把握ができれば、次は資源(Resource)の発見をします。
「資源の発見」と言うと日本語ではいまいちピンと来ないとは思いますが
要するに「本当はこうありたい、という理想像を思い描く」段階です。
先ほどの営業マンの例でいえば、理想としてはどんな結果を生み出したいのか
どんな働き方をすべきなのか、などの理想を洗い出します。
以上のように、現状と理想を洗い出すことで
そこにはどのような「ギャップ」があるのかを明確にすることが
2つ目の「R」で行うべき議論です。
GROWモデル③「選択肢(Options)の選択」
2つ目のRを通じて現実と理想のギャップが分かったところで
そのギャップを埋める手段にはどんなものがあるのかを洗い出すのが
3つ目のOで行うべきことです。
営業マンが月に10件の契約を取りたいという理想があるのに
実際には5件しか取れていなかったり、そもそも商談件数が少なかったりするのであれば
先輩営業マンに同行を依頼して商談技術のスキルアップを図ったり
あるいは件数そのものを上げるためにテレアポを行ったりするのが選択肢になるかもしれません。
このように、現状と理想のギャップを埋めるために
どんなことを行うのかを洗い出すのが重要なのですが、
これの品質を高めるためには、2つ目のRでしっかりと現状と理想のリストアップを
終えていることが重要です。
GROWモデル④「本人の意思決定(Will)」
現状と理想のギャップを埋めるための行動がリストアップできれば、
あとは、その中からどれを実行していくのかを選びます。
その際に大切なのは、選択したものを「本気でやる」と決めることです。
本気で、と言うとなんだか抽象的な精神論のようにも思えますが
要するに「いつから始めるのか」「いつまでに達成するのか」という期日を決めたり
「しっかり達成しているかの進捗報告をどうやって行うか」「誰にどんな協力をしてもらうのか」など
それを実行するために必要な周辺情報を整理する段階です。
あとは、それを実行する人が周囲の人々に「やる」と宣言をして
議論を終了します。
GROWモデルは様々な場面で活用できる
GROWモデルは、もともとコーチングのスキルです。
上司やリーダーが、そこに所属する後輩たち、メンバーたちの行動改善を行うためにも使えますし
意見が入り組んでしまいやすい会議などでも活用することができます。
また、営業マンがお客様の「課題」を明らかにすることにも利用が可能です。
「R」でお客様の現状と理想を明らかにすれば、そこに生まれるギャップが「解決すべき課題」です。
「O」で出てくる選択肢で、営業マンが提案できるサービスが選ばれればあとは契約するだけにもなります。
1つ大切なポイントは、上司やリーダーがメンバーの行動改善をする際や
営業マンがお客様の課題発掘する際に、GROWモデルのそれぞれを「相手に言わせる」ということです。
GROWモデルが元来コーチングスキルであることは再三申し上げた通りですが
4つ目のWが「本気でやると決められる」のは、コーチングを受けている人が
GROWそれぞれを自分で考え、話し、決められるからです。
メンバーがリーダーに、あるいはお客様が営業マンに言われるだけでは
議論は整理されるかもしれませんが、本人が本心で納得できず「そういうことらしい」で
終わってしまう可能性があるので注意が必要です。
まとめ
今回は、コーチングスキルである「GROWモデル」を紹介しました。
GROWモデルを自由に扱うことができるようになれば、部下やお客様とのやり取りが
スムーズに、かつ高いモチベーションで遂行することができます。
ぜひ一度お試しください。