標準単価と市場単価の違いをしっかり把握していますか。
土木工事において、工事費の積算はコストを検討するためや利益を出すためにとても重要なものになります。
この記事では、標準単価と市場単価の違いや施工パッケージ型積算について解説していきます。
標準単価(土木工事標準単価)とは
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標準単価とは、標準的な工法を用いて行う工事の、施工単位あたりの工事費のことです。
標準単価は、国土交通省の「土木工事標準積算基準」に基づき、建設物価調査会などが全国の施工実績を調査し、機械経費・労務費・材料費などを積み上げて算定されます。
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また標準単価は、仮設ガードレール設置工や防草シート設置工といった特別調査の多い工種を、建設物価調査会が自ら歩掛を全国調査しています。
調査の結果、得られた歩掛を積み上げて単価を算定しているのです。
なお、歩掛は年1回の周期で見直されており、2018年度以降国土交通省の「土木工事標準積算基準書」に正式掲載されるようになりました。
このため、標準単価のことを土木工事標準単価と呼ぶこともあります。
最新の令和6年度版では、標準単価・市場単価・歩掛の定義や適用条件が「土木工事標準積算基準書」で再整理され、旧基準との整合性が見直されています。
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市場単価とは

市場単価は、材料費や労務費、機械経費、運搬費、下請経費などについての市場における実取引価格を総合的に反映したものです。
実際の市場価格を直接積算に用いる方式を市場単価方式と呼んでいます。
公共工事の積算において用いられる、労務・材料価格等に歩掛をかけて積み上げられる標準単価は用いません。
本来は市場を反映した単価を用いるほうが、実態に即すると考えられますが、材料の種類や施工箇所による工法は幅広く、単価の種類が多いため、それらの市場単価をすべて網羅するのは困難です。
そのため、電気設備工事や機械設備工事など、特に市場性が高い工種や汎用性の高い細目において用いられることがあります。
建設物価・歩掛に関する記事はこちら
標準単価と市場単価との違い

標準単価は、全国調査を行った結果を用い、市場単価は市場調査の結果を用いるわけですが、標準単価と市場単価との違いはどのような点に現れるのでしょうか。
標準単価と市場単価との違いは、単価の内訳、単価の算定方法などに現れています。
単価の内訳
標準単価では、単価の内訳がありますが、市場単価では内訳がありません。
標準単価の内訳として、機械経費・労務費・材料費・諸雑費などの項目があります。
そのうえで、単位数量あたりの機械稼働時間や人工、材料数が決められています。
これらの項目の積み上げにより算出された単価×設計数量で積算を行う方式です。
これに対して、市場単価は、工種ごとに調査を行い、機械経費・労務費・材料費・諸雑費などをすべて合算した価格が工種ごとの単価となります。
単価の算定方法
単価の算定方法ですが、標準単価は全国的に歩掛調査して算定する方法です。
施工形態動向調査とも呼ばれる歩掛調査を行ったうえで、最新の機械経費、労務単価、材料単価を積み上げて算定します。
これに対して、市場単価は取引額実態を調査して算定されます。
市場単価のほうがより実態に即したものとなっており、標準単価のほうが単価が高くなるのが一般的です。
ただし、公共工事設計労務単価などと同様に、市場単価には法定福利費や労務管理費などの必要経費は含まれないため、実際の契約・積算時には別途加算が必要です。
週休2日制への対応
国土交通省では、建設業の働き方改革を促進するために、積算においても週休2日制への対応を盛り込むように推進しています。
平成30年度からは、公共工事の週休2日工事における労務費と機械経費(賃料)の補正が行われるようになりました。
この点、市場単価は内訳がないので、週休2日制工事における労務費補正ができないと考えられていました。
ですが、国土交通省により、令和3年度から市場単価にも補正係数が設定されています。
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施工パッケージ型積算とは
施工パッケージ型積算とは、積算業務の効率化と透明化を目的に導入された手法です。
国土交通省が平成24年10月から導入し、令和7年度適用版が最新です。
施工単位ごとに標準単価を設定して積算する算定法です。
標準単価(土木工事標準単価)で用いられてきた積み上げ方式においては、機械経費、労務費、材料費など必要項目を積み上げ計上していました。
これに対して、施工パッケージ型積算では、一つの施工ごとに機械経費、労務費、材料費を構成比によって積算することができます。
標準単価(土木工事標準単価)で用いられてきた積み上げ方式は、計算の手間がかかるため、一定の業種で施工パッケージ型積算の方式が導入されるようになりました。
たとえば、土工やコンクリート工など、土木工事の主流工種の多くで施工パッケージ型積算を行っています。
また、最新の令和7年度適用表(国土交通省 技術調査課公表)では、土工・コンクリート工に加え、舗装・擁壁・法面保護などの主要工種にも適用範囲が拡大しています。
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標準単価と市場単価の違いに関するよくある質問
- 標準単価と市場単価はどちらを使えばいいですか?
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公共工事では、原則として「標準単価方式」が基本です。
一方で、設備工事や機械工事など市場性が高い工種では、「市場単価方式」を採用する場合があります。
発注機関(国、自治体)によって基準が異なるため、契約書や積算要領を確認することが重要です。 - 標準単価と市場単価では金額に差が出ますか?
-
一般的に、市場単価は実際の取引価格を反映するため、標準単価より低めに設定されることがあります。
ただし、地域や時期、工種によっては逆に市場単価の方が高くなるケースもあり、一概には言えません。 - 標準単価と市場単価の違いはどこにありますか?
-
主な違いは「算定方法」と「内訳の有無」です。
- 市場単価:市場実勢価格を調査して合算(内訳なし)
- 標準単価:歩掛調査をもとに機械・労務・材料費を積み上げて算出(内訳あり)
つまり、標準単価は理論値、市場単価は実勢値に近い単価です。
- 市場単価の方が「現場の実態に近い」と言われるのはなぜですか?
-
市場単価は、実際の取引価格や工事請負額などを基に調査されており、労務・資材・機械費などを総合的に反映しています。
そのため、現場の市況や需給変動をリアルタイムに反映しやすいという特徴があります。 - 標準単価と市場単価はどちらが更新頻度が高いですか?
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市場単価は「月単位」、標準単価は「年単位」で見直されることが多いです。
建設物価調査会や経済調査会の物価資料を確認すると、最新の単価動向がわかります。
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まとめ
標準単価(土木工事標準単価)とは、一般財団法人建設物価調査会が全国調査した、機械経費、労務費、材料費などに歩掛をかけて積み上げて計算された単価です。
これに対して、市場単価は実際の取引実態を調査して工種ごとに求められた工事費の単価です。
標準単価と市場単価との違いとして、単価の内訳の有無、単価の算定方法の違いがあります。
週休2日制への対応はいずれにおいてもなされています。
施工パッケージ型積算とは積算業務の効率化を目的に導入された算定方法で、施工単位ごとに標準単価を設定して積算する算定法です。
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