公共工事は、私たちの生活には欠かせない街のインフラを整備する工事です。
今回は公共工事について、民間工事との違いや入札の手順などについて詳しく解説していきます。
公共工事とは
公共工事は、国や都道府県、市町村などの自治体が発注する建設工事です。
独立した行政法人が社会公共の利益を得るために行う公共工事は、入札および契約の適正化を促す法律や建設業法などに則って行われています。
建設業法第27条23項に定義されているように、公共性のある施設や工作物が工事対象です。
たとえば、橋や道路、堤防などといった街のインフラ整備工事なども公共工事ですし、学校や市役所、消防署などといった公共施設の建設やメンテナンスも公共工事にあたります。
つまり公共工事は、わかりやすく言うと、私たちの街に欠かせない建物を建設することや修繕する工事です。
▶ 参考:e-GOV 法令検索「建設業法(昭和二十四年法律第百号) 第二十七条二十三項」
公共工事と民間工事の違い
公共工事とよく比較される対象として、民間工事が挙げられます。
民間工事と公共工事の違いはどのような点にあるのでしょうか。
公共工事と民間工事の違いはいくつかありますが、その中でも最も大きな違いといえば『発注者』が違うということです。
公共工事の場合は、国や都道府県、市町村などの自治体が発注者となるという特徴があります。
一方の民間工事は、民間企業や個人が発注者となる工事のことです。
このほかの違いとして、公共工事は税金で資金調達が行われますが、民間工事は民間企業自身が資金の調達を行いますので、資金調達手段が異なっています。
また、公共工事は元請けとなる自治体が指定した工期スケジュールと指定した材料で工事を進めなければならないのですが、民間工事の場合は、工期のスケジュールや発注金額は元請業者と請負業者で協議して決定することや相見積をすることで決定されており、工事の進め方も異なります。
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公共工事の種類
公共工事にはあらゆる種類の工事があります。
次に具体的な公共工事の種類をいくつかご紹介していきましょう。
公共工事は、おおまかに分けると『土木工事』『建築工事』『管工事』『電気工事』『造園工事』の5種類に分かれています。
土木工事
土木工事とは、道路や橋、ダムなどを造る工事を指します。
建物を除いた建設工事全般が土木工事にあたると考えると良いでしょう。
下水道の配管工事なども含まれており、地面の下の部分を担当する工事であり、私たちの生活を支える街のインフラ工事があたります。
主な土木工事は、基礎工事や造成工事、外構工事の3つになります。
建築工事
建築工事は、建設工事のうち建物全般を造るための工事を指しています。
名前の通り、いわゆる建築物を建設する工事になります。
地上に建つ一般住宅やアパート、マンションなどの上物部分を造る工事が建築工事です。
管工事
管工事は、水洗トイレやキッチン、ガス管などにつながる管を対象とした工事を指します。
家屋やそのほかの敷地内にある配水管設置工事が管工事です。
管工事の代表的な工事として挙げられるものは、水道配管工事やダクト工事、ガス配管工事があります。
いわゆる水やガスなどの液体や気体のものでそのまま運ぶことができない性質のものを、必要な場所まで送るための設備を設置する工事です。
電気工事
電気工事は、送電設備や配電設備の設置や修繕を行う工事です。
照明設備工事や信号設備工事も、この電気工事に該当します。
電気工事に関しては、電気工事法によって電気工事士の資格がないと実施することができないと定められています。
もし違反した場合は罰則が科せられることになります。
造園工事
造園工事は、植栽工事や公園設備工事、屋上等緑化工事などが当てはまります。
植栽工事、地被工事、景石工事、公園設備工事、広場工事、水景工事などのようなあらゆる種類があることから、造園工事一つでも作業のバラエティが豊富です。
公共施設のみならず、個人所有の住宅の庭など景観づくりなども対象となっていることから、対象範囲は非常に広い工事だと言えるでしょう。
公共工事に入札するためには?
公共工事を実施する事業者を決定するには、入札という手段が取られています。
入札とは、国や地方自治体が民間の建設業者へ業務を発注する調達制度です。
国や地方自治体は税金を使って公共事業を行うためにできるだけコストを抑えて事業を行う必要があります。
そのため、多くの民間業者に入札に参加してもらい、その中で最も安い金額を提示した業者と契約を結ぶ仕組みです。
建設業者が公共工事の入札に参加するには、あらかじめ準備しておくべきことがあります。
建設業許可の取得
公共工事の入札に参加するには、経営事項審査を受けてから公共工事の発注機関へ入札参加資格審査の申請を行うことが必要です。
経営事項審査は建設業許可を受けていないと申請できませんので、まずは建設業許可を取得します。
建設業許可は、通常500万円未満の工事であれば特に必要がありません。
ただし、500万円を超える工事になると建設業許可が必要になります。
ところが、公共工事の入札に参加する場合は、いかなる種類やいかなる規模の工事であれ、建設業許可の取得が必要になります。
比較的小規模な工事のみ実践してきた事業者が公共工事の入札に参加する場合は、建設業許可を取ったことがないケースも多いので、建設業許可を忘れないように取得しましょう。
経営事項審査の受審
先にも紹介した経営事項審査とは、会社の決算が終わった後決算書をもとにして会社の経営状況や経営規模、技術力、社会性などを客観的な指標で評価して点数化するものです。
入札の参加を検討している会社は、毎年決算が終わってから経営事項審査を実施しなければなりません。
経営事項審査をすることで、自治体などの発注者で入札参加者のランク付けを行い、落札者を決める材料にすることが可能です。
経営事項審査を受ける際は、決算終了後に決算変更届を都道府県知事や管轄の行政庁へ提出をします。
その後、経営状況分析結果通知書が届いたら、この通知書とともに経営規模等評価申請書を提出します。
入札参加資格審査申請
公共工事を受注するには、発注機関ごとに入札参加資格審査を申請して、有資格者として登録しておく必要があります。
そのため、公共工事を行う国や地方自治体に対して入札参加資格審査申請を実施しましょう。
受付時期は定められているわけではなく、年中いつでも申請できることもあれば、年1度の決められた時期のみといったケースもあります。
入札に参加したいという自治体がある場合、事前にその申請時期を確認しておくと入札を逃すことがないでしょう。
ちなみに、申請が受理されると一般競争入札有資格者名簿に掲載されます。
この時に初めて公共工事の入札のスタートラインに立つことができることになります。
公共工事の効果
公共工事によりインフラが整備されると、私たちの生活の基盤が整います。
公共工事の効果は、古い建物や公共施設などが新しくなるというだけではありません。
以下のような効果が得られます。
インフラストック効果
インフラストック効果とは、インフラが整備されることで得られる社会的効果です。
例えば、公共工事を行うことで新しい道路やトンネルが造成され、交通アクセスが非常に良くなり、物流もスムーズになります。
物流がスムーズになることでさらに新しい工場が次々と建設されるので、私たちが働く場所も増えるでしょう。
これらの結果、人流が増えることにもつながるので、経済活動も活発になり好転する可能性を秘めています。
住みやすさが向上し、人口が増加するといったこのような効果をインフラストック効果と表現します。
インフラフロー効果
インフラフロー効果とは、公共工事を行うことによって雇用を生み出す効果になります。
公共工事は大規模な工事になることが多く、作業に従事する人手もそれなりに必要です。
公共工事を請け負った業者たちは大規模工事に向けて多くの求人を出すことから、雇用が次々と生まれます。
さらに、収入を得る人が増えることで、経済活動が活発になることでしょう。
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まとめ
今回は、公共工事について詳しく解説してきました。
公共工事は私たちの生活の基盤を整えるだけにとどまらず、さらには経済活動を活発にするなどといったあらゆる効果が期待できる工事です。
民間工事とは異なり、入札の参加が必要になるため複雑に感じられる方も多いですが、公共工事は安定した売上をあげられる工事になりますので、ぜひ公共工事について理解を深め、今後公共工事を請け負うことを検討されてみてはいかがですか。
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