工事請負契約書におけるクーリングオフと注意点とは?

工事請負契約書 クーリングオフ

工事を受注し、完成させるにあたって必ず必要になってくるのは、工事請負契約書です。
見積もりや実施設計後に、発注者と請負人との間で工事請負契約を締結させます。

しかし、新築工事やリフォーム工事、特に塗装工事において、契約後のトラブルが年間1700件程度起きています。
業者に急かされ工事請負契約を締結してしまうと、締結後にトラブルが起きてしまうことも少なくありません。

ここでは、工事請負契約書における契約内容確認の注意点やクーリングオフによる契約解除についてお伝えしていきます。

工事請負契約書とは?

工事請負契約書 クーリングオフ

まず工事請負契約書とは、工事を依頼する発注者と工事を請け負う請負人との間で締結される契約書のことを指します。
工事請負契約書の役割は、受注者が工事を完成させて発注者に引き渡し、発注者は受注者に対して工事の対価を支払うことを約束させることになります。

建設業法第18条、19条では、以下のように定められています。

建設業法18条
建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならない

建設業法19条
契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、書面又は記名押印をして相互に交付しなければならない
引用元:e-Gov 法令検索「昭和二十四年法律第百号 建設業法」

このように定められており、工事の大小に関わらず工事請負契約書を作成し、「対等」な立場で契約を締結させる必要があります

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工事請負契約書の役割

工事請負契約書 クーリングオフ

工事を始めるためには、発注者と受注者との間で契約を締結しなければいけません。
契約書をもちいる契約は、強制力のある法律行為であるため、何かトラブルにあった時に自分の身を守ることのできる文書になるのです。
では、具体的に契約書はどのような役割を担っているのでしょうか。

目的1 契約成立や意志の明確化

契約書を作成することによって、契約を結ぶことの意識を明確にします。
意思を明確にすることによって、当事者間の思い違いや解釈の仕方などを共有することができ、工事における考えのギャップを埋めることが出来ます。

目的2 トラブルを未然に防ぐため

契約書を作成するにあたって一番の目的は、トラブルを未然に防ぐことです。
契約内容を書面に残すことで、「こういう契約だったのに」「こんなこと聞いていない」などのようなトラブルを未然に防ぐことが出来ます。

契約書として残していないと、トラブルが起きてからでは、契約内容を裏付ける証拠がなく、契約の内容を証明することが出来ません。

よって、契約書を作成することは、自分の身を守ることにつながり、契約書を作成しないような業者では、例え小さな工事であっても契約しないようにすることが賢明です

目的3 裁判での証拠書類

もしも、実際にトラブルが起きた際、契約書は裁判において重要な証拠書類として扱われます。
契約書を用いて契約を締結させるには、当事者の合意のもとであることを証明するために、署名捺印は必ず行います。

そのため、トラブルが起き、重要な証拠である契約書を提出できないと、裁判で勝てない可能性があります。

工事契約時に注意すべき点

では、どのようなことに注意し契約すれば、トラブルが起きず円滑に工事を始めることが出来るのでしょうか。
ここでは、工事契約を行う際に注意すべき点をお伝えします。

1 契約内容の確認

業者と見積書を作成し、契約書にサインする際は、契約の内容をよく確認しておきましょう。
契約書は重要事項が大変多く、すべての内容を把握するのは難しいのが現状です。
そのため、請負業者から事前に契約書の複写したものを用意してもらい、内容を確認しておくことで、「こんな契約内容知らなかった」というような事態を防ぐことが出来ます。

契約書の内容で、チェックしておくべきポイントは以下の通りです。

  • 工期(着工日・完成日・引き渡し日)が明確に記されているか
  • 請負代金に間違いはないか
  • 代金の支払時期・金額に間違いないか
  • 完成日や引き渡し日が遅延した場合の遅延損害金の有無
  • 自然災害でおきた損害はどのように保証されるか
  • 工事の変更・中止に関する対応
  • 引き渡し後の不具合や欠陥について契約不適合責任についての記載はあるか
  • 〇〇一式というような記載が多くないか
  • 見積もりの総額に間違いはないか
  • 工事によって起きた第三者の怪我への対応方法についての記載はあるか

2 契約約款に関する説明

約款とは、工事請負契約書には記載されていない、より細かい取り決めが記載されている文書のことを言います。
記載内容は、トラブルが発生した際にどのような対応をするのか、補償方法などが記載されています。

これらの内容をすべて把握することは難しいため、契約する際に気を付けるべきポイントをお伝えします。

工事請負契約約款を渡さない業者
約款の内容を読ませない業者

このような業者はトラブルがあった際、補償や対応が適切ではない可能性があるため、契約を行う際は注意しましょう。

3 契約書に署名・押印

契約書の内容に合意できた場合は、自筆の署名・捺印をします。
契約書に署名・捺印がない場合、トラブルが起きた際に証拠として扱われないため、必ず行うようにしてください。
また、工事金額にあった収入印紙を貼付します。

4 契約書の保管

契約書は、発注者と受注者どちらも一通ずつ保管するようにしましょう。
引き渡し後の不具合や欠陥があった際に、必要になる可能性があるため、工事が完成し引き渡しが終わった後も大切に保管しておく必要があります。

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工事はクーリングオフが適用される?

工事請負契約書 クーリングオフ

クーリングオフとは、契約した日を含めて8日以内であれば、無条件で申し込みの撤回や契約解除ができる制度のことです。
契約時にはお互いが合意し工事を進めていたとしても、建設工事やリフォーム工事は契約期間が長いことから、工事の途中で不満や不信感が出てきたため、契約を解除したいと思われる方も少なくはありません。

ここでは、工事完成後にクーリングオフが適用されるケースと無効になるケースについてお伝えします。

1 クーリングオフが適用され解除されるケース

実際にクーリングオフによって契約が解除されるケースは4種類あります。

  • 依頼者が営業所に訪れ契約をした場合ではなく、事業者が訪問し、契約の申し込みを行った場合
  • 営業所ではなく、外出中に呼び止められ営業活動を受け、説明会場や展示場に連れていかれたのち、契約の申し込みおこなった場合
    *キャッチセールスを行う事業者の中には、営業所を持たない企業もあり、クーリングオフが適用されない場合がある。
  • 営業所以外の場所で営業活動をされ、契約締結まで行った場合
  • 訪問販売によって契約の申し込みを行い、その後電話やFaxによって契約する旨の連絡が来た場合

これらのケースにおいてはクーリングオフが適用されますが、工事請負契約書に署名を記載後、8日以内にクーリングオフの処置を行う必要があります。
契約書などの法定書面が交付されていない場合は、クーリングオフの適用期間は進行しません。

また、業者が契約書を交付し不備のないものだとしても、事業者が虚偽の説明や威圧することによってクーリングオフの行使を妨げた場合は、8日間を経過してもクーリングオフは適用されます。

2 クーリングオフが適用されないケース

訪問販売ではなく、消費者が工事のための事業者を探し営業所に訪問した場合は、クーリングオフは適用されません。
消費者が事業者の営業所に訪れて契約を行った場合は、クーリングオフが適用される特定商取引法の訪問販売として扱われないため、クーリングオフが適用できないのです。

また、過去1年以内に1回以上、その事業者と訪問販売によって取引をしていた場合、事業者と信頼関係が構築されているとみなされるため、訪問販売であってもクーリングオフは適用されないのです。

3 クーリングオフが適用された場合

クーリングオフが適用されると、訪問販売によって契約した内容が解除されます。
また、代金が未払いの場合支払いをする必要がなくなり、代金を支払っている場合は返金を求めることが出来ます。

事業者はクーリングオフが適用されると、たとえ工事着工後であっても違約金や損害賠償を依頼者に請求することはできません。

クーリングオフの手続き方法

クーリングオフの適用条件を満たし、契約した内容を解除する際は以下の手順によって手続きを完了させる必要があります。

1 クーリングオフの意志を業者に通知する

まず初めに行うのは、郵送やFaxなどの書類でクーリングオフを適用し、契約を解除する旨を業者に通知します。
通知書に記載する内容は以下の通りです。

  • タイトル
    契約解除通知・通知書などと記載する

  • 契約書受取日の日付
    契約書を業者から受領した日付けを記載する

  • 契約会社名
    契約した会社の名前、クレジットカードで支払いをした場合は、クレジットカード会社の名前を記載し、同じ書類をクレジットカード会社にも送付する

  • 契約担当者の名前
    契約書に記載されている担当者の名前を記載する

  • 商品名
    契約書に記載されている工事名(〇〇改修工事など)を記載する

  • 契約金額
    工事における金額を記載する

  • 解除における意思表示
    「契約を解除したい」「クーリングオフを適用する」といった契約解除の意思表示を記載する

  • 申し出を行う日付
    通知書の作成日を記載

  • 通知を行う者の住所
    自身の現住所を記載

  • 名前
    通知を行う自身の名前を記載する

2 クーリングオフの通知を内容証明郵便で送る

通知書を内容証明郵便で送ることにより、郵便局で送付先や送付元、記載内容・発信日などの情報を記録してくれるため、業者から「受け取ってない」「届いてない」といったような主張を、取り下げることが出来ます。

内容証明郵便に記載する項目は以下の通りです。

  • 文書の表題
  • 通知内容
  • 日付
  • 事業者の住所・名前
  • 自身の名前・住所

クーリングオフを適用できる期間は契約書を受け取った日から8日間であるため、業者は契約解除にならないように時間を稼ぐ場合があります。
そのため、内容証明書を作成して安心せず、できるだけ早いうちに郵送することを心がけましょう。

第三者機関を利用する

トラブルが発生し、契約を解除したいと思った場合、1人で解決する必要はなく、第三者機関を積極的に活用することで、不利な契約解除やトラブルが長引くことを防ぎます。
工事における契約解除についての相談には、以下のような第三者機関があります。

住まいダイヤル

工事請負契約書 住まいダイヤル
国土交通大臣からの指定を受けている住まいに関する相談窓口
▶住まいダイヤル

国民生活センター

工事請負契約書 国民生活センター消費者全般に関する相談窓口
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まとめ

新築工事やリフォーム工事は、決して小さい金額ではなく、簡単に事業所を選び契約書にサインしてはいけません。
契約に不透明がある場合や分からない点がある場合は、業者としっかり話し合うことでトラブルを回避するために重要になってきます。

契約書の内容に、解釈や思い違いによる相違はないか、工事内容は明確に昼されているかなど、今回お伝えした注意点を確認するようにしましょう。

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AIPPEAR NET 編集部

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