2019年4月に改正された労働基準法は、ワーク&ライフバランスの強化や健康的で働きやすい環境を推進させるため、従業員の年次有給休暇取得を企業に義務付けました。
この義務の履行を図るため、年次有給休暇管理簿の作成と保存も義務付けられています。義務を怠ると罰金も科されるので注意が必要です。
この年次有給休暇管理簿について、特徴や作成方法から注意点まで解説していきます。
目次
年次有給休暇管理簿とは?
年次有給暇休管理簿とは、改正された労働基準法にもとづき、作成と3年間の保存が義務付けられる書類です。これは、従業員の有給休暇の取得状況の把握を目的に作成されます。
従業員ごとに基準日・日数・時季などを記録しなくてはなりません。
年次有給休暇の仕組みとは?
年次有給休暇は、半年以上勤務すると10日間が最低限付与されます。付与される日数は、以下のように勤続年数によってそれぞれ異なります。
継続勤務年数 | 付与日数 |
---|---|
0.5年 | 10日 | 1.5年 | 11日 | 2.5年 | 12日 | 3.5年 | 14日 | 4.5年 | 16日 | 5.5年 | 18日 | 6.5年以上 | 20日 |
翌年度へ年次有給休暇の繰り越しができる企業などもありますが、労働基準法の改正により、年次有給休暇のうち毎年5日間は各従業員に取得させなければならないこととなりました。
しかし、各個人に対して年次有給休暇を年単位で付与した後は、自己申請制で取得をさせている企業も多いのではないでしょうか。
従業員から有給申請されて残日数があれば承認するものの、積極的に有給取得するような運用をしている企業はまだ少ないのが現状です。
そのため年度末になって急いで有休を消化させる場合や、結局取得できないまま翌年度に繰り越し、一部は取得しないまま失われてしまうケースもあります。
年次有給休暇管理簿の必要性
労働基準法の改正により、従業員一人ひとりの有給管理がこれまで以上に重要となりました。
しかし、従業員数が多い企業はもちろんですが、少人数の会社でも1年を通じて一人ひとりの有給取得状態を管理するのは意外と手間がかかります。
そこで、年次有給休暇管理簿が必要になるのです。年次有給休暇管理簿を活用することで、各従業員の有休取得状況が一覧で把握しやすくなります。
もしも義務に違反すると、5日間を取得できなかった従業員1人あたり30万円の罰金が科せられます。仮に取得できない人が5名いれば、150万円もの罰金となるため中小企業にとっては痛手です。
だからこそ、年次有給休暇管理簿の作成と管理が必要になるです。
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年次有給休暇管理簿の作成方法
年次有給休暇管理簿は、年次有給休暇の取得状況を速やかに把握管理できるよう、従業員ごとに「基準日・日数・時季」などの必要事項を記載や記録、更新していかなくてはなりません。
以下で詳しく見ていきましょう。
基準日
基準日とは、従業員に年次有給休暇を付与した日のことです。
基準日に付与する繰り越し分も含めた年次有給休暇のうち、最低でも5日分を1年以内に取得させなければなりません。
基準日については、厚生労働省で以下の2パターンを推奨しています。
- 一つ目:従業員の入社時期などにかかわらず、基準日を特定の日に統一する方法
新入社員でまだ有休が取得できないケースや中途採用で年度初めにはいない従業員についても、特定の日に取得したものとして管理します - 二つ目:月を特定せず日にちのみ統一する方法
たとえば月初めの1日に統一するとすれば、入社した日付にかかわらず、6ヶ月後の1日が基準日になります。
日数
日数とは、基準日から1年の間に、従業員が実際に取得した年次有給休暇の総日数のことです。
あと何日消化されずに残っているかといった残日数ではなく、取得した日数で管理することが求められます。
なぜなら、労働基準法の改正で義務付けられた1年に最低5日分の有給休暇の取得を把握しやすくするためです。
残日数も記載してもかまいませんが、必須事項ではありません。
時季
時季とは、従業員が実際に年次有給休暇を取得した日のことです。
時季というと、時期や季節など長い期間のイメージがあるかもしれません。
しかしここでの時季とは、いつどのくらい取得したのかという具体的な時期のことになります。
たとえば、有給休暇は企業によっては1日単位ではなく、半日単位で取得ができます。
近年では1時間単位や30分単位で取得できる企業も増えてきました。
お子さんの送り迎えや家族の看護や介護などにフレキシブルに使える環境を整えている企業も増えています。
時季は、年月日をはじめ全休なのかや半休なのか、何分なのかを記録する項目です。
休暇届に関する記事はこちら
年次有給休暇管理簿の管理方法
年次有給休暇管理簿には、決まった書式は定められていません。「基準日・日数・時季」の3項目は必須の記載事項となりますが、それ以外は自由なスタイルで作成や管理ができます。
そのため、少人数の企業などではエクセルで表を作成して管理する企業も多いです。
あらかじめ一定の計算式などを埋め込んでおけば、表計算ソフトでの管理がしやすくなります。
例えば、今年度付与した日数や前年度からの繰り越し日数を入力しておくと、今年度取得した日数を記録するだけで残日数と翌年度に繰り越す日数などが自動的に計算されるといったことが可能になります。
しかし時季については、時間や分単位で取得できる企業ほど管理が複雑になるので注意しなくてはなりません。
年次有給休暇管理簿を効率化する勤怠管理システム
管理の手間を抑え効率良くスピーディーに行うには、年次有給休暇管理も併せてできる勤怠管理システムの導入がおすすめです。
勤怠管理システムのメリット
年次有給休暇管理簿では、従業員の数が多く柔軟に有給取得できる企業ほど複雑で手間がかかります。
そのため、このような企業ではエクセルなどの表計算ソフトだけだと管理しづらくなるケースがあります。
エクセルでの管理は、すべてアナログで手入力しなくてはなりません。
従業員の数が多くなるほどエクセルデータにも負荷がかかり、最悪の場合データが壊れてしまうというリスクもあります。
データがすべて消失するリスクもあるため、エクセル管理ではこまめなバックアップは欠かせません。
しかし勤怠管理システムを導入すれば、従業員数が増えてもスムーズに管理ができ、バックアップせずにデータが失われてしまうといったリスクも防げます。
勤怠管理システムを活用すると、
- 各従業員が有給休暇の申請をシステム上で行える
- 上長などの管理者がシステム上で有給取得状況を承認できる
など、有給取得のプロセスもスムーズになるのです。
これまで、事前に口頭やメールで取得時期についての事情や理由を説明して承認を得てから、改めて書類に記入して取得させていた企業も多かったのではないでしょうか。
勤怠管理システムを導入すれば、そうしたメールや書類によるやり取りがなくなり、効率的かつ私情を挟まず、スムーズな有休取得につなげることができます。
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まとめ
今回の記事では、年次有給休暇管理簿について詳しく解説してきました。
年次有給休暇管理簿とは、労働基準法の改正に伴い企業に作成と3年間の保存が義務付けられる書類です。
1年間に最低でも5日の有休取得をさせなくてはならず、義務を怠ると、取得できなかった従業員1人あたり30万円の罰金が科せられます。
罰金の負担を避けるためにも、法律のルールにもとづき、年次有給休暇管理簿を作成し、基準日・日数・時季を必ず記載して管理しなくてはなりません。
エクセルなどで作成、管理することもできますが、手間を省きデータを確実に管理、保存していくためにも、年次有給休暇管理簿を効率化する勤怠管理システムの導入がおすすめです。
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