鋼構造物とは?鋼構造物工事業についても解説!

鋼構造物とは?鋼構造物工事業についても解説!

鋼構造物工事は、形鋼、鋼板など鋼材を加工したり、組み立てしたりすることで工作物を築造する工事です。
専門工事であり29種類ある建設業の一つですが、具体的にどのような工事なのでしょうか。
ここでは施工管理の立場から鋼構造物や工事業について解説します。

鋼構造物とは

鋼構造物とは、鉄骨が使用されている建物や鉄塔、鋼構造の橋梁など、主要部分に鋼材が使用される構造物全般を指します。
多くの社会インフラが該当し、現代になくてはならない構造物です。

鋼構造物の例

たとえば、鋼道路橋や鋼鉄道橋、鋼製水門などの河川管理施設、ガスタンクや風力発電のプロペラ塔などエネルギー分野にも鋼構造物はたくさんあります。

1点注意があるとすれば、鉄筋コンクリート造や鉄鋼鉄筋コンクリート造は鋼構造物には含まれないということです。
埋め込まれた鉄筋や鉄骨は、鋼構造物に含まれません。

以上のような鋼構造物を築造するのが、鋼構造物工事です。

  • 施工管理システム

鋼構造物工事業とは

鋼構造物工事業は、形鋼、鋼板などの鋼材の加工または組み立てにより鋼構造物/工作物を築造する工事を業とする建設業とされています。
国土交通省の区分によると、とび・土工・コンクリート工事の『鉄骨組立工事』と、鋼構造物工事の『鉄骨工事』は棲み分けられています。

国土交通省「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方」

鋼構造物工事の種類

それでは鋼構造物工事の種類について具体的に見ていきましょう。

鉄骨工事

鉄骨の制作、加工、組立工事を指します。

鉄塔工事

鉄骨で構成された鉄塔の設置工事です。
鉄塔には鉄筋で組み立てるものもあるので棲み分けが必要です。

橋梁工事

橋梁は、川や谷、海、道路などを横断するために架けられる構造物の総称です。
これらの場所で交通路の上を横切るよう構造物を設置する工事が、橋梁工事と呼ばれます。

貯蔵用タンク設置工事

貯蔵用タンクとは、石油やガスなどエネルギー資源を溜めておくためのタンクです。
これらは危険物であり、溜めておくためには十分な強度を要します。

貯蔵用タンク設置工事は、この貯蔵用タンクを設置する工事です。

門扉設置工事

水位の異なる河川や運河で、水路で船を上下させるための装置を閘門といいいます。
こうした装置や水門そのものを設置するのが門扉設置工事です。

運輸において非常に重要な工事であり、河川や運河などに閘門や水門などを取り付け、堤防を分断し流水をコントロールする難しい工事です。
また、これらの装置は用水路や湖沼、貯水池などにも設置されることがあります。

屋外広告工事

一般消費者にも身近な看板や広告塔などを設置する工事を指します。
街中で施工することも多く、より高い安全性が求められる工事です。

鉄骨組立工事との違い

先ほど少し触れましたが、国土交通省は、とび・土工・コンクリート工事の鉄骨組立工事と、鋼構造物工事の鉄骨工事を区別しています。
鉄骨を組み立てるという点では、確かに鋼構造物工事も、とび・土工・コンクリート工事の鉄骨組立工事も同じです。
ただ、どの業務まで請け負うかという点において、両者は大きく異なります。

まず、とび・土工・コンクリート工事の鉄骨組立工事は、すでに加工された鉄骨を現場で組み立てる工事です。
これに対して、鋼構造物工事の鉄骨工事は、鉄骨の制作や加工から行うという違いがあります。

つまり、鉄骨を作るところから組み立てまで、ワンストップで請け負うのが鋼構造物工事業です。
屋外広告工事においても、制作から加工、設置までをすべて請け負うのが鋼構造物工事、そうではなくすでにできている看板などを現場で組み立てるのが、とび・土工・コンクリート工事となります。

鋼構造物工事業には建設業許可が必要

鋼構造物工事業を行うには、建設業許可が必要です。
建設業許可の取得は、請負契約を適正化するために建設業法で定められていますが、軽微な建設工事のみを請け負うのあれば必ずしも取得しなくても良いとされています。

国土交通省の定めによると、軽微な建設工事の範疇は以下の3つです。

  • 500万円未満の工事
  • 1,500万円未満の建築一式工事
  • 2分の1以上を居住用に供する延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事(建築一式工事)

金額による縛りがありますが、本来一つの工事であるべき契約を、書面上で2つ以上の契約に分割することですり抜けることはできません。
一つの工事を分割して契約しても、合算金額を請負金額とみなされるため、正しく理解し、届け出を行ってください。

国土交通省「建築業の許可とは」

許可取得のための要件

鋼構造物工事業の建設業許可を取得するためには、6つの要件があります。
人員配置に関係する部分もあるため、管理者は十分に理解しておきましょう。

要件1

経営業務管理責任者の設置

経営業務管理責任者とは、「建設業の経営業務について一定期間の経験を有した者」です。
誰でも良いわけではなく、一定期間経営業務の経験が必要となる点が重要です。

具体的な要件として、

  • 建設業で5年以上の管理責任者経験、もしくはそれに準ずる地位で経営業務を管理した経験
  • 建設業で6年以上経営管理責任者に準ずる地位で経営者を補佐した経験

などが挙げられます。

令和2年10月以前は、許可申請する業種の経験が必要とされていましたが、これは法改正で撤廃され、業種は問われなくなりました。
法人の場合は常勤役員のうち1人がいずれかの要件に該当すること、個人の場合は本人か支配人のうち1人がいずれかの要件に該当する必要があります。

要件に関するより詳細な情報は、国土交通省のホームページをご確認ください。

国土交通省「許可の要件」

要件2

専任技術者の設置

専任技術者は、営業所単位で設置が必要であり、一般建設業と特定建設業では要件が異なるので注意です。
一般建設業の場合は以下のいずれかに当てはまることが条件です。

  • 下請けとして施工
  • 元請だが下請けに出さず、自社ですべて施工
  • 元請で下請けに出すが、工事代金が4,000万円未満(建築一式工事の場合6,000万円未満)

なお特定建設業は、下請けに出す工事代金が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)となる場合です。
この場合、元請業者は特定建設業許可を取得しなければなりません。

また、一般建設業で専任技術者になれる人材の要件は以下の通りです。

  • 鋼構造物工事業の指定学科修了かつ一定年数の実務経験を有する者
  • 国家資格や検定を有する者
  • 鋼構造物工事業に関して10年以上の実務経験を有する者

特定建設業で専任技術者になれる人材の要件は以下の通りです。

  • 指定された国家資格者
  • 国土交通大臣が、他の2要件に該当する者と同等以上の能力を有すると認めた大臣特別認定者

実務経験で要件を満たすには証明が必要であり、当時勤務していた企業が証明に必要な書類を用意しなければなりません。
実務経験期間に担当した契約書や注文書の原本を用意するか、書類がない場合は請求書と通帳から工事金額の振り込みを照合します。

また、期間中常勤していたことの証明は、健康保険被保険者証や厚生年金被保険者記録照会回答票などです。
いずれもハードルは高めと言えるでしょう。

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要件3

財産的基礎を有している

財産的基礎とは、事業を継続できるだけの財務基盤です。
建設業は事業資金が多額であるため、取引先保護のためには財務要件を満たすことが必須とされます。

一般建設業と特定建設業とで違いがあり、特定建設業はよりハードルが高くなっています。
一般建設業は自己資本が500万円以上あるか、同等の資金を調達する能力があればOKですが、特定建設業には以下4つのハードルがあります。

  • 欠損額が資本金の20%以下
  • 流動比率75%以上
  • 資本金2,000万円以上
  • 自己資本4,000万円以上

これらをすべて満たす必要があり、大変厳しい要件といえます。

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要件4

欠格要件に該当しないこと

建設業法では、書類上のものと許可申請者に関するものと2つの欠格要件があり、引っかかると許可が下りず、取得していてもはく奪されます。
書類上の欠格は、申請において虚偽があった場合や重要事実を記載していなかった場合なので、正しく申請すれば問題はないでしょう。

ただし、許可申請者の欠格要件は13項目あり、信頼に足る人物とみなされなければ許可は得られません。

要件5

誠実性があること

請負契約のため、不正や不誠実な行為があるのは大問題です。
具体的には、

  • 請負契約の締結や履行で詐欺や横領、脅迫など法律に反する行為
  • 工事内容や、不可抗力によって損害が発生した際の負担などで請負契約違反がある

といった場合には建築業許可がおりません。

法人は法人そのものや役員、政令で定める使用人に対して、個人は本人や政令で定める使用人に対して、こうした誠実性が求められます。

要件6

雇用保険と社会保険への加入

こちらは従業員を対象としたもので、従業員全員が同一生計者や出向社員などといったケースを除き、1人以上雇用がある場合に該当します。
建設業許可に必要なのは、健康保険と厚生年金保険の2つです。

また、常時5人以上の従業員を雇用している個人事業や法人事業所は、強制適用事業所に該当するため同じように社会保険への加入が義務付けられています。

必要な手続き

鋼構造物工事業の建設業許可は、申請してから許可が下りるまでに1ヶ月以上はかかります。
申請書類も多岐にわたりますが、不備がある場合は当然、それ以上の時間がかかることになるでしょう。
手続きは複雑であり、間違いなく進めるためには行政書士など専門家に依頼するケースも少なくありません。

建設業許可には『国土交通大臣許可』と『知事許可』の2種類があり、営業所と申請の数で異なります。

  • 知事許可:1つの都道府県で許可を得る場合
  • 国土交通大臣許可:2つ以上の都道府県に営業所があり、それぞれ建設業許可を取得したい場合

国道交通大臣許可は、営業所を管轄する都道府県知事を経由して地方整備局長へ申請となるため、より時間がかかると考えましょう。

許可申請には、登録免許税が必要です。

  • 新規申請の場合:国土交通大臣許可15万円、知事許可9万円
  • すでに建設業許可を取得している場合:追加申請のため5万円

この費用は、万が一許可申請を取り下げても、結果として不許可となった場合でも戻ってはきません。

国土交通大臣許可の申請手数料は取り下げの場合返還されますが、業種追加申請では返還されませんので注意しましょう。

  • 施工管理システム

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まとめ

鋼構造物工事業は、社会インフラなどを支える重要な建設業の一つです。
許可を取得するためには多くの要件を満たさなければならず、決してハードルが低いとは言えません。

しかし、社会に対して企業の信頼度を上げたり、公共行事の入札が可能になったりする点は大きなメリットと言えます。
大規模工事の請け負いが可能になることは、自社の発展のためにも大きなアドバンテージとなるでしょう。

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AIPPEAR NET 編集部

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