安定した建物を建てるためには、地盤の状態が重要です。
どんなに立派な建築物を建てても、土地が適していない状態であれば、何か災害があった時に崩れてしまう危険性があります。
そこで必要になってくるのが、造成工事です。
こちらの記事では、造成工事とは何をするのか、内容や種類をご紹介します。
また、造成工事を行いたい時の業者選びのコツについて解説します。
造成工事とは
造成工事とは、元々畑や田んぼであった土地や山を切り崩しそのまま傾斜になっているような土地に建物を建てられるように整備する工事をと言います。
一見土地がなだらかになっているように感じても、いざ地震が来た時にすぐ崩れてしまうような土地では意味がありません。
その為、宅地造成等規制法によって定められた基準に沿って造成工事を行う必要があります。
宅地造成及び特定盛土等規制法に関するサイトはこちら
こうした細かな基準が決められていることから、造成工事は個人で勝手に行うことはできません。
また、規模に応じて利用しなければならない業者も変わる為、注意が必要です。
建設業の法律に関する記事はこちら
造成工事が必要な土地
造成工事をしなければならない土地はいくつかあります。
ここからは、どんな土地の場合、造成工事が必要になるのかご紹介します。
高低差がある土地
道路と比べて土地がへこんでいるなど、高低差がある土地の場合、必ず造成が必要です。
特に、山が近い場合や元々田んぼとして使っていた場合は、土地に高低差が出ています。
建物が安全に建つように、盛土や切土をして造成します。
地盤が弱い土地
元々山で岩盤な場合は、地盤も強く問題ありません。
しかし、山と山の間に盛土しただけの場合や元々田んぼで柔らかい地盤の場合は、造成が必要です。
しっかりと造成しないと地震や自然災害があった時などに耐えられない土地になってしまいます。
造成する時にも、しっかりと地盤を固めながら考えて造らなければなりません。
変形している土地
通常の土地は長い四角や正方形などの形になっていますが、中にはいびつな形をした土地もあります。
土地が四角の場合は、通常通り家も建てやすいのですが、変形している場合は難しくなります。
いびつなままでは困難なため、できるだけ四角に近づけて形を整えなければいけません。
造成工事の内容

上述の通り造成工事とは、建築に適した状態へと土地を整えるための工事であり、安全かつ快適な暮らしを実現するための重要なステップです。
整地や伐採、地盤改良、土盛・土留め、そして残土処分など、多岐にわたる作業が含まれており、それぞれの工程が建物の品質や将来的な安心に大きく関わってきます。
ここでは、造成工事の主な内容についてわかりやすく解説していきます。
整地
一見平らに見えるような土地でも、人の手が加えられていない場合、よく見るとデコボコしています。
中には傾斜などもあり、そのままで使用はできません。
デコボコや傾斜を平らにして住宅を建てられるようにするのが整地です。
土地の資産価値を高めるための効果もあります。
伐採・伐根
何も手を加えていない状態の土地には、木や草が生えています。
住宅を建てるために土地を造成する際、木や草は邪魔です。
造成工事では、木や草を伐採しきれいにする必要があります。
ただ抜くだけではすぐに生えてきてしまうため、防草シートを使うのがおすすめです。
地盤改良
土地が柔らかいまま住宅を建ててしまうと、時間が経つに連れて地盤沈下の原因になります。
ほかにも、片方だけが沈んでしまうなど、建物に影響ができます。
そのため、柔らかい土地の場合は、地盤改良が必要です。
地盤改良では、柱状改良工法、鋼管杭工法などさまざまな方法があります。
地盤の状態に合わせて、適切な方法で行うことが重要です。
土盛・土留め
道路に比べて低い土地の場合、何もしていないと水害に遭いやすくなります。
最近では雨の降り方が異常な時もあり、家を建てても水没してしまう危険があります。
そのため、ほかの土地よりも低い場所に土地を購入した場合は、土地の高さを上げるために土を盛る「土盛」や盛った土が崩れないように支える構造物を設置する「土留め」をしなければなりません。
道路やほかの土地と同じ高さまで土地を上げることができれば、水害などを防げます。
最近では、土壌の流出をさらに防ぐため擁壁を設置するケースも多いです。
残土処分
山などの近くにある傾斜地の場合は、切土を行って土地を造成します。
土地をしっかりとならしていくと残土が出ます。
この残土は、埋立などに使用されるケースが多いです。
ほかにも、宅地をさらに造成する際に使われます。
造成工事の種類
造成工事には、土地の状態や目的に応じてさまざまな種類があります。
例えば、工事の第一段階として行われる「粗造成」や、砂利を使って地盤を整える「砂利造成」、雑草の発生を抑えるための「防草仕上げ」など、それぞれに特徴や目的があります。
また、道路として活用するためには「コンクリート舗装」や「アスファルト舗装」といった方法も必要です。
ここでは、代表的な造成工事の種類とそれぞれの特徴について詳しくご紹介します。
粗造成
粗造成とは、造成工事の初期段階で行う基本的な整地作業を指します。
建物の解体後に出る廃材や不要な土砂、雑草などを取り除き、土地をおおまかに平らにする工程です。
この作業を行うことで、その後の本格的な造成や建築工事が安全かつ効率よく行えるようになります。
重機を使って転圧(圧縮)することで、地盤の安定性を高める効果もあり、造成工事の基礎となる重要なステップです。
砂利造成
砂利造成は、整地した土地に砂利を敷き詰めて転圧し、表面を安定させる造成方法です。
砂利を用いることで水はけが良くなり、ぬかるみの発生を防ぐことができます。
また、踏んだときに音が鳴るため、防犯対策としても効果的です。
見た目も整っており、駐車場や仮設住宅地、資材置き場などで広く採用されています。
比較的コストを抑えながら整った仕上がりが期待できるため、人気の高い造成手法です。
防草仕上げ
防草仕上げとは、雑草や植物が再び生えてこないようにするための仕上げ工事です。
伐採・除草作業を行った後、地表に防草シートや砕石を敷き詰めて、日光を遮断し草の再発を防ぎます。
防草シートには透水性があり、水は通しても草は生えにくいため、メンテナンスの手間が軽減されます。
空き地や駐車場、庭などで広く使われており、景観を保ちつつ草刈りの負担を減らしたい場合におすすめの方法です。
コンクリート・アスファルト舗装
土地を駐車場や通路として活用したい場合に行われるのが、コンクリートやアスファルトによる舗装工事です。
コンクリートは耐久性に優れており、長期使用にも適していますが、施工費用がやや高めです。
一方、アスファルトはコストを抑えつつ短期間で施工可能で、住宅地や道路などで広く利用されています。
それぞれの特性を活かして、用途や予算に応じた舗装方法を選ぶことが重要です。
コンクリートに関する記事はこちら
造成工事にかかる費用と業者選びのコツ
造成工事には、費用もある程度かかります。
どの業者もまったく同じサービスを行っているわけではないため、安心して任せられる業者選びも重要です。
ここからは、造成工事にかかる費用や業者選びのコツについてご紹介していきます。
造成工事の費用
造成工事にかかる費用は、土地の状態や工事の内容、面積、地域の相場などによって大きく変動します。
費用の目安は以下の通りです。
造成工事の費用相場(目安)
工事内容 | 費用相場(1㎡あたり) | 備考 |
---|---|---|
整地 | 500~1,500円 | 軽微な整地は安価、重機使用で高くなる |
伐採・伐根 | 1,000~3,000円 | 木の本数や根の大きさで変動 |
地盤改良(柱状改良) | 30,000~60,000円(1本あたり) | 地盤調査が必要。施工内容で大きく異なる |
土盛・土留め | 2,000~6,000円 | 土量・擁壁の有無によって変動 |
防草シート設置 | 500~1,500円 | シートのグレードや施工方法によって異なる |
砂利敷き | 1,000~3,000円 | 使用する砂利の種類と厚みによって変わる |
コンクリート舗装 | 6,000~12,000円 | 強度・厚み・仕上げによって価格差がある |
アスファルト舗装 | 3,000~8,000円 | 工事面積が広いと割安になることも |
残土処分 | 5,000~20,000円(1㎥あたり) | 運搬距離や処分方法によって変動 |
造成工事は地形の状態や必須の工事が発生する場合などに費用が高くなります。
費用が高くなる主な要因と費用を抑えるポイントは以下の通りです。
費用が高くなる主な要因
- 傾斜地や岩盤など整備が難しい地形
- 大規模な木の伐採や根の除去が必要な場合
- 地盤が弱く、補強工事が必須な場合
- 土砂の搬出や搬入距離が長い
- 重機や専門業者が必要な工法を採用する場合
費用を抑えるポイント
- 複数業者に相見積もりを依頼し、価格と内容を比較する
- 必要最低限の工事内容を選ぶ(不要なオプションを避ける)
- 地域密着型の業者を選ぶことで、運搬費や人件費を抑えられる場合も
業者選びのコツ
造成工事をスムーズに進め、納得のいく仕上がりを得るためには、信頼できる業者選びが非常に重要です。
費用や仕上がりの品質はもちろん、対応の丁寧さや工事後のトラブルへの対応力なども業者によって大きく異なります。
初めて造成工事を依頼する場合は、どの業者に頼むべきか迷ってしまう方も多いでしょう。
ここでは、造成工事を依頼する際に押さえておきたい「業者選びのコツ」をわかりやすくご紹介します。
複数業者に見積もりを依頼する
造成工事を行う際、最初に相談した業者にすぐ決めてしまうのは危険です。
ほかの業者に比べてサービスが不十分であるにもかかわらず、費用が高い場合も考えられます。
複数の業者に頼み、見積もりを出してもらうのが良いでしょう。
しっかりと比べると大体の相場なども見えてきますし、どの業者が丁寧で信頼できるかわかってきます。
相見積もりに関する記事はこちら
仲介業者を通した依頼は避ける
どこが良いからわからないからといって、仲介業者を通して造成の依頼をしないようにしておきましょう。
仲介業者が挟まってしまうと、手数料を取られてしまいます。
少し大変に感じますが、自分で見つけて頼むようにしましょう。
工事時期にも注意する
工事時期を意識していないと、固定資産税の特例が受けられず損してしまうかもしれません。
せっかくであれば、お得に造成工事を行いたいと考えている方が多いでしょう。
課税評価額も1/6まで減らすことができるため、固定資産税の特例が受けられるように意識すると良いでしょう。
固定資産税に関する記事はこちら
造成工事の注意点
造成工事を安全かつスムーズに進めるためには、工事そのものだけでなく、周囲への配慮や法律面での確認も非常に重要です。
近隣への説明が不十分だったり、法令に反した施工を行ったりすると、後々トラブルやペナルティにつながる可能性があります。
安心して土地活用を進めるためにも、事前に押さえておきたい注意点を確認しておきましょう。ここでは、造成工事を行う際に特に気をつけるべきポイントについて解説します。
近隣住民への説明
造成工事は結構大きな音を立てて作業を行いますし、トラックなどの出入りが増えます。
何も聞かされず突然工事が始まったら、近隣の人は嫌な思いをしてしまいます。
騒音や車両の出入りについて必ず事前に伝え、トラブルを防ぎましょう。
法律に従った工事
所有している土地だから、自分勝手に工事をして良いわけではありません。
造成工事は、好きなようにできるものではないことも覚えておきましょう。
都市計画法や宅地造成等規制法などを守りながら、工事を実施しなければなりません。
まとめ
元々田んぼや畑である場合や山の近くで高低差がある場合は、しっかりと造成工事を行わなければなりません。
造成は、整地から始まり伐採や地盤改良などを行います。
さまざまな法律で規制されているため、素人が個人的に行うことはできません。
業者に頼んで造成工事をする必要がありますが、さまざまな業者があるため相見積もりを取り比較しましょう。
費用を少しでも安くするためには、固定資産税の特例が受けられるように意識することが重要です。
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