建設業では、さまざまな業者と一緒に力を合わせて一つの建物を完成させなければいけないため、それだけ多くの人と情報を共有しなければなりません。
そのため、情報共有をした際に、記録などを改ざんできない状態で残すことも重要です。
建設業でも、ブロックチェーンを上手に活用できれば、改ざんなどを阻止できます。
こちらの記事では、ブロックチェーンとは何か、メリットやデメリット、建設業でブロックチェーンを導入する効果についてご紹介していきます。
ブロックチェーンとは
万が一プロジェクトに参加している者の中に情報を改ざんしようなどと悪いことを企んでいる人がいたとしても、改ざんが難解で停止もしない仕組みをブロックチェーンと言います。
実際のところブロックチェーンの定義はこうだとは決まっていませんが、どんなに攻撃してくる人がいても改ざんが非常に困難で、システムダウンも起きないのが特徴です。
改ざんを防止し、公正な取引が可能
ブロックチェーンは、皆に同一の情報を送ることも可能です。
もし悪いことを考えて取引内容をごまかして有利になるように操作しようとする者がいても、記録を消すことができません。
さらに、電子署名などの暗号技術も利用するため、データが改ざんされたとしてもすぐに検出できる仕組みもあります。
万が一システムが一部でダウンしてしまったとしても、全体でダウンすることもありません。
システムの中央にデータが集まるような仕組みではなく、ブロックチェーンは多くの参加者が自律して取引履歴をコピーしているため公正な取引ができます。
データベースとの違い
ブロックチェーンとはどんなものか見ていくと、データベースとそんなに変わらないイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
確かに、両者は似ている部分も多いです。
データベースであっても複数のコンピューターに分散されているため、ブロックチェーンの仕組みに近い部分はあります。
さらに、改ざんされてしまった場合の修復も可能です。
ブロックチェーンは管理者でも操作ができない
データベースでは、情報はすべて中央に集約されてしまうため、管理者の手によってどうでもできる点がブロックチェーンと違います。
もし不正を働こうと思った時、データベースでは管理者が操作をすれば、残しておかなければならない証拠のデータを抹消することも可能です。
もし都合の良いように書き換えたいと思った時にも、管理者であれば簡単に書き換えができてしまいます。
ブロックチェーンを使えば、管理者であったとしても中央に集約されないため改ざんができません。
すべての参加者のデータが残っているため、改ざんしたとしてもわかります。
参加者も、不正を働こうと改ざんを試みても、それまでのデータが残っているためできません。
ブロックチェーンの種類
ブロックチェーンは大きく分けると2種類あります。
この2種類の特徴を、詳しくご紹介していきます。
パブリックチェーン
誰でも不特定多数が参加できるようになったものをパブリックチェーンと言います。
サービスを提供する側でも、不特定多数が参加できるようになっているため、何人が参加しているのか把握することは困難です。
中には、不正を働いて自分が有利になるように利用したいと企んでいる人も参加する可能性もありますが、その前提でシステムを運用する必要があります。
Proof of Workのようなコンセンサスアルゴリズムも必要ですが、合意形成に時間がかかってしまう難点もあります。
プライベートチェーン
誰でも利用できるのではなく、参加するには管理者の承認が必要となるようなブロックチェーンをプライベートチェーンと言います。
そのため、誰でも参加できるわけではない分、不正を働こうと考えている者を排除しやすくなります。
参加者も承認した者しか含まれないため、人数も常に把握することが可能です。
パブリックチェーンのようにProof of Workを使用しなくても、素早い取引ができます。
ブロックチェーンのメリット
ブロックチェーンを利用することには、メリットも多いです。
ここからは、ブロックチェーンを使うメリットについて具体的にご紹介していきます。
システムダウンや改ざんを防止できる
ブロックチェーンを使用していれば、簡単にシステムダウンしません。
一部だけが影響を受けてシステムダウンしたとしても、中央に集約しているわけではないため、ほかが正常に動き続けます。
万が一中央に集約していれば、都合が悪くなった時に管理者に操作されてしまうかもしれません。
しかし、ブロックチェーンでは、改ざんもできない仕組みになっています。
過去の履歴はすべて残るため、改ざんしたこともすぐにわかります。
管理者が操作できる仕組みに比べて、ブロックチェーンはシステムダウンや改ざんが防止できる点がメリットです。
文書の紛失リスクを回避できる
大切な文書を万が一紛失してしまったら、大きな損失が出てしまいます。
さらに、本来同意していない文書に書き換えられてしまっていて、嘘を証明できなければ大変です。
しかし、ブロックチェーンを利用できれば、誰もが取引履歴の書き換えや消去ができなくなります。
不正を働こうとする参加者だけでなく、サービスを提供している者も皆が取引記録の書き換えや消去ができません。
公的な文書を残したい場合は、ブロックチェーンを使用すればリスクを減らせます。
不正な書き換えだけでなく、紛失も防ぐことが可能です。
ブロックチェーンのデメリット
ここからは、ブロックチェーンのデメリットについても触れていきます。
データの削除ができない
ブロックチェーンは、データの削除ができず改ざんしにくい点がメリットではありますが、逆にデメリットになる部分でもあります。
個人情報を削除してほしいと本人から申し出があった場合でも、ブロックチェーンにデータが入っていれば削除できません。
改ざんできないように過去のデータはすべて残るようになっているため、個人情報も同じように残ってしまいます。
利用する際は、ブロックチェーンだけでなく外部データベースと組み合わせることもコツです。
合意形成に時間を要する
ブロックチェーンでは、どうしても合意形成に時間が必要です。
まだプライベートチェーンのほうが合意形成への時間短縮は図れますが、それでも時間がかかります。
スピード感が必要な分野では、時間がかかってしまうため利用に向かないとも言えます。
建設業へのブロックチェーンの導入効果
建設業へブロックチェーンを導入すれば、さまざまな効果を期待できます。
皆で改ざんできないデータを共有できるため、建設業のように数多くの関係者で利用する場合も安心です。
何かあった時にも、信頼ある証拠となります。
ほかにも、支払いの強制執行やスマートコントラクトによる処理の自動化などにも役立ちます。
建設業のDXに関する記事はこちら
建設業におけるブロックチェーン導入事例
ここからは、建設業でブロックチェーンを導入した事例をいくつかご紹介していきます。
大林組:検査履歴管理システム
大林組では、改ざんができない形で品質の管理の検査履歴を残すために、ブロックチェーンを活用する実験を行っています。
施工プロセスの過程の透明性を図り、外部からの攻撃でデータを改ざんされないために取り組みに着手しています。
鹿島建設:CO2排出量を可視化
鹿島建設では、目に見えないCO2の排出量や削減量などを正確に見ることができるプラットフォームを開発しました。
改ざんできないように、ブロックチェーンの技術を活用して情報を管理しています。
清水建設:出来形情報管理システム
清水建設では、出来形計測データを改ざんできないように、ブロックチェーンを活用した出来形情報管理システムの実用化に向け研究を行っています。
計測データの信憑性を確実に担保するために取り組んでいます。
建築業向けの管理システム「アイピア」
アイピアは建築業に特化した一元管理システムであり、顧客情報、見積情報、原価情報、発注情報など工事に関する情報を一括で管理できるため、情報集約の手間が削減されます。
さらに、アイピアはクラウドシステム。外出先からでも作成・変更・確認ができます。
アイピアはここが便利!6つのポイント
まとめ
ブロックチェーンを利用できれば、不正を働こうとするものがアクセスしてきても改ざんやシステムダウンを避けられます。
建設業のようにさまざまな関係者がいる場合も、ブロックチェーンは役立つでしょう。
データベースとは違い、一部でシステムダウンがあってもすべてがダメになってしまう心配もありません。
実際、大手の建設業でもブロックチェーンのメリットを感じ、導入している事例も増えています。
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