工務店の集客といえば、長くチラシ配布が中心でした。
その後ホームページを持つ会社が増え、いまではSNS活用が当たり前になりつつあります。
そんな中でも近年、特に成果を上げているのが 「LINE公式アカウント」 です。
お客様が日常的に使っているLINEを活用することで、これまでの集客・連絡手段では得られなかった距離感でアプローチできるようになります。
この記事では、工務店がLINE公式アカウントを導入するメリットや使える機能、運用時の注意点までわかりやすく解説します。
LINE公式アカウントとは
LINE公式アカウントとは、企業や店舗が公式のLINEアカウントを作成し、友達追加をしたユーザーに情報を提供できるサービスです。
一方的な情報発信だけでなく、チャットや通話、クーポンやポイントカードの作成等、様々な用途に使用できます。
なお、以前はLINE@と呼ばれるLINE公式アカウントに似たサービスがありましたが、2020年4月に「LINE公式アカウント」へサービスを移行しました。
LINEとLINE公式アカウントの違い
LINEとLINE公式アカウントの違いを一言でいえば、LINEが個人対個人で扱うものなのに対して、LINE公式アカウントは個人対企業で扱う一斉配信アプリです。
お客様から直接問合せをいただくときは1対1になりますが、基本的には多くのお客様に一斉に情報発信を行います。
企業から一方的に情報発信する、という観点でいえばチラシに近いですが、LINEというツールを扱うことでお客様側の手軽さが上がります。
企業側からしても、チラシやイベント実施に比べて安いコストで定期的な連絡が取れるという利点があります。
| LINE | LINE公式アカウント | |
|---|---|---|
| 対象 | 個人同士のやり取り | 企業 → ユーザー |
| 使い方 | 1対1 | 1対多の一斉配信がメイン |
| 主な用途 | 日常連絡 | 集客・顧客管理・営業 |
工務店の集客方法に関する記事はこちら
LINE公式アカウントの機能
この章では、LINE公式アカウントのサービスについてご紹介します。
機能①:お客様へメッセージを一斉配信
友だち登録してくれたお客様に対してメッセージを一斉配信します。
イベントやキャンペーンの告知、プレスリリースなど基本的にチラシに掲載していたような情報を発信することができます。
メッセージ配信の事前予約ができるので、あらかじめ登録しておけば、計画的なメッセージ配信が可能です。
機能②:チャット・通話機能
通常のLINEのように、チャットや通話も可能です。
チャット機能には、自動応答設定やメッセージテンプレート等があり、業務に追われていても顧客対応しやすい機能になっています。
機能③:クーポン機能
期間限定お値引きや来社時クーポンなどのクーポンを作ることができます。
お客様の来社チャンスを増やすことに貢献してもらえますね。
また、クーポンの利用率を管理画面で確認することも可能です。
機能④:リサーチページ
リサーチページでは、アンケートや人気投票など、お客様に参加していただけるコンテンツの配信が可能です。
「どんな住宅がお好みですか?」というアンケートを実施して回答してくれたお客様にクーポンを発行するなどして繋がりを持つことが出来ます。
回答してくれたお客様の情報(年齢・性別など)を取得して分析できるのでどのようなお客様がどんなことに興味を持っているか知ることにも繋がります。
機能⑤:自動応答メッセージ
自動応答メッセージ機能は、特定のメッセージに対しての返信をあらかじめ設定し、自動で送信できる機能です。
ランダムな内容を送信する「自動応答機能」、メッセージが完全に一致した場合に送る「キーワード応答機能」、AIが判別して返答する「シンプルQ&A機能」の3種類があります。
また、難しい内容での質問は有人での対応に切り替えることもできるため、業務を最大限減らしながら、柔軟に答えることが可能です。
機能⑥:リッチメッセージ
リッチメッセージ機能は、リンク付きの正方形の画像を送信できる機能です。
ユーザーは、届いた画像をタップすることでWebサイトやキャンペーンページに遷移できます。
リッチメッセージ機能は視覚的にもユーザーにとって分かりやすく、伝わりやすいのが特徴です。
機能⑦:リッチメニュー
リッチメニュー機能は、トーク画面の下部にバナーやメニューボタンを表示できる機能です。
来店予約やお問い合わせフォームなど、よく利用されるサービスを表示しておくことで、クリックで簡単にとべるようになっています。
機能⑧:タイムライン
LINEには、メッセージのやりとりをする「トーク」画面とは別に、友だちの投稿をみられる「タイムライン」もあります。
友だち登録している人の友だちにまで投稿が表示されるため、より拡散されやすい点が魅力です。
機能⑨:分析機能
LINE公式アカウントには管理者専用の画面があり、分析機能も搭載されています。
友だち数の増減、チャットの送受信数、タイムライン投稿の閲覧・いいね・シェア数、クーポンの利用状況などをみることができます。
LINE公式アカウントの管理画面上にあるダッシュボードで確認ができるため、どのデバイスでも簡単に閲覧できる点も魅力です。
工務店がLINE公式アカウントを導入するメリットは?

この章では、工務店をはじめとする建築業界においてLINE公式アカウントを導入するメリットをご紹介します。
メリット①幅広いお客様と定期的な接点を持てる
建設業、建築業、工務店などの業種はお客様からのお声がけで初めて受注、案件が成立します。
飛び込み営業を行う工務店もまだまだ健在ですが、できればあまり労力をかけずに安定して案件を作り出していきたいですよね。
LINEは現在、国内で最も多くの人に使われているSNSと言われており、2023年6月時点の月間ユーザー数は9500万人です。
年代や居住地を問わず幅広い層が使っているのも魅力です。
LINEユーザーに関するページはこちら
LINE公式アカウントなら、様々なきっかけで一度でも登録をしてもらっていれば幅広いお客様と定期的な接点を持つことが出来るようになります。
メリット②簡単に連絡先を獲得できる
利用者数が多いのに加え、LINEは住所や電話番号といった他の個人情報よりも手軽に獲得しやすいメリットがあります。
QRコードで簡単に追加してもらえるため、イベント参加やアンケート回収ができても、メールアドレスや住所が分からないお客様になんのアクションも起こせない、という悩みは解決です。
また、お客様にとっても「LINEくらいなら、不要になればブロックすればいい」と感じることで気軽さが上がり、より多くの顧客名簿を手に入れられるようになります。
メリット③メッセージが読まれやすい
LINEは多くの人にとって主要な連絡手段であるため、一日に何度もLINEを確認する方が多くいるでしょう。
そのため、LINEを開くことが習慣化している多くの人にとっては、企業から届いたメッセージも目に入りやすく、確認しやすいと考えられます。
また、LINEではプッシュ通知や未読数といった機能があるため、未読で放置されることが比較的少なく、閲覧率が高いのもメリットです。
メリット④お客様側から気軽に問い合わせてもらえる
LINE公式アカウントなら、LINEからメッセージを送るだけでお客様と工務店が連絡をとることができます。
チラシを見て電話する、ホームページの問合せフォームから書き込む方法だと、色々な手間を考えて少し手が止まりがちですが、その場で完結するLINEなら気にする必要はありません。
お客様からみてもより気軽にお問い合わせできる手段であるため、お問い合わせ数の増加にも貢献してくれるでしょう。
これまで「問い合わせたかったけどしていなかった」客層を掴むチャンスです。
メリット⑤営業コスト・集客コストの削減になる
LINE公式アカウントを中心とした集客スキームが確立できれば、これまでのように膨大な量のチラシを印刷する必要はありません。
イベント実施も、LINE公式アカウントによる集客状況分析を通じて計画的に行うことができるので必要以上のイベント実施や告知のために余計なコストを割くことはありません。
また、LINEを通じてメッセージが届いた場合誰でも確認することが可能です。
そのため、営業マンが動かなければ案件対応できないということが無くなります。
受付対応の時点である程度の熱さがはっきりして、お客様が発注者となりうると判断した時点ではじめて営業マンを登用できるので営業マンは適切な案件にだけ時間を注ぐことができます。
働き方改革をサポートすることも可能ですね。
顧客管理ツールに関連する記事はこちら
LINE公式アカウントの導入方法
LINE公式アカウントを始める際には、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。
ここでは、LINE公式アカウントの導入までの流れを確認していきましょう。
運用前にするべきこと
目的やルールなどを決めずに公式アカウントをつくってしまうと、長続きしなかったり運用があいまいになったりします。
アカウントの運用を始める前に、いくつかのことを行って準備しておくと良いでしょう。
運用前①運用目的・ターゲットを決める
LINE公式アカウントは、メッセージ配信や自動応答、クーポンの設定など、さまざまな機能を自由に利用できます。
これらの機能を最大限活用するため、運用の目的をあらかじめ明確にしておくと良いでしょう。
例えば、「見込み顧客の来店予約に繋げる」や「地域での認知度を上げる」といったものが良い例です。
運用前②ターゲットを決める
主なターゲットも決めておくと良いでしょう。
年代や職業など具体的なターゲットをイメージすることで、配信する内容や配信する時間などの方法もそれに合わせることができます。
複数のターゲットを定めても良いですが、多すぎて配信方針がバラバラにならないように気を付けましょう。
運用前③目標を設定する
LINE公式アカウントの運用目的やターゲットに合わせて、具体的な目標を設定します。
例えば、「WEBページの閲覧者数〇%増加」や「△月までにLINE公式アカウントからの来店予約数〇件」などです。
具体的な目標は、LINE公式アカウントの効果がどれぐらいか、現状の運用方法が適切かどうかを測る指標になります。
運用前④運用ルールを策定する
運用に際して、担当者や配信内容、問い合わせ対応などについてルールを定めておくことも大切です。
マニュアルを用意しておくことで、担当変更の際などにもスムーズに対応できるようになります。
アカウントの開設
LINE公式アカウントのHPからアカウントの開設が可能です。
具体的な手順はLINE公式ホームページで紹介されています。
LINE公式アカウントの料金プラン
LINE公式アカウントは支払う費用によって使える機能が異なります。
月額0円のフリープラン、月額5,000円のライトプラン、月額15,000円のスタンダードプランがあります。
月あたりに投稿できる回数や数、その他機能などが変わりますが、最初から高いプランを使う必要性は低いと考えられます。
まずは「お客様と繋がる」「定期的な配信で接点を持ち続ける」ことを体感し、使い方を理解して配信回数などに不足が出て初めて有料プランの検討を始めても遅くはありません。
LINE料金プランに関するページはこちら
SNS集客に関する記事はこちら
LINE公式アカウント運用のポイント
LINE公式アカウントの導入が完了したら、いよいよ運用を開始します。
ここでは、運用の際に意識しておくべき点について、みていきましょう。
ポイント①友だち登録者数を増やす工夫をする
LINE公式アカウントをつくっても、配信内容を見てくれるLINEの友だち登録者がいなければ意味がありません。
ホームページでLINE登録への誘導をする、店頭にQRコードを貼っておく、LINE登録者限定のキャンペーンを行うなど、友だち登録者数を増やすための工夫を忘れないようにしましょう。
特に、LINE公式アカウントを開設して間もない頃は、友だち登録者数の増加に重点を置くことをおすすめします。
ポイント②コンテンツを充実させる
友だち登録者数を減らさないようにしたり、正しく情報伝達をしたりするためには、さまざまな機能を活用して、コンテンツを充実させることも大切です。
例えば、
- 友だち登録時のあいさつメッセージの設定
- プロフィールの登録
- クーポン・キャンペーンの実施
- 自動応答メッセージの登録
などを行うと、より充実した内容となることでしょう。
ポイント③LINE公式アカウントの利用規約を確認する
LINE公式アカウントには利用規約が定められています。
この規約は必ず守らなければならないものですので、内容をよく把握しておくようにしましょう。
LINEアカウントの利用規約に関するページはこちら
ポイント④分析・振り返りを忘れずに行う
定期的な分析・振り返りも忘れないようにしましょう。
LNE公式アカウントには、管理者が閲覧できる分析画面があります。
分析機能の情報を参考にしながら、効果はどのくらいか、目標を達成しているかどうかを確認しましょう。
ポイント⑤LINE広告も活用しよう
LINE広告とは、LINE上に広告を配信できるサービスです。
初期費用・最低出稿金額なし・1日1,000円から配信できる点が魅力で、LINE公式アカウントと組み合わせて広告を配信することで、さらなる効果が期待できます。
LINE広告に関するページはこちら
ポイント⑥チャット履歴のバックアップをとる
LINE公式アカウントのチャット履歴の保存期間は1年間となっています。
それより前の履歴をみることはできないため、定期的にバックアップをとり、配信内容を記録しておくことをおすすめします。
ポイント⑦ユーザー目線での情報発信を意識する
ユーザーにとって必要な情報とは何か、を常に考え、ユーザー目線での情報発信を心がけましょう。
機能の充実したLINE公式アカウントでは、顧客獲得に繋げようとつい、自社が知ってほしいと思う情報ばかりを投げがちです。
しかし、一方的に情報を投げるだけでは、顧客には十分に伝わりません。
ユーザー目線にたち、ユーザーからみて必要なサービス情報、お役立ち情報などを配信することで、興味をもってもらえるきっかけを増やせるでしょう。
工務店のDXに関する記事はこちら
LINE公式アカウントと他の集客チャネルの組み合わせは?
LINE公式アカウントは単体でも強力ですが、他の集客チャネルと組み合わせることで効果を最大化できます。
特に工務店は「オフライン(チラシ・モデルハウス・イベント)」と「オンライン(Web・SNS)」の接点が多いため、これらをLINEへ集約することで、問い合わせ数・来場数・契約率を大きく上げることができます。
以下では、工務店が実践しやすい LINE × 他チャネル の連携方法を解説します。
ホームページとLINE:問い合わせ・予約を増やす
工務店のホームページを訪れるユーザーは、すでに一定の関心を持っている“見込み顧客”です。
その人たちを確実に取りこぼさないために効果的なのが 「LINE登録への導線づくり」 です。
まず、トップページ・施工事例ページ・イベントページに “LINEで簡単予約” ボタンを設置することで、ユーザーはわずか数秒でお問い合わせが可能になります。
従来のフォームより入力項目が少なく、スマホユーザーでもストレスがありません。
また、LINE登録後に自動配信されるステップメッセージを活用すれば、「来場予約」「資料請求」「相談予約」へ自然と誘導できるため、成約率の高い見込み客を育てることができます。
“ホームページで拾いきれなかった顧客をLINEで繋ぎ止め、育てる”—これが工務店が実践すべき集客の新しい形です。
ブログ集客に関する記事はこちら
Instagram×LINE:若年層の集客効率を最大化する
Instagramは20〜40代の家づくり検討層が多く、工務店と相性の良いSNSです。
しかし、Instagramだけでは問い合わせに繋がりにくいため、LINEへの誘導が鍵となります。
おすすめは、
- 施工事例の投稿に「詳細はLINEでご案内」と記載
- ストーリーズにLINEのリンクスタンプを設置
- インスタライブ中に「質問はLINEで受付」と案内
など、自然にLINEへ誘導する導線をつくることです。
Instagramは認知・興味を持たせ、LINEで行動を起こさせる―この役割分担を明確にすることで、若年層の来場予約や相談数が増え、継続的に見込み顧客を育てられるようになります。
SNS集客に関する記事はこちら
チラシ・モデルハウス・イベント×LINE:オフライン集客の成果を最大に
チラシ・見学会・地域イベントなどオフライン集客は、工務店にとって今も強力な武器です。
しかし、紙だけでは「問い合わせに繋がらない」「反応が分からない」という課題があります。
そこで活用したいのが LINEへの誘導 です。
例えば以下のように、物理的な接点でLINE登録を促すと反応率が大きく上がります。
- チラシに大きめのQRコードと「登録で来場特典」
- モデルハウス入口のPOPに「LINEで見学予約」
- イベント受付で“LINE友だち登録で参加”にする
登録してもらった顧客には、見学会情報・施工事例・補助金情報などを届ければ、自然と関係性が深まり来場率が向上します。
オフライン → LINE の導線づくりは、工務店の集客効率を一気に高める重要なポイントです。
オフライン集客に関する記事はこちら
工務店のLINE集客に関するよくある質問
- 工務店でもLINE公式アカウントを使うメリットはありますか?
-
あります。特に「問い合わせ増加」「来場予約率向上」「関係構築」の3つが大きなメリットです。
LINEはメールより開封率が高く、若い世代ほど連絡手段として日常的に使用しています。
そのため、工務店のイベント告知・見学会案内・施工事例配信などと相性が良く、
“いつでも連絡できる身近な窓口” として顧客との距離を縮められます。 - チラシからLINEに誘導する方法は?
-
QRコードの活用が最も効果的です。さらに特典をつけると登録率が上がります。
- 「LINE登録で来場特典プレゼント」
- 「LINE限定で施工事例の続きが見られる」
- 「見学会予約はLINEで簡単にできます」
QRコードは大きく、目立つ位置に配置するのがポイントです。
- LINEで問い合わせが来た場合、返信が遅れても大丈夫?
-
自動応答の設定で一次対応を自動化できます。
営業時間外は自動応答で「営業時間・対応時間」を案内しておくと安心です。
また、スタッフのスマホからでも返信できるため、
現場巡回中でも対応がしやすいのがメリットです。 - 見学会・イベント集客に使えますか?
-
とても効果的です。LINEは“イベント告知→予約→リマインド”に最適です。
- イベントの告知
- 予約ページへの誘導
- 当日のリマインド
- 来場後のフォローアップ
これらをLINEで統一管理できるため、来場率・成約率の向上に繋がります。
まとめ
LINE公式アカウントは、企業の集客活動において非常に有用なサービスです。
チャット機能はもちろん、クーポンや自動応答、分析機能などさまざまな機能がついています。
低コストかつ手軽に始められるので、一度開設しその効果を試してみると良いでしょう。
LINE公式アカウント運用の際には、その目的・目標を明確にし、効果が十分に発揮されるようにしましょう。
工務店の顧客管理なら「建築業向け管理システム アイピア」
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