気温や湿度が高くなると、熱中症のリスクも高まりやすくなります。
建設現場は、屋外や空調設備がない場所で作業をすることが多いため、熱中症が起こりやすい環境です。
熱中症は、命に関わるケースもあるため、軽いめまいであっても油断はできません。
建設現場の従業員の安全を守るために、熱中症対策にしっかりと取り組むことが必要です。
そこで、本記事では、建設現場における熱中症対策や対処法、おすすめのグッズなどを紹介していきます。
熱中症とは
熱中症は、高温多湿な環境下で、体内の水分や塩分の不足で体内の調整機能が壊れたりすることで発症する障害です。
熱中症は、室内においても、冷房設備を使用しない場合等に発生するリスクがあります。
熱中症が特に多い季節は6月~9月頃、時間帯は午後2時間から4時頃です。
熱中症によって、死亡した事例も近年多発しており、その7割以上が建設業の労働者です。
死亡事例の多くが30代~50代の男性であるため、建設業での熱中症対策は重要です。
熱中症の症状
熱中症になると、体にさまざまな症状が現れます。
症状の度合いによって、I度~III度に区別されています。
各段階での主な症状は、以下の通りです。
- I度
I度(軽度)で起こりやすい症状は、めまい、失神、手足のしびれ、気分の不快などです。
大量の汗をかくことで、体内の塩分が失われて、筋肉痛や筋肉の硬直を引き起こすこともあります。 - II度
II度(中等度)で起こりやすい症状は、頭痛、吐き気、嘔吐などです。
倦怠感や虚脱感、軽度の意識障害などの症状が現れることもあります。 - Ⅲ度
III度(重症)で起こりやすい症状は、高体温、けいれん、手足の運動障害などです。
呼びかけても反応がない、まっすぐ歩けないといった症状が出ることもあります。
肝機能異常、腎機能障害、血液凝固障害などの症状を引き起こすこともありますので、すぐに医療機関を受診したほうが良いでしょう。
建設現場における熱中症対策
『建設現場における熱中症対策事例集』(国土交通省大臣官房技術調課、平成29年)によると、平成23~27年の5年間で、熱中症による死傷者が最も多かったのは建設業という結果が出ています。
建設現場は、炎天下の屋外や密閉された室内で作業する時間が長くなるため、熱中症対策が必須です。
ここでは、建設現場での熱中症対策法をいくつかご紹介します。
作業環境管理する
熱中症を防ぐためには、作業環境の管理が欠かせません。
具体的な対策は以下の通りです。
CHECK!
暑さ指数(WBGT値)の測定・低減
気温が上がると、熱中症を引き起こしやすくなります。
熱中症を予防するためには、建設現場の気温を正確に把握しておくことが大切です。
その際の指標となるのが、暑さ指数(WBGT値)です。
暑さ指数は、1954年にアメリカで提案され、熱中症の危険度を判断する目安となる指標となっています。
『日常生活における熱中症予防指針Ver.4』(日本生気象学会、2022年)によると、WBGT値が31以上になると、危険とされているのです。
28~ 31未満は厳重警戒、5~28未満は警戒、25未満は注意としています。
WBGT値の測定ができる機器が市販されていますので、建設現場に導入して、日々の暑さ指数(WBGT値)を測定しておくと良いでしょう。
もしも、この数値が高い場合には、日よけや冷房器具の設置などといった低減対策が必要です。
CHECK!
休憩場所の確保
熱中症を防ぐためには、適度に休憩を取ることが大切です。
建設現場の従業員たちがゆっくり休めるような休憩場所を確保しておく必要があります。
休憩場所には、エアコン、給湯設備、冷蔵庫などの設備を整えて、快適に過ごせる環境を整えておくと良いでしょう。
休暇をとれるように、気温や湿度が高い日には、作業時間を短縮したり、休憩時間を長めに設けたりするなど対策をとるのが良いでしょう。
従業員の健康を管理する
熱中症のリスクを下げて、建設現場で働く従業員の健康を守るための対策としては、以下の方法が有効的です。
CHECK!
従業員の配置を見直す
狭い空間に集まってたくさんの従業員たちが作業していると、温度が上がりやすくなります。
熱中症のリスクが高まりやすい時期には、建設現場の従業員数の配置をよく見直して、無理のないスケジュールを立てるようにしましょう。
CHECK!
水分・塩分の補給を促す
熱中症を防ぐためには、こまめな水分補給や塩分の摂取が有効的です。
従業員に対して、水分・塩分補給のアナウンスをこまめにしましょう。
また、休憩場所には、ウォーターサーバーや自動販売機や塩分タブレットなどを用意しておき、従業員がいつでも水分や塩分を補給できる環境を整えておくと良いかもしれません。
CHECK!
透湿性・通気性に優れた服装を導入する
熱がこもりやすい服装を長時間着用していると、熱中症にかかりやすくなります。
空調服や冷感素材の服のように透湿性や通気性に優れた作業服を用意して、従業員の服装にも気を配ったほうが良いでしょう。
熱中症対策を始めとする社員の安全管理に関する記事はこちら
建設現場の熱中症対策グッズ
建設現場での熱中症を防ぐために、グッズの活用がおすすめです。
ここでは、おすすめの熱中症対策グッズを6点紹介します。
経口補水液
経口補水液は、電解質や糖質などを配合した水のことです。
熱中症による脱水症状には、水や塩分や糖分をバランス良く含み、吸水性が高い経口補水液を飲むのが良いと言われています。
ドラッグストアなどでもペットボトル入りやゼリータイプの経口補水液が販売されており、簡単に入手できます。
水に砂糖と塩を溶かして自作することも可能です。
塩分タブレット
塩分タブレットには、塩分が含まれています。
汗をかくことで失われた体内の塩分の補給を手軽にできるます。
クエン酸やカルシウムを配合した塩分タブレットもあります。
レモン味、スポーツドリンク味、ぶどう味といったように味のバリエーションも豊富なので、お好みの味の塩分タブレットを選んでみると良いでしょう。
移動式エアコン
移動式エアコンがあれば、作業環境を快適な温度に保つことができます。
頻繁に移動するのであれば、キャスター付きの移動式エアコンを選んでおくと便利でしょう。
空調服
空調服は、電動ファンを内蔵した服のことです。
小型のファンを回すことで、涼しい風が服の中に入り込み、汗の蒸発を促してくれます。
空調服があれば、エアコンがない場所でも快適に作業できることでしょう。
ただし、ほこりや粉塵が多い場所での使用には向いていません。
冷却スプレー
冷却スプレーは、衣服や体に吹きかけるだけで、涼を得ることができます。
爽快感を求めるのであれば、メントール成分を配合したスプレーを選んでみると良いかもしれません。
消臭成分を配合したスプレーは、汗臭や体臭を軽減する効果も期待できます。
冷却タオル
冷却タオルは、冷感機能素材を採用したタオルです。
触れるとひんやりした感触があります。
水に濡らして使うタイプ、水に濡らさなくても使えるタイプなどがありますので、使いやすいものを選んでみると良いでしょう。
建設現場で熱中症になった場合の対処法
最後に、建設現場で従業員が熱中症になった場合の対処法を4つ紹介します。
熱中症の症状を確認する
熱中症かもしれないと思ったら、まずは症状をよく確認してみましょう。
熱中症のレベルは、I度~III度に区分されており、まっすぐ歩けなかったり、呼び掛けても反応がないIII度は最も危険な状態です。
すぐに医療機関を受診しなくてはなりません。
意識がない場合には救急車を呼んだほうが良いでしょう。
どの程度のレベルなのかを把握して、適切な対応を取ることが必要です。
涼しい場所へ移動する
熱中症だと思ったら、その場を離れて涼しい場所に移動してましょう。
エアコンや扇風機などがある部屋に移動するのがベストです。
炎天下の屋外にいる場合には、まずは日陰へ移動して休むことが大事です。
水分と塩分を補給する
熱中症は、水分や塩分が失われている状態です。
経口補水液、塩分タブレットなどを摂取して、体を落ち着かせましょう。
症状の改善まで休息する
熱中症だと思ったら無理は禁物です。
症状の改善を確認できるまでは、体を動かすのは控えて、安静にして過ごすようにしてください。
従業員の安全管理に関連する記事はこちら
まとめ
建設現場は、熱中症が発生しやすい環境です。
現場の従業員の健康を守る対策が欠かせません。
作業環境や従業員の配置の見直し、快適な休憩場所の確保などの対策をとる必要があります。
経口補水液、塩分タブレット、空調服、冷却スプレーなどのグッズがあるため活用してみると良いでしょう。
建築業向けの管理システム「アイピア」
アイピアは建築業に特化した一元管理システムであり、顧客情報、見積情報、原価情報、発注情報など工事に関する情報を一括で管理できるため、情報集約の手間が削減されます。
さらに、アイピアはクラウドシステム。外出先からでも作成・変更・確認ができます。
アイピアはここが便利!6つのポイント
現場管理に関する記事
現場管理システムに関する記事
出面表に関する記事
"社内のデータを一元管理"工務店・リフォーム会社が選ぶ!
建築業向け管理システム
Aippear(アイピア)