工務店の人手不足が問題に!解決するための取組とは

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地域の活性化のためにも建設業界が元気になることが欠かせません。
そのためには、工務店が人材を安定させ、人手不足を解消することが急務です。
しかし、日本では労働人口の減少が進んでいるのに加えて、建設業界は特に若者から敬遠されやすい傾向にあるのが現状です。現場で若者離れが起きている原因を知れば対策が見えてくるでしょう。

ここでは、人材不足が起こっている原因、建設業界が取り組みたい対策などについて紹介していきます。

なぜ工務店の人手不足が進んでいるのか

工務店のイメージ画像

日本の工務店が抱える大きな問題が人手不足です。
人手が足りないと住宅設計、建築がスムーズに進まずに時間を要してしまいます。

では工務店の人手不足はなぜ起きているのでしょうか。

大工の高齢化

作業現場を見た時、働いている大工は高齢者ばかりという印象を抱いた人は多いはずです。

昔は、大工といえば頑張り次第で高給を狙える魅力的な職業でした。
大工一本で豊かな暮らしを実現できたので、転職する人はあまりいませんでした。
高齢になるまで大工を続ける人が多かったわけです。

それでも体力・気力の低下が著しくなると、いずれ仕事を辞めることになります。
ベテラン大工が一人、また一人と辞めていくことで常習的な人手不足を招いたわけです。

若者の大工離れ

現場では高齢者が多くを占めており、若者が非常に少ない現実があります。

大工の仕事は『きつい・汚い・危険』の悪条件を満たす3Kの仕事と認識されています。
今ほど仕事がない時代であれば、仕事があるだけで幸せと考えている人が大勢いました。

しかし、現在は経済発展に伴って職種が増え、仕事の選択肢が広がっています。
IT業界の台頭もあって、デスクワークに魅力を感じる人が増えてきています。
そうした事情により、仕事は大工でなくても良いと考える若者が増えてきたわけです。

現在の若者はなるべく楽をしてお金を稼ぎたいと考える人が少なくありません。
好きではない仕事をするくらいなら、働かずに家にひきこもっていたほうが良いと考える若者もいるほどです。

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賃金の低さ

建設業界全体の課題として賃金が安いことがあります。

施工会社がお客様に家を建ててもらうためには、施工価格を下げるという方法が王道です。
注文住宅を選ぶ時は、こだわりや快適性を重視する人が多いですが、価格の安さも大きな判断材料です。

そこで、施工会社は価格を下げる努力をしますが、そうすれば現場スタッフの賃金を下げることになりかねません。
工務店の中には高給を提示している会社がありますが、給料を考える時は金額の大小に加えて、仕事内容との対比が関与しています。

世間一般的な給料を得ていても、それ以上に仕事がきついと感じれば、割に合わないと思ってしまう人は多いわけです。

ほかにも、低賃金で雇用できる外国人労働者を採用する会社が増えたことも、業界全体の低賃金化につながっています。

労働条件の問題

工務店の仕事は雨天の日はできないことが少なくありません。
雨天が続いて何日も休んで、さらに大型連休を迎えて仕事が減るとなれば、月給は10万円にも満たないという状況もあり得ます。

工務店は日給制を導入しているところが多く、この場合だと勤務した日数分しか収入を得られません。
逆に多忙な時期は残業続きになり、睡眠時間に影響してくるという話もあります。

年間を通して安定した勤務環境ではないので、労働条件や福利厚生が良い職種に転職をする若者が少なくありません。

建設業界の動き

建設業界では人手不足を解消するために、さまざまな試みを行っています。
ここでは代表的な試みについて紹介します。

労働基準法の改正

労働基準法の改正は、建設業界に若者を呼び戻すことが大きな目的です。

2024年からは時間外労働の上限を超過すると、罰則の対象になる可能性があります。
働き方改革により2018年から時間外は月45時間、年360時間と定められていましたが、罰則の対象にはなりませんでした。

しかし、2024年からは違反すると刑事罰の対象になる可能性があります。
忙しすぎて身体がもたない、続けられないと考えていた人にとって、労働基準法の改正は好機となるでしょう。

1日に3~4時間などの長時間の残業に悩まされていた人は、多くても2時間程度に抑えられるようになるわけです。

【建設業】2024年問題とは?働き方改革のポイントや注意点を解説

36協定の締結

工務店は納期までに家造りをするために、働ける時に働こうと考える傾向が強いです。
それが過剰な残業につながり、若者離れを引き起こしています。

そこで、労働基準法が改正され、無理な残業をさせない動きが広がりましたが、やむを得なく法定労働時間を超過した労働が必要になる場面はあるかもしれません。

そうした場合は、使用者と労働者の代表が36協定の締結をし、それから事業所を管轄する労働基準監督署長に届け出をしてください。
36協定は労働者が確認できるように、見やすい場所に掲示したり、書面交付をしたりする必要があります。

厚生労働省「36(サブロク)協定とは」

法定労働時間を超過した残業をさせる、また休日労働をさせる、などの状況では36協定の締結・届け出をしないと違法になるので注意してください。

建設業の36協定に関連する記事はこちら

建設キャリアアップシステム

建設キャリアアップシステムは国土交通省が推進する制度です。
技能者の保有資格、社会保険加入の有無などを登録し、キャリアアップカードに就業履歴を記録させることで技術者のキャリアを正確に把握します。

蓄積された登録情報は、技術者の経験やキャリアを把握する指標として用いられます。
事業者は適材適所で人材選びをしやすくなるので、作業の合理化が実現するのがメリットです。

また、技術者を正当に評価し適切な対応をするためにも役立ちます。
職場における不公平感をなくすことが、有能な人材を流出させない基本です。

人手不足を解決するために

人手不足を解消することが自社の安定した黒字化につながります。
そのために、できる対策について説明します。

労働条件を改善する

若者は『きつい・汚い・危険』を満たす3Kの職場を敬遠する傾向があるので、これらを払拭していく企業努力が必要でしょう。

十分な休憩時間を確保する、なるべく残業を減らすなどは、体に無理をかけない基本です。
汚いイメージを払拭するには、まずは現場監督も含めてスタッフ全員の身だしなみの徹底が必要です。

トイレは衛生的な環境を維持し、汚れないようにします。
仮設トイレを使うのが嫌という理由で、建設業界を敬遠する若者は意外といます。

職場における危険を回避するには、急がせないこと焦らせないことなどが重要なポイントです。

【建築業】進むIT技術の導入!その理由とメリットを徹底解説

人材の育成

工務店に在籍する大工の多くが高齢者という状況はめずらしくありません。
高齢者は豊富な経験と知識を有していますが、体力や気力は若者には負けてしまいます。
建設業界の活性化のためには、若者をいかに増やしていくかが大切です。

人材確保のためには人材育成が必須であり、仕事ができるようになると自信が湧いてきますし、仕事をすることに楽しみを感じます。
『大工の仕事は楽しい』と思ってもらえば、若者の流出を防げるでしょう。

人材育成を効率化させるためには、自社による独自マニュアルを用意すること風通しの良い職場づくりをすることなどが重要です。
困った時に気軽に質問でき、また気軽に教えることができる環境では仕事を効率よく覚えられます。

建設用ロボットの導入

現代人は重たいものを持つことに慣れていないことが多いです。
建設現場では重たい建材を持ったり、スコップで穴を掘ったりする作業が少なくありません。

こうした負担を軽減させるには、建設用ロボットを活用する方法がおすすめです。

建設機械を導入して人による負担を減らす、リモコン操作でビスやタッカー止めをする、などの対策によって労働者の負担を抑え、生産性を高めることが可能です。

外国人雇用の検討

外国人の中には日本で働きたいと考える人が大勢います。
そうした外国人を呼び込むことができれば、人手不足の課題解決に向けて大きく前進するでしょう。

外国人が働くためには言語や文化の壁を超える必要があり、これは雇用者から見ても悩むべき問題かもしれませんが、人手不足の切り札という側面において外国人の雇用は鉄板です。

国土交通省「外国人材の活用」

幅広いターゲット層を狙う

男性の若い人材などとターゲット層を限定してしまうと、求人応募者が減少してしまいます。

工務店の人手不足解消のためには、女性や中年世代を積極的に雇用することが重要です。
建設用ロボットが完備された職場であれば、体力に自信のない女性や中年者なども働きやすいでしょう。

老若男女が活躍しているというイメージが定着すれば、さらなる雇用促進につながります。
たとえば、現場で大勢の女性が活躍している場面を見れば、建設業界に興味のある女性が応募する可能性が高くなるでしょう。

国土交通省「建設産業における女性の定着促進に向けた取組について」

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まとめ

多くの工務店は深刻な人手不足に直面しています。

大工の高齢化に加えて、若者の価値観が変化してきたことも要因です。
3Kの職場で働きたくない、低賃金や悪条件での労働に不満がある、などの問題も若者の定着を阻んでいます。

建設業界では人材確保のために36協定の締結、建設キャリアアップシステムの導入などの試みを実施していますが、まだまだ人手不足の状況は深刻です。
人手を増やしていくためには、働きやすく魅力的な仕事というイメージを定着させていくことが課題になるでしょう。

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この記事の編集者

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