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解体業界はこれからどうなる?M&Aの動向や将来性を解説

解体業界はこれからどうなる?M&Aの動向や将来性を解説

近年、老朽化した空き家の解体をはじめ、2020東京オリンピック開催に向け建物を建て替える動きや再開発などが行われた影響もあり、解体工事の案件が増加傾向にありました。
解体工事業者は、ビルなどのRC造の大規模建建物も解体できる業者もあれば、木造家屋解体のみを請け負う小さな業者などもあります。
解体業界はこれからどうなるのか、M&Aの動向や将来性も含めて詳しく解説していきます。

目次

解体業界とは


解体業界は木造家屋やビル、マンションなどのRC建物、店舗や商業施設や工場などの解体をはじめ、内装解体など、幅広い解体工事を担う業界です。
解体する工事だけでなく多くの工程があり、どの工程を担うかでも必要な許可に差が出ます。
解体業の業態を詳しく見ていきましょう。

解体業の業態

解体業というと建物を壊す業態のイメージがありますが、それだけにとどまりません。
解体した廃棄物を収集運搬することや最終処分前に中間処理するなども必要な作業です。

それぞれ必要な許可があるとともに、車両や設備の完備や人材の確保、技術や資格なども求められるので、すべての工程をワンストップで担える業者ばかりではありません。
どのような業態があるか見ていきましょう。

解体工事専門

解体工事を専門に行う業者です。
といっても、規模や解体できる構造に違いがあります。
木造家屋のみを引き受ける業者、鉄骨造やRC造の建物解体にも対応できる業者があります。
規模などにより、解体業の登録や建設業の許可が必要です。

収集運搬のみ

解体で出た廃棄物を処理場まで収集運搬する業務です。
不法投棄などが行われないよう、産業廃棄物の収集運搬処理業の許可が必要です。
収集運搬ができる車両や人員の確保などが求められます。

解体工事から中間処理まで

中間処理とは最終処分場に持ち込む前に、可能な限り、産業廃棄物の量や容積、体積を小さくすることです。
埋め立て処分を行う最終処分場は数も限られ、能力や規模的にも限界に達しているところが少なくありません。
ゴミの量が増えたからといって、簡単に増やせる施設ではありません。

そのため、中間処理を通じて廃棄物を可能な限り焼却、脱水、乾燥、中和、破砕などを行って容量を減らすことや小さくすることが必要です。
解体工事から中間処理まで行える業者は、収集運搬も手掛けるので、ほぼすべてのプロセスをワンストップ対応できます。

解体工事から収集運搬まで

解体工事をした廃棄物を自ら運べ、中間処理業者に引き渡すところまで行う業者です。

下請けに丸投げ

工務店やハウスメーカー、マンションやビルのディベロッパーなどに多いケースですが、建設業の許可などを保有しているので、自ら解体工事を手掛けることも可能で、解体関連業務はすべて下請業者に丸投げします。

解体が済んだところで、建て替えなどの工事を行うようなケースが少なくありません。

解体業界の構造

解体業は解体工事だけで終わるケースは少なく、その後に建て替えが行われたり、更地を駐車場に利用したり、売却されるケースも多いです。
そのため、建物所有者が直接、解体業者に依頼するのではなく、建て替えを依頼した業者から下請けが出されるなどのケースが多く見られます。

また、小規模な木造解体などは建設業の許可がいらなかった状況もあり、小規模で人材も少ない会社などの参入も多く見られました。
こうした会社が窓口となって、建設業の許可を持つ協力会社などに外注するケースも少なくありません。

解体業界の現状

解体業界の将来性を見る前に、解体業界の現状を確認しておきましょう。
基本的には需要は増加傾向にあります。
需要が増えている理由は以下の通りです。

建物の老朽化に伴う需要増加

建物は構造やメンテナンスの状態にもよりますが、ライフサイクルがあり、一定年数を超えると建て替えが必要になってきます。
高度成長期に建てられたビルやマンション、商業施設などが老朽化を迎え、建て替え時期に来ており、需要が増加しています。

また、最新の耐震基準を満たしていない築年数の古い建物も、耐震基準を満たすために建て替えをするケースが多いです。

自然災害による需要増加

近年、地震をはじめ、地球温暖化に伴う異常気象の影響などで自然災害による被害が増えています。
地震による倒壊や半壊、台風や竜巻で壊れる、水害で床上浸水する、土砂崩れなどによって半壊するなど、撤去や建て替えが迫られた際に、解体業者への需要が増します。

空き家の増加による解体需要増加

少子高齢化や地方の過疎化などにより、空き家が増える一方です。
放置空き家が社会問題化されていますが、問題解決のためにペナルティが設けられた影響もあり、解体に踏み切る方も増え、需要が増加しています。

コロナ禍の解体業界

近年は、需要は増加傾向にありましたが、コロナ禍で一時的に解体業界にも影響が出ました。
どのような影響が出たのでしょうか。

売上減少傾向

コロナ禍で先行きが見込めなくなり、建て替えての新規事業をあきらめる場合や延期するケースが増え、解体工事にも待ったがかかり、売上が減少したケースがあります。

工事減少に伴う競争激化

近年の需要増を見込んで、解体業に参入した業者が多い中、コロナ禍による需要減は想定外の出来事でした。
そこで、工事減少に伴う競争激化が起こり、仕事が取れない業者などは経営体力が減少する場合廃業や統廃合に追い込まれているケースもあります。

解体業界のM&A動向


需要増大傾向の中で、コロナ禍による想定外の売上減少や競争激化が起こったことで、解体業界ではM&Aの動きも起こってきました。

M&Aとは

M&Aとは買収合併などを通じて、企業規模を拡大することや事業の多角化を図ることで、生き残りを図ることやより大きな企業へと成長を遂げる目的で行われる経営戦略です。

売り手のメリット

  • 赤字経営を脱却できる
  • 後継者がいない企業の存続が図れる
  • 人材や機械、設備などを無駄にせずに済む

買い手のメリット

  • 事業を丸ごと手に入れることができる
  • 人材や技術、ノウハウなどを手早く得られる
  • 顧客や取引先を継承できる
  • 事業の多角化やリスク分散ができる
  • 一から新規事業を起こすより低コストでスピーディー

M&A件数は増加傾向

解体工事の需要は増していても、少子高齢化で人材も不足する中、M&Aの件数は増加傾向にあります。
どのような業者がM&Aを行っているのでしょうか。

関連事業者によるM&Aが活発

建て替えに伴い解体工事が必要なことも多いため、建て替え工事を担う工務店やハウスメーカー、マンションやビルのディベロッパーをはじめ、不動産の有効活用を提案する不動産会社不動産コンサルティング会社などが解体業者をM&Aするケースが増えています。
収集運搬のみを行ってきた業者が解体業者をM&Aして、ワンストップ対応するようなケースもあります。

元請けから下請けへのM&Aも

建設事業の元請けとなるゼネコンが、下請けとなる解体業者をM&Aするケースも少なくありません。
自社に取り込むことで、より低コストかつスピーディーに解体工事を担えるようになるためです。

解体業界の将来性


では、今後解体業界はどうなるのでしょうか。
解体業界の将来性を見ていきましょう。

少子高齢化による空き家の増加

少子高齢化がますます進んでいく中で、今後も空き家が増加し、解体のニーズは増えます。
放置されて、倒壊のリスクが高まることや地域の防災や防犯、景観などの観点から問題ありとみなされると特定空き家として、罰則や強制解体などの対象になります。

ペナルティを課される前に解体をする所有者の依頼をはじめ、放置空き家を自治体が強制代執行をかけるための依頼が増える可能性が高いです。

高度な専門業種へ

需要増を見込んで、高度なスキルやノウハウや経験も未熟な業者の参入が増えた影響か、空き家解体にあたっての事故も増えています。
空き家解体は住宅密集地など、狭い場所での高度な解体ノウハウが必要になるため、より高度な技術が求められる専門業者へレベルアップさせないと、信頼が得られず、依頼がもらえなくなるかもしれません。

また、解体をするだけでなく、解体後の土地の活用法をコンサルティングしたり、建て替え工事を行ったり、売却や賃貸の仲介を担える宅建事業を担えるなど、業務の多角化が必要になっていく可能性があります。

建設業法の改正

2016年の建設業法改正により、建物の解体工事を行うためには建設業許可が必要になりました。
それまでは、一定規模以上の解体工事を行うには、とび・土工工事業で建設業の許可があればできるとされていましたが、改正後は解体工事業の許可が必要となります。

許可を得るには、専門資格を持つ技術者や管理者の配置や一定年数以上の経験を持った責任者などが必要です。
こうした人材の確保をするためにも、とび・土工工事業で建設業の許可を得ていた業者や建設業の許可がなかった関連業者などが、専門資格を持つ人材がいる解体業者のM&Aを行う可能性もあります。

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まとめ

解体業の業態には、解体工事専門、収集運搬のみ、解体工事から中間処理まで、解体工事から収集運搬までなどプロセスごとに分かれるほか、下請けに丸投げしているような業者も少なくありません。
解体業界の現状ですが、全体的に需要が増加しています。

その理由としては、建物のサイクルや耐震基準が現行法の基準を満たしていないケースの建て替えなど建物の老朽化に伴う需要増加、地震や水害、土砂崩れなど自然災害による需要増加、少子高齢化や過疎化などに伴う空き家の増加による解体需要増加が挙げられます。
もっとも、コロナ禍の解体業界は売上減少傾向にあり、工事減少に伴う競争激化が問題になりました。

これに伴い、解体業界のM&Aも増加傾向にあります。
関連事業者によるM&Aが活発で、元請けから下請けへのM&Aも増えています。
解体業界の将来性ですが、少子高齢化による空き家の増加により依頼は増えるので、将来性は悪くありません。
ただし、解体だけにとどまらず、その後の建て替えやリフォームなどを行うなど、より高度な専門業種へシフトしないと、競争に勝てないかもしれません。

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