個別原価計算とは?総合原価計算との違いを解説します

個別原価計算とは?総合原価計算との違いを解説します

原価計算の方法にはいくつか種類があります。
それぞれ特徴があり、向いている業種や受注法が異なります。
ここでは、個別原価計算とはどんな方法なのか、総合原価計算との違いを見ながら確認していきましょう。

個別原価計算のメリット、デメリット、総合原価計算のメリット、デメリット、個別原価計算の計算方法も解説していきます。

個別原価計算とは

個別原価計算は、受注ごとに生産にかかった原価を集計する方法です。
顧客からの注文によって製品を製造する、受注生産のケースで主に用いられる計算方法です。

顧客の希望に応じてオリジナルで製造することやカスタマイズを施すので、生産物の種類や規格がそれぞれ異なります。
そのため、原価もそれぞれで異なるので、個別の原価計算が必要になるのです。

個別原価計算では、顧客から注文を受注し、製造から納品に至る工程で発生する材料費や労務費、経費などの費用を一つひとつ合算して計算します。

原価計算を行う前提として、個別受注生産を行う企業においては、顧客からの注文を受けた後、設計図にもとづき、製品の製造を指示する製造指示書が作成されるのが一般的です。
製造指示書に付された番号ごとに原価を集計していく流れを採るため、個別原価計算を行う際、製造指示書が重要な役割を果たします。

総合原価計算との違いは

個別原価計算の他に原価計算の方法として知られているのが総合原価計算です。

ここでは、個別原価計算と総合原価計算の違いについて、それぞれのメリットとデメリットを踏まえながらご説明します。

総合原価計算とは

総合原価計算では、一定期間に製造された同じ製品の総製造原価を総生産量で割ります。
その製品の単位あたりの平均製造原価を算出する方法です。

顧客からの個別注文ではなく、製造者サイドで定めた1日に売れるであろう販売可能数量、もしくは販売目標数量を設定して行う計算方法です。

たとえば、コンビニで販売するおにぎりの場合、それまでの売上データを活用し、1日に売れる量を予想して製造を行います。
この際、おにぎり1個の金額は、製造に要した材料費、労務費、経費を合計し、合計金額を実際の完成数量で割って求めます。

顧客からの具体的な受注ではなく、製造者サイドの予想や計画にもとづき製造を行う場合によく用いられる方法が総合原価計算です。
個別原価計算は受注生産や小ロット生産に適しているのに対し、総合原価計算は大量見込生産に用いられる点で違いがあります。

個別原価計算は継続的ではなく、都度受注やその時限りの生産であるケースも多いです。
これに対して、総合原価計算は1種類の製品を大量に製造し続ける際に用いられます。

大量製造品は、小型かつ安価なものが多く、製品1個や1単位ごとの原価を算出するのが難しいケースが少なくありません。
そこで、一定期間に発生したすべての原価を集計し、その期間に完成した製品数量で割ることで、単位あたりの原価を算出します。

なお、一定期間は1ヶ月単位を設定するケースが多いです。

向いている業種が違う

個別原価計算は、受注生産や小ロット、限定生産の場合に用いられ、総合原価計算は大量・継続生産に向いていることがわかりました。
このことから、各計算法は向いている業種にも違いが出ます。

個別原価計算は、多品種少量の製品を生産する業種に向いています。
汎用性のあるソフト開発ではなく、各企業から注文を受けて独自のシステムを開発するシステム開発業や依頼ごとにオリジナルのサイトや広告を制作するWeb制作業や広告業などです。
また、一つひとつが独自性の高いイベント業、案件ごとに内容や対処法が異なる弁護士などの士業やコンサルティング業も当てはまります。

これに対して、総合原価計算は同じ種類または異なる種類の製品を連続的、反復的に生産し続けていく連続生産を行う業種で用いられる方法です。
食品メーカーや飲料メーカー、電気製品メーカーなどの大量生産業種に適しています。

生産形態が違う

個別原価計算は、個別受注生産や小ロット生産向きで、総合原価計算は繰返生産や連続生産の形態に向いている方法です。

受注生産とは、顧客の注文を受けてから生産を開始する生産形態で、1回ごとや1回限りの個別受注生産と毎月一定量や必要の応じて小ロットずつ受注生産していく繰返受注生産などの形態があります。
ロット生産は、製品ごとに一定の数量でまとめ、その数量単位で生産を行っていく生産形態です。

一定の数量をまとめて生産することで、生産効率が高まることや生産コストが抑えられます。
ロット単位にすることで、1個単位で製造するより1個あたり単価が安く抑えられます。

総合原価計算に適している連続生産とは、一つの製品を一定期間連続して生産する形態で、繰返生産や継続生産とも呼ばれる生産形態です。
日用品や食料品、生活家電や消耗品、定番品など特定の製品を大量に生産する業種とはじめ、生産ラインが特定の製品に限定している業種で用いられる生産形態です。

建設業に当てはめると、注文住宅をはじめ、多くの建物は一つひとつ設計していくので個別受注生産の生産形態です。
これに対し、ハウスメーカーなどで用いられるパネルやボード、窓ガラスなどの建築資材で定番品として利用されている製品の製造は大量、連続生産の形態にあたります。

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個別原価計算のメリットデメリット

個別原価計算のメリットとデメリットを、それぞれ確認していきましょう。

個別原価計算のメリット

個別原価計算は、現場単位で原価を計算する方法です。
製造指示書に書き込みながら、各現場でどのくらいの原価を必要とするか、リアルタイムで正確な数値を把握していくことが可能です。
正確な原価が把握できるので、どのくらい利益が出そうか、逆に赤字になりそうかも予想しやすくなります。
赤字のリスクが早めにわかるので、赤字が拡大しないうちに早めの対応策を打つこともできるのがメリットです。

受注ごとに個別にといっても、ほかの受注にまったく影響を与えないわけではありません。
現場単位の原価を算出する経験やノウハウを蓄積していくことで、似たような工事を受注した時、精度の高い見積書を作成できるようになり、赤字になるリスクも防げます。

建設業においては、1回あたりの受注金額が大きくなりがちなため、まずは見積もりだけという問い合わせも少なくありません。
蓄積された原価計算のデータを参考にして見積書に反映させることで、担当者の手間も省け、実際に近い金額で見積もることが可能です。

個別原価計算のデメリット

個別原価計算のデメリットは計算していくプロセスで、手間と時間がかかる点です。

現場で行っていくので、慣れない人が行うと計上ミスや計算ミスが発生するおそれもあります。
ダブルチェック、トリプルチェック体制の構築を行うか、原価計算をサポートするシステムなどの導入がおすすめです。

総合原価計算のメリットデメリット

次に総合原価計算のメリットとデメリットをそれぞれ確認していきましょう。

総合原価計算のメリット

総合原価計算のメリットは計算ルールがシンプルであることです。
同じ製品の単位原価は一期間ごとに一つしかありません。
そのため、計上ミスも起こりにくく計算が簡単です。

計算にかかる手間や時間、コストも抑えられるのがメリットです。

総合原価計算のデメリット

同一製品か、製品の類似度が高いことが前提であり、近年の日本市場の傾向である少量多品種化の動きには向いていません。

また、期末まで原価を把握できない、期間内の原価の変動をリアルタイムで把握しにくい点は個別原価計算のメリットとは対照的です。

  • 施工管理システム

個別原価計算の計算方法

個別原価計算の計算方法を見ていきましょう。
まず、計算式は以下になります。

「直接材料費+直接労務費+直接経費+製造間接費=単位あたり製造原価」

個別原価計算の計算方法は以下の3ステップが基本です。

第一に、原価を費用項目別に集計することが求められます。
原価を費用項目別に集計していきましょう。
原価は、材料費、労務費、経費、外注費に分けられるため、発生した費用を各項目に振り分けてください。

第二に、集計した原価を部門別に振り分けます。
工事現場では、実際に現場で施工を担う建設部門と人事や労務に関する業務を担う管理部門の2つに分かれています。
各項目の費用を部門別に割り振りましょう。

第三に部門別に振り分けた原価をプロジェクト別に振り分けて集計してください。
プロジェクトごとに必要な時間・工数・人材数などを、企業ごとの一定の基準にもとづいて振り分けます。

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まとめ

個別原価計算は受注ごとに、生産にかかった原価を現場で集計する方法です。
個別受注生産や小ロット生産に向いています。

これに対して、総合原価計算は一定期間に製造された同じ製品の総製造原価を総生産量で割る方式で、大量・継続生産に適しています。

それぞれメリット、デメリットがありますが、そもそも向いている業種や生産形態が違うため、自社や生産しているものに適した方法を用いましょう。

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